女性によしやう)” の例文
旅の若い女性によしやうは、型摺りの美しい模様をおいた麻衣を著て居る。笠は浅いへりに、深いはなだ色の布が、うなじを隠すほどにさがつてゐる。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
雨夜あまよたちばなそれにはないが、よわい、ほつそりした、はなか、空燻そらだきか、なにやらかをりが、たよりなげに屋根やねたゞようて、うやらひと女性によしやうらしい。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一切諸縁に離れたる身、今更ら返らぬ世の浮事うきことを語り出でて何かせん。聞き給へや女性によしやう、何事も過ぎにし事は夢なれば、我れに恨みありとな思ひ給ひそ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
忽ちこゝに血に染みていと凄き三のフーリエ時齊しくあらはれいでぬ、身も動作ふるまひ女性によしやうのごとく 三七—三九
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
かも是れが為めに尤も悩んで居るものは、梅子さん、実に女性によしやうでありますよ、社会主義とは何ですか、一言いちごんおほへば神の御心です、基督キリストが道破し給へる神の御心です
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
是非ぜひ此文これ御覽ごらんなされて、一寸ちよつとなにとかふてくだされ、よう姉樣ねえさま、よう姉樣ねえさま、おねがひ、此拜これ、とて紅葉もみぢはす可憐いぢらしさ、なさけふかき女性によしやうの、此事これのみにてもなみだ價値あたひはたしかなるに
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
代助はそこに女性によしやうの美くしさとよはさとを見た。さうして其弱さに付け入る勇気を失つた。此うつくしい弱点をもてあそぶにえなかつたからである。えゝりません、うかなるでせうと云つてわかれた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
女性によしやうの中の最も美しき女性として
クラリモンド (新字旧仮名) / テオフィル・ゴーチェ(著)
行親 これにある女性によしやうは……。
修禅寺物語 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
女性によしやうごと
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ようべ家を出てから、女性によしやうには、一人も逢つて居ない。今そこに居るうばが、何だか、昔の知り人のやうに感ぜられるのも、無理はないのである。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
『露しげき野を女性によしやうの唯〻一人、さても/\痛はしき御事や。げにる人ありとこそ聞きつれど、まだ其人に遇はざれば、御身が尋ぬる人なりや、否やを知りがたし』
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
ひやかしたが、元来ぐわんらい衣裳鞄いしやうかばん催促さいそくではない、ホツキがひ見舞みまひたのだから、其次第そのしだい申述まをしのべるところへ……また近処きんじよから、おなじく、氷砂糖こほりざたう梅干うめぼし注意連ちういれん女性によしやうきたくははつた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さればとて香爐峯かうろほうゆきみすをまくの才女さいぢよめきたるおこなひはいさゝかも深窓しんそうはるふかくこもりて針仕事はりしごと女性によしやう本分ほんぶんつく心懸こゝろがまこと殊勝しゆしようなりき、いへ孝順かうじゆんなるはいでかならず貞節ていせつなりとか
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かう彼女性によしやうは思つてゐる。だが其よりも大事なことは、此郎女いらつめ——貴女は、昨日の暮れ方、奈良の家を出て、こゝまで歩いて来てゐるのである。其も唯のひとりであつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ほゝのかゝり白々しろ/″\と、なかにも、圓髷まるまげつた細面ほそおもて氣高けだかひん女性によしやうの、もつれたびんつゆばかり、面窶おもやつれした横顏よこがほを、またゝきもしないさうひとみ宿やどした途端とたんに、スーとりて、いた
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
如何いか女性によしやう、我れに在りし時は、御所ごしよる人あるを知りし事ありしが、我が知れる其人は我れを知らざる筈なり、されば今宵こよひ我れをおとづれ給へる御身は、我が知れる横笛にてはよもあらじ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
のあたりにすまふなるだい/\長者ちやうじや吉例きちれいよろ昆布こんぶ狩衣かりぎぬに、小殿原ことのばら太刀たち佩反はきそらし、七草なゝくささと若菜わかなむとて、讓葉ゆづりはつたるが、郎等らうどう勝栗かちぐりんでいはく、あれに袖形そでかたうらなぎさに、むらさき女性によしやうそ。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
少時しばらくすると、うしろへ悠然いうぜんとしてつた女性によしやうがあつた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)