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只今
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ただいま
ふりがな文庫
“
只今
(
ただいま
)” の例文
『ええ
只今
(
ただいま
)
、
足下
(
そっか
)
に
御関係
(
ごかんけい
)
のある
事柄
(
ことがら
)
で、
申上
(
もうしあ
)
げたいと
思
(
おも
)
うのですが。』と、
市役所員
(
しやくしょいん
)
は
居並
(
いなら
)
ぶ
人々
(
ひとびと
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
が
済
(
す
)
むとこう
切
(
き
)
り
出
(
だ
)
した。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
前便に申上候井上の嬢さんに引き合せくれんと、谷田の奥さんが申され候ゆゑ、今日上野へまゐり、
只今
(
ただいま
)
帰りてこの手紙をしたため候。
独身
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
只今
(
ただいま
)
のご質問はいかにもご
尤
(
もっとも
)
であります。多少御実験などもお話になりましたが実は
遺憾
(
いかん
)
乍
(
なが
)
らそれはみな実験になって居りません。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「岸本様——
只今
(
ただいま
)
ここに参り居り候。久しぶりにて御話承りたく候。御都合よろしく候わば、この
俥
(
くるま
)
にて
御出
(
おいで
)
を御待ち申上げ候」
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
只今
(
ただいま
)
の文子さんの意見は、満場一致で、賛成されたやうに思ひます。では、どういふ方法でタマをこらし、
躾
(
しつけ
)
をしますか?」
仔猫の裁判
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
▼ もっと見る
物見遊山
(
ものみゆさん
)
と
申
(
もう
)
してもそれは
至
(
いた
)
って
単純
(
たんじゅん
)
なもので、
普通
(
ふつう
)
はお
花見
(
はなみ
)
、
汐干狩
(
しおひがり
)
、
神社仏閣詣
(
じんじゃぶっかくもう
)
で……そんな
事
(
こと
)
は
只今
(
ただいま
)
と
大
(
たい
)
した
相違
(
そうい
)
もないでしょうが
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
坂の下へいったり、邸の裏へ廻ったり、ずっとさきの
角
(
かど
)
まで行ったりして、
只今
(
ただいま
)
は低く、只今のはハッキリと聴えたと、幾返りか報告した。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
常に師に従ひて往ける老僕あへぎ/\立帰り
只今
(
ただいま
)
何者とも知らず凌雲院に来り先生の御宅に俄に対面を請ふものあり急ぎ帰らせ給へと申す。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
貴君が今まで召上った事のないという御馳走です、好い匂いでしょう、あれは南京豆です、
只今
(
ただいま
)
南京豆のお汁粉というものを
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
お疲れでございましょうけれども、
只今
(
ただいま
)
お見えになっていらっしゃいますから、是非お三人お揃いで、………と云って来た。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「そんなに、面倒臭い時計なのですか、それじゃ、お預りするのではなかったわ。それじゃ
只今
(
ただいま
)
直ぐお返しいたしますわ。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
貝原益軒
(
かいばらえきけん
)
先生は
只今
(
ただいま
)
房事中と来客を断られた由であるが、私はこういう聖人賢者は好きではない。こんなところは何も正直に言うことはないさ。
余はベンメイす
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
が、
只今
(
ただいま
)
、お話を承って
能
(
よ
)
く了解しました。では、象牙のことは今日限り打ち切りまして、やっぱり従前通り、木彫りの方をお願い致しましょう
幕末維新懐古談:39 牙彫りを排し木彫りに固執したはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「お話中でございますが、司令官閣下、
只今
(
ただいま
)
、T三号の受信機に至急呼出信号を感じました。秘密第十区からの司令官
宛
(
あて
)
の秘密電話であります」
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
昨夜は杉原警察署の留置室で
一方
(
ひとかた
)
ならぬ歓待を受け候上、結構なる自動車にて送られ
只今
(
ただいま
)
自動車は四条通を疾走中に候。
祭の夜
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
「よく運転手にそう云ってTホテルへお送りさしときました。
只今
(
ただいま
)
、ご主人も奥さまもお留守のことをよく申し上げて」
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
奥さんが催促すると、次の室で
只今
(
ただいま
)
と答えるだけでした。それをKは不思議そうに聞いていました。しまいにどうしたのかと奥さんに尋ねました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこで私は
只今
(
ただいま
)
まで言わずに居ったチー・リンボチェに尋ねた事をば、とうとう話さねばならぬ事になってしまった。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
『どこのお姫さまか存じませんが、それはそれは美しいお姫さまが、
只今
(
ただいま
)
、六頭立の馬車でお越しになりました。』
シンデレラ
(新字新仮名)
/
水谷まさる
(著)
貞吉
(
ていきち
)
という小僧が、こくりこくりと
居寐
(
いねむ
)
りをしていたので、急いで内へ
飛込
(
とびこ
)
んで、
只今
(
ただいま
)
と奥へ挨拶をすると主人は「
大分
(
だいぶ
)
今夜は遅かったね」と云うから
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
「あの岩は、民部大輔が、あとから、持つてまゐつた筈でございます。
只今
(
ただいま
)
大輔を、これへ呼び出しませう。」
岩を小くする
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
只今
(
ただいま
)
ではこの事
漸
(
ようや
)
く公けに聞え、上ではよりより詮議の最中——此の事を聞いた時拙者は
其方
(
そなた
)
を思い出した。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
貞時は
急
(
せ
)
きこんでこの家の主人によく事情を話して、すぐに
只今
(
ただいま
)
から同伴するようにいった。然らずばなかなかこの家にもそなたを
調宝
(
ちょうほう
)
がって離すまいといった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
大阪書生の特色
只今
(
ただいま
)
申したような次第で、緒方の書生は学問上の事に
就
(
つい
)
ては
一寸
(
ちょい
)
とも
怠
(
おこた
)
ったことはない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「お母さん、
只今
(
ただいま
)
」と、呼んでも、お母さんの返事がなかったら、その時は、どんなであろうか。二たび呼んで見る、三たび呼んで見る、その時の失望が思いやられる。
お母さんは僕達の太陽
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
氏はドイツ語をも解し、『
只今
(
ただいま
)
流行してゐますのはドリユゼンペストです』などと話して呉れた。
雷談義
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
ヤッサモッサ
捏返
(
こねかえ
)
している所へ
生憎
(
あやにく
)
な来客、しかも
名打
(
なうて
)
の
長尻
(
ながっちり
)
で、アノ
只今
(
ただいま
)
から団子坂へ参ろうと存じて、という言葉にまで
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れて見ても、まや薬ほども
利
(
き
)
かず
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
只今
(
ただいま
)
の我国の有様ではとても筆や楽器は鉄砲に
叶
(
かな
)
いませんから、素直に鉄砲に屈従して離婚
沙汰
(
ざた
)
などには立至らずに納まりそうなものでしたが、どういうものでしょうか。
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
実は
御願
(
おんねがい
)
に
只今
(
ただいま
)
上りましたので
御座
(
ござ
)
いますと、涙片手の哀訴に、私は
直
(
ただ
)
ちに
起
(
た
)
って、
剃刀
(
かみそり
)
を
持来
(
もちきた
)
って、
立処
(
たちどころ
)
に、その娘の水の
滴
(
た
)
るような緑の黒髪を、根元から、ブツリ切ると
雪の透く袖
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
そうだ、
只今
(
ただいま
)
の限りでは、彼らの力の最善をささげたのである。自分のことは文句なしに差し
措
(
お
)
いて、こうした板囲いの家を邦夷のために建てねばならぬとし、建てて
了
(
しま
)
った。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
只今
(
ただいま
)
のあなたの恐しくお思いあそばす、そのお
心持
(
こころもち
)
が、丁度昨晩のわたくしの心持と同じなのでございますよ。丁度只今のあなたのように、昨晩はわたくしが恐しく存じましたの。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
只今
(
ただいま
)
より淋しくて悲しくて心細さの
遣
(
や
)
る
瀬
(
せ
)
なき
旨
(
むね
)
を答え、何故なればかく無情の処置をなし改化
遷善
(
せんぜん
)
の道を
遮
(
さえぎ
)
り給うぞ、監獄署の処置余りといえば奇怪なるに、署長の巡回あらん時
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
川村の事は
只今
(
ただいま
)
グラスゴウ市の版元から頼まれて編み居るロンドン大学前総長フレデリク・ヴィクトル・ジキンス推奨の『南方熊楠自伝』にも書き入れ居るから外国までの恥
曝
(
さら
)
しじゃ。
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
本当に、王さまの
只今
(
ただいま
)
の御心情こそ、嫉妬とお呼びして
然
(
しか
)
るべきものと存じます。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
とにかく、本日
只今
(
ただいま
)
から、男子と女子の交際は、絶対にこれを禁止する。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
是はまあどうした訳と二三日は
気抜
(
きぬけ
)
する程恨めしくは存じたれど、
只今
(
ただいま
)
承れば
御親子
(
ごしんし
)
の間柄、大切の娘御を私風情の
賎
(
いやし
)
き者に
嫁入
(
よめいら
)
してはと
御家従
(
ごけらい
)
のあなたが御心配なすッて
連
(
つれ
)
て
行
(
ゆか
)
れたも御道理
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
只今
(
ただいま
)
兄がお礼に参りましたの。先生がお好きって妾が申しましたからってね、倉屋の羊羹を持って参りましたの……イイエ。もう帰りましたの。折角お
休息
(
やすみ
)
のところをお妨げしてはいけないってね。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「お疲れでございましたろ。
只今
(
ただいま
)
主人も参じます」
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
それは
只今
(
ただいま
)
当地の大乗院にお移ししてございます。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
「このチャンスを逃さず本日
只今
(
ただいま
)
申込まれよ」
外来語所感
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
「それで、
只今
(
ただいま
)
もおいでなさるので?」
前記天満焼
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
(
只今
(
ただいま
)
、
立処
(
たちどころ
)
に自殺します。)
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
美伃
只今
(
ただいま
)
。
華々しき一族
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
「
只今
(
ただいま
)
」
お勢登場
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「左様。一昨年の調べでは、奇術を職業にしますものは、五十九人となって
居
(
お
)
りますが、
只今
(
ただいま
)
は大分減ったかと存ぜられます。」
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
現在
(
げんざい
)
の
私
(
わたくし
)
とて、まだまだ一
向
(
こう
)
駄眼
(
だめ
)
でございますが、
帰幽当座
(
きゆうとうざ
)
の
私
(
わたくし
)
などはまるで
醜
(
みに
)
くい
執着
(
しゅうじゃく
)
の
凝塊
(
かたまり
)
、
只今
(
ただいま
)
想
(
おも
)
い
出
(
だ
)
しても
顔
(
かお
)
が
赭
(
あか
)
らんで
了
(
しま
)
います……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「
只今
(
ただいま
)
ご門の前へ
乞食坊主
(
こじきぼうず
)
がまいりまして、ご主人にお目にかかりたいと申しますがいかがいたしましょう」と言った。
寒山拾得
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
貴客
(
あなた
)
こそ御退屈でしょう。失礼ですけども私が
只今
(
ただいま
)
珈琲
(
こーひー
)
を
煎
(
せん
)
じて別に珈琲ケーキを
拵
(
こしら
)
えますから少々お待ち下さいまし
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
自分もあなたの御意見によって番町の御友人とやらに御相談するよう姪の許へ
只今
(
ただいま
)
別に書面を送るつもりである、しかしその御友人の反対を恐れたら
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「いゝえ、直ぐお帰りになります。
只今
(
ただいま
)
私の宅からお帰りになったのですから、
外
(
よそ
)
へお廻りにならなければ三十分もしない
裡
(
うち
)
に、お帰りになります。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
只
漢検準1級
部首:⼝
5画
今
常用漢字
小2
部首:⼈
4画
“只今”で始まる語句
只今々々
只今参上