雙方さうはう)” の例文
新字:双方
家内かないが。)(家内かないが。)と雙方さうはう同音どうおんつたが==毎々まい/\世話せわに==とふべきところを、同時どうじ兩方りやうはうでのみみの一寸ちよつと默然だんまり
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はづかしくもなくくこんな莫迦ばかげたことかれたものだ』とグリフォンがしました。彼等かれら雙方さうはうともだまつたまゝすわつてあはれなあいちやんをてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
嫁入よめいつたは三年さんねんまへ其當座そのたうざごくなかもよう御座ございましたし雙方さうはう苦情くじやうかつたので御座ございますけれど、れるといふはことわることで、おたがわがまゝの生地きぢまゐります
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼等かれら漸次しば/\家族かぞくあひだこと夫婦ふうふあらそひに深入ふかいりしてかへつ雙方さうはうからうらまれるやうなそん立場たちばはまつた經驗けいけんがあるので、こはれた茶碗ちやわんをそつとあはせるだけの手數てすうたくみ方法はうはふ機會きくわいとをつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
雙方さうはう行違ゆきちがふ。サンプソンゆびつめんでする。
となり旅客りよきやくは、何處どこから乘合のりあはせたのかかれはそれさへらぬ。うへ雙方さうはうとも、ものおもひにふけつて、一言葉ことばかはさなかつたのである。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おそろしく鐵拐てつか怒鳴どなつて、フトわたし向合むきあつて、……かほて……雙方さうはう莞爾につこりした。同好どうかうよ、と前方さきおもへば、知己ちきなるかな、とひたかつた。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おやおやとの許嫁いひなづけでも、十年じふねんちか雙方さうはう不沙汰ぶさたると、一寸ちよつと樣子やうすわかかねる。いはん叔父をぢをひとで腰掛こしかけた團子屋だんごやであるから、本郷ほんがうんで藤村ふぢむら買物かひものをするやうなわけにはゆかぬ。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
楕圓形だゑんけいは、羽状複葉うじやうふくえふふのが眞蒼まつさをうへから可愛かはいはなをはら/\とつゝんで、さぎみどりなすみのかついで、たゝずみつゝ、さつひらいて、雙方さうはうからつばさかはした、比翼連理ひよくれんり風情ふぜいがある。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
またるよ、とふられさうなさき見越みこして、勘定かんぢやうをすまして、いさぎよ退しりぞいた。が、旅宿りよしゆくかへつて、雙方さうはうかほ見合みあはせて、ためいきをホツといた。——今夜こんや一夜いちや籠城ろうじやうにも、あますところの兵糧ひやうらうでは覺束おぼつかない。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)