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思召
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おぼしめ
ふりがな文庫
“
思召
(
おぼしめ
)” の例文
「未熟者の拙者、
迚
(
とて
)
も人にお教え申すことなどは、出来ませぬが、折角の
思召
(
おぼしめ
)
しを辞するは却って失礼、宜しかったら型だけにても」
おもかげ抄
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
でもどちらが勝つでしょう?——強い方でしょうな。——どちらが強いと
思召
(
おぼしめ
)
して?——うまい物を食べて教育のある方でしょうな。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
そこで皆の衆が物持から米や沢庵を持って来てウント喰い倒してやるというのは、
天道様
(
てんとうさま
)
の
思召
(
おぼしめ
)
しだ、実にいい心がけである、賛成!
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それはもう
幾歳
(
いくつ
)
になつたから親に別れて可いと
謂
(
い
)
ふ
理窟
(
りくつ
)
はありませんけれど、
聊
(
いささ
)
か慰むるに足ると、まあ、
思召
(
おぼしめ
)
さなければなりません
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
帝
(
みかど
)
も
藤壺
(
ふじつぼ
)
の
女御
(
にょご
)
にお見せになることのできないことを遺憾に
思召
(
おぼしめ
)
して、当日と同じことを試楽として御前でやらせて御覧になった。
源氏物語:07 紅葉賀
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
▼ もっと見る
習俗に盲従してゐる人達は神様の有りがたい
思召
(
おぼしめ
)
しを無にして結局は唯必要な、子を生む機械として存在するとしか思はれないのです。
男性に対する主張と要求
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
どうか、私の一生の願を聞いてやると
思召
(
おぼしめ
)
して、ただ一度で
宜
(
よろ
)
しゅうございますから、お目にかかることは出来ませんでしょうか。
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
譬えて申せば貴方が一杯の酒を
呑乾
(
のみほ
)
しておしまいなさる時、その酒の
香
(
か
)
がいつか
何処
(
どこ
)
かであった嬉しさの
香
(
におい
)
に似ていると
思召
(
おぼしめ
)
すように
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
伴作 昨日一旦ゆるして歸されたは、深い
思召
(
おぼしめ
)
しのあることで、かれの罪状いよ/\明白と相成つて、再びお召捕りに相成るのだ。
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その水癲癇とやら奇病にでも何にでも相成りますから、どうか式部の奇病をあわれに
思召
(
おぼしめ
)
して、川を越える事はあすになさって下さい。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
みなさん、あの血を誰の血だと
思召
(
おぼしめ
)
す。云うまでもありませんわね。で、如何でございますの。時間が一秒でも違いましたでしょうか。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
たとえ算哲様生前の慈悲深い
思召
(
おぼしめ
)
しがあったにしても、いつまで御用のないこの館に、御厄介になっておりますことが、どんなにか……
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
『先生までそんな事を
思召
(
おぼしめ
)
してらっしゃるんでございますか? それじゃ余りでございますわ。綾子様がお可哀想でございます』
蛇性の執念
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
赤心
(
まごゝろ
)
ばかりは
誰
(
た
)
れ
人
(
びと
)
にまれ
劣
(
おと
)
ることかは、
御心
(
おこゝろ
)
やすく
思召
(
おぼしめ
)
せよ
世
(
よ
)
にも
勝
(
すぐ
)
れし
聟君
(
むこぎみ
)
迎
(
むか
)
へ
參
(
まゐ
)
らせて
花々
(
はな/″\
)
しきおん
身
(
み
)
にも
今
(
いま
)
なり
給
(
たま
)
はん
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
襖の外から、殿はまだお目覚めでござるか。何事ぢや。石田治部のこといかゞ
思召
(
おぼしめ
)
すか。さればさ、俺も今それを考へてゐるところぢや。
二流の人
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
小勢が勝たぬには定まらず、あわよくば此方が切勝って、旗を天下に
樹
(
た
)
つるに及ぼうも知れず、
思召
(
おぼしめ
)
しかえさせられて然るべしと存ずる
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
君臣というかきさえなければ一
壺酒
(
こしゅ
)
を中において膝ぐみで議論してみたい男ですらあるくらいな
思召
(
おぼしめ
)
しなのだ。かつは彼には実力がある。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夢の御告げでもないならともかく、娘は、観音様のお
思召
(
おぼしめ
)
し通りになるのだと思ったものでございますから、とうとう
首
(
かぶり
)
を
竪
(
たて
)
にふりました。
運
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
どうぞ、これから、これを妹とも
思召
(
おぼしめ
)
し下すって、
叱
(
しか
)
っても頂き、お引立てもお願いいたし
度
(
た
)
いのです。どうぞお願い申します
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
静
(
しずか
)
に大沼の
真中
(
まんなか
)
へ石を投げたように、山際へ日暮の波が輪になって
颯
(
さっ
)
と広がる中で、この藤助と云う奴が、何をしたと
思召
(
おぼしめ
)
す。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何うか三八さん(
歔欷
(
すゝりなく
)
)あなたの
処
(
とこ
)
へなんぞ申して参られた訳ではございませんが、
能々
(
よく/\
)
と
思召
(
おぼしめ
)
して、子供を可愛想と思って
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
而して我等かく
缺處
(
かくるところ
)
あるを悦ぶ、我等の
幸
(
さいはひ
)
は神の
思召
(
おぼしめ
)
す事をわれらもまた思ふといふその幸によりて全うせらるればなり。 一三六—一三八
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
「旦那様、亭主が
長
(
なが
)
の
病
(
わづら
)
ひで
食物
(
たべもの
)
さへ咽喉を通らなくなつて
居
(
を
)
ります。
可哀
(
かあい
)
さうだと
思召
(
おぼしめ
)
して、一度診てやつて下さいませ。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
では貴下方に海嘯があって田も畑も一切流されて、生命だけ助かったと
思召
(
おぼしめ
)
せ、誰か救ってくれれば好いとは思いませんか。
厄払い
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
もう別に宮仕えだけで身を立てようなどともしていないので、外の女房たちが自分よりも上の
思召
(
おぼしめ
)
しが好かろうと
羨
(
うらや
)
ましいとも思わなかった。
姨捨
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「まずこれなら相当の成績でございます。私もお頼まれがいがあったようなものかと思いますが、いかがな
思召
(
おぼしめ
)
しでしょう」
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
御家に奥様が居て下さるのは——
籠
(
かご
)
に
鶯
(
うぐいす
)
の居るように
思召
(
おぼしめ
)
して、私でさえ御気毒に思う時でも御腹立もなさらないのでした。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
だがほんの遊戯と
思召
(
おぼしめ
)
して一つ御指南を仰ぎたいと守宮が答えて上の方の広場へ伴れ行き、サアあそこの樹幹にヴェロと言う
茅
(
かや
)
が生えて居る
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
身も心も嬢次様のものでございます。わたくしの名は呉井嬢次と
思召
(
おぼしめ
)
して
差支
(
さしつかえ
)
ございませぬ。……お尋ねになる事は、それだけでございますか
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
他は犬われは狐、とても
適
(
かな
)
はぬ処なれば、
復讐
(
あだがえし
)
も思ひ
止
(
とど
)
まりて、
意恨
(
うらみ
)
を
呑
(
のん
)
で過ごせしが。大王、
僕
(
やつがれ
)
不憫
(
ふびん
)
と
思召
(
おぼしめ
)
さば、わがために
仇
(
あだ
)
を返してたべ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
「お父さま。あのおはなし。あれはもう、折角の
思召
(
おぼしめ
)
しで御在ますけれど、実はもう、なんにもならない事だと存じますから。」と涙を
啜
(
すす
)
った。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「さすがは門之丞殿だ。身をもって萩乃さまをかばったとは、見あげたおこころ……若殿がお聞きなされたら、どんなに御満足に
思召
(
おぼしめ
)
すことか」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「その方、伺ったことを、御隠居さまに申上げたところ、とにかく逢うてとらせようとの
思召
(
おぼしめ
)
し——お庭先きにまわれ!」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
のちにせっかく当番をゆるされた
思召
(
おぼしめ
)
しにそむいたと心づいてお
暇
(
いとま
)
を願ったが、光尚は「そりゃ臆病ではない、以後はも少し気をつけるがよいぞ」
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
『けれど、せっかくの
思召
(
おぼしめ
)
さるる観月のお莚に、何も奉らないのは、さぞかしご本意なく思召さるるでありましょう』
にらみ鯛
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
御覧になる
思召
(
おぼしめ
)
しもあられたので、上にはことのほか御落胆。死因をきわめて、ぜひともその理を
分明
(
ぶんみょう
)
させよとのお達しである。……それはそうと……
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ぜひともこの醤を
哀
(
あわ
)
れと
思召
(
おぼしめ
)
し……その代り、お礼の方はうんときばり、博士のお好みのものなれば、ウィスキーであろうとペパミントであろうと……
毒瓦斯発明官:――金博士シリーズ・5――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それと、先日と、——あなたに私がお目にかかったのは二度と
思召
(
おぼしめ
)
すかも知れませんが、私は実は何遍もお目にかかっているのです。おわかりですか。
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
事の仔細を申さば、只〻御心に
違
(
たが
)
ふのみなるべけれども、申さざれば猶ほ以て亂心の沙汰とも
思召
(
おぼしめ
)
されん。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
額をつるつるに剃り上げられ、ポーランド王国へ追いやられました。神様の
思召
(
おぼしめ
)
しで何ともなりません。
女房ども
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「
悪
(
あ
)
しゅうは取計らわぬ、屋敷へ参らぬか、私のためには命の恩人のお前を、父上も憎うは
思召
(
おぼしめ
)
すまい」
奇談クラブ〔戦後版〕:12 乞食志願
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
何
(
なに
)
しろ
竜宮界
(
りゅうぐうかい
)
の
初上
(
はつのぼ
)
り、
何一
(
なにひと
)
つ
弁
(
わきま
)
えてもいない
不束者
(
ふつつかもの
)
のことでございますから、
随分
(
ずいぶん
)
つまらぬ
事
(
こと
)
も
申上
(
もうしあ
)
げ、あちらではさぞ
笑止
(
しょうし
)
に
思召
(
おぼしめ
)
されたことでございましたろう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
ただ天下に雷の如く響きしものは、勅答として出でたる「神洲の大患、国家の安危、容易ならざる事」といい、「今般仮条約の趣にては、御国体立ち難くと
思召
(
おぼしめ
)
さる」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
それらの道は、ただ上の城の偉い人たちと彼らの
思召
(
おぼしめ
)
しとにまかせているだけであれば、永久に閉ざされているばかりか、目に見えないままでいるにちがいないのだが。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
「どうして、どうして」——フィリップが口を出す——「人の乳を飲んで、肥えるの肥えないの、水々しくはなる、色は白くなる、ひどく
思召
(
おぼしめ
)
しにかなったわけですよ」
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
其飛鳥の都も、
高天原広野姫尊様
(
たかまのはらひろぬひめのみことさま
)
の
思召
(
おぼしめ
)
しで、其から一里北の藤井
个
(
が
)
原に遷され、藤原の都と名を替えて、新しい
唐様
(
もろこしよう
)
の
端正
(
きらきら
)
しさを尽した宮殿が、建ち並ぶ様になった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
邦良早世ましましたので、後醍醐天皇は御自身の皇子を皇太子にと
思召
(
おぼしめ
)
されたが、幕府は両統迭立の議によって、後伏見の皇子
量仁
(
かずひと
)
親王(
光厳院
(
こうごんいん
)
)を皇太子に立て奉った。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
世界が大水になって神の
思召
(
おぼしめ
)
しに
叶
(
かの
)
うた者のみが、生き残ったという信仰さえあったのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
お医者もそれほどの大事とはいわなかったそうで、いよいよ御臨終という時傍らにいたお医者に大喝して、「帰れ」といわれたそうです。さぞかし残念に
思召
(
おぼしめ
)
したでしょう。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「
思召
(
おぼしめ
)
しは有難う存じますが……
妾
(
わたし
)
のような小屋者が……
貴郎
(
あなた
)
のような御大家様の……」
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
思
常用漢字
小2
部首:⼼
9画
召
常用漢字
中学
部首:⼝
5画
“思召”で始まる語句
思召立
思召通
思召に
思召次第
思召被下
思召被成
思召有之候
思召帰住御免