美麗びれい)” の例文
すなわち花はまこと美麗びれいで、つ趣味にんだ生殖器であって、動物のみにくい生殖器とは雲泥うんでいの差があり、とてもくらべものにはならない。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「はい、夏向なつむき随分ずいぶん何千人という東京からの客人で、目の覚めるような美麗びれいかたもありまするが、なかなかこれほどのはないでございます。」
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大佐たいさいへは、海面かいめんより數百尺すひやくしやくたか斷崖だんがいうへたてられ、まへはてしなき印度洋インドやうめんし、うしろ美麗びれいなる椰子やしはやしおほはれてる。
選釈にもすでに解説が試みられ、三・四行の始めの語は美麗びれいを意味する形容詞、テウタマは頸飾くびかざりのたまのことらしいが、是に対するテウツシヤは不明だとある。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
北方に佳人かじんありといひしも、北は陰位いんゐなれば女に美麗びれいを出すにやあらん。二代目の高尾は(万治)野州にうまれ、初代の薄雲うすぐもは信州にさんして、ともに北廓ほくかくに名をなせり。
三十九ねんぐわつ十九にちつたときには、美麗びれいなる貝塚曲玉かひづかまがたまの一しゆを(第四圖ニ參照)表面ひやうめんた。
清元きよもとの一派が他流のすべからざる曲調きよくてう美麗びれいたくした一節いつせつである。長吉ちやうきち無論むろん太夫たいふさんが首と身体からだ伸上のびあがらしてうたつたほど上手じやうずに、かつまたそんな大きな声でうたつたのではない。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
そして絵だの彫刻ちょうこくだの建築だのと違って、とにかく、生きものという生命を材料にして、恍惚こうこつとした美麗びれいな創造を水の中へ生み出そうとする事はいかに素晴すばらしい芸術的な神技であろう
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ことに夜の事で市中に輝いて居る幾万のバタの燈明とうみょうは、幾千百のガス燈のごとく白く明かな光を放ってある。その所へ美麗びれいに飾った雪洞ぼんぼり付の輦輿みこしに乗って行くのですから余程綺麗です。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
斯かる塲合ばあいに於ては美麗びれいなる石斧石鏃類は幾分か交換のなかだちの用を爲せしならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
つまり身分不相応ふそうおうに力を表門にそそぎて美麗びれい宏壮こうそうに築き上げ、人目を驚かし、しかして裏門は柱が曲り、戸がち、満足に開閉することも出来ず、出入りにも危険きけんならしむるがごときものである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
雑誌『明星みょうじょう』は体裁の美麗びれいなる事普通雑誌中第一のものなりしが遂に廃刊せしよし気の毒の至なり。今廃刊するほどならば最後の基本金募集の広告なからましかば、死際一層花を添へたらんかと思ふ。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
とげ翌朝泉岳寺へ引取けるに大勢の見物は雲霞うんかの如く忽ち四方に評判聞えけりこゝに庄左衞門がいもうと美麗びれいにして三味線みせんなどよくひくゆゑ品川の駿河屋何某のもとへ縁付けるに庄左衞門が父十兵衞は古稀こきに近くこしは二重に曲居まがりゐるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そして属名の Iris はにじの意で、それは属中多くの花が美麗びれいないろいろの色に咲くから、これを虹にたとえたものだ。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
わたくし夕食後ゆふしよくごいつものやうに食堂しよくだう上部じやうぶ美麗びれいなる談話室だんわしつでゝ、春枝夫人はるえふじん面會めんくわいし、日出雄少年ひでをせうねんには甲比丹カピテンクツクの冐瞼旅行譚ぼうけんりよかうだんや、加藤清正かとうきよまさ武勇傳ぶゆうでん
北方に佳人かじんありといひしも、北は陰位いんゐなれば女に美麗びれいを出すにやあらん。二代目の高尾は(万治)野州にうまれ、初代の薄雲うすぐもは信州にさんして、ともに北廓ほくかくに名をなせり。
粗製石棒そせいいしばうには兩端にたま無きもの、一端にたま有るもの、兩端に玉有るもののべつ有れど、精製せい/\石棒は兩端に玉有るをもつ定則じやうそくと爲すが如し。精製石棒せい/\いしばうの玉の部には徃々美麗びれいなる彫刻をほどこせしものり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
或人あるひと申しけるは、容顔ようがん美麗びれいなる白拍子しらびょうしを、百人めして、——
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
他へ縁付えんづけざる中はむかへ難し殊に我等未だ三十にも足ざれば急ぐにも及ばずとて請引うけひかざるにぞ當時の若者には珍敷めづらしきなりと一家中ほめざる者は無りける又妹お花と云は當年十六歳にて容顏ようがん美麗びれいなるは我朝の小町唐土もろこし楊貴妃やうきひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
エビスグサは夷草えびすぐさ、エビスグスリは夷薬えびすぐすり、ともに外国から来たことを示している。カオヨグサは顔美草かおよぐさで、花が美麗びれいだから、そういったものであろう。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
昨日きのふまでは、弦月丸げんげつまる美麗びれいなる船室キヤビンくらして、目醒めさむるとだい一に甲板かんぱんはして、曉天あかつきすゞしきかぜかれながら、いと心地こゝちよくながめたうみおもも、いまにはたゞ物凄ものすごゆるのみである。