をり)” の例文
隱亡をんばう彌十に頼み燒棄やきすてさせ候段不屆に付存命ぞんめい致しをり候はゞおもき御仕置しおきにもおほせ付らるべきところ鈴ヶ森に於て殺害せつがい致されしにより其つみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
二三日の間は大臣をも、たびの疲れやおはさんとてあへとぶらはず、家にのみ籠りをりしが、或る日の夕暮使して招かれぬ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
時代は天明の少し古い処で、その頃の浴衣ゆかたを着て、是からやすまうとする処ですから、細い帯を横に結んでをります。
(新字旧仮名) / 上村松園(著)
百度千度ももたびちたび繰返くりかへし候ても、是非に御耳に入れまゐらせ度存候たくぞんじさふらへども、今此の切なく思乱れをり候折さふらふをりから、又仮初かりそめにも此上に味気無あぢきなき昔を偲び候事は堪難たへがたく候故
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
これはたしかに間違ひで、一疋しかをりませんでしたし、それも決してのどが壊れたのではなく、あんまり永い間、空で号令したために、すつかり声がびたのです。
烏の北斗七星 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
豫定通よていどうりに竣功しゆんこうする手續てつゞきになつてをりますから、きみ少年せうねんもたゞあそんでればよいのです。
何でも長左衛門様の讐討かたきうたんぢやならねエと言ふんで、伯母御様の所から逃げ出しなすつて、外国迄も行つて修業なすつて、えらかたにならしやつたと云ふことは薄々聞いてをりましたが
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
あれ罷出まかりいでましたが、これも強く逆上ぎやくじやういたしがかすみ、あたまに熱をち、カツカといたしてたまらぬなどまうしてをりまする、それ可愛想かあいそうなのは大原伊丹おほはらいたみで、あれ到頭たうとう生体しやうたいなしで夢中むちゆうります。
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
一面にはこの自覚、人に知られたしとの要求有之これあり候へど、他の一面には、更に真面目まじめに、厳粛に、世の未だこの自覚に達せず又は達せんとて悩みつゝある多くの友に対する同情を催起いたしをり候。
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
めづらしやおたかさま今日けふ御入來おいで如何どういふかぜふきまはしか一昨日をとゝひのお稽古けいこにも其前そのまへもおかほつひにおせなさらずお師匠ししやうさまもみなさまも大抵たいていでないおあんがな一日いちにちうはさしてをりましたとうれしげに出迎でむか稽古けいこ朋輩ほうばい錦野にしきのはなばれて醫學士いがくしいもと博愛はくあい仁慈じんじきこえたかきあに
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つとをりますといへば越前守殿夫れは知れたこと又われは文右衞門が宅へ何時いつゆきたるやと尋ねらるゝに久兵衞私しは文右衞門が拔身ぬきみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『オヽ、濱島はまじまさん⁈ よくぞんじてをりますよ、雇人やとひにんが一千にんもあつて、支店してんかずも十のゆび——ホー、そのたくですか、それはつて、あゝつて。』とくち手眞似てまねまどからくび突出つきだして
づる大黒傘だいこくがさうへゆきつもるといふもなきばかりすみやかに立歸たちかへりて出入でいり車宿くるまやど名殘なごりなく出拂ではらひて挽子ひきこ一人ひとりをりませねばおどくさまながらと女房にようばう口上こうじやうそのまゝのかへごとらばなにとせんおたくにおあんじはあるまじきに明早朝みやうさうてう御歸館ごきくわんとなされよなど親切しんせつめられるれど左樣さうもならず
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
殺せしとの仰せなれども右平兵衞儀は豫々かね/″\世話にもあひなりをりしことゆゑ私し儀おんをこそ報い申べきに何の遺恨いこんありて切害せつがい致さんや又鎌倉屋金兵衞とやらを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)