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雪崩
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なだれ
ふりがな文庫
“
雪崩
(
なだれ
)” の例文
血を吐くような源三郎の声が聞こえた
秒間
(
びょうかん
)
、しすましたりと、こなたは丹波を先頭に、ドッ! と唐紙を蹴倒して、
雪崩
(
なだれ
)
こみました。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
群衆
雪崩
(
なだれ
)
を打って立ち分れると、その間を縫って、南町奉行
鳥居
(
とりい
)
甲斐守
忠燿
(
ただてる
)
、手附の与力、配下の岡っ引共を従えて立ち現われました。
礫心中
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
今から四年前のこと、日本アルプスで、私の友人である
古神行基
(
ふるかみゆきもと
)
という子爵が
雪崩
(
なだれ
)
のために谿谷深くさらわれて行方不明になりました。
千早館の迷路
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
待ちに待った五百騎は、声に応じて
雪崩
(
なだれ
)
のごとく押出した。……馬を
煽
(
あお
)
り、太刀を抜いて、敵兵の真ん中へ弾丸のごとく突込んだ。
蒲生鶴千代
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
つづいてそれがどっと
雪崩
(
なだれ
)
を打つ
鬨
(
とき
)
の声に変ります。わたくしは
殆
(
ほとん
)
どもう寝間着姿で、
寝殿
(
しんでん
)
のお屋敷に
攀
(
よ
)
じ登ったのでございます。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
▼ もっと見る
つい一時間程前、日比谷公園の近くで人
雪崩
(
なだれ
)
の下敷きになり、アワヤ圧死しようとしたところを真名古に助けられた縫子の花であった。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
毒卯木
(
どくうつぎ
)
の花が生白く咲き山葡萄の蔓が縦横に延び、
雪崩
(
なだれ
)
の跡が断層を
作
(
な
)
し赤茶けた地肌を現わしているのが、荒涼たる光景を二倍にする。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
さかんな
雪崩
(
なだれ
)
の音はその廊下の位置からきかれないまでも、高い山壁から谷まで白く降り
埋
(
うず
)
める山々の雪を望むことはできる。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
あなたはこのやうな
冷
(
つめた
)
い人々が、どんなに恐ろしさをその氷のやうな質問の中に
容
(
い
)
れ得るか、彼等の怒りの中には、どれ程の
雪崩
(
なだれ
)
があるか
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
第一、スキイが深く沈み過ぎるし、おまけに
雪崩
(
なだれ
)
の危険がある。経験あるスキイヤアはこういう雪では決して遠くへ出ない。
踊る地平線:11 白い謝肉祭
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
その人
雪崩
(
なだれ
)
に危うく突き倒されそうになって、身を
替
(
かわ
)
した途端、崩れ立った人垣の間から私は、見るべからざる物を眺めてしまったのであった。
生不動
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
雪崩
(
なだれ
)
がおちかかるように感じられた驚きと不安がすぎ、伸子たちとしての処置の第一段を一応きめたのちの感情でしずかに電報を読んでいると
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ほとんど自分は生命あることを覚えて居らぬ位、ある山腹のごときは
雪崩
(
なだれ
)
のために積雪と岩とを持ち去られて砂ばかり残って居る所があります。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
然
(
しか
)
るに
私
(
わたくし
)
の
苦心
(
くしん
)
は
全
(
まつた
)
く
無益
(
むえき
)
であつた。
第一端艇
(
だいいちたんてい
)
の
波上
(
はじやう
)
に
浮
(
うか
)
ぶや
否
(
い
)
なや、
忽
(
たちま
)
ち
數百
(
すうひやく
)
の
人
(
ひと
)
は、
雪崩
(
なだれ
)
の
如
(
ごと
)
く
其處
(
そこ
)
へ
崩
(
くづ
)
れかゝつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
そうしてそこは、揚子江、黄河、メーコン三大河の水源をなし、氷河と烈風と
峻険
(
しゅんけん
)
と
雪崩
(
なだれ
)
とが、まだ天地
開闢
(
かいびゃく
)
そのままの氷の処女をまもっている。
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
往来のちょっとした飲食店や町内の酒屋などにはいってゆく労働者の人
雪崩
(
なだれ
)
から離れて、彼は近くの
辻
(
つじ
)
公園のほうへとぼとぼと逃げ出していった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
その言葉の終らないうちに、彼の見廻している谷間の岩も水も
雪崩
(
なだれ
)
の草も、いちめんに夕焼色にぱっと明るく染まった。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてあたかもその太陽が、彼女の頭の中の怪しい言葉の
雪崩
(
なだれ
)
を解かす力でも持ってたかのように、彼女は言い続けた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
けれどもやがて女は、ものも云わずに、
扉口
(
とぐち
)
のほうへ
馳
(
か
)
けだして行った。人々もその後から
雪崩
(
なだれ
)
を打って押しかけた。
動かぬ鯨群
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
随
(
したが
)
って雪に関する色々な問題、例えば
雪崩
(
なだれ
)
とか、スキーと雪との関係とかいう風な話はこの本の中には出て来ない。
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
もし肘から上の紐を切ることができたら、私は振子をつかまえて止めようとでもしたことであろう。それは
雪崩
(
なだれ
)
を止めようとするのと同じようなことだ!
落穴と振子
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
雪崩
(
なだれ
)
の下敷になって五体の骨々
微塵
(
みじん
)
にくだけ、眼もあてられぬむごたらしい死にざまをして、母子なげく中にも
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
人足たちは、桟橋から
轟音
(
ごうおん
)
と共に落ちて来る石炭の
雪崩
(
なだれ
)
の下で、その賃銀のためにではなく、その雪崩から自分を救うために一心に、
血眼
(
ちまなこ
)
になって働いた。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
この人たちの互いの交通路にも、冬はしばしば目に見えぬ
雪崩
(
なだれ
)
のごときものが、襲うてくるらしいのである。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
すると、琴中に
竜門
(
りゅうもん
)
の暴風雨起こり、竜は電光に乗じ、
轟々
(
ごうごう
)
たる
雪崩
(
なだれ
)
は山々に鳴り渡った。帝王は狂喜して、伯牙に彼の成功の
秘訣
(
ひけつ
)
の存するところを尋ねた。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
あなた方は、
雪崩
(
なだれ
)
といふものを知つてゐますか。山地にゆくと、雪崩といふ恐ろしいものがあるのですよ。
雪
(新字旧仮名)
/
津村信夫
(著)
伯庵茶わんの見どころが幾個所あるなどいふが其の一つに銅か鐵が發色したと思はるゝ
海鼠
(
なまこ
)
の
雪崩
(
なだれ
)
がある。
やきもの読本
(旧字旧仮名)
/
小野賢一郎
(著)
登山の季節は六月から九月までで、春は
雪崩
(
なだれ
)
があって危険で、冬は吹雪で警戒されることが多いそうだ。
エトナ
(新字新仮名)
/
野上豊一郎
(著)
今川義元や斎藤
道三
(
どうさん
)
、或いは浅井朝倉あたりとは相手が違う、謙信があの勢いでもって、北国から
雪崩
(
なだれ
)
の如く
一瀉千里
(
いっしゃせんり
)
で下って来て見給え、木下藤吉郎なんぞも
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
雪崩
(
なだれ
)
の実写は驚嘆すべき見ものであるが山の神様の手からただひとつまみの雪がこぼれただけである。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
『お江戸団十郎見しゃいな』と、江戸の人々が誇るこの珍客を見る為めに、都の人々が
雪崩
(
なだれ
)
を
為
(
な
)
して、長吉座に押し寄せて行った時も、藤十郎は少しも騒がなかった。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「峠が見えたぞ‥‥北に取れや
舵
(
かじ
)
を‥‥隠れ岩さ乗り上げんな‥‥
雪崩
(
なだれ
)
にも打たせんなよう‥‥」
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
折重なって
辷
(
すべ
)
り倒れる。その上から
狼藉
(
ろうぜき
)
していた杯盤がガラガラガラと
雪崩
(
なだれ
)
かかる。その中を押し合い、ヘシ合い、突飛ばし合いながら両舷のボートに乗移ろうとする。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
喜作は大正十一年の二月、爺ヶ岳裏の棒小屋沢に
羚羊
(
かもしか
)
猟に行ってた時に、
雪崩
(
なだれ
)
の下になって、その息子と、愛犬と一緒に死んだ。皆が、山人らしい死に方でこの世を去ったのだ。
案内人風景
(新字新仮名)
/
百瀬慎太郎
、
黒部溯郎
(著)
ところが、それから一ヶ月もたった二月の上旬に、この事件の関係者の一人である安田が、越前の郷里へ帰る途中、列車が大
雪崩
(
なだれ
)
のために転覆して、不慮の死を遂げてしまった。
誰が何故彼を殺したか
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
乱離骨灰
(
らりこつぱひ
)
になつたのと、「あんちおきや」の同勢が
鯨波
(
とき
)
の声を轟かいて、帝の
御輦
(
ぎよれん
)
を中にとりこめ、
雪崩
(
なだれ
)
の如く攻めかかつたのとが、
間
(
かん
)
に
髪
(
はつ
)
をも入れまじい、殆ど同時の働きぢや。
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
雪
(
ゆき
)
に
覆
(
おほ
)
はれたその
切
(
き
)
り
崩
(
くづ
)
しの
斜面
(
しやめん
)
に、
獸
(
けもの
)
の
足跡
(
あしあと
)
が、
二筋
(
ふたすぢ
)
についてゐるのは、
犬
(
いぬ
)
か
何
(
なに
)
かゞ
驅
(
か
)
け
下
(
お
)
りたのであらう、それとも、
雪崩
(
なだれ
)
になつて
轉
(
ころ
)
げ
下
(
お
)
りて
來
(
き
)
た
塊
(
かたま
)
りの
走
(
はし
)
つた
跡
(
あと
)
でもあらうかと
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
料理人 あれッ
雪崩
(
なだれ
)
を打って人が——あ、駈ける、みんな駈けてこっちへ来る。
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
万は夢からでも
醒
(
さ
)
めたようにして、幾分
周章
(
あわて
)
気味に言った。子供達は
我先
(
われさき
)
と、小突き合いながら、
潮
(
うしお
)
のように
雪崩
(
なだれ
)
込んで来た。しかし、その一団の先に立っているのは、万の長男だった。
手品
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
けれどもそれは浮き離れて、現実の実体観に何の関りもない。ただ、左手海際の林から
雪崩
(
なだれ
)
れ込む若干の
椰子
(
やし
)
の樹の切れ離れが、急に数少なく七八本になり三本になり、
距
(
へだ
)
てて一本になる。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
吐き出す人は
雪崩
(
なだれ
)
をうって又改札口に押し寄せる。
併
(
しか
)
し
流石
(
さすが
)
に東京駅である。改札口の人の渦は直ちに消え去ってしまう。後から後から来る人は、よく掃除された
樋
(
とい
)
の水のように流れて行く。
丸の内
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
表面が融け
固
(
かたま
)
ったのか、あるいは激しい
雪崩
(
なだれ
)
の圧力のためか、氷のように蒼白く光っていて
靴鋲
(
ネール
)
が充分喰込まないような所もあって、ピッケルを持たない二人のために二、三度確保したりする。
一ノ倉沢正面の登攀
(新字新仮名)
/
小川登喜男
(著)
たとえ、小部分の「忘恩な」煽動者たちに幾分いゝ加減にされていても、この自分さえ其処へ姿をあらわせば、職工の全部は「
忽
(
たちま
)
ち」自分のもとに
雪崩
(
なだれ
)
を打ってくるのは分りきったことだ、と。
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
それに恰度
雪崩
(
なだれ
)
の心配のおます時で、えらい時期が悪いのやそうです。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
新庄以北、釜淵・
及位
(
のぞき
)
あたり、山手にかかっては雪がますます深く、山の斜面には
雪崩
(
なだれ
)
の跡が所々に見える。駅の前は
吹雪
(
ふぶき
)
除
(
よ
)
けの
葦簀
(
よしず
)
の垣根が作られている。同車の客の土木請負師らしい人は言う。
春雪の出羽路の三日
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
敗北した軍隊は、
雪崩
(
なだれ
)
を打ってこの古い都済南へ総退却した。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
鰊だ、眼だ、腹だ、尻尾だ、
雪崩
(
なだれ
)
だ、
総雪崩
(
そうなだれ
)
だ。や。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
これなら裏の山から
雪崩
(
なだれ
)
が来てもびくともせぬ。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
五万里も先きにある
雪崩
(
なだれ
)
のような寝息がきこえる
生活
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
この深い
寂寞
(
じやくまく
)
の境にあんな
雪崩
(
なだれ
)
をまき起して
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
“雪崩”の意味
《名詞》
山などに積もった雪が滑り落ちてくること。
(出典:Wiktionary)
“雪崩”の解説
雪崩(なだれ、en: Avalanche)とは、山岳部の斜面上に降り積もった雪が重力の影響により「なだれ(傾れ、頽れ)落ちる」自然現象である。
(出典:Wikipedia)
雪
常用漢字
小2
部首:⾬
11画
崩
常用漢字
中学
部首:⼭
11画
“雪崩”で始まる語句
雪崩出
雪崩口
雪崩打
雪崩法寿院