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盲目
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めくら
ふりがな文庫
“
盲目
(
めくら
)” の例文
盲目
(
めくら
)
のお婆さんは、座が定ると、
懐
(
ふところ
)
から手拭を出して、それを例のごとく三角にして
冠
(
かぶ
)
つた。
暢気
(
のんき
)
な鼻唄が唸
る
(
うな
)
るやうに聞え出した。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
暗
(
くら
)
い
晩
(
ばん
)
に、
雪
(
ゆき
)
の
凍
(
こお
)
った、
細道
(
ほそみち
)
を
歩
(
ある
)
いてゆくと、あちらから
笛
(
ふえ
)
を
吹
(
ふ
)
いて、とぼとぼと
歩
(
ある
)
いてくる
年
(
とし
)
とった
盲目
(
めくら
)
の
女按摩
(
おんなあんま
)
に
出
(
で
)
あいました。
塩を載せた船
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
取出し夫見よ酒も肴も
幾許
(
いくら
)
でも出せ喰倒しをするやうな
卑劣
(
ひれつ
)
の武士と思ふか
茲
(
こゝ
)
な
盲目
(
めくら
)
めと云ながら百兩餘りもあらんと思はるゝ
胴卷
(
どうまき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「桶を冠っているからにゃ、眼のみえねえのは解り切っていらあ。何でえ
盲目
(
めくら
)
に衝突たりやがって。ええ気をつけろい気をつけろい!」
戯作者
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
小伝馬町の古帳面屋の
店蔵
(
みせぐち
)
の住居の二階で時折見かける、
盲目
(
めくら
)
で
坊主頭
(
ぼうさん
)
のおばあさんが、おしょさんのうちにも時々来てとまっていた。
旧聞日本橋:18 神田附木店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
「それ見ろ、この坊さんが知ってらあ、見る人が見りゃあ、ちゃあんとわかるんだ、お前たちは
盲目
(
めくら
)
だ、この坊さんはなかなかえらい」
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
芳賀博士はこの頃
倫敦
(
ロンドン
)
で重い眼病にかゝつて、
何
(
ど
)
うやら
盲目
(
めくら
)
になつたらしいが、
知辺
(
しるべ
)
の少い旅先での病気は誠に気の毒に堪へられない。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それは明らかに磯吉の兄の子どもとさっしられたが、
盲目
(
めくら
)
になって除隊された磯吉につらい兄であると聞いて、ふれずにつぎに移った。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
山田「コレ危ない、左様なことを致すからお手討に逢うようなことになるのだ……あなた
盲目
(
めくら
)
などを斬って罪を作るでもございますまい」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私が、近所のお友達四五人と、礫川学校へ行く道で、毎朝納豆売の
盲目
(
めくら
)
のお婆さんに
逢
(
あ
)
いました。もう、六十を越しているお婆さんでした。
納豆合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「だが、妙だな。この像の右眼だけが、
盲目
(
めくら
)
なんだぜ。それに、像だけに埃が付いていないのは、どうしたと云うものだろう」
後光殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
されど盲人なる彼れの
盲目
(
めくら
)
ならずとも自分を見知るべくもあらず、しばらく自分の方を向いていたが、やがてまた吹き初めた。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
盲目
(
めくら
)
ではなく、眼は
開
(
あ
)
いて居ながら周囲と混融し、
或
(
あるひ
)
は反発し合つて
妄動
(
まうどう
)
して居る。未来派の絵はやがて僕の世界なのである。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
もっとも様子で見せなくてもこの黒く焦げついたカ氏とあの子供とが兄弟であるとは、まず
盲目
(
めくら
)
でもない限り誰も信じるものもないであろう。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
信州
戸隠山
(
とがくしやま
)
の奥の院というのは普通の人の登れっこない難所だのに、それを
盲目
(
めくら
)
が
天辺
(
てっぺん
)
まで登ったから驚ろいたなどという。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
砂金
(
かね
)
売りの吉次は、
築地
(
ついじ
)
の外に立った。どこを眺めても、
盲目
(
めくら
)
のように門が閉まっている。雑草が、ほとんど、門の腰を埋めているのである。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼
(
あれ
)
もそれ
中途
(
ちうと
)
で
盲目
(
めくら
)
に
成
(
な
)
つたんだから、それまでに
働
(
はたら
)
いて
身體
(
からだ
)
は
成熟
(
でき
)
てるしおめえも
知
(
し
)
つてる
通
(
とほ
)
りあんで
居
(
ゐ
)
て
仕事
(
しごと
)
も
出來
(
でき
)
るしするもんだから
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
……なにも見なくともすむように、
盲目
(
めくら
)
になりたい、教会の石段の上で。こんなことなら最初の戦闘の、最初の戦死者になればよかった、って。
だいこん
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
普選になったんじゃし、若松の
者
(
もん
)
も、そう
盲目
(
めくら
)
ばかりでもないよ。二度も落ちたんじゃし、原田君のような快男児が市会に出たら、市会が活気を
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
金の縁のある眼を慘忍な所業の爲めに取り去られた捕はれの鷲は、あの
盲目
(
めくら
)
のサムスンのやうな樣子をしてゐたであらう。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
たうとう
盲目
(
めくら
)
になつたペンペは、ラランの
姿
(
すがた
)
を
見失
(
みうしな
)
ひ、
方角
(
ほうがく
)
も
何
(
なに
)
もわからなくなつて、あわてはじめたがもう
遅
(
をそ
)
かつた。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
「世間ぢやそんな事も言ふ相ですが、飛んでもない話で、金がありや、人樣の足腰なんか揉んで居るものですか、
盲目
(
めくら
)
相應の出世でも致しますよ」
銭形平次捕物控:042 庚申横町
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
跛
(
ちんば
)
と
盲目
(
めくら
)
や。」とお信さんは片足を引きずつて歩き出しながら笑つた。「そやけど、かうなると跛の方がましえな。」
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
「あばれたにも何も、一体名代の
代物
(
しろもの
)
でごぜえしょう、そいつがお
前
(
め
)
さん、
盲目
(
めくら
)
滅法界に飛出したんで、はっと思う途端に
真俯向
(
まうつむけ
)
に
転
(
のめ
)
ったでさ。」
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
墓地の
骸骨
(
がいこつ
)
でも引張り出して来て使いたい此頃には、死人か大病人の外は手をあけて居る者は無い。
盲目
(
めくら
)
の婆さんでも、手さぐりで
茶位
(
ちゃぐらい
)
は
沸
(
わ
)
かす。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
あなたは何時までも今のままでゐられると思つてるの、あと五年もしないうちに
盲目
(
めくら
)
になるのは判つてるじやないの。
青春の天刑病者達
(新字旧仮名)
/
北条民雄
(著)
「はい、もう長い間わづらつてゐます。いろいろ医者のてあても受けましたが、悪くなるばかりです。ほんたうの
盲目
(
めくら
)
になるのも
直
(
ぢき
)
だと思ひます。」
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
「みんなで寄ってたかって俺を
狂人
(
きちがい
)
にして、こんなところへ入れてしまった。
盲目
(
めくら
)
の量見ほど悲しいものはないぞや」
ある女の生涯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そして、枕を引きよせながら、自分の心を強ひて
盲目
(
めくら
)
にしようと、くぼんだ眼を閉ぢて、うとうととなって行った。
青白き夢
(新字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
盲目
(
めくら
)
でありながら、よくも、巧妙に凶行をとげたものですねえ。いずれ、前科持ちでしょう。え? やっぱり、そうですか。それから、Pのおじさん。
現場の写真
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
音楽の技巧的鑑賞には
盲目
(
めくら
)
だが、何となしに酔はされた感激から、急にまだ日の暮れぬ街路へ放たれた心持は、
鳥渡
(
ちよつと
)
持つて行きどころがない感じだつた。
私の社交ダンス
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
が、
若松屋惣七
(
わかまつやそうしち
)
は、すこし眼が見えない。人の顔ぐらいはわかるが、こまかいものとくると、まるで
盲目
(
めくら
)
なのだ。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「そしてこれからは、御内室のことは断じて口にしません、断じてです、あのことについては私は
聾
(
つんぼ
)
で
盲目
(
めくら
)
で
唖
(
おし
)
になります、それを刀にかけて誓います」
薊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それは私だって
盲目
(
めくら
)
じゃございませんわ。主人は村島さんと御一緒だと言えば私が納得すると思っているのです。
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
人を
盲目
(
めくら
)
と思うとる。最初から試し斬りの切柄かけた白鞘の
新身
(
あらみ
)
の脇差を引付けて、物を訊く法があるものか。
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
若し途中で、或は
蹇
(
あしなへ
)
、或は
盲目
(
めくら
)
、或は癩を病む者、などに逢つたら、(その前に能く催眠術の奥義を究めて置いて、)
其奴
(
そいつ
)
の頭に手が触つた丈で癒してやる。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「此の
盲目
(
めくら
)
坊主、おんなじ家が判らないのか、お前はぜんたい、何のためにそんなことをしておるのじゃ」
長者
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
……オートバイかトラックかがあちらから、大へんな勢ひで
盲目
(
めくら
)
滅法に
驀進
(
ばくしん
)
して来る。私はその道を横切らうとして、それに気がつき、危いと避けようとする。
大凶の籤
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
盲目
(
めくら
)
にされても降り得ようほど案内知った道でありながら、誰も彼も行き迷うたあげく
斃
(
たお
)
れてしまうのが、ほど経て道ばたへむごたらしい
屍骸
(
しがい
)
になって知れるのよ。
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
二人
(
ふたり
)
に別れて自分の船室に帰った葉子はほとんど delirium の状態にあった。
眼睛
(
ひとみ
)
は大きく開いたままで、
盲目
(
めくら
)
同様に
部屋
(
へや
)
の中の物を見る事をしなかった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
目は明いておるが
盲目
(
めくら
)
であったと申すか。道理で
蛤
(
はまぐり
)
のような目を致しおったわい。それにしても源七とやらは、とうにもう大川から三
途
(
ず
)
の川あたりへ参っている筈じゃ。
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
デュアック あれは、
盲目
(
めくら
)
の老琴手コエルでございましょう——あの名高い女王マカを愛して、あまりに深く愛した為に、女王の手で
盲目
(
めくら
)
にされたコエルでございます。
ウスナの家
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
普通選挙論では
外山正一
(
とやましょういち
)
が福地に応援して、「毎日記者は
盲目
(
めくら
)
蛇
(
へび
)
におじざるものだ」といった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
唖
(
おし
)
とか
聾
(
つんぼ
)
とか
盲目
(
めくら
)
とかいう不具者あるいは子供位を除くのほかは大抵商売人というてもよい位。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
まだ
盲目
(
めくら
)
にならない深雪が、露のひぬま……と書かれた扇を手文庫から出して人知れず愛着の思いを
舒
(
の
)
べているところに跫音がして、我にもあらず、その扇を小脇に
匿
(
かく
)
した
朝顔日記の深雪と淀君
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
私はトッパーがその靴に眼を持っていたと信じないと同様にまったくの
盲目
(
めくら
)
であるとは信じない。私の意見では、彼とスクルージの甥との間にはもう話は済んでいるらしい。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
盲目
(
めくら
)
の母はただ悲嘆に沈んでいるばかりで、くわしい事情もよく判らなかったが、姉のおこよが縁組の破談から自殺を遂げたらしいことは、年のゆかない彼女にも想像された。
半七捕物帳:24 小女郎狐
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
さりながら今より思い合わすれば、
如何
(
いか
)
に
盲目
(
めくら
)
蛇
(
へび
)
物に
怖
(
お
)
じずとはいいながら、かかる危険
極
(
きわ
)
まれる薬品を枕にして
能
(
よ
)
くも安々と
睡
(
ねむ
)
り得しことよと、身の毛を
逆竪
(
さかだ
)
つばかりなり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
「もしもだね、メチルで
盲目
(
めくら
)
になったと仮定する。もちろん仮定だよ。その時君は、アンマになろうと思うかね。それとも琴を勉強して、その方面の師匠になろうと思うかね?」
Sの背中
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
石塔の代を
盲目
(
めくら
)
の兄のところへ返して、それから、一生だって……。どこまでも、はてもなく、真暗な闇が続いてるようだった。あたしは笑ってやりたかった、が笑えなかった。
溺るるもの
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
盲
常用漢字
中学
部首:⽬
8画
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
“盲目”で始まる語句
盲目縞
盲目滅法
盲目的
盲目地
盲目結
盲目馬
盲目突
盲目探
盲目少女
盲目按摩