トップ
>
袴
>
ばかま
ふりがな文庫
“
袴
(
ばかま
)” の例文
誰か、
後
(
うしろ
)
から追いかけて来る者がある。編笠を
被
(
かぶ
)
って、
干飯袋
(
ほしいぶくろ
)
に旅の持物を入れ、短い義経
袴
(
ばかま
)
の袴腰にくくり付けている若者だった。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
稽古
袴
(
ばかま
)
をはいて、
竹刀
(
しない
)
の先へ
面小手
(
めんこて
)
を
挾
(
はさ
)
んで、肩に担いで部屋を出たが,心で思ッた、この勇ましい姿、
活溌
(
かっぱつ
)
といおうか雄壮といおうか
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
袖
(
そで
)
には白の先へ幅三寸ぐらいの赤い絹が
縫足
(
ぬいた
)
してあった。彼らはみな白の
括
(
くく
)
り
袴
(
ばかま
)
を
穿
(
は
)
いていた。そうして
一様
(
いちよう
)
に
胡坐
(
あぐら
)
をかいた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こういう種類のではたとえばたっつけ
袴
(
ばかま
)
のカルサンというのがインドへんから来ているかと思うと、イタリアにも類似の名が出て来たりするのである。
比較言語学における統計的研究法の可能性について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
弥吉は、そのまま縁側に手をついたなり、
俯向
(
うつむ
)
いてしまった。磨きをかけた縁板に、児太郎の小姓
袴
(
ばかま
)
の銀縫いの影がちらついていた。口が過ぎたのだ。
お小姓児太郎
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
▼ もっと見る
多くは雨が降ろうが日が照ろうがブラブラ遊んでいて、いよいよ
切迫
(
せっぱ
)
つまって初めて不精不精に
印袢纏
(
しるしばんてん
)
をひっかけたり破れ
袴
(
ばかま
)
の
皺
(
しわ
)
をのしたりして出かけた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「いえ、とがめるわけぢやありません。死骸の足が二本とも、マチ
袴
(
ばかま
)
の一方に入つて居るのが變だつたんです、死んでから誰か袴を
穿
(
は
)
かせたことになりますね」
銭形平次捕物控:267 百草園の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
床の間のふちに後頭部を載せて、赤く変色した黒紋つきの襟をはだけ、灰いろによごれた白
袴
(
ばかま
)
の脚を投げ出して、一角の兄、清水狂太郎は、ぐっすり眠っていた。
口笛を吹く武士
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
忍びだから常着に馬乗り
袴
(
ばかま
)
で、塗笠も常のものをかぶった。片道が約五里、朝の八時に城を出て、ゆきは登りが多いから、目的地へ着くまでに馬を三度休ませた。
若き日の摂津守
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
隣室に詰めていた蜈蚣衆、その頭領の
琢磨
(
たくま
)
小次郎が、黒小袖に黒頭巾、黒の鼻緒の
草鞋
(
わらじ
)
を
穿
(
は
)
き、黒の伊賀
袴
(
ばかま
)
に黒
手甲
(
てっこう
)
、眼だけ頭巾の隙から出し、
膝行
(
しっこう
)
して末座へ平伏した。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いくらにでも金にすればよいので、時価なぞにかまっていないよいお得意なのだから、彼らの番頭はうやうやしく町人
袴
(
ばかま
)
をはき、手代を
供
(
とも
)
につれて
香奠
(
こうでん
)
をもって悔みにくる。
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
昔はぶっさき
袴
(
ばかま
)
の侍がその上に立って、四辺を
睥睨
(
へいげい
)
したであろう。石垣に続いた土手は、ゆるい傾斜で、濠の水面まですべっていた。水は青いぬらで
澱
(
よど
)
んでいた。菱の葉が浮いていた。
四谷、赤坂
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
狩衣
(
かりぎぬ
)
、
差貫
(
さしぬき
)
ようのもの、
白丁
(
はくちょう
)
にくくり
袴
(
ばかま
)
、或いは
半素袍
(
はんすおう
)
角頭巾
(
かくずきん
)
、
折烏帽子
(
おりえぼし
)
に
中啓
(
ちゅうけい
)
、さながら能と
神楽
(
かぐら
)
の衣裳屋が引越しをはじめたようにゆるぎ出すと、笛と大拍子大太鼓がカンラカンラ
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ゆうべ、柿江のはいているぼろ
袴
(
ばかま
)
に眼をつけて、袴ほど今の世に無意味なものはない。袴をはいていると
白痴
(
はくち
)
の馬に乗っているのと同じで、腰から下は自分のものではないような気がする。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
講武所
(
こうぶしょ
)
ふうの
髷
(
まげ
)
に
結
(
ゆ
)
って、黒
木綿
(
もめん
)
の紋付、
小倉
(
こくら
)
の馬乗り
袴
(
ばかま
)
、
朱鞘
(
しゅざや
)
の大小の長いのをぶっ込んで、
朴歯
(
ほおば
)
の高い下駄をがらつかせた若侍が、大手を振ってはいって来た。彼は
鉄扇
(
てっせん
)
を持っていた。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
穏和
(
おだやか
)
な声した
親仁
(
おやじ
)
は、笹葉にかくれて、
崖
(
がけ
)
へ半ば
踞
(
しゃが
)
んだが、黒の
石持
(
こくもち
)
の羽織に、びらしゃら
袴
(
ばかま
)
で、つり革の頑丈に太い、
提革鞄
(
さげかばん
)
を
斜
(
はす
)
にかけて、柄のない
錆小刀
(
さびこがたな
)
で、松の根を
掻廻
(
かきま
)
わしていた。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
入側様
(
いりがわよう
)
になりたる方より、がらりと障子を手ひどく引開けて突入し来たる一個の若者、
芋虫
(
いもむし
)
のような太い前差、くくり
袴
(
ばかま
)
に
革
(
かわ
)
足袋
(
たび
)
のものものしき出立、真黒な髪、火の如き赤き顔、輝く眼
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
【映画】 正木博士は
羊羹
(
ようかん
)
色の紋付羽織、セルの
単衣
(
ひとえ
)
にセル
袴
(
ばかま
)
、洗い
晒
(
ざら
)
しの白足袋という村長然たる
扮装
(
いでたち
)
で、入口と正反対の窓に近い椅子の上に、悠然と葉巻を吹かしつつ踏ん
反
(
ぞ
)
りかえっている。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼らはみなくくり
袴
(
ばかま
)
のすはだしであったから、当然、騎馬にも兵にも見すてられ、たちまちその衣冠は野伏たちに
剥
(
は
)
ぎとられていた。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いかめしい
後鉢巻
(
うしろはちまき
)
をして、
立
(
た
)
っ
付
(
つ
)
け
袴
(
ばかま
)
を
穿
(
は
)
いた男が十人ばかりずつ、舞台の上に三列に
並
(
なら
)
んで、その三十人がことごとく抜き身を
携
(
さ
)
げているには
魂消
(
たまげ
)
た。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
なんでも
袖
(
そで
)
の短い綿服にもめん
袴
(
ばかま
)
をはいて、
朴歯
(
ほおば
)
の
下駄
(
げた
)
、握り太のステッキといったようないで立ちで、言わば明治初年のいわゆる「書生」のような格好をしておられた。
田丸先生の追憶
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
道場へ出てもぬがないし、稽古
袴
(
ばかま
)
を裾さがりにはいて、殆んど足首まで隠すようにしていた。
月の松山
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ノソリと現われたのは、野狩りのかえりででもあろうか、たっつけ
袴
(
ばかま
)
をはいた若い侍で
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
無言で振り返った娘の眼の前に、一人の
供侍
(
ともざむらい
)
を従えて、おおらかにたたずんでいる人物があったが、
道服
(
どうふく
)
の下から
括
(
くく
)
り
袴
(
ばかま
)
の裾が、
濃
(
こい
)
紫に見えているところから推して、
公卿
(
くげ
)
であることがうかがわれた。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
頭には陣笠、
羅紗羽織
(
らしゃばおり
)
を着て、羽織の上から
白襷
(
しろだすき
)
をかけ、くくり
袴
(
ばかま
)
に
草鞋
(
わらじ
)
ばきであった。左の腕に、長州藩の伍長級の腕章を縛りつけている。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
派手な色柄の武者
袴
(
ばかま
)
に水浅黄の小袖を着、
襷
(
たすき
)
、鉢巻をして、
赤樫
(
あかがし
)
の稽古
薙刀
(
なぎなた
)
を持っている。口上が済むと、舞台の一方に三人の男があらわれ、紅白の
毬
(
まり
)
を取って美若太夫に投げる。
みずぐるま
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
白木綿の鉢巻でまっ黒に伸びた頭髪を
箒
(
ほうき
)
のように縛り上げて、よれよれの
縞
(
しま
)
の着物とたっつけ
袴
(
ばかま
)
に
草鞋
(
わらじ
)
がけといういでたちで、それにまっかな木綿の
扱帯
(
しごき
)
のようなもので
襷
(
たすき
)
がけをした
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
馬
(
うま
)
乗り
袴
(
ばかま
)
が、さやさやと鳴る。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
朱
(
しゅ
)
を
捺
(
な
)
すったような顔に、青すじを
膨
(
ふく
)
らませて、河和田の平次郎は、こよいも、仕事
袴
(
ばかま
)
も
脱
(
と
)
らずに、帰るとすぐ膳の酒に向ってまた例のわめきだった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幸之進は
綸子
(
りんず
)
の着物に大口
袴
(
ばかま
)
、武者鉢巻をしてたすきをかけ、下に
鎖帷子
(
くさりかたびら
)
を着たものものしい姿であったが、三之丞は木綿の着物に
葛布
(
くずふ
)
の短袴、わら草履という無雑作な恰好だから
備前名弓伝
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
馬のり
袴
(
ばかま
)
に、
桔梗色
(
ききょういろ
)
の
袖無
(
そでなし
)
を羽織り、
朱房
(
しゅぶさ
)
の
鞭
(
むち
)
を手にして——伊吹の牧へよく乗りまわしに出るのだった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
馬乗り
袴
(
ばかま
)
を
括
(
くく
)
り上げ、物々しげに
脚絆
(
きゃはん
)
までつけているのだ。朝から駆け廻っているらしい疲れた顔や背中に、雪泥が
刎
(
は
)
ねあがっているのも
凡事
(
ただごと
)
の姿ではなかった。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
腋
(
わき
)
の下を拭きながら、周馬とくすぐったがりながら、空いている浜小屋のひとつへ入ってくる、とそこに天堂一角が、水
襦袢
(
じゅばん
)
に馬乗
袴
(
ばかま
)
の姿で、腕をくんで
鬱
(
ふさ
)
いでいた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しがらき茶屋を出て、ボロ
袴
(
ばかま
)
を風になびかせながら、その五、六名は、首を振って歩いていた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二年ほど前から肥り気味になって、胴の長い脚の短い生れつきの体が、よけい
畸形
(
きけい
)
に見えて来ているが、黄金の太刀や、高貴な織物の小袖
袴
(
ばかま
)
は、お館の尊厳をつつんで
褄先
(
つまさき
)
も余さなかった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
腰のひくい
凡下
(
ぼんげ
)
だ。職人
袴
(
ばかま
)
に
烏帽子
(
えぼし
)
をかぶっている。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“袴”の解説
袴(はかま)とは、日本で下半身に着用する伝統的な衣類の一つ。
(出典:Wikipedia)
袴
漢検準1級
部首:⾐
11画
“袴”を含む語句
下袴
洋袴
雪袴
細袴
短袴
袴下
女袴
御袴
袴腰
膝行袴
藤袴
長袴
袴着
山袴
海老茶袴
白袴
裁付袴
袴垂
大口袴
舞袴
...