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眉目
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びもく
ふりがな文庫
“
眉目
(
びもく
)” の例文
明かなる君が
眉目
(
びもく
)
にはたと行き逢える今の
思
(
おもい
)
は、
坑
(
あな
)
を出でて天下の
春風
(
はるかぜ
)
に吹かれたるが如きを——言葉さえ
交
(
か
)
わさず、あすの別れとはつれなし。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と見まわすと、この中では一番の年少者で
眉目
(
びもく
)
の清秀な
磯貝
(
いそがい
)
十郎左衛門が少し、青白い顔して、片手で腹を抑えていた。
べんがら炬燵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかも、これが他の門弟たちとは群を抜いて、腕もたしか、わざもみごと、
眉目
(
びもく
)
もきわだってひいでた若者でした。いや、それと知ったせつなです。
右門捕物帖:26 七七の橙
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
眉目
(
びもく
)
端正な顔が、迫り
視
(
み
)
るべからざる程の気高い美しさを具えて、
新
(
あらた
)
に浴を出た時には、
琥珀色
(
こはくいろ
)
の光を放っている。豊かな肌は
瑕
(
きず
)
のない玉のようである。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「しかし、えらい変りようじゃなあ。あれほど
眉目
(
びもく
)
秀麗
(
しゅうれい
)
だった伴大次郎が、今はまるで鬼の面と言ってもよい。」
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
しかもその白い顔は正面から月のひかりを受けているので
眉目
(
びもく
)
明瞭、うたがいもない江戸屋敷のお島であった。
鷲
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
が、その姿に眼をやると、彼女の顔は不思議にも、
眉目
(
びもく
)
の形こそ変らないが、
垂死
(
すいし
)
の老婆と同じ事であった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
最下の者も、いかにいまだ空漠たろうとも、なおその
眉目
(
びもく
)
の下に無窮なるもののかすかな輝きを持っている。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
氏
(
うじ
)
育ち共に
賤
(
いや
)
しくなく、
眉目
(
びもく
)
清秀、容姿また
閑雅
(
かんが
)
の
趣
(
おもむ
)
きがあって、書を好むこと色を好むが
如
(
ごと
)
しとは言えないまでも、とにかく幼少の頃より神妙に学に志して
竹青
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
自分は
少時
(
しばらく
)
立って見送っていると、彼もまたふと振返ってこちらを見た。自分を見て、ちょっと
首
(
かしら
)
を低くして挨拶したが、その
眉目
(
びもく
)
は既に
分明
(
ぶんみょう
)
には見えなかった。
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
十余年
前
(
ぜん
)
楽天居
(
らくてんきょ
)
小波山人
(
さざなみさんじん
)
の
許
(
もと
)
に集まるわれら木曜会の会員に
羅臥雲
(
らがうん
)
と呼ぶ
眉目
(
びもく
)
秀麗なる
清客
(
しんきゃく
)
があった。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
順吉は
眉目
(
びもく
)
が秀麗で、動作が
敏捷
(
びんしょう
)
でしたから、誰にも愛されました。養老館に入って学びましたが、十四歳になった時には、藩の子弟にも及ぶ者がないと推奨されたのです。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
と、二十九歳になる、京大法科に通っている、鹿児島生れの、
眉目
(
びもく
)
秀麗な、秀才はいった。
モルガンお雪
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
洞川
(
どろかわ
)
という谷底の村に、今では五鬼何という
苗字
(
みょうじ
)
の家が五軒あり、いわゆる山上参りの
先達職
(
せんだつしょく
)
を世襲し
聖護院
(
しょうごいん
)
の法親王御登山の案内役をもって、一代の
眉目
(
びもく
)
としておりました。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
毛髪の薄く
眉目
(
びもく
)
なぞも、はつきりしないやさ男ぶりは、気に入らなかつた、お神さんや、他の女たちにべたべたするのも、男らしくなくて、あき足らなかつた、——普通ならば
一の酉
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
村川の顔が青ざめ、眼が血ばしり呼吸がはずみ、はげしい精神的苦痛が、その美しい
眉目
(
びもく
)
の間にきざまれかけると、彼女は昂奮し緊張した。おしまいには、肉体的にまで昂奮した。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
庸三はもちろん他の男にも同じ表情をしあるいはもっと哀切
凄婉
(
せいえん
)
な
眉目
(
びもく
)
を見せるであろう瞬間を、しばしば想像したものだったが、昨夜のように気分の険しさの魅惑にも引かれた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
非常に
眉目
(
びもく
)
秀麗です。老僕夫妻はいまに私かその青年かのどちらかにアクチーブに出て結婚でもすることを予想し否、そうあれかしと望んで居るようなのです。彼等らしい考えです。
智慧に埋れて
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
眉目
(
びもく
)
のどこかにか苦闘のあとを残すかたがたも、「あの時分」の話になると、われ知らず、青春の血潮が今ひとたびそのほおにのぼり、目もかがやき、声までがつやをもち、やさしや
あの時分
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その女は
眉目
(
びもく
)
の辺が引き締っていて、口元などもしばしば
彼地
(
あちら
)
の女にあるように
弛
(
ゆる
)
んだ形をしておらず、色の白い、夏になると、それが一層白くなって、じっとり汗ばんだ皮膚の色が
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
この
爽麗
(
そうれい
)
なる温室内に食卓を開きて伯爵家特有の
嘉肴珍味
(
かこうちんみ
)
を
饗
(
きょう
)
す。この
中
(
うち
)
に入る者はあたかも天界にある
心地
(
ここち
)
して
忽
(
たちま
)
ち人間
塵俗
(
じんぞく
)
の気を忘る。彩花
清香
(
せいこう
)
眉目
(
びもく
)
に映じ
珍膳
(
ちんぜん
)
瑶盤
(
ようばん
)
口舌を
悦
(
よろこ
)
ばす。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
心の中に
悶
(
もだ
)
え苦しむ人はもとよりのこと、一つの道をのみ追うて走る人でも、思い設けざるこの時かの時、
眉目
(
びもく
)
の涼しい、額の青白い、夜のごとき喪服を着たデンマークの公子と面を会わせて
二つの道
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
美人ト不美人トノ相違ノ真髄ハ
何処
(
いずこ
)
ニアリヤト考エルノニ、要スルニ
夫
(
そ
)
レハ主トシテ
眉目
(
びもく
)
ノ立体幾何学的問題ニ在ル。眉目ノ寸法、配列等ガ当ヲ得レバ美人トナリ、マタ当ヲ得ザレバ醜人トナル。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
はた甚だ快しとせざる所なるをもて、妾は女生に向かいて
諄々
(
じゅんじゅん
)
その非を
諭
(
さと
)
し、やがて髪を延ばさせ、着物をも女の物に換えしめけるに、あわれ
眉目
(
びもく
)
艶麗
(
えんれい
)
の一美人と生れ変りて、ほどなく郷里に帰り
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
マスクかけ
仄
(
ほの
)
かに彼の
眉目
(
びもく
)
かな
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
見
(
み
)
れば
扨
(
さて
)
も
美男子
(
びなんし
)
色
(
いろ
)
こそは
黒
(
くろ
)
みたれ
眉目
(
びもく
)
やさしく
口元
(
くちもと
)
柔和
(
にゆうわ
)
に
歳
(
とし
)
は
漸
(
やうや
)
く
二十
(
はたち
)
か
一
(
いち
)
か
繼々
(
つぎ/\
)
の
筒袖
(
つゝそで
)
着物
(
ぎもの
)
糸織
(
いとおり
)
ぞろへに
改
(
あらた
)
めて
帶
(
おび
)
に
卷
(
ま
)
く
金鎖
(
きんぐさ
)
りきらびやかの
姿
(
なり
)
させて
見
(
み
)
たし
流行
(
りうかう
)
の
花形俳優
(
はながたやくしや
)
何
(
なん
)
として
及
(
およ
)
びもないこと
大家
(
たいけ
)
の
若旦那
(
わかだんな
)
それ
至當
(
したう
)
の
役
(
やく
)
なるべし
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
嫂
(
あによめ
)
はこう云う場合に、けっして
眉目
(
びもく
)
を動さなかった。いつでも
蒼
(
あお
)
い頬に微笑を見せながらどこまでも尋常な応対をした。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
また、
秀麗
(
しゅうれい
)
な
眉目
(
びもく
)
や、
明晰
(
めいせき
)
な言語や、お小姓組に育って、行儀の上品なすがたが、その敵対感の中に、往来しだした。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
民雄はこう云った野村の顔を見上げながら、ほとんど滑稽に近い真面目さを
眉目
(
びもく
)
の
間
(
あいだ
)
に閃かせて
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
右門は例の秀麗きわまりない
眉目
(
びもく
)
に、観察の深さを物語る一文字のくちびるをきりりと引き締めて、しきりとそこに掛けられてある床の新画を見ながめていましたが、ふふん
右門捕物帖:11 身代わり花嫁
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
ただ土蔵の窓から、体格のしっかりしてそうな
眉目
(
びもく
)
秀麗な子供の皆三が、しょっちゅう顔を見せている癖に、決して外へ出て、みんなと一緒に遊ばない超然たるところを子供達は憎んだ。
蝙蝠
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼らを兵馬の間に伴ない得ざるために、
眉目
(
びもく
)
清秀なる少年をしてこれにかわらしめた世の中になっても、
肴
(
さかな
)
をするというのは扇を
膝
(
ひざ
)
にして歌うことであり、または
起
(
た
)
って一さし舞うことであった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
この台所に
入
(
い
)
る者は
先
(
ま
)
ず
眉目
(
びもく
)
に明快なるを覚ゆべし。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
悲痛の色を
眉目
(
びもく
)
の
間
(
かん
)
に
浮
(
うか
)
めて
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
時雨
(
しぐ
)
るゝを仰げる人の
眉目
(
びもく
)
かな
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
と、
頷
(
うなず
)
くかのような
眉目
(
びもく
)
を示した。——勝家は、ぐいと
猪首
(
いくび
)
を横に曲げて、ばさばさと自席へもどった。その後、
唾
(
つば
)
でも吐きたいような顔をしていた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
特徴とはほかではない。彼の
眉目
(
びもく
)
がわが親愛なる好男子水島寒月君に
瓜
(
うり
)
二つであると云う事実である。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ土蔵の窓から、体格のしつかりしてさうな
眉目
(
びもく
)
秀麗な子供の皆三が、しよつちゆう顔を見せてゐる癖に、決して外へ出て、みんなと一緒に遊ばない超然たるところを子供達は憎んだ。
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
しかしこの人のこういう深刻な陰を
眉目
(
びもく
)
に見るのは、左馬介としてさほどな驚異ではなかった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その妹の十一貫目の婆さんは、
瞬
(
またた
)
きもせず余が黄色な面を打守りていかなる変化が余の
眉目
(
びもく
)
の
間
(
かん
)
に現るるかを検査する役目を務める、御役目御苦労の至りだ、この二婆さんの
呵責
(
かしゃく
)
に
逢
(
あっ
)
てより以来
自転車日記
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
天下の何人たりと知るよしもない
地異人乱
(
ちいじんらん
)
を、未然に知っているということのいかに
空怖
(
そらおそ
)
ろしきものであるかを、さすがにここにいる面々とて、その
眉目
(
びもく
)
なり五体なり、また
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
眉目
(
びもく
)
といい、
麗玉
(
れいぎょく
)
のようだ、もし、これで生きていたら——と、思わずにいられない。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところへまたも、一群の正規兵が、
隊伍
(
たいご
)
粛々
(
しゅくしゅく
)
と、目の前を通りすぎた。
総
(
ふさ
)
つきの立て槍を持った騎馬隊と鉄弓組の中間には、雪白の馬に
跨
(
また
)
がった
眉目
(
びもく
)
するどい一壮士の姿が見えた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
噂のとおり、賛之丞はちょっと女好きのしそうな
眉目
(
びもく
)
に
優形
(
やさがた
)
な肩幅を落すくせを持っている。だがその眸の底には、寸間も休まらないというような恐怖をどきどきと
潜
(
ひそ
)
ませているようだ。
八寒道中
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、一角は、そういって、ジリジリと前へ迫ってくる鋭い
眉目
(
びもく
)
を見上げた。
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それに、遠祖八幡太郎の若き日も、かくやと思われる
眉目
(
びもく
)
だった。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すなわち
武田伊那丸
(
たけだいなまる
)
は、
眉目
(
びもく
)
をあさく
藺笠
(
いがさ
)
にかくし、
浮織琥珀
(
うきおりこはく
)
の
膝行袴
(
たっつけ
)
に、肩からななめへ
武者結
(
むしゃむす
)
びの
包
(
つつ
)
みをかけ、
木隠龍太郎
(
こがくれりゅうたろう
)
は
白衣白鞘
(
びゃくえしらさや
)
のいつもの
風姿
(
なり
)
、また
加賀見忍剣
(
かがみにんけん
)
もありのままな
雲水
(
うんすい
)
すがた
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、きょうはいたって
和
(
やわ
)
らかい
眉目
(
びもく
)
である。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“眉目”の意味
《名詞》
まゆと目。
容姿。みめ。
名誉。面目。
(出典:Wiktionary)
眉
常用漢字
中学
部首:⽬
9画
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
“眉目”で始まる語句
眉目秀麗
眉目形
眉目清秀
眉目好
眉目妍
眉目容
眉目美
眉目俊秀
眉目奇秀
眉目容姿