トップ
>
騙
>
だま
ふりがな文庫
“
騙
(
だま
)” の例文
世にも稀な大悪人、天下を
騙
(
だま
)
し取ろうとした大かたり、こんな恐ろしい名が、きっとあの男に永く永くつき
纏
(
まと
)
うに違いございませぬ。
殺された天一坊
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
そこで兵太郎のことというと夢中になる娘のお輝を
騙
(
だま
)
した。——お輝は
一寸見
(
ちょっとみ
)
は
幼々
(
ういうい
)
しく、いかにも子供らしいが、もう立派な娘だ。
銭形平次捕物控:146 秤座政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼を
騙
(
だま
)
すためには、かなり骨が折れる。で、もしこっちが返答しなければならないという段にでもなれば、それこそ万事休すである。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
おめえは
徳行
(
とくぎょう
)
にふじという女がいる、その女はおめえの子を産んだ、とおさいは叫んだ。この恥知らず、よくもおんだらを
騙
(
だま
)
したな。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
もっともその娘は、ある女のように坊主
騙
(
だま
)
して
還俗
(
げんぞく
)
させてコケラの
鮨
(
すし
)
でも売らしたいというような悪い考えでもなかったでしょう。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
▼ もっと見る
また、あの血の冷たい人間が、どうして、おまえなぞを、わが子と思ったりするもんかね! ……お燕、おまえは
騙
(
だま
)
されているんだよ。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
隅「だからさ疑る心が無ければ、一角さんは
何処
(
どこ
)
にいると云ったって
好
(
い
)
いじゃないか、どうして
騙
(
だま
)
して金を取るのか、それをお云いよ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「なあ。くよくよしなさんな。
騙
(
だま
)
されたのは僕たちの不運だが、刑事の方にその方はお任せしてあるから、どうにかなるだろう」
ボロ家の春秋
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
一生だまされていたなどと大変なことを言って嘆いていらっしゃるが、誰がどういう風に
騙
(
だま
)
していたのだか一向わけが分らない。
勉強記
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
それを私は、道を間違えて、その辺で東南に
下
(
くだ
)
るところを、景色のいい回りの山に
騙
(
だま
)
されて西南の方角へ踏み入っていたのです。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
己
(
おれ
)
が運命というものが分らないでいると思うのかい。今ちょっと
工合
(
ぐあい
)
が
好
(
よ
)
くなったからといって、己がそれに
騙
(
だま
)
されていると思うのかい。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
騙
(
だま
)
すくせがあると云ひました。私は、ローウッド中の人にあなたがどんな人であるか、私にどんなことをしたか教へてやります。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
ふむ——変どすなあ……そやけどお園さんは、ええようにいうてお客さんを
騙
(
だま
)
してお金を取るような悪い知恵のまわる人やない。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
貴女が
可厭
(
いや
)
だつたら
直
(
すぐ
)
に帰りますよ、ねえ。それはなかなか好い景色だから、まあ私に
騙
(
だま
)
されたと思つて来て御覧なさいな、ねえ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
船長はポーチにいて、用心深く
騙
(
だま
)
し
撃
(
う
)
ちをやられても
中
(
あた
)
らぬところにいるようにしていた。彼は振り向いて私たちに言った。——
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
……お前は僕を
騙
(
だま
)
そうとするんじゃないだろうね? 近づこうとするとすぐ消えてしまうあの
忌々
(
いまいま
)
しい
幻影
(
まぼろし
)
ではないんだろうね?
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
彼
(
かれ
)
は
何
(
なに
)
かに
騙
(
だま
)
された
後
(
あと
)
のやうに
空洞
(
からり
)
とした
周圍
(
しうゐ
)
をぐるりと
見廻
(
みまは
)
さない
譯
(
わけ
)
にはいかなかつた。
彼
(
かれ
)
は
沿岸
(
えんがん
)
の
洪水後
(
こうずゐじ
)
の
變化
(
へんくわ
)
に
驚愕
(
おどろき
)
の
目
(
め
)
を
睜
(
みは
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
筋の多いふかし
芋
(
いも
)
、麦飯の
結塊
(
むすび
)
、腹の
減
(
す
)
いた時には、富家の子を
騙
(
だま
)
して、銭を盗み出させて、二十銭の銅貨に
駄菓子
(
だがし
)
を山ほど買って食った。
ネギ一束
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
何だか時間に
騙
(
だま
)
されたような気がした。それが不安になってきた。私はその嫌な気持ちを追い払うために、ただ静子のことばかりを考えた。
未来の天才
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
主人が箱入りのコンパスを買って
遣
(
や
)
るといって彼を
騙
(
だま
)
したなり何時まで経っても買ってくれなかったのを非常に恨めしく思った事もあった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「まあ、それでよかった。もし、お祖母さんが、そんな役者に
騙
(
だま
)
されでもしたら、綾子なんかはどうなっていたかも分らない」
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「あのお
転婆
(
てんば
)
娘が!」と彼は考えた、「
俺
(
おれ
)
を馬鹿にしやがって!
彼奴
(
あいつ
)
までが、俺を
騙
(
だま
)
しやがった。二人こっそり芝居をうってたんだな。」
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
家庭料理は、いわば本当の料理の真心であって、料理屋の料理はこれを美化し、形式化したもので虚飾で
騙
(
だま
)
しているからだ。
料理芝居
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
「レオニード・グレゴリウィッチにもお気の毒だから、一先ずお帰り、——これこの通り、
騙
(
だま
)
しゃしない、半分だけ兎に角かえして置くから」
街
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
(同志の間に萩丸様が、まだ捕えられているようなら、同志や萩丸様に邂逅して、もう一度萩丸様を
騙
(
だま
)
しすかして、宥免状を書かせたらいい)
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ところが不幸にもその養子になった男が
頗
(
すこぶ
)
る
放蕩無頼
(
ほうとうぶらい
)
の徒で、今まで老婆が虎の子の様な溜めておいた金を、
何時
(
いつ
)
しか老婆を
騙
(
だま
)
し
騙
(
だま
)
し浪費して
暗夜の白髪
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
「あなたは、
妖道士
(
ようどうし
)
に
騙
(
だま
)
されて、私をお疑いになっておりますが、それはあんまりじゃありませんか、真箇にあなたは、薄情じゃありませんか」
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「おまえさんも、もう十八だろ。ちゃんとしたお嫁さんになるまでは、誰にも
騙
(
だま
)
されちゃならないことぐらい心得てるね」
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そして楽器を手に取り直したと思ふと、
暴
(
やけ
)
に椅子の背に叩きつけた。楽器は女に
騙
(
だま
)
された男の心の臓のやうにこなこなになつて砕けてしまつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
人に
騙
(
だま
)
されて海鳥の羽毛を
採
(
と
)
りに行ったのだったが、食料のために
藷
(
いも
)
を
栽
(
う
)
えてみたけれども、たちまち鼠に
喰
(
く
)
い尽されて絶望したという話である。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
と与えられているのに、トーキーで彼女が実際に喋った台辞の方は、「あらまそーお、マダム居ないの、
騙
(
だま
)
したのね。外は寒いわ、正に。おお寒む」
獏鸚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
俗にいう「足の音に
騙
(
だま
)
される」「風の音に騙される」等は、みなこれと同一理なり。しかしてこの理また、コックリの説明を与うることを得るなり。
妖怪玄談
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
あいつは名もない馬の骨だ、ゼロだ! シャボンの
泡
(
あわ
)
だ! おれはまんまと
騙
(
だま
)
されたんだ……今こそわかった——きれいさっぱり騙されたんだ。……
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
嘘をついて、マンを
騙
(
だま
)
すつもりはすこしもないのに、結果においては、そういうことになっている。夫婦間の秘密とは、いったい、なんであろうか。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
お前はきりしたん伴天連に
騙
(
だま
)
されて居るんではあんまいな。これを見さつしやい。お
天道
(
てんたう
)
さまも、ほれから囲炉裏のおきも、同じに見えるのがどうか。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
そんなことでだれが
騙
(
だま
)
されるものかと彼女は思った。これまで、工場のほうから夜業をするから帰れないという通知を受けたことは一度だってなかった。
猟奇の街
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
思想の価値は、表現方法を舞台とする巧妙なかけ引きと、
騙
(
だま
)
し合いと、を経た後に、一つの契約として登場する。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
「それが間違って、飛騨の高山へ来てしまいましたのよ、悪いおさむらいに
騙
(
だま
)
されて、さんざんからかわれた揚句に、この高山へ納められてしまいました」
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「世間は広いから一生
騙
(
だま
)
しても、騙し切れるものではない」と云って、商売をなさる方も少なくありません。
私の小売商道
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
(著)
それは
騙
(
だま
)
されて飲むのではなく、インチキと承知の上のことで、だから泡盛のほんもの、うそなどということの舌での鑑定にかけては、商売人はだしである。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
なかなかの
確
(
しっ
)
かりした人で
騙
(
だま
)
そうとしても引き返さなければならない程の、愉快な手応えを見せていた。
わが愛する詩人の伝記(三):――萩原朔太郎――
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
蟹は
徐
(
おもむろ
)
に穴に入って
己
(
おれ
)
の眷属が到る処充満しいるから鶴はそれを己一人と
惟
(
おも
)
うて
騙
(
だま
)
される事と笑いいる、鶴が飛んでいる中
何処
(
どこ
)
へ往っても蟹の穴があるのを見て
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
賄代
(
まかないだい
)
の
抵当
(
かた
)
に着物があるじゃないか。このお方はお侍じゃ、貴様達を
騙
(
だま
)
す
所存
(
つもり
)
ではないように見受ける。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
初め
剃刀
(
かみそり
)
を
弄
(
いぢ
)
つてゐたのを看護婦が
騙
(
だま
)
して取り上げたんやが、其の次ぎにまた
匕首
(
あひくち
)
を弄つてたのを見付けたんで、取り上げて了ふと、それから
暴
(
あば
)
れ出したんだすな。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「男の方で
騙
(
だま
)
さうとしてかゝるとどんなことでもするらしいから、油斷も隙もありやしないよ。」
孫だち
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
「あれは、
横浜
(
ハマ
)
で、
船乗
(
マドロス
)
たちに
騙
(
だま
)
されたのだよ。もう、北洋へなぞ往かずに、うんと勉強するよ」
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
何故
(
なぜ
)
と
被言
(
おッしゃ
)
りませ、
姫
(
ひい
)
さまはまだ
齡
(
とし
)
がゆかッしゃらぬによって、
騙
(
だま
)
さッしゃるやうであれば、ほんにそれは
惡
(
わる
)
いこっちゃ、
御婦人
(
ごふじん
)
を
騙
(
だま
)
さッしゃるは
卑怯
(
ひけふ
)
ぢゃ、
非道
(
ひだう
)
ぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
甞
(
かつ
)
て
自分
(
じぶん
)
一人
(
ひとり
)
で
毬投
(
まりな
)
げをして
居
(
ゐ
)
て、
吾
(
わ
)
れと
吾
(
わ
)
れを
騙
(
だま
)
したといふので、
自分
(
じぶん
)
の
耳
(
みゝ
)
を
叩
(
たゝ
)
かうとしたことを
思出
(
おもひだ
)
しました、それといふのも
此
(
この
)
不思議
(
ふしぎ
)
な
子供
(
こども
)
が、
一人
(
ひとり
)
でありながら
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
お上さんの頭は霧が掛かったように、ぼうっとしているが、もしや
騙
(
だま
)
されるのではあるまいかと云う
猜疑
(
さいぎ
)
だけは
醒
(
さ
)
めている。それでも熱心に末造の顔を見て謹聴している。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
あたい達は屋根のない
火車
(
かしゃ
)
に乗って、山の
天辺
(
てっぺん
)
や、谷底や、猿の沢山いる所を通って、随分遠くまでやって来たんだ……
騙
(
だま
)
されたんだ……騙されたんだ……兄さん、
口惜
(
くや
)
しい
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
騙
漢検1級
部首:⾺
19画
“騙”を含む語句
欺騙
騙取
大騙
子供騙
騙討
騙児
騙賊
騙詐
騙子
騙術奇談
騙術
騙者
騙罔
騙瞞
騙着
騙拐
騙局
偽騙
銀飾肆受騙
拐騙
...