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面持
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おももち
ふりがな文庫
“
面持
(
おももち
)” の例文
中尉はハッとした
面持
(
おももち
)
で、露子の顔を見た。露子もハッとしたが、武人の妻だ取乱しもせず奥にかけこんで、軍服の用意にかかった。
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
石舟斎はそう云うと、胸の
傷
(
いた
)
むような
面持
(
おももち
)
であったが、実はと——その夜まで公表されていなかった四男五郎右衛門の所在をうち明けた。
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
爺
(
じい
)
やの
方
(
ほう
)
では一
層
(
そう
)
枯
(
か
)
れ
切
(
き
)
ったもので、ただもううれしくて
耐
(
たま
)
らぬと
言
(
い
)
った
面持
(
おももち
)
で、
黙
(
だま
)
って
私達
(
わたくしたち
)
の
様子
(
ようす
)
を
打
(
う
)
ち
守
(
まも
)
っているのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
含
(
ふく
)
み二下り讀では
莞爾々々
(
にこ/\
)
と
彷彿
(
さも
)
嬉
(
うれ
)
し
氣
(
げ
)
なる
面持
(
おももち
)
の樣子を
篤
(
とく
)
と見留て長庵は心に
點頭
(
うなづき
)
つゝ
頓
(
やが
)
て返書を請取千太郎よりも
小遣
(
こづか
)
ひとて金百
疋
(
ぴき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
二人の青年にひょっとすると、これは二百年位前のものかも知れないよというと、二人は
腑
(
ふ
)
に落ちぬという
面持
(
おももち
)
をしていた。
土塊石片録
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
▼ もっと見る
「火夫がお前の心に魅入ったらしいね」と、伯父はいって、意味ありげな
面持
(
おももち
)
でカルルの頭越しに船長のほうを見やった。
火夫
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
然るに、その八ツ橋太夫が、どうしたことか浮かぬげな
面持
(
おももち
)
で、明け放たれた窓べりにより添いながら、しきりに往来を見すかしているのです。
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
母の言葉を果してその通りに受け取ったかどうか、貞之助と幸子が何とか紛らそうとして別のことを話しかけても、浮かぬ
面持
(
おももち
)
で生返事をして
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「さうさね、
巡査
(
じゆんさ
)
だつて
無闇
(
むやみ
)
にどうかするといふこともないんだらうと
思
(
おも
)
ふやうだがね」
内儀
(
かみ
)
さんは
意外
(
いぐわい
)
な
面持
(
おももち
)
でいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
その頃の岡倉先生宅は
根岸
(
ねぎし
)
であった。夜分の来訪、何事かと岡倉さんは思ってお出でのような
面持
(
おももち
)
で私を迎えました。
幕末維新懐古談:69 馬専門の彫刻家のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
女は
腑
(
ふ
)
に落ちぬ不快の
面持
(
おももち
)
で男の顔を見た。小野さんは「クレオパトラ」の行為に対して責任を持たねばならぬ。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
籐椅子
(
とういす
)
の三、四脚が取り囲んだ向うに、五十七、八とも思われる洋服のデップリとした紳士が、
怪訝
(
けげん
)
そうな
面持
(
おももち
)
でじっとこちらに、眼を留めているのです。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
名犬シャーロックは少しも騒がず、何かの予感に緊張の
面持
(
おももち
)
で、主人恒川警部の
両膝
(
りょうひざ
)
のあいだにうずくまった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
もっとも、そういう正直な所をさらけ出して見せたあとでは、必ず、直ぐに今の行為を後悔したような
面持
(
おももち
)
で、又もとの冷笑的な表情にかえるのではあったが。
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
花を
手向
(
たむ
)
けたい様な気もした。けれど
其
(
その
)
廻りを取巻いた人達は何も皆悄然として居るのではない。未来に燃える様な希望を持つ人らしい
面持
(
おももち
)
が多いのであつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
次郎は今さらのように、
亡
(
な
)
くなった母さんをさがすかの
面持
(
おももち
)
で、しきりに私たちの話に耳を傾けていた。
分配
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
醫師驚きたる
面持
(
おももち
)
して、さてはかの
謳者
(
うたひて
)
は此人なりしか、公衆の稱歎は
尋常
(
よのつね
)
ならざりき、重ねて
技
(
わざ
)
を演じ給はゞ、世に名高き人ともなり給はんものをなどいへり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
その広々とした淵はいつも
黝
(
くろ
)
ずんだ青い水を
湛
(
たた
)
へて
幾何
(
いくばく
)
深いか分からぬやうな
面持
(
おももち
)
をして居つた。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
戯れに棒振りあげて彼の頭上に
翳
(
かざ
)
せば、笑うごとき
面持
(
おももち
)
してゆるやかに歩みを運ぶ
様
(
さま
)
は主人に叱られし犬の尾振りつつ逃ぐるに似て異なり、彼はけっして
媚
(
こび
)
を人にささげず。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
文麻呂、何やら
掴
(
つか
)
み難い不安にとらわれたような
面持
(
おももち
)
で、彼女の去った方向を見送っている。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
と、自分の物語を終つたHは、煙草の烟の輪を吹きながら興奮した
面持
(
おももち
)
でせき立てました。
S中尉の話
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
チチコフはまんざら悪くもなさそうな
面持
(
おももち
)
で、彼女の差し出した小さい手に口を近づけた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
そこで勇仙が
訓
(
くん
)
で読むことを教えたが、壮士には呑込めたような、呑込めないような
面持
(
おももち
)
。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
さりとて決して
容赦
(
ようしゃ
)
はせず、時々、一種特別な、さも小気味よげな満足の
面持
(
おももち
)
で、彼だってやはり自分の手中にあるのだということを、彼に感づかせるように仕向けるのだった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
第三の見慣れぬ旅人 (得意な
面持
(
おももち
)
にて)詩も作れば、楽器に合せて歌もうたいます。
日没の幻影
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
坊
(
ばう
)
さんは一
向
(
かう
)
心当
(
こゝろあた
)
りがないと
云
(
い
)
ふやうな
面持
(
おももち
)
をしながら、それでも
笑顔
(
ゑがほ
)
をつくり
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
かくてある日の事でした、父は私をちよつとと、居間へ呼びますから、何の用かと行つて見ますれば、父は私の座につきますのをまちかねたといふ
面持
(
おももち
)
にて、断然と結婚の事を申し渡しました。
こわれ指環
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
打てば
金属
(
かね
)
のように響くかと思われるほどに緊張しきっていたが、
法水
(
のりみず
)
は何か成算のあるらしい
面持
(
おももち
)
で、ゆったりと眼を
瞑
(
と
)
じ黙想に
耽
(
ふけ
)
りながらも、絶えず微笑を
泛
(
うか
)
べ独算気な
頷
(
うなず
)
きを続けていた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
長いお
喋
(
しゃべ
)
りを終えた青年は、いささか得意の
面持
(
おももち
)
だった。
浴槽
(新字新仮名)
/
大坪砂男
(著)
「あいあい、」と女房は
春風駘蕩
(
しゅんぷうたいとう
)
たる
面持
(
おももち
)
で
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
愛の一夜の明け方に、いとも悲痛な
面持
(
おももち
)
で。
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
陳君は、不安の
面持
(
おももち
)
でいうと、怪老人は
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
宗方博士は不審な
面持
(
おももち
)
で新田を
覓
(
みつ
)
めた。
廃灯台の怪鳥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
何か佗しそうな切なそうな
面持
(
おももち
)
である。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
友之助は
怪訝
(
けゞん
)
な
面持
(
おももち
)
にて
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
すると彼は意外な
面持
(
おももち
)
で
一商人として:――所信と体験――
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
、
相馬黒光
(著)
彼は、裏口へ
遁
(
に
)
げようとしては、不審の
面持
(
おももち
)
で耳を澄した。だが、彼の予期するような爆弾投下の爆音は、一向に、響いてこなかった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
秀吉はほっと
一
(
ひ
)
と
安堵
(
あんど
)
したような眉を見せた。これで初めて全力を一方へ注ぐことができると確信を得たような
面持
(
おももち
)
でもある。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お
爺
(
じい
)
さんはあたかも
寺子屋
(
てらこや
)
のお
師匠
(
ししょう
)
さんと
言
(
い
)
った
面持
(
おももち
)
で、いろいろ
講釈
(
こうしゃく
)
をしてくださいました。お
爺
(
じい
)
さまは
斯
(
こ
)
んな
風
(
ふう
)
に
説
(
と
)
き
出
(
だ
)
されました。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
と解せぬ
面持
(
おももち
)
で
頭
(
かぶり
)
を振り振り、未亡人は出て行ったが、そうそうわたくし、申し上げるのを忘れていましたと、ロヴィーサがまた重大なことを付け加えた。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
スタンドの上には、彼の二人の助手が、少し寝不足で疲れてはいるがはればれした
面持
(
おももち
)
で坐っていた。義務を忠実に果たしたことが生み出す明るい顔つきであった。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
それよりも、あの娘をここへ呼んで、皆にお
酌
(
しゃく
)
でもさせた方がいい。と云いたげな
面持
(
おももち
)
である。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「さうです、さうです……」みんなは
咽喉
(
のど
)
に詰つたやうな聲で、雷同した。先生は、若々しい血の思慮もなく劇しい語調で喋舌る私を、
呆氣
(
あつけ
)
に取られたやうな
面持
(
おももち
)
で見てゐた。
猫又先生
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
その
面持
(
おももち
)
の優しさには、こゝの
間
(
ま
)
ごとの大さ、美しさかくまでならずば、我胸の躍ることさへ治りしならん。床は鏡の如き大理石なり。壁といふ壁には、めでたき畫を
貼
(
てふ
)
したり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
節子はまた、罪過そのものも今はもう
懐
(
なつ
)
かしいという
面持
(
おももち
)
で、しばらく彼女がお産のために行っていたという
片田舎
(
かたいなか
)
の方へ、そこにある産婆の家の二階の方へ岸本の想像を誘うようにした。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
父はわたくしが立止って顔の上に散りかかる落梅を見上げているのを顧み、いかにも満足したような
面持
(
おももち
)
で、古人の句らしいものを口ずさんで聞かされたが、しかしそれは聞き取れなかった。
十六、七のころ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
きくや、杉浦権之兵衛が、少し意外そうな
面持
(
おももち
)
で、いぶかしそうに退屈男の顔を見上げていましたが、いく分怒りが鎮まりでもしたかのごとく、がらりと言葉の調子迄も変えてきき訊ねました。
旗本退屈男:02 第二話 続旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
かうT君が青年に頼み、何か期するところがあるやうな
面持
(
おももち
)
で歩いた。
仏法僧鳥
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「問わずもあれ」と答えたアーサーは今更という
面持
(
おももち
)
である。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「だが、閣下のおっしゃることは、余りに空想すぎるのじゃありませんですか」と椋島技師は幾分苦笑を禁じ得ないという
面持
(
おももち
)
で云った。
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
面
常用漢字
小3
部首:⾯
9画
持
常用漢字
小3
部首:⼿
9画
“面”で始まる語句
面
面白
面影
面目
面喰
面倒
面色
面長
面当
面貌