いて)” の例文
多「危ねい所をお救い下さいやして、何処のお人だか有難うがんした、あゝいてい、頭が割れる程たれた、丁度二十七ちやんした」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
冷かし損ねて買って、見せびらかしに来たんだもの——忘れるものか。いてえや——親分。そんなにのどを締めたって、あとは何にも知らねエよ
「アいて……、ア痛ててて……」と、苦悶のしわを深くよせて、火のようなあえぎと一緒に、なんとしてか、ポロポロと涙を流した。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これに気を得ていさみをなし、二人の書生は腕を叩きこぶしふるうて躍懸おどりかかれば、たれぬさきに、「あいつ、」「おいて。」と皆ばたばた。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「それすんぢやねえ、かねえとこれつてやんぞ、あかまんまがるぞおゝいてえ」などとおつぎのいふのがきこえた。そのたび庖丁はうちやうおとむ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「手めえが悪いんだからだぞ。喧嘩なんかしやがつて、てめえのやうな奴は出てせろ、打たれていてえくらゐなら何故なぜ喧嘩なんかしやがるんだ。」
ある職工の手記 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
「こう仙果さん。どうしたもんだな。おめえこそ気でもちがったんじゃねえか。いてえ痛え。まア放してくんな。懐中ふところから大事な書きものがおっこちるぜ。」
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
泊り泊りの宿を重ねてとりが鳴くあずまの空と来やがる、くなそねむな、おや抜きゃがったな、抜いたな、お抜きなすったな、あいてッ、あ痛ッ、斬ったな、うぬ、斬りゃがったな
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「おおいてえ。えれえ見脈けんまくだな」作はほおっぺたを抑えながら、うらめしそうにお島の顔を眺めていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「お前さんも江戸っ児だ。辛抱しなさい。———この清吉の針は飛び切りにいてえのだから」
刺青 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「一年十二ヶ月、頭から約束しようというのだが——いてえよう。」
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
いてッ。——だ、だれだ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
惡「此の小柄は滅法にいてえや、おっか彼奴あいつは今夜大宮の栗原へ泊ると云ったから、今夜あとから往って意趣返いしゅげえしに仕事をして来るからよ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「アいてえ、もう、もうけっして、飛びだしません、親方ア、これから、気をつけます。か、かんにんしておくんなさい……」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おゝいてえまあ」とかほしかめてかれるまゝくびかたぶけていつた。みだれたかみ三筋みすぢ四筋よすぢ手拭てぬぐひともつよかれたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
与十 いてえ。(と叫んで)わっ、(と反る時、鯉ぐるみ竹の小笠を夕顔の蔭に投ぐ。)ひゃあ、藪沢やぶさわ大蟹おおがにだ。人殺し!
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「言うよ、言いますよ、——言わなくてどうするものですか、——おういてえ、喉仏のどぼとけがピリピリするじゃありませんか」
「あ、いてえ!」
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
母「少しぐらい小言を云われて絶息ひきつけるような根性で、何故んな訳になったんだかなア、いてえ……此方こっちへ顔を出すなよ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
昨日きにやうおもたくつてひどかつたつけぞ、所爲せゐ今日けふかたいてえや」おつぎはよろこばしげにいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「踏み抜きをしてしまッた。……アいて、ア痛。と、とんでもねえ物を踏みつけて」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おいてえ、痛え、」
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「あいてえ」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
八「アヽヽヽヽヽアーいてい、あんたはまア怪我といえば仕方がねいが、人の横腹よこッぱらへ石をっ附けたかなア」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「アーいてえ、こいつら、血迷いしやがって、ひどい目にあわせやがった」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
清「あゝいてえ/\、下駄を横に顛覆ひっくりけえすと滅法界めっぽうけえいたえもんだ、これだこれじゃア穿く事が出来ねえ」
「何を言やがる、いてえのは、あたりめえだ。……おい、はやく来い」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
音「能く掃除仕やすねえ、墓の間の草ア取って、まてえで向うへ出ようとする時にゃアよく向脛むこうずねッつけ、とびけえるようにいてえもんだが、わけえに能く掃除しなさるのう」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「オオ、いてえ! 才蔵さま、どうやらここは行止まりのようです」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三「アヽ鼻血が出た、與助、男の鼻血だから仔細はあるまいけれども、盆凹ぼんのくぼの毛を一本抜いて、ちり毛を抜くのはまじねえだから、アヽいてえ、其様そんなに沢山抜く奴があるか、一掴ひとつかみ抜いて」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「オオいてえ、ひでえまねをしやがる」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
由「あいてえ石頭を打付ぶッつけて……旦那ナニを……まじないでげすから貴方の下帯を外して貸して下さい下帯で釣りを掛けるといので、私のは越中でいけませんが、貴君あなたのは絹でげしょう」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「あいてッ! ちくしょうッ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
酒家しゅか沢山たんとの肴は要らない、香の物の好いのが有ればそれで沢山だ、しかひどい酒をのませやアがったなあゝいてえ、変な酒だな、おいお梅一寸ちょっと来て呉んな、ウ、ウ、腹が痛えから一寸来て呉れ
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「——いてえっ」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
清「さ云えよ、云わねえといてえめをさせるぞ、誰か太っけえ棒を持って来い、かどのそれ六角に削った棒があったっけ、なになげえ…切ってう……うむし…さ野郎、これでつが何うだ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「あいて……」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ枕元で喋るばかりでちっとも手が届かねえ、奥のふとったおきんさんと云うかみさんは、おれ引立ひったって、虎子おまるへしなせえってコウ引立ひきたって居てズンとおろすから、虎子でしりつのでいてえやな
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いてえ、なにをするんだ。妻「あんま向脛むかうずねの毛が多過おほすぎるから三ぼんぐらゐいたつていや、痛いと思つたらちつたアしやうくだらう。亭「アいてえ。妻「痛いと思つたら、女房にようばうよろしくてえのを思出おもひだすだらう。 ...
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
幸「己は少し駕籠で腰がいてえからまア先へ這入んねえ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
林「あゝいてえ、なんった、呆れて物が云われねえ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
海「いてえな、本当に縛るのか、えらいな、どうも」
森「あゝいてい、何をするんで」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
長「何だ、腹がいてえと」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)