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酔
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えい
ふりがな文庫
“
酔
(
えい
)” の例文
旧字:
醉
破穴
(
やぶれあな
)
から
覘
(
のぞ
)
いていますが、これを少しも知りませんで、又作はぐい飲み、
猪口
(
ちょく
)
で五六杯あおり附け、追々
酔
(
えい
)
が廻って来た様子で
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
折角いい
機嫌
(
きげん
)
で帰って来た八助の
酔
(
えい
)
をすっかりさまして、秦野屋の足はまた何処へ向ってゆくか、宙を飛んで寺町の
暗
(
やみ
)
へ消え去りました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
電車に乗ってから、暫らくの間信一郎は夫人に対する
酔
(
えい
)
から、
醒
(
さ
)
めなかった。それは確かに
酔心地
(
よいごこち
)
とでも云うべきものだった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ワイニンゲルなんぞの
足跡
(
そくせき
)
を踏んで
行
(
い
)
けば、厭世は免れないね。しかし恋愛なんという概念のうちには人生の
酔
(
えい
)
を含んでいる。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼等は
酔
(
えい
)
に乗じて夜店の商品を踏み壊し、カフエーに乱入して店内の器具のみならず家屋にも多大の損害を与え、制御の任に当る警吏と相争うに至った。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
鉄道病と云っても、私の取り憑かれた奴は、よく世間の婦人にあるような、
船
(
ふね
)
車
(
くるま
)
の
酔
(
えい
)
とか
眩暈
(
めまい
)
とか云うのとは、全く異なった苦悩と恐怖とを感ずるのである。
恐怖
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
琵琶
(
びわ
)
の銘ある鏡の明かなるを
忌
(
い
)
んで、叡山の天狗共が、
宵
(
よい
)
に
偸
(
ぬす
)
んだ
神酒
(
みき
)
の
酔
(
えい
)
に乗じて、曇れる
気息
(
いき
)
を一面に吹き掛けたように——光るものの底に沈んだ上には
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
心は
轟
(
とどろ
)
く、
脉
(
みゃく
)
は鳴る、酒の
酔
(
えい
)
を円タクに蒸されて、汗ばんだのを、車を下りてから一度夜風にあたった。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
やがて
酔
(
えい
)
も十二分にまはりけん、
照射
(
ともし
)
が膝を枕にして、前後も知らず
高鼾
(
たかいびき
)
、
霎時
(
しばし
)
は
谺
(
こだま
)
に響きけり。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
小猿雪山に登りて大薬王樹という樹の枝を伐って、帰り来りて酔い臥したる猿どもを
撫
(
な
)
ずるに、たちまち
酔
(
えい
)
醒
(
さ
)
め心
猛
(
たけ
)
くなって竜を責む。竜王光を放って
鬩
(
せめ
)
ぎけるを大王矢を射出す。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
一、
井戸端
(
いどばた
)
の桜あぶなし酒の
酔
(
えい
)
秋色
(
しゅうしき
)
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
父が
酔
(
えい
)
家の
新酒
(
しんしゅ
)
の嬉しさに 召波
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
と悦んで居る処へ酒を勧めたからグッスリ
酔
(
えい
)
が廻り、伽羅大尽は碁盤の上へ
俯伏
(
うっぷ
)
してスヤリ/\と眠ってしまいました。隣座敷で番頭新造が
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
上条へ帰った時は、僕は
草臥
(
くたびれ
)
と酒の
酔
(
えい
)
とのために、岡田と話すことも出来ずに、別れて寝た。翌日大学から帰って見ればもう岡田はいなかった。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
急に
酔
(
えい
)
が発してきたような顔も見当るし、わざと、さりげない話をとってつけたようにし出す者もあるし、露骨に
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
閑静な席で、対坐に人まぜせぬ酒の中に、話がここへ来たころは、その杯を受けた
筆者
(
わたし
)
も
酔
(
えい
)
が廻った。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
瓢箪
(
ひょうたん
)
に
酔
(
えい
)
を飾る三五の
癡漢
(
うつけもの
)
が、天下の
高笑
(
たかわらい
)
に、腕を振って
後
(
うし
)
ろから押して来る。甲野さんと宗近さんは、
体
(
たい
)
を斜めにえらがる人を通した。色の世界は今が
真
(
ま
)
っ
盛
(
さか
)
りである。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
不自然な、強制的なアルコールの
酔
(
えい
)
が次第次第に肥え太った私の肉体へ浸潤して来た。
恐怖
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかしどういう
訳
(
わけ
)
か一同の如く心の底から陶然と
酔
(
えい
)
を催す様子は更に見えなかった。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
此方
(
こっち
)
も床へ這入りは這入ったが、ぎこちなくって布団の外へはみ出す様、お園はウンともスンとも云わないから、
何
(
なん
)
だか極りが悪いので
酔
(
えい
)
も
醒
(
さめ
)
て来て
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
酒の
酔
(
えい
)
はまわるし、腹は満ちてくるし、一同は
漸
(
ようや
)
く、夜来のつかれが皮膚の上べに出て来る心地がしてきた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
慄悚
(
ぞっ
)
とした、玉露を飲んで、中気
薬
(
ぐすり
)
を
舐
(
な
)
めさせられた。その
厭
(
いや
)
な心持。
酔
(
えい
)
も
醒
(
さ
)
めたといううちにも、エイと掛声で、
上框
(
あがりがまち
)
に腰を落して、直してあった下駄を突っかける時
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
己はラシイヌを手に持って、当てもなく上野の山をあちこち歩き廻っているうちに、不安の念が次第に増長して来て、
脈搏
(
みゃくはく
)
の急になるのを感じた。丁度酒の
酔
(
えい
)
が
循
(
めぐ
)
って来るようであった。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
と云って、見ると、持って
居
(
い
)
る一刀が真赤に
鮮血
(
のり
)
に
染
(
そ
)
みて居るので、ハッとお驚きになると
酔
(
えい
)
が少し
醒
(
さ
)
めまして
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
鼓
(
つづみ
)
は鳴る、笛は鳴る、
酔
(
えい
)
はめぐる。——ただ羅門塔十郎だけは酔えなかった。余りに厳粛な龍山公の前では、窮屈に坐ったきり、膝を崩すこともゆるされない。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
郡の部に属する内藤新宿の
町端
(
まちはずれ
)
に、近頃新開で土の色赤く、
日当
(
ひあたり
)
のいい
冠木門
(
かぶきもん
)
から、目のふちほんのりと
酔
(
えい
)
を帯びて、杖を小脇に、つかつかと出た一名の
瀟洒
(
しょうしゃ
)
たる人物がある。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
車の上では
稍々
(
やや
)
強く顔に当る風も、まだ
酔
(
えい
)
が残っているので、
却
(
かえっ
)
て快い。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
河岸へ
立上
(
たちあが
)
りますに、ブーと吹きおろす寒風に袖も
袂
(
たもと
)
もつらゝのように氷って、ずぶ濡れゆえ、
酔
(
えい
)
が醒めてみると夢のような心もちで、
判然
(
はっきり
)
分りませんけれども
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
小県
(
ちいさがた
)
の
下和田宿
(
しもわだじゅく
)
に着いて、いかがわしい
旅籠
(
はたご
)
でいかがわしい女どもを揚げ、いかがわしい酒と
肴
(
さかな
)
で、昼の仲直りということになり、
酔
(
えい
)
がたけなわとなるに及んでは
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
昼間
歩行
(
ある
)
き廻った疲れが出た菅子は、髪も衣紋も、帯も姿も
萎
(
な
)
えたようで、顔だけは、ほんのりした——
麦酒
(
ビイル
)
は苦くて嫌い、と葡萄酒を
硝子杯
(
コップ
)
に二ツばかりの——
酔
(
えい
)
さえ醒めず
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
作「止せよ兄貴、己酒の
酔
(
えい
)
も何も
醒
(
さ
)
めて仕舞った、兄貴止せよ、姉御、見込んだら放さねえ男だから、なア、仕方がねえから放しなさえ、だが、敲くのは止せよ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
光秀の面色は、その
酔
(
えい
)
も、きんか頭の
額
(
ひたい
)
の照りまでも、さっと
褪
(
あ
)
せて、土のように変じていた。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
金の額ぶちのように
背負
(
しょ
)
って、揚々として大得意の
体
(
てい
)
で、
紅閨
(
こうけい
)
のあとを一散歩、
贅
(
ぜい
)
を
遣
(
や
)
る黒外套が、悠然と、柳を眺め、池を
覗
(
のぞ
)
き、火の見を仰いで、
移香
(
うつりが
)
を
惜気
(
おしげ
)
なく、
酔
(
えい
)
ざましに
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
毎日
判
(
はん
)
で押したようにつづきましたが、
丁字
(
ちょうじ
)
風呂の二階に、ぽッと春の灯が
橙色
(
だいだいいろ
)
にともるころになりますと、お蝶も、日本左衛門も、期せずして
酔
(
えい
)
のさめたようなひとみに変り
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と一盃飲んでお梅に
献
(
さ
)
す、お梅が飲んで和尚に献す。その
中
(
うち
)
酒の
酔
(
えい
)
が廻って来まして
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
早
夜
(
よ
)
は更けて、夏とはいえど、風
冷々
(
ひやひや
)
と身に染みて、
戦慄
(
ぞっ
)
と寒気のさすほどに、
酔
(
えい
)
さえ
醒
(
さ
)
めて茫然と金時は
破垣
(
やれがき
)
に
依懸
(
よりかか
)
り、眠気つきたる
身体
(
からだ
)
の
重量
(
おもみ
)
に、竹はめっきと折れたりけり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
献
(
さ
)
いつ
酬
(
おさ
)
えつ酒を飲んで居る
中
(
うち
)
に、互に
酔
(
えい
)
が発して参りました。
彼
(
か
)
の女は目の
縁
(
ふち
)
をボッと桜色にして、何とも云えない自堕落な
姿
(
なり
)
に成りましたが、治平はちゃんとして居ります。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
真面目な話に
酔
(
えい
)
もさめたか、愛吉は
肩肱
(
かたひじ
)
を
内端
(
うちは
)
にして、見ると
寂
(
さみ
)
しそうで
哀
(
あわれ
)
である。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どうなることかと、満堂の人々は
酔
(
えい
)
をさまし、
口腔
(
くち
)
の乾く思いをじっと抱いていた。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
甘
(
うめ
)
え仕事もねえのサ……親方御免なせえ……お爺さん熱くして一本
酣
(
つ
)
けておくれ、お爺さん、カラどうも
酔
(
えい
)
が醒めちゃア
生地
(
いくじ
)
がねえんだ、寒い時と
怖
(
こえ
)
え時は酒でなくッちゃア
凌
(
しの
)
げねえから
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
店の亭主が
向顱巻
(
むこうはちまき
)
で
気競
(
きそ
)
うから菊正宗の
酔
(
えい
)
が一層
烈
(
はげ
)
しい。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
素
(
もと
)
より好きな酒、又市二三杯飲むうち、少し止めて居たから顔へ色がぼうと出ましたけれども、桜色という訳にはいきません、
栗皮茶
(
くりかわちゃ
)
のような色に成りましたが、だん/\
酔
(
えい
)
が廻りますと
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と気が附いたから少し酒の
酔
(
えい
)
が
醒
(
さ
)
めた。
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
酔
常用漢字
中学
部首:⾣
11画
“酔”を含む語句
酔漢
酔醒
宿酔
微酔
生酔
酔臥
泥酔漢
馬酔木
麻酔
麻酔薬
酔客
酔倒
酔狂
酔興
泥酔
酔払
爛酔
酔心地
悪酔
酣酔
...