男女だんじょ)” の例文
小説たるも随筆たるもむねとする処は男女だんじょの仲のいきさつを写すなり。客と芸者の悶着を語るなり。亭主と女房の喧嘩犬もはぬ話をするなり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
そして、周囲しゅういうものは、あの可憐かれんないわつばめでなくて、人間にんげんうつくしい男女だんじょらでした。きくのはあらしのうたでなく、ピアノの奏楽そうがくでした。
しんぱくの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぎに案外あんがいおおいのはわか男女だんじょ祈願きがん……つまりいた同志どうし是非ぜひわしてほしいとったような祈願きがんでございます。
歌麿は「青楼せいろう十二とき」この方、版下をらせては今古こんこの名人とゆるしていた竹河岸の毛彫安けぼりやすが、森治もりじから出した「蚊帳かや男女だんじょ」を彫ったのを最後に、突然死去して間もなく
歌麿懺悔:江戸名人伝 (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ろうかは、外国がいこく男女だんじょがいききしているのですから、はずかしいったらありません。
これらの男女だんじょは、いずれも牧人ぼくじんでした。もうこの地方ちほうは、あたたかで、みんなははたけや、たがやさなければなりませんでした。
月とあざらし (新字新仮名) / 小川未明(著)
即ち大名屋敷あるひは青楼の大広間に男女だんじょ打集うちつどひて遊宴せるさままたは人形芝居を見る処なぞを描きたるものにて
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
みぎのような次第しだいで、帰幽後きゆうご随分ずいぶんながあいだ私達わたくしたち夫婦ふうふわかわかれになったきりでございました。むろん、これがすべての男女だんじょ共通きょうつうのことなのかうかはぞんじませぬ。
他目はためからは、どうても医者いしゃ見舞みまいとしかおもわれなかった駕籠かご周囲まわりは、いつのにやら五にんにん男女だんじょで、百万遍まんべんのように取囲とりかこんで、えばほど、そのかずしてるばかりであった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
博士はかせこころをおちつけて、かがみをのぞくと、そこにあやしげななりをした、男女だんじょがならんで、おぼろげにていました。
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
若き男女だんじょ相倚あいよ相戯あいたわむるるさまに至りては元より枚挙にいとまあらざれど、そのうち英対暖語えいたいだんご』第三巻に男は屏風びょうぶ引廻ひきまわしたる夜具の上に起直り楊枝箱ようじばこ片手にくさ楊枝を使へば
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
答『イヤこれは最初さいしょ人類じんるい創造つくときの、ごくとお大古たいこ神業かみわざであって、今日こんにちでは最早もはやその必要ひつようはなくなった。そなたもるとおり人間にんげん男女だんじょ立派りっぱ人間にんげんんでるであろうが……。』
広々ひろびろとした、田園でんえんのぞみ、豊穣ほうじょう穀物こくもつあいだはたら男女だんじょれを想像そうぞうし、嬉々ききとして、牛車ぎゅうしゃや、うまあと子供こどもらの姿すがたえがいたのであります。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
人間にんげんでもそうであるように、まれには、仲間なかまどうしだけで、宴会えんかいひらきたいものです。うみ男女だんじょかみたちは、きゅうに、舞踏会ぶとうかいもよおすことになりました。
海の踊り (新字新仮名) / 小川未明(著)
まちには、燈火あかりが、はなのようにかがやいて、あたまうえそらは、紫色むらさきいろにおい、ほしひかりがあちら、こちらと、ちりばめた宝石ほうせきかざりのようにきらめきはじめると、まちなかを、ぞろぞろと男女だんじょれが
街の幸福 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わかい、健康けんこう男女だんじょは、それぞれ工場こうじょうへいき、活溌かっぱつはたらいたのですが、正吉しょうきちは、それらのひとたちとおなじことはできず、ある電気工場でんきこうじょうつとめて、体力たいりょくにふさわしい仕事しごととして、ニクロムせんいたり
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しろくもは、南方なんぽうたかやまから、うごきはじめて、きたうみのほうへながれていたのであるが、途中とちゅう、ゆらゆらと平野へいやをいったとき、そこここに、百しょうのすむわらぶきやがあったり、はたけをたがやす男女だんじょ
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)