両手りやうて)” の例文
旧字:兩手
按摩あんまつゑちからに、かはべりの水除みづよづゝみると、つゑさき両手りやうてをかけて、ズイとこしばし、みゝそばだてゝかんがえて様子やうす、——とふ。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こは何事なにごとやらんとむねもをどりてふしたる一間ひとまをはせいでければ、いへあるじ両手りやうてものさげ、水あがり也とく/\うら掘揚ほりあげ立退たちのき給へ、といひすてゝ持たる物を二階へはこびゆく。
へえゝ……成程なるほど……これは……あゝ(両手りやうてあはをがみ)有難ありがたぞんじます、南無薬師瑠璃光如来なむやくしるりくわうによらい、お庇陰かげちまして両眼りやうがんともあきらかになりまして、誠に有難ありがたぞんじます……成程なるほどこれは手でございますか。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
麪麺パンを買ひ紅薔薇べにばらの花もらひたり爽やかなるかも両手りやうてに持てば
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
其処そこでもう所詮しよせんかなはぬとおもつたなり、これはやまれいであらうとかんがへて、つえてゝひざげ、じり/\するつち両手りやうてをついて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひながら両手りやうてあはせ、梅
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
両手りやうてつん出す弥次郎兵衛姿すがた
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そで両方りやうはうからふりつて、ちゝのあたりで、上下うへした両手りやうてかさねたのが、ふつくりして、なかなにはいつてさうで、……けてつて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
梅喜ばいき天窓あたま両手りやうておさへ、梅
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
両手りやうて洋杖ステッキ折鞄をりかばん
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
したしげにせて、かほ差覗さしのぞいて、いそ/\していふと、白痴ばかはふら/\と両手りやうてをついて、ぜんまいがれたやうにがつくり一れい
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こらへよ、暫時しばし製作せいさくほねけづり、そゝいで、…苦痛くつうつくなはう、とじやうぬまたいして、瞑目めいもくし、振返ふりかへつて、天守てんしゆそらたか両手りやうてかざしてちかつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うをるとれば、あみげる、あみ両手りやうてで、ぐい、といて、こゝろみづられるとき惨憺みじめさ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
をあげて黒髪くろかみをおさへながらわきした手拭てぬぐひでぐいとき、あとを両手りやうてしぼりながらつた姿すがたたゞこれゆきのやうなのをかゝ霊水れいすいきよめた、恁云かういをんなあせ薄紅うすくれなゐになつてながれやう。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
駅員えきゐん一人ひとりは、帽子ばうしとゝもに、くろ頸窪ぼんのくぼばかりだが、むかふにて、此方こつち横顔よこがほせたはうは、衣兜かくし両手りやうてれたなり、ほそめ、くちけた、こゑはしないで、あゝ、わらつてるとおもふのが
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)