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護謨
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ゴム
ふりがな文庫
“
護謨
(
ゴム
)” の例文
掌
(
てのひら
)
は痛むし、首筋は腫れるし、胃袋もどうやら紅茶臭くなっているようだ、その他の部分も少し休養させなくては
護謨
(
ゴム
)
が伸びてしまう
ノンシャラン道中記:03 謝肉祭の支那服 ――地中海避寒地の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
一人は細い
杖
(
つえ
)
に
言訳
(
いいわけ
)
ほどに身をもたせて、
護謨
(
ゴム
)
びき靴の右の
爪先
(
つまさき
)
を、
竪
(
たて
)
に地に突いて、左足一本で細長いからだの中心を
支
(
ささ
)
えている。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
したがって、
套靴
(
オヴァ・シューズ
)
を付けた人物の来た時刻が、
護謨
(
ゴム
)
製の長靴と思われる方と同時か、あるいはそれより以後である事は明らかなのである。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
逆巻く
濤
(
なみ
)
のように、
梢
(
こずえ
)
や枝葉を空に振り乱して荒れ狂っている原始林の中を
整頓
(
せいとん
)
して、
護謨
(
ゴム
)
の植林がある。青臭い厚ぼったいゴムの匂いがする。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
まくりや、米の粉は心得たろうが、しらしら
明
(
あけ
)
でも夜中でも
酒精
(
アルコオル
)
で牛乳を
暖
(
あった
)
めて、
嬰児
(
あかんぼ
)
の口へ
護謨
(
ゴム
)
の管で含ませようという世の中じゃあなかった。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
その拍子にぐにゃりと柔かいが、しかし弾力のあるあたかも
護謨
(
ゴム
)
の如きものの上に、両掌と膝頭とを突いたのだった。
黒猫十三
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
甲谷はイギリス政府の
護謨
(
ゴム
)
制限撤廃の声明が、今頃自分の嫁探しにこんなに早く、影響を及ぼそうとは考えなかった。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
これを例えば当時の封建社会は、既にその弾力を失したる
護謨
(
ゴム
)
枕の如し、
而
(
しこう
)
して空気の量は
倍々
(
ますます
)
その中に膨脹し来る。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
その店のある
階床
(
フロア
)
には固
護謨
(
ゴム
)
製の品を山と積んだ卓子が沢山あった。櫛、腕輪、胸にさす
留針
(
ピン
)
、安っぽい装身具、すべて言語に絶した野蛮な物である。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
トラカルの
護謨
(
ゴム
)
の管から際限もなく流れ落つる濃黄色の液體を目撃するまでは、確かにさうと信じかねてゐた。
郁雨に与ふ
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ジヨホオルでの
護謨
(
ゴム
)
栽培は一年の借地料が一エエカア五十銭だ。
先
(
ま
)
づ山地の密林を
伐
(
き
)
り開いて無数の大木を焼棄するのに費用が
要
(
い
)
る。
此
(
この
)
焼棄が容易で無い。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
護謨
(
ゴム
)
の手袋を拝借して、手術室に行って見物する、手術と云っても、盲腸炎やヘルニアの切開ぐらいだが、雨の日の退屈まぎれには、目先きが変って面白かった。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
しかし、父は
先
(
ま
)
ず、曳舟通りなんぞにある
護謨
(
ゴム
)
会社や石鹸工場のなかへ私を連れてはいり、しばらく用談をしている間、私を事務所の入口に一人で待たせておいた。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
色のついた線を作るには細い格子のようなものと
護謨
(
ゴム
)
写真と同じ法で板に写しこれを染めるのである。
話の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
帽子を被って二重マントを着た、
護謨
(
ゴム
)
長靴ばきの彼れの姿が、自分ながら
小恥
(
こはずか
)
しいように想像された。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
片隅
(
かたすみ
)
に
外套
(
がいとう
)
を脱捨つれば、彼は
黒綾
(
くろあや
)
のモオニングの
新
(
あたらし
)
からぬに、
濃納戸地
(
こいなんどじ
)
に
黒縞
(
くろじま
)
の
穿袴
(
ズボン
)
の
寛
(
ゆたか
)
なるを着けて、
清
(
きよら
)
ならぬ
護謨
(
ゴム
)
のカラ、カフ、
鼠色
(
ねずみいろ
)
の
紋繻子
(
もんじゆす
)
の
頸飾
(
えりかざり
)
したり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
が、彼は
敵
(
かたき
)
の勝平からさうした恩恵を受けたことを、死ぬほど恥しがつて、学業を捨ててしまつて、遠縁の親戚が経営してゐるボルネオの
護謨
(
ゴム
)
園に走らうとしてゐる。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
運転手ははずしたタイヤをガバガバガバと地上にひっ転がすと、今度のまた破損の箇処にゴムの継ぎを当て当て、アラビヤ
護謨
(
ゴム
)
で
粘着
(
くっつ
)
けると、トントンと叩いて見た。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
彼は和服を一番悪い洋服に着換えて
護謨
(
ゴム
)
の長靴を穿き、レインコートに防水帽を
被
(
かぶ
)
って出かけたが、半丁ほど行って振り返ると、後からお春が
尾
(
つ
)
いて来るのに心づいた。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
順天では朝鮮靴、七宝の指輪、
刺繍
(
ししゅう
)
の類など。中でも靴は形が
卓
(
すぐ
)
れ細工も見事であった。惜しいことに今は一般にこの種のものが廃れ、到るところ
護謨
(
ゴム
)
靴に代られている。
全羅紀行
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
秋子の
盲乳
(
めくらぢち
)
によりも一層安々と、
護謨
(
ゴム
)
の乳首に吸いついて、咽せるほど吸っている子供の様子を、順造は涙ぐましい心地で眺めた。秋子も首を伸して、その方を眺めていた。
幻の彼方
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「俺はあの女を泣かせる事に興味を覚えていた。あの女を叩くと、まるで
護謨
(
ゴム
)
のように弾きかえって、体いっぱい力を入れて泣くのが、見ていてとてもいい気持ちだった。」
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
護謨
(
ゴム
)
の林の奥を目がけてヒューッとその矢を放すと同時に、木立の上から南洋鷹が弾丸のように落ちて来た。武器の手入れをする土人もある。銅笛を吹いている土人もある。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
胴体も
悉
(
ことごと
)
く、灰黒色の
護謨
(
ゴム
)
布で包んで、手にはやはり護謨と、絹の二重の黒手袋を、又、両脚にも寒海の漁夫が
穿
(
は
)
くような巨大なゴムの長靴を
穿
(
うが
)
っておりますが、その中に
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「マガイ」とは
馬爪
(
ばづ
)
を
鼈甲
(
べっこう
)
に似たらしめたるにて、現今の
護謨
(
ゴム
)
を
象牙
(
ぞうげ
)
に
擬
(
ぎ
)
せると同じく似て非なるものなれば、これを以て妾を呼びしことの
如何
(
いか
)
ばかり名言なりしかを知るべし。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
兩側にはいとすぎ、
亞刺比亞
(
アラビア
)
護謨
(
ゴム
)
の木(アカチア)茂りあひて、その下かげに今樣なる石像、噴水などあり。中央には四つの石獅に圍まれたる、セソストリス時代の記念塔あり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
早く
頬摺
(
ほおずり
)
して
膝
(
ひざ
)
の上に乗せ取り、
護謨
(
ゴム
)
人形空気鉄砲珍らしき
手玩具
(
おもちゃ
)
数々の
家苞
(
いえづと
)
に
遣
(
や
)
って、喜ぶ様子見たき者と足をつま
立
(
だ
)
て三階四階の
高楼
(
たかどの
)
より日本の方角
徒
(
いたず
)
らに
眺
(
ながめ
)
しも度々なりしが
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そして
加之
(
しかのみならず
)
、事実を興味深く粉飾するために、何の小説にも一様に、
護謨
(
ゴム
)
靴の刑事と、お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
の賊とが現れ、色悪と当時称せられた姦淫が事件の裏に
秘
(
ひそ
)
んでいるのに極まっていた。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
護謨
(
ゴム
)
管を透して薬剤注入の用意をなし、全くその手術を終りたるは八時半なりし。
早稲田大学
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
僕たちの車の
硝子
(
ガラス
)
が、
護謨
(
ゴム
)
毬
(
まり
)
をたたきつけたかのようにジジーンと音を立てた。
人造人間殺害事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
敬二東道の下に章子を帯同、一路自動車にて奥田
彩坡
(
さいは
)
経営の
士乃
(
セナイ
)
の
護謨
(
ゴム
)
園を訪ふ。
横光利一
(
よこみつりいち
)
同道。帰途タンジヨン・カトンの玉川ガーデン、敬二居等に立寄り、今日の吟行地植物園に下車。
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
○ベースボールに要するもの はおよそ千坪ばかりの平坦なる地面(
芝生
(
しばふ
)
ならばなお
善
(
よ
)
し)皮にて包みたる
小球
(
ボール
)
(直径二寸ばかりにして中は
護謨
(
ゴム
)
、糸の
類
(
たぐい
)
にて
充実
(
じゅうじつ
)
したるもの)
投者
(
ピッチャー
)
が投げたる球を
ベースボール
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
下半身不随のこの老史学者は、ちょうど傷病兵でも使うような、
護謨
(
ゴム
)
輪で滑かに走る手働四輪車の上に載っているからだった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
この色の前に平身せざるものは、弾力なき
護謨
(
ゴム
)
である。一個の人として世間に通用せぬ。小野さんはいい色だと思った。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
非常に貧弱な魚の
羮
(
スープ
)
、それ程不味くもない豆の
糊状物
(
ペースト
)
、生で膳にのせ、割合に美味な
海胆
(
うに
)
の卵、
護謨
(
ゴム
)
のように強靭で、疑もなく栄養分はあるのだろうが
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
上り口をちょっと入った処に、茶の詰襟の服で、
護謨
(
ゴム
)
のぼろ靴を
穿
(
は
)
いて、ぐたぐたのパナマを被った男が、
撥
(
ばち
)
で
掌
(
てのひら
)
を
敲
(
たた
)
きながら、用ありそうに立っている。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
十二三年前に
文
(
ふみ
)
の上の
交
(
まじは
)
りせし同氏は今
新嘉坡
(
シンガポウル
)
より五六十里奥の山にて
護謨
(
ゴム
)
の栽培に従事され
居
(
を
)
るよしに
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
が、彼は
敵
(
かたき
)
の勝平からそうした恩恵を受けたことを、死ぬほど恥しがって、学業を捨ててしまって、遠縁の
親戚
(
しんせき
)
が経営しているボルネオの
護謨
(
ゴム
)
園に走ろうとしている。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
扉のところによれよれになった
護謨
(
ゴム
)
のようなものがはさまっていて、開ける拍子にぽろりと落ちたので、それも拾って、ハンケチと一緒にポケットの中に入れてしまいました。
機密の魅惑
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
それに犬の男根のような若芽の
護謨
(
ゴム
)
苗や、浅緑の三尺バナナや、青くて柔かな豆の葉や、深い緑のトマトの葉、褐色の
鳳梨
(
パイナップル
)
やが、朱紅色の土の上に、まるで
印度更紗
(
インドさらさ
)
のように
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
ハッと眼が覚めて
前方
(
まえ
)
を見ると朝陽に照らされた
護謨
(
ゴム
)
林が壁のように立っているじゃないか! 思わず僕は飛び起きたね。そうしてみんなを揺り起こして船をその岸へ着けたものさ。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お尻の上の帯をゆすぶりゆすぶり玄関の
扉
(
ドア
)
を開いて、新派悲劇みたいな
姿態
(
ポーズ
)
を作って案内したから吾輩も堂々と玄関のマットの上に
片跛
(
かたびっこ
)
の
護謨
(
ゴム
)
靴を脱いで、古山高帽を帽子掛にかけた。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
回教の寺院へ参り、それより
護謨
(
ゴム
)
園を見に行く。四十哩の速力で三四十分の間、両側は護謨林ばかりだ。紅葉期らしく、護謨は紅葉。突如として香料の匂いが林中から吹き襲う。香木があるらしい。
欧洲紀行
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
私の父は本所に小さな
護謨
(
ゴム
)
工場を持っていた。それが今度すっかり焼けてしまったので、その善後策を講ずるために、殆んど毎日のように父は出歩いていたので、私はいつも一人で留守番をしていた。
三つの挿話
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
護謨
(
ゴム
)
の新原料
話の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しかし、他からの運動には全然無抵抗で、まるで、柔軟な蝋か
護謨
(
ゴム
)
の人形のように、手足はその動かされた所の位置に、いつまでも停止している。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
手持無沙汰
(
てもちぶさた
)
なのは
鉛筆
(
えんぴつ
)
の
尻
(
しり
)
に着いている、
護謨
(
ゴム
)
の頭でテーブルの上へしきりに何か書いている。野だは時々山嵐に話しかけるが、山嵐は一向応じない。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
凡
(
すべ
)
て壮年期の
椰子
(
やし
)
許
(
ばか
)
りで、
其間
(
そのあひだ
)
に近年
護謨
(
ゴム
)
栽培𤍠の流行する影響から
若木
(
わかぎ
)
の
護謨樹
(
ゴムじゆ
)
を植ゑた所もある。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
窓が両開き硝子
扉
(
ドア
)
であり、華麗のカーテンがかかって居り、床が
護謨
(
ゴム
)
敷になって居り、煖炉の前にオリエンタルカラーの、
段通
(
だんつう
)
が一面に敷いてあるのも、好ましい趣味でありましたよ。
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「車輛会社にゃかなわん。
護謨
(
ゴム
)
輪でん何でんチャアンと持っとる。はっはっは。」
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
“護謨(
ゴム
)”の解説
ゴム(護謨、nl: gom)は、元来は植物体を傷つけるなどして得られる無定形かつ軟質の高分子物質。現在では、後述の天然ゴムや合成ゴムのような有機高分子を主成分とする一連の弾性限界が高く弾性率の低い材料すなわち弾性ゴムを指すことが多い。エラストマーの一種であり、エラストマーはゴムと熱可塑性エラストマーの二つに分けられる。
(出典:Wikipedia)
護
常用漢字
小5
部首:⾔
20画
謨
漢検1級
部首:⾔
17画
“護謨”で始まる語句
護謨輪
護謨毬
護謨風船
護謨林
護謨靴
護謨園
護謨底
護謨球
護謨樹
護謨合羽