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兀
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は
ふりがな文庫
“
兀
(
は
)” の例文
ここに照る月、輝く日は、
兀
(
は
)
げた金銀の雲に乗った、
土御門家
(
つちみかどけ
)
一流易道、と
真赤
(
まっか
)
に目立った看板の路地から
糶出
(
せりだ
)
した、そればかり。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
頭が
兀
(
は
)
げるから、食ふ事、飲む事、寝る事、頭の兀げる事、その外そんな馬鹿らしい事を、一々のべつに考へてゐなくてはならないと云ふのですか
死
(新字旧仮名)
/
ミハイル・ペトローヴィチ・アルチバシェッフ
(著)
またその横の卵屋では、無数の卵の泡の中で
兀
(
は
)
げた老爺が頭に手拭を乗せて坐っていた。その横は瀬戸物屋だ。
街の底
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
久「へい/\恐入ります、惜しい事に
周囲
(
まわり
)
がポツ/\
兀
(
は
)
げて居りますナ、
些
(
ち
)
とお茶がお
温
(
ぬる
)
いようでございます」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
蝶よ花よと育てた
愛女
(
まなむすめ
)
が、堕落書生の
餌
(
えば
)
になる。身代を
注
(
つ
)
ぎ込んだ出来の好い息子が、大学卒業間際に肺病で死んで了う。
蜀山
(
しょくさん
)
を
兀
(
は
)
がした阿房宮が
楚人
(
そびと
)
の
一炬
(
いっきょ
)
に灰になる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
蝶よ花よと育てた
愛女
(
まなむすめ
)
が、堕落書生の餌になる。身代を注ぎ込んだ出来の好い息子が、大学卒業間際に肺病で死んでしまう。
蜀山
(
しょくさん
)
を
兀
(
は
)
がした
阿房宮
(
あぼうきゅう
)
が
楚人
(
そびと
)
の一炬に灰になる。
地蔵尊
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
ここに至って客の
老人
(
としより
)
は
徐
(
おもむ
)
ろに
頭
(
こうべ
)
を
擡
(
あ
)
げた。艶やかに
兀
(
は
)
げた前頭からは光りが走った。其の澄んだ眼はチラリと主人を射た。が、又
忽
(
たちま
)
ちに
頭
(
かしら
)
を少し下げて、低い調子の沈着な声で
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
捨てんか捨てんか、捨てたりともしろかねの猫にあらねば門前の童子もよも拾はじ。売らんか売らんか、売りたりとも
金箔
(
きんぱく
)
の
兀
(
は
)
げたる羽子板にも劣りていたづらに
屑屋
(
くずや
)
に
踏
(
ふ
)
み倒されん。
土達磨を毀つ辞
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
兀
(
は
)
げたる眉を隠すきぬぎぬ 芭蕉
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
頭髪あたかも銀のごとく、額
兀
(
は
)
げて、
髯
(
ひげ
)
まだらに、いと
厳
(
いか
)
めしき
面構
(
つらがまえ
)
の一癖あるべく見えけるが、のぶとき声にてお通を
呵
(
しか
)
り
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
台所から出入りの
牛乳屋
(
ちちや
)
の小僧が附ぶみをした事のあるのを、最も古くから、お誓を
贔屓
(
ひいき
)
の年配者、あたまのきれいに
兀
(
は
)
げた粋人が知っている。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
半纏着は、急に日が蔭ったような
足許
(
あしもと
)
から、目を上げて、
兀
(
は
)
げた
老人
(
としより
)
の
頭
(
つむり
)
と、手に持った梨の実の白いのを見較べる。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
追従笑
(
ついしょうわら
)
いの大口を開くと歯茎が鼻の上まで
開
(
はだ
)
けて、
鉄漿
(
おはぐろ
)
の
兀
(
は
)
げた
乱杭歯
(
らんぐいば
)
の間から
咽喉
(
のど
)
が見える。
怯
(
おび
)
えたもんですぜ。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何地
(
いずち
)
行
(
ゆ
)
きけむ。久しくその名聞えざりしが、この一座に交りて、再び
市人
(
いちびと
)
の眼に留りつ。かの時の
俤
(
おもかげ
)
は、露ばかりも残りおらで、色も蒼からず、
天窓
(
あたま
)
兀
(
は
)
げたり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
藥
(
くすり
)
を
煎
(
せん
)
じて、
盆
(
ぼん
)
は
兀
(
は
)
げたが、
手
(
て
)
は
白
(
しろ
)
い。お
艷
(
つや
)
が、
納戸
(
なんど
)
へ
持
(
も
)
つて
行
(
ゆ
)
く、と
蒲團
(
ふとん
)
に
寢
(
ね
)
て
居
(
ゐ
)
ながら
手
(
て
)
を
出
(
だ
)
した。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
上が
兀
(
は
)
げて、土がきれいで、よく見ると、
誂
(
あつら
)
えた祭壇の……そこへ天狗が集りそうで、うそ寂しい。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
五十
恰好
(
かっこう
)
で、
天窓
(
あたま
)
の
兀
(
は
)
げたくせに髪の黒い、色の白い、ぞろりとした
優形
(
やさがた
)
な
親仁
(
おやじ
)
で、脈を取るにも、
蛇
(
じゃ
)
の
目
(
め
)
の
傘
(
かさ
)
を差すにも、小指を
反
(
そら
)
して、三本の指で、横笛を吹くか
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「さてまたさぞ
苦
(
にが
)
る事だろう、ほうしょは折目
摺
(
ず
)
れが激しいなあ。ああ、おやおや、五つ紋の泡が浮いて、黒の流れに
藍
(
あい
)
が
兀
(
は
)
げて出た処は、まるで、
藍瓶
(
あいがめ
)
の雪解だぜ。」
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
桜草をお職にした草花の泥鉢、春の野を
一欠
(
ひとかき
)
かいて来たらしく無造作に荷を積んだのは帰り支度。
踵
(
かかと
)
を
臀
(
しり
)
の片膝立。すべりと
兀
(
は
)
げた坊主頭へ
縞目
(
しまめ
)
の立った
手拭
(
てぬぐい
)
の
向顱巻
(
むこうはちまき
)
。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
馬の
沓形
(
くつがた
)
の畠やや
中窪
(
なかくぼ
)
なのが一面、青麦に菜を添え、紫雲英を
畔
(
くろ
)
に敷いている。……真向うは、この辺一帯に赤土山の
兀
(
は
)
げた中に、ひとり
薄萌黄
(
うすもえぎ
)
に包まれた、土佐絵に似た峰である。
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
色は
兀
(
は
)
げたが、
活
(
い
)
きているようで、——(先には
店頭
(
みせさき
)
にあったのだと後で聞いた)
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
爪の黒ずんだ婆さんの、
皺頸
(
しわくび
)
へ
垢手拭
(
あかてぬぐい
)
を巻いたのが、
乾
(
から
)
びた
葡萄豆
(
ぶどうまめ
)
を、小皿にして、
兀
(
は
)
げた汁椀を二つ添えて、盆を、ぬい、と突出した。片手に、旦那様
穿換
(
はきか
)
えの古足袋を握っている。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あの
親仁
(
おやじ
)
も大分百姓を痛めて
溜込
(
ためこ
)
みましたね。そのかわり頭が
兀
(
は
)
げた。まあ、
皆
(
みんな
)
が図書様を取巻いて、お手柄にあやかるのかしら。おや、
追取刀
(
おっとりがたな
)
だ。何、何、何、まあ、まあ、奥様々々。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
紅葉
(
もみじ
)
の中に
著
(
いちじ
)
るく、まず目に着いたは
天窓
(
あたま
)
のつるりで、頂ャ
兀
(
は
)
げておもしろや。耳際から
後
(
うしろ
)
へかけて、もじゃもじゃの毛はまだ黒いが、その
年紀
(
とし
)
ごろから察するに、台湾云々というのでない。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
衣
(
きぬ
)
ずれの音立てて、手をあげてぞ指さし問いたる。霞ヶ峰の半腹に薄き煙めぐりたり。頂の松
一本
(
ひともと
)
、濃く黒き影あざやかに、左に傾きて
枝垂
(
しだ
)
れたり。頂の
兀
(
は
)
げたるあたり、土の色も白く見ゆ。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
五分刈
(
ごぶがり
)
のなだらかなるが、
小鬢
(
こびん
)
さきへ少し
兀
(
は
)
げた、額の広い、目のやさしい、眉の太い、
引緊
(
ひきしま
)
った口の、やや大きいのも
凜々
(
りり
)
しいが、
頬肉
(
ほおじし
)
が厚く、小鼻に
笑
(
え
)
ましげな
皺
(
しわ
)
深く、
下頤
(
したあご
)
から耳の根へ
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
きびらの洗いざらし、
漆紋
(
うるしもん
)
の
兀
(
は
)
げたのを
被
(
き
)
たが、肥って
大
(
おおき
)
いから、手足も腹もぬっと
露出
(
むきで
)
て、ちゃんちゃんを
被
(
はお
)
ったように見える、
逞
(
たく
)
ましい
肥大漢
(
でっぷりもの
)
の
柄
(
がら
)
に似合わず、おだやかな、柔和な声して
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
兀
(
は
)
げ
天窓
(
あたま
)
の小男の一言は、いうまでもなく大いなる力があったのである。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼処
(
かしこ
)
に、尾花が
十穂
(
とほ
)
ばかり、例のおなじような
兀
(
は
)
げた丘の腹に、
小草
(
おぐさ
)
もないのに、すっきりと一輪咲いて、丈も高く
莟
(
つぼみ
)
さえある……その竜胆を、島田髷のその振袖、
繻珍
(
しゅちん
)
の帯を矢の字にしたのが
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お止し遊ばせば可いのに、お
妖怪
(
ばけ
)
と云えば
先方
(
さき
)
で怖がります、田舎の
意気地
(
いくじ
)
無しばかり、
俺
(
おいら
)
は
蟒蛇
(
うわばみ
)
に呑まれて
天窓
(
あたま
)
が
兀
(
は
)
げたから湯治に来たの、狐に
蚯蚓
(
みみず
)
を食わされて、それがためお
肚
(
なか
)
を痛めたの
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
兀
(
は
)
げたのだらう。月に
青道心
(
あおどうしん
)
のやうで、さつきから
黙
(
だんま
)
り
家
(
や
)
の
老人
(
としより
)
が
光籃
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
雲おじいは
眩
(
まば
)
ゆそうな顔をして、皿の
兀
(
は
)
げた
天窓
(
あたま
)
を掻く。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
兀
(
は
)
げた
紺足袋
(
こんたび
)
を
穿
(
は
)
いて
居
(
ゐ
)
ます。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
兀
漢検1級
部首:⼉
3画
“兀”を含む語句
突兀
兀々
兀然
兀鷹
兀頭
兀坐
兀立
白兀
赤兀
兀峰
兀山
兀天窓
兀座
兀斑
少兀
猶突兀
旭烈兀
兀々然
斑兀
小兀
...