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驢馬
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ろば
ふりがな文庫
“
驢馬
(
ろば
)” の例文
さうしてその紀行文を書いてゐる時の氏は、自由で、快活で、正直で、如何にも青い
艸
(
くさ
)
を得た
驢馬
(
ろば
)
のやうに、純真無垢な所があつた。
あの頃の自分の事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ところどころにあるステーションだけにはさすがに樹木の緑があって木陰には牛や
驢馬
(
ろば
)
があまり熱帯らしくない顔をして遊んでいた。
旅日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
市街から離れた田舎道を、なお、山奥へ、樹々が枯色をした深い淋しい林へ、耳の長い
驢馬
(
ろば
)
に引かれた長い葬式の列が通っていた。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
何の為に酔狂にも
驢馬
(
ろば
)
なんか連れて、南
仏蘭西
(
フランス
)
の山の中をうろつかねばならぬか? 何の為に、良家の息子が、よれよれの
襟飾
(
ネクタイ
)
をつけ
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
さらに下のほうでは、
酔
(
よ
)
っ
払
(
ぱら
)
ったキャベツが、
驢馬
(
ろば
)
の耳を打ち振り、
上気
(
のぼ
)
せた
葱
(
ねぎ
)
が、互いに鉢合せをして、種で
膨
(
ふく
)
らんだ丸い実を砕く。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
▼ もっと見る
「三の男の物なら、おれのものは、
驢馬
(
ろば
)
ほどなものはある。どんな商売
妓
(
おんな
)
だろうが、
嫌泣
(
いやな
)
きにでも泣き往生させずにはおかないよ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女がこう言った
刹那
(
せつな
)
、その馬は荷を積んだ
驢馬
(
ろば
)
を避けようとしたはずみに、ちょうどこっちへ進行して来た人力車と真向かいになった。
世界怪談名作集:12 幻の人力車
(新字新仮名)
/
ラデャード・キプリング
(著)
驢馬
(
ろば
)
も使えない山野を踏破してやって来たんだ……おい伍長、俺達は茶館で飲んでいるばかりじゃないぞ……学生だって困っているんだ。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
それは
驢馬
(
ろば
)
のような物で、黒い毛が生えていました。しかも手足は人間のようで、大地に坐ってかの猴を食っているのでした。
中国怪奇小説集:09 稽神録(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
まっすぐな
埃
(
ほこり
)
っぽい
露
(
あら
)
わな古い大道の上を、
股
(
また
)
に毛皮をつけた
山羊足
(
やぎあし
)
の牧人たちが、低い
驢馬
(
ろば
)
や子驢馬の列を引き連れて黙々と歩いていた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
驢馬
(
ろば
)
に至るまで
鮮
(
あざ
)
やかに浮かび
出
(
い
)
でしが、たちまちみな霧に包まれて消え、夢に見し春の流れの岸に立つ
気高
(
けだか
)
き
少女
(
おとめ
)
現われぬ。
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
罵詈
(
ばり
)
もまた奨励の一手段 として畜生、豚、乞食、
餓鬼
(
がき
)
、
驢馬
(
ろば
)
、親の
肉喰犬
(
にくくらいいぬ
)
というような荒々しい
罵詈
(
ばり
)
の言をはなってその子供を教育する。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
何という自分は
驢馬
(
ろば
)
だろう。すぐびっくりする。途方にくれる。いきなり悪かったと思う。何という驢馬だろう‼ 自分に腹立たしく思った。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
驢馬
(
ろば
)
をすてても、やはりまたおもしろかった。彼らは船でセーヌ河を渡り、パッシーから歩いてエトアール市門まで行った。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「
其
(
そ
)
のかはり、
昨日
(
きのふ
)
下百姓
(
したびやくしやう
)
から
納
(
をさ
)
めました、
玄麥
(
くろむぎ
)
が
五斗
(
ごと
)
ござんしたね、
驢馬
(
ろば
)
も
病氣
(
びやうき
)
をして
居
(
ゐ
)
ます、
代驢磨麺贖罪
(
ろにかはつてめんをましつみをあがなはしめん
)
」と
云
(
い
)
ふ。
麦搗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ちょうどその頃、先輩の玄洋社連が、大院君を
遣付
(
やっつ
)
けるべく、
烏帽子
(
えぼし
)
直垂
(
ひたたれ
)
で
驢馬
(
ろば
)
に乗って、京城に乗込んでいるんだぜ。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
(そのなかで三人までは
驢馬
(
ろば
)
や女と同じやうに選挙権を
有
(
も
)
つてゐない。そして
後
(
あと
)
の二三人は釘と同じやうに誰を選挙していゝかを知らない連中だ。)
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
廣介の声にふと見ると、森の入口の一本の杉の木の
根許
(
ねもと
)
に、誰が乗り捨てたのか、
毛並艶
(
けなみつや
)
やかな二匹の
驢馬
(
ろば
)
がつながれて、しきりに草を噛んでいます。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そこで彼は、王様や人々に別れを告げ、多くの旅費を用意して
驢馬
(
ろば
)
に乗って、魔法使いを探しに出かけました。
魔法探し
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
地上には無数の長靴と空間には
驢馬
(
ろば
)
が
犇
(
ひし
)
めいていた。新らしく創設された図書館の書棚はプロレタリアの童話とマルクス学の書簡によって占められていた。
恋の一杯売
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
丹頂
(
たんちょう
)
の
鶴
(
つる
)
、たえず鼻を巻く大きな象、遠い国から来たカンガルウ、
駱駝
(
らくだ
)
だの
驢馬
(
ろば
)
だの鹿だの羊だのがべつだん珍らしくもなく歩いて行くかれの眼にうつった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
一匹の老いぼれた
驢馬
(
ろば
)
を道ばたで見つけて、微笑してそれに打ち乗り、これこそは、「シオンの娘よ、
懼
(
おそ
)
るな、視よ、なんじの王は
驢馬
(
ろば
)
の子に乗りて来り給う」
駈込み訴え
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
でもそれは初年兵の時だけで、だんだんコケが生えて来ると、
驢馬
(
ろば
)
を一頭どこからか持って来て、その背中に袋を振分けにして、薬品を運ばせるようになった。
狂い凧
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
それはキリストの心に
重傷
(
いたで
)
を負わせる者だからである。——ここに磨臼と言われたものは、女が手でひく小さい磨臼ではなく、
驢馬
(
ろば
)
にひかせる大きな磨臼です。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
どんなもんだい? おい
驢馬
(
ろば
)
、おぬしゃなかなか理屈こきだな! イワン、こいつはおおかたどこかのエズイタ派のところにいたんだぜ、おい、
悪臭い異教徒
(
スメルジャーシイ・エズイタ
)
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
そして話はその娯楽場の
驢馬
(
ろば
)
の話になりました。それは子供を乗せて
柵
(
さく
)
を回る驢馬で、よく馴れていて、子供が乗るとひとりで一周して帰って来るのだといいます。
橡の花
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
鼻は見あたらず、その代りに絵にかいてある蛸の
口吻
(
こうふん
)
そっくりの尖ったものが
顎
(
あご
)
の上につき出ているのだった。その上に顔の両側に
驢馬
(
ろば
)
の耳によく似た耳がついていた。
火星探険
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
学校は村の中程にあって、藁葺の屋根をもった
平家
(
ひらや
)
だった。教室の一方、
腰高障子
(
こしだかしょうじ
)
をあけると二、三枚の畑を
隔
(
へだ
)
てて市場の人だかりや、
驢馬
(
ろば
)
や、牛や、豚などが見えた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
そのなかには太陽の光を模様にしたやうな図案などもあつた。五月十八日の日曜も同じやうに市が立つた。盛な人出で
驢馬
(
ろば
)
に児童を乗せるところなどは一ぱいになつてゐた。
イーサル川
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
でケティは、もとサーカスの支那
驢馬
(
ろば
)
乗りでした。そして白痴なもんで
虐待
(
ぎゃくたい
)
をうけていた。すると、その金髪
碧眼
(
へきがん
)
に蒙古的な顔という、奇妙な対照が僕の目をひいたのです。
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それは
好
(
い
)
いが、先生自分で
鞭
(
むち
)
を持って、ひゅあひゅあしょあしょあとかなんとか云って、ぬかるみ道を前進しようとしたところが、
騾馬
(
らば
)
やら、
驢馬
(
ろば
)
やら、ちっぽけな牛やらが
鼠坂
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
二人は
駱駝
(
らくだ
)
のうしろに馬、馬のあとには犬、それから羊、
驢馬
(
ろば
)
、牛、獅子、象、熊、
羚羊
(
かもしか
)
その他いろんなものをみんな長い行列に仕あげて、それを箱船までとどかしてしまふと
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
「わたし
誰
(
だれ
)
でもないわ。
一緒
(
いっしょ
)
に
向
(
むこ
)
うへ行って
遊
(
あそ
)
びましょう。あなた
驢馬
(
ろば
)
を
有
(
も
)
っていて。」
種山ヶ原
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
鴉
(
からす
)
と
狐
(
きつね
)
の
問答
(
もんどう
)
、
驢馬
(
ろば
)
と小犬の問答、
雄鶏
(
おんどり
)
と
雌鶏
(
めんどり
)
の問答などを
残
(
のこ
)
らず知っています。
動物
(
どうぶつ
)
も
昔
(
むかし
)
は口をきいたということを
人
(
ひと
)
から
聞
(
き
)
いても、ローズ・ブノワさんはちっとも
驚
(
おどろ
)
きません。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
「こいつ飛んでもない
驢馬
(
ろば
)
になってしまったんで……」と
厭世
(
えんせい
)
的な面持を浮べた。
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
「この山河大地みな
仏性海
(
ぶっしょうかい
)
なり。」山河大地はそのままに「仏性海のかたち」なのである。山河を見るはすなわち仏性を見るのであり、仏性を見るとは
驢馬
(
ろば
)
の
顋
(
あご
)
、馬の口を見ることである。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
拙い顔をしている。「
驢馬
(
ろば
)
の
肖像
(
しょうぞう
)
」は耳
丈
(
だ
)
け人並で全く驢馬がフロックコートを着たようだ。「何という口だろう」君は口が馬鹿に
大
(
おおき
)
い。「珍世界」というのは
荒刻
(
あらぼり
)
の仁王のように怖い顔だ。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
昔しだって今だって変りがあるものか。
驢馬
(
ろば
)
が銀の
丼
(
どんぶり
)
から
無花果
(
いちじゅく
)
を食うのを
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
鍛冶屋
(
かじや
)
は
槌
(
つち
)
をおき、八百屋の小僧は
驢馬
(
ろば
)
をつなぎ、政治家と軍人は盛装し、女房と娘は「牛の光栄」のため古めかしくいでたって、みんなが同じ赤と黄の華やかさにはしゃぎ切って急いでいる。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
車挽きて
騾
(
ら
)
と
驢馬
(
ろば
)
と行くしづかなる夕かげの野に我も在るなり
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
小崗子
(
せうかうし
)
驢馬
(
ろば
)
に引かれて現れし荷車の外清きもの無し
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
生員の
驢馬
(
ろば
)
が、綱をきってあばれ出したんだ。
蕎麦の花の頃
(新字新仮名)
/
李孝石
(著)
驢馬
(
ろば
)
ともなりては、主を乗せまつりし昔思ひ
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
上下にいる
驢馬
(
ろば
)
の一群を見るがよい。
ルバイヤート
(新字新仮名)
/
オマル・ハイヤーム
(著)
じつと立つたる
驢馬
(
ろば
)
の影。
巴里の旅窓より
(旧字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
これを
彼
(
か
)
の「モロッコ」の冒頭に出て来るアラビア人と
驢馬
(
ろば
)
のシーンに比べるとおもしろい。後者のほうがよほど
垢
(
あか
)
が取れた感じがする。
映画雑感(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「これですか? これは
驢馬
(
ろば
)
の脳髄ですよ。ええ、一度乾燥させてから、ざっと粉末にしただけのものです。時価は一
噸
(
とん
)
二三銭ですがね。」
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
するとついに、父親は声をとがらしてまた怒鳴る、「この
驢馬
(
ろば
)
め、まだ黙らないのか! 待ってろ、耳を引張ってやるぞ!」
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼女と島崎との対照は、ちょうど
脛
(
すね
)
の長いアフリカ種の馬のそばに
驢馬
(
ろば
)
が寄り添ったようであるけれど、彼女は、十分な満足を感じ得ている。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
にんじん——(カクシの裏を引き出し、
驢馬
(
ろば
)
の耳みたいに
垂
(
た
)
れた袋を見つめている)——ああ、そうか。返してよ、
母
(
かあ
)
さん。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
“驢馬”の意味
《名詞》
驢 馬(ろば)
ウマ科ウマ属ロバ亜属の総称、
1.に属する奇蹄類の一種。ロバを参照。
(出典:Wiktionary)
驢
漢検1級
部首:⾺
26画
馬
常用漢字
小2
部首:⾺
10画
“驢馬”で始まる語句
驢馬小舎