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端折
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はしょ
ふりがな文庫
“
端折
(
はしょ
)” の例文
とひょいと立つと、
端折
(
はしょ
)
った
太脛
(
ふくらはぎ
)
の
包
(
つつ
)
ましい
見得
(
みえ
)
ものう、ト身を返して、
背後
(
うしろ
)
を見せて、つかつかと
摺足
(
すりあし
)
して、奥の
方
(
かた
)
へ駈込みながら
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その時お玉はふいと自分の
饒舌
(
しゃべ
)
っているのに気が附いて、顔を赤くして、急に話を
端折
(
はしょ
)
って、元の詞数の少い対話に戻ってしまう。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
端折
(
はしょ
)
りのしごきを解き
棄
(
す
)
て、
膝
(
ひざ
)
の上に抱かれたまま身をそらすようにして
仰向
(
あおむ
)
きに打倒れて、「みんな取って
頂戴
(
ちょうだい
)
、
足袋
(
たび
)
もよ。」
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と話をして居る処へ帰って来たのは、此の村の人で、
年齢
(
とし
)
二十二三になる男で、尻を
端折
(
はしょ
)
り、寒さをも
厭
(
いと
)
わずスタ/\帰って参り
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
藍
(
あい
)
の
縞物
(
しまもの
)
の尻を
端折
(
はしょ
)
って、
素足
(
すあし
)
に下駄がけの
出
(
い
)
で
立
(
た
)
ちは、何だか鑑定がつかない。
野生
(
やせい
)
の
髯
(
ひげ
)
だけで判断するとまさに
野武士
(
のぶし
)
の価値はある。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
それから本所まで、暑い時分で、尻を
端折
(
はしょ
)
って駆け出すわけにも行かず、
町駕籠
(
まちかご
)
を飛ばして、行き着いたのは、かれこれ昼頃。
銭形平次捕物控:018 富籤政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
このあたりへは小娘まで遊びに来て、腕まくりをしたり、尻を
端折
(
はしょ
)
ったりして、足を水に浸しながら余念なく遊び廻っていた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
故意
(
わざ
)
とだろう、古風な装いをして、紫
被布
(
ひふ
)
なんか着て、短かく
端折
(
はしょ
)
った裾から浅黄色の足袋をのぞかせ、すっきりとしたいい姿を見せていた。
美人鷹匠
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
くるりと裾を
端折
(
はしょ
)
って、膝まで水につかりながら、二本の木の竿に結びつけた破れた
曳網
(
ひきあみ
)
をひっぱって池の中を歩いていた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
外はようやく白みかけた時刻で、大音寺の前まで来ると、雨がぱらついて来、彼は裾を
端折
(
はしょ
)
って、小走りに道をいそいだ。
赤ひげ診療譚:03 むじな長屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
もう着換えのすんだ慎太郎は、梯子の上り口に
佇
(
たたず
)
んでいた。そこから見える台所のさきには、
美津
(
みつ
)
が裾を
端折
(
はしょ
)
ったまま、
雑巾
(
ぞうきん
)
か何かかけている。
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
外記は浅黄色の
単衣
(
ひとえもの
)
の裾を高くからげて、大小を落し差しにしていた。女は緋の長襦袢の上に黒ずんだ縮緬を
端折
(
はしょ
)
って、水色の
細紐
(
しごき
)
を結んでいた。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
七兵衛は
尻
(
しり
)
を
端折
(
はしょ
)
った。そうして、すっと、歩き出した。今まで
廓
(
くるわ
)
の中をブラリブラリと歩いていたのとは
足並
(
あしなみ
)
が違う。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それでも
甲斐々々
(
かいがい
)
しい仕事ができないので、
襷掛
(
たすきが
)
けでもする時には、裾をたくり上げたり
端折
(
はしょ
)
ったりしたのだが、やはりずるずるとしてよくは働けない。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
私も娘も
悦
(
よろこ
)
んだ。この辺の砂は
眩
(
まぶし
)
いくらい白く、
椰子
(
やし
)
の密林の列端は
裾
(
すそ
)
を
端折
(
はしょ
)
ったように海の中に入っている。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
と、口で、拍子をとって、尻を
端折
(
はしょ
)
った。そして、鉢巻をしめて高座へ上って、手をかざして、延び上りながら
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
若僧は先ず
自
(
みずか
)
ら尻を高く
端折
(
はしょ
)
って蓑を
甲斐〻〻
(
かいがい
)
しく手早く着けて、そして大噐氏にも手伝って一ツの蓑を着けさせ、竹の
皮笠
(
かわがさ
)
を
被
(
かぶ
)
せ、その
紐
(
ひも
)
を
緊
(
きび
)
しく結んでくれた。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
グイとお尻を
端折
(
はしょ
)
ったお六。長庵とつれ立ってスタスタ、旦那の造酒を置いてきぼりにして
逐電
(
ちくでん
)
する。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
血刀を下げて突っ立ったのは、例のつけて来た浪人であったが、裾を高々と
端折
(
はしょ
)
っていた。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
二人
(
ふたり
)
の
問答
(
もんどう
)
はまだいろいろありますが、
一
(
ひ
)
と
先
(
ま
)
ずこの
辺
(
へん
)
で
端折
(
はしょ
)
ることにいたしましょう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
あるいは余り文章が長くなることを憂へて短くするとならば、それはほかの処をいくらでも
端折
(
はしょ
)
つて書くは
可
(
よ
)
いが、
肝腎
(
かんじん
)
な目的物を写す処は何処までも精密にかかねば面白くない。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
どう見ても貴族の娘だ、
﨟
(
ろう
)
たけた
五
(
いつ
)
つ
衣
(
ぎぬ
)
の
裾
(
すそ
)
を
端折
(
はしょ
)
って、
侍女
(
こしもと
)
もついていた。二人して泣いてなにかせがんでいるらしい。俺は、樹蔭にかくれて、罪なことだが、そっと見ていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それを
記
(
しる
)
す丈けでも、十分一篇の小説が出来上る程ですが、この物語の本題には直接関係のない事柄ですから、残念ながら、
端折
(
はしょ
)
って、ごく簡単に二三の例をお話するに
止
(
とど
)
めましょう。
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
帆村も丹前の
端
(
はし
)
を高々と
端折
(
はしょ
)
って、腕まくりをし、一行の後からついていった。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
目立たぬ
黒絣
(
くろがすり
)
の
単衣
(
ひとえ
)
のうえに、小柄な浅山のインバネスなどを着込んで、半分
窄
(
つぼ
)
めた男持ちの
蝙蝠傘
(
こうもりがさ
)
に顔を隠し、裾を
端折
(
はしょ
)
って出て行くお庄のとぼけた姿を見て、
従姉
(
あね
)
は腹を抱えて笑った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「それじゃ、困ったって知らないぞ」と定雄は云うと
尻
(
しり
)
を
端折
(
はしょ
)
った。
比叡
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
養子は着物を短く
端折
(
はしょ
)
って、膝から下をむき出しに日に
曝
(
さら
)
していた。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
夢かとばかり、旅僧の手から、坊やを抱取った清葉は、一度、継母とともに
立退
(
たちの
)
いて出直したので、
凜々
(
りり
)
しく腰帯で
端折
(
はしょ
)
っていた。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
叔父はこの言葉を
証拠立
(
しょうこだ
)
てるためだか何だか、さっそく立って
浴衣
(
ゆかた
)
の尻を
端折
(
はしょ
)
って下へ降りた。
姉弟
(
きょうだい
)
三人もそのままの姿で縁から降りた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
梅に
鶯
(
うぐいす
)
やら、浦島が子やら、
鷹
(
たか
)
やら、どれもどれも小さい
丈
(
たけ
)
の短い
幅
(
ふく
)
なので、天井の高い壁にかけられたのが、
尻
(
しり
)
を
端折
(
はしょ
)
ったように見える。
普請中
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
八五郎は駆け出しました、が、思い直した様子で立止まると、
裾
(
すそ
)
を七三に
端折
(
はしょ
)
って、手拭でヒョイと顔を包んだものです。
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お聞遊ばす
方
(
ほう
)
でもそれで御承知下されて、お喋りする方でも詰らないところは
端折
(
はしょ
)
って飛して仕舞うと申す次第で。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ときにはあねさまかぶりに
襷
(
たすき
)
をかけ、裾を
端折
(
はしょ
)
ったままで、——たぶん洗濯かなんかしていたのだろうが、——あたふたと土堤へ駆けだして来たりする。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
最初のような話しかたでは長くなりすぎるので、中ほどから大分
端折
(
はしょ
)
ってみた。この後に見つかる資料と合わせて、なるべくもう一度書いておこうと思う。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
尻を
端折
(
はしょ
)
って番傘をさげて、半七は暗い往来をたどってゆくと、神明前の大通りで足駄の鼻緒をふみ切った。
半七捕物帳:31 張子の虎
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
道子は着物の裾を
端折
(
はしょ
)
って堤防の上を駆けた。髪はほどけて肩に振りかかった。ともすれば堤防の上から足を踏み
外
(
はず
)
しはしないかと思うほどまっしぐらに駆けた。
快走
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
銀ごしらえの
脇差
(
わきざし
)
を
打込
(
ぶっこ
)
んだ具合、笠の紐の結び様から着物の
端折
(
はしょ
)
りあんばい、これもなかなか旅慣れた人らしいが、入って来ると笠の中から七兵衛をジロリと見ました。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
前へ行くその人は、六十近い、
白髯
(
しらひげ
)
の人で、
後方
(
うしろ
)
のは供人であろうか? 肩から紐で、木箱を腰に垂れていた。二人とも、白い下着の上に黄麻を重ね、裾を
端折
(
はしょ
)
って、紺
脚絆
(
きゃはん
)
だ。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
荒い大阪格子を立てた中仕切へ、鈴のついたリボンの
簾
(
すだれ
)
が下げてある。其下の
上框
(
あがりがまち
)
に腰をかけて靴を脱ぐ
中
(
うち
)
に女は
雑巾
(
ぞうきん
)
で足をふき、
端折
(
はしょ
)
った裾もおろさず下座敷の電燈をひねり
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
左の脚が膝の上まで、裾から捲くれて見えているのは、裾を
端折
(
はしょ
)
っているからであろう。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
外へ出ると、裾を
端折
(
はしょ
)
って夜露のふかい中をてくてくともう歩み出して行く。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
半之丞はちょうど一里ばかり離れた「か」の字村のある家へ
建前
(
たてまえ
)
か何かに行っていました。が、この町が火事だと聞くが早いか、尻を
端折
(
はしょ
)
る
間
(
ま
)
も惜しいように「お」の字
街道
(
かいどう
)
へ飛び出したそうです。
温泉だより
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ぐいと裾を
端折
(
はしょ
)
って、彦兵衛は表を指して走り出した。
釘抜藤吉捕物覚書:10 宇治の茶箱
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と、もう縞の小袖をしゃんと
端折
(
はしょ
)
って、昼夜帯を
引掛
(
ひっかけ
)
に結んだが、
紅
(
あか
)
い
扱帯
(
しごき
)
のどこかが漆の葉のように、
紅
(
くれない
)
にちらめくばかり。
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
八五郎は気軽に尻を
端折
(
はしょ
)
りました。少し花道を駆け出すような調子ですが、文句のないのと気の早いのと、そして鼻の良いのがこの男の
取柄
(
とりえ
)
です。
銭形平次捕物控:109 二人浜路
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
門野は
袴
(
はかま
)
を脱いで、尻を
端折
(
はしょ
)
って、重ね
箪笥
(
だんす
)
を車夫と一所に座敷へ抱え込みながら、先生どうです、この
服装
(
なり
)
は、笑っちゃ
不可
(
いけ
)
ませんよと云った。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
袴
(
はかま
)
の
裾
(
すそ
)
を
端折
(
はしょ
)
って
脊割羽織
(
せわりばおり
)
を
着
(
ちゃく
)
し、短かいのを差して手頃の棒を持って
無提灯
(
むぢょうちん
)
で、だん/\御花壇の方から廻りまして、
畠岸
(
はたけぎし
)
の方へついて参りますと
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ときにはあねさまかぶりに
襷
(
たすき
)
をかけ、
裾
(
すそ
)
を
端折
(
はしょ
)
ったままで、——たぶん
洗濯
(
せんたく
)
かなんかしていたのだろうが、——あたふたと土堤へ駆けだして来たりする。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
これから先は
端折
(
はしょ
)
って話すよ。これまでのような珍らしい話とは違って、いつ誰がどこで遣っても同じ事だからね。一体支那人はいざとなると、覚悟が好い。
鼠坂
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
つい見かねて「おい、尻を
端折
(
はしょ
)
ったらどうだ」といってやりましたが、小僧は振り向きもしないので、こんどは命令的に「おい、尻を端折れ」といいましたが
江戸の化物
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
端
常用漢字
中学
部首:⽴
14画
折
常用漢字
小4
部首:⼿
7画
“端折”で始まる語句
端折上
端折傘
端折目