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玩具
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おもちや
ふりがな文庫
“
玩具
(
おもちや
)” の例文
独りで鳴るラジオはゆき子には珍しい
玩具
(
おもちや
)
だつた。夕方、ジョオが戻つて行つてから、ゆき子は貰つた石けんを持つて銭湯に行つた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
子供が軽快に遊戯する
為
(
た
)
めの服装で無く、母親が子供を自分の
玩具
(
おもちや
)
にしたり他人に見せ附けたりする為にこてこてと着飾らせるのである。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
男といふものは女と同じやうに神様の
玩具
(
おもちや
)
に過ぎないが、女には胸を押へると泣き出す仕掛があるのに、男にはそれが無いだけの
相違
(
ちがひ
)
だ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
晩春が過ぎ、
玩具
(
おもちや
)
のやうなケイベン鉄道の笛の音が、麦畑の間からピーと聞え、海の色も紫がゝつた。間もなく、梅雨期に入つたのである。
環魚洞風景
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
この男——丁子屋善兵衞に取つては、出世と
漁色
(
ぎよしよく
)
に忙しくて、非凡のお小夜も、たま/\よく出來た、
玩具
(
おもちや
)
の人形に過ぎなかつたのでせう。
銭形平次捕物控:223 三つの菓子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
時
(
とき
)
には
父
(
おう
)
さんの
村
(
むら
)
なぞに
無
(
な
)
いめづらしい
玩具
(
おもちや
)
や、
父
(
とう
)
さんの
好
(
す
)
きな
箱入
(
はこいり
)
の
羊羹
(
やうかん
)
を
隣
(
となり
)
の
國
(
くに
)
の
方
(
はう
)
から
土産
(
みやげ
)
につけて
來
(
き
)
て
呉
(
く
)
れるのも、あの
馬
(
うま
)
でした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
大抵其員数は三十人許であつた。此より一行は神田明神社に参詣し、各人三十二文の
玩具
(
おもちや
)
を買つて丸山の家に持つて帰つた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
これは
玩具
(
おもちや
)
だ。黄色い絵の具と黒い絵の具とが、まだ乾かずにべたべたしてゐる。
尤
(
もつと
)
も人間の子供の
玩具
(
おもちや
)
には、ちつと大きすぎるかも知れない。
動物園
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「お前はなぜつまらない事に腹を立てるのだ。お前は人生を
玩具
(
おもちや
)
にして居る。怖ろしい事だ……。お前は忍耐を知らない」
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
「第一、
勿体
(
もつたい
)
ないやね。こんな上等な土地を
玩具
(
おもちや
)
にするなんて、全くよくないこつた! それには
些
(
ち
)
つと広過ぎるよ。」
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
暇ある時に
玩具
(
おもちや
)
を
弄
(
もてあそ
)
ぶやうな心を以て詩を書き且つ読む所謂愛詩家、及び自己の神経組織の不健全な事を心に誇る偽患者、乃至は其等の模倣者等
弓町より
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
豚は、
玩具
(
おもちや
)
のやうな小さな貨物列車にのつて、やつてきました。男はその三頭の種豚を、駅まで出迎へにまゐりました。
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
玩具
(
おもちや
)
のような上り列車が、いま小諸の駅へすべり込んだ。小萩の心は、いらだたしく東京へ飛び、急にはどこと方角もつかぬ都の街々をさ迷つた。
光は影を
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
なアにさ、ここが
観音
(
くわんおん
)
の
仲見世
(
なかみせ
)
だ。梅「
何
(
なに
)
かゞございませう
玩具店
(
おもちやみせ
)
が。近「べた
玩具店
(
おもちやみせ
)
だ。梅「どれが……。近「あの
種々
(
いろん
)
なものを
玩具
(
おもちや
)
と
云
(
い
)
ふのだ。 ...
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
⦅この女には何もかもが
玩具
(
おもちや
)
なんだ。それだのにおれは、この女の前へ出ると間抜けみたいに突つ立つたまま、脇へ眼をそらすことも出来ないのだ。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:02 降誕祭の前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「えゝ
些
(
ち
)
と
物數奇
(
ものずき
)
過
(
す
)
ぎますね、
蒙古刀
(
もうこたう
)
は」と
答
(
こた
)
へた。「
所
(
ところ
)
が
弟
(
おとゝ
)
の
野郎
(
やらう
)
そんな
玩具
(
おもちや
)
を
持
(
も
)
つて
來
(
き
)
ては、
兄貴
(
あにき
)
を
籠絡
(
ろうらく
)
する
積
(
つもり
)
だから
困
(
こま
)
りものぢやありませんか」
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
テカ/\した靴屋の店や、ヤケに澄ました洋品店や、
玩具
(
おもちや
)
屋や、男性美や、——なんで此の世が忘らりよか。
散歩生活
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
さうして
玩具
(
おもちや
)
の仏法僧鳥をばあそこの店で売る時が来るかも知れんとかういふのである。(昭和二年十二月)
仏法僧鳥
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
私は昼間
階下
(
した
)
の暗いのに
飽
(
あ
)
いて二階へ
上
(
あが
)
つて来て居る子供等が、
紙片
(
かみきれ
)
や
玩具
(
おもちや
)
の
欠片
(
かけら
)
一つを落してあつても
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
例の目を押へてゐても、今日もまたどこかへ出かけてまだ歸らないのか、
玩具
(
おもちや
)
の時計をくれた百姓の男もゐなかつた。あの時計はどこへどうなつたか知らと思ふ。
赤い鳥
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
人々はそんな無理な事が出來るものかと
嗤笑
(
しせう
)
した。非難や嗤笑は、世の中の
賢顏
(
かしこがほ
)
する詰らない男、ガスモク野郎、
十把一
(
じつぱひと
)
からげ野郎の必ず所有してゐる
玩具
(
おもちや
)
である。
華厳滝
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
何故つてあたし、ロチスターさんは、フレデリック夫人より前から知つてるんですもの。それにいつもあたしに親切にして下すつて綺麗な着物や
玩具
(
おもちや
)
を下すつたの。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
海の上を燕が飛んでゐる。機關車の釜鳴りが、月夜の夜蝉のやうだ。やがてそれもかすれて行く。しんと鳴りをしづめてしまふ。まるで列車が
玩具
(
おもちや
)
のやうに思はれる。
霾
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
Aさんは、「相済みません」と云つて、
玩具
(
おもちや
)
や
襁褓
(
むつき
)
を手早く片づけた後、
一閑張
(
いつかんばり
)
の上でしきりと筆を走らせはじめた。時々何か印刷した紙を参考にしてゐる様子だつた。
姉弟と新聞配達
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
玩具
(
おもちや
)
を手にしたまゝ突立つてゐるのをやがて出て来た父がその頭を撫でたが、軍治はやはり驚いたやうに幾を見てゐて、これも亦いきなり泣き出すと幾にすがりついて来た。
鳥羽家の子供
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
そして肩のうしろより
低語
(
ささや
)
き、なげきは見えざる
玩具
(
おもちや
)
を愛す。猫の
瞳孔
(
ひとみ
)
がわたしの
映畫
(
フヰルム
)
の外で直立し。朦朧なる水晶のよろこび。天をさして螺旋に攀ぢのぼる汚れない妖魔の肌の香。
聖三稜玻璃:02 聖三稜玻璃
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
わたし等の視界に
玩具
(
おもちや
)
のやうに小さく現れた先頭の機關車が、その灰色と鼠色とで塗りつぶされた無人境の平野を、ただ一人の生き物かのやうに白い綿毛の煙りを噴いて走つてゐる。
地方主義篇:(散文詩)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
かくて幻影消えゆけば、幼な子は、青竜刀の
玩具
(
おもちや
)
もて、遊び興じてゐたりけり……
ランボオ詩集≪学校時代の詩≫
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
毛糸の
足袋
(
たび
)
や、マントや、
玩具
(
おもちや
)
の自動車や、絵本や、霜やけの薬などを子供はどんなに
悦
(
よろこ
)
んで「これもお父さんから、これもお父さんから」と云つて近所の人達に並べて見せたと云ふことや
哀しき父
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
おかみさん、この花を持つて歸つて殺してやるんだ、この心の臟を
突通
(
つきとほ
)
してやるんだ。私は愛の思出や、感情の
玩具
(
おもちや
)
や、古い
繪草子
(
ゑざうし
)
に
揷
(
はさ
)
んだ
押花
(
をしばな
)
や風が
忍冬
(
にんどう
)
の
蔓
(
つる
)
に隱して置く花なんぞは嫌ひだ。
わるい花
(旧字旧仮名)
/
レミ・ドゥ・グルモン
(著)
それぞれに何かしら
玩具
(
おもちや
)
を持たせられて喜んでゐるといふ點で子供さ。
生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
秋立つ日につくつくぼふしの鳴きつづく
亡母
(
はは
)
のたまひし
玩具
(
おもちや
)
かも知れぬ
遺愛集:02 遺愛集
(新字新仮名)
/
島秋人
(著)
なにしろ、これは子供の
玩具
(
おもちや
)
ではない。大人の紙鳶なのである。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
沙羅双樹の花の盛りに赤と青の
玩具
(
おもちや
)
の
雉子
(
きじ
)
を売ればかなしも
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
玩具
(
おもちや
)
のやうな
小
(
ちひ
)
さな
十露盤
(
そろばん
)
を
出
(
だ
)
して
商人
(
あきんど
)
は
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「おまへには
恰度
(
ちやうど
)
好い
玩具
(
おもちや
)
だ!」
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
おれの
玩具
(
おもちや
)
の単調な音がする
わがひとに与ふる哀歌
(新字旧仮名)
/
伊東静雄
(著)
玩具
(
おもちや
)
屋の表は
十五夜お月さん
(旧字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
拾ひ上げて見ると、それは子供の
玩具
(
おもちや
)
——ろくろ細工に
彩色
(
いろどり
)
をした兎、しかもその兎には、少しばかり血さへ附いて居るではありませんか。
銭形平次捕物控:172 神隠し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
自分も
亦
(
ま
)
た少年の頃には、戸隠から来る『かはそ』(草履裏の麻)なぞを
玩具
(
おもちや
)
にして、父の傍で麻裏造る真似をして遊んだことを思出した。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
湾内の水は
草色
(
くさいろ
)
の
氈
(
かも
)
を敷き詰めた如く、大小幾百の船は
玩具
(
おもちや
)
の様に
可愛
(
かはい
)
い。概して鳥瞰的に見る都会や港湾は美でないが、
此処
(
ここ
)
のは反対に美しい。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
鋏は色恋や愛国婦人会などと一緒に、
婦人
(
をんな
)
の
玩具
(
おもちや
)
として発明せられたものだから、それを使ふのに誰に遠慮はない筈だ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
同時に又四五日前、横浜の或
英吉利
(
イギリス
)
人の客間に、古雛の首を
玩具
(
おもちや
)
にしてゐる紅毛の童女に遇つたからである。
雛
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
貴方
(
あなた
)
があんな
玩具
(
おもちや
)
を
買
(
か
)
つて
來
(
き
)
て、
面白
(
おもしろ
)
さうに
指
(
ゆび
)
の
先
(
さき
)
へ
乘
(
の
)
せて
入
(
い
)
らつしやるからよ。
子供
(
こども
)
もない
癖
(
くせ
)
に」
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
二段目にも隅の
方
(
はう
)
に三郎のだつたがらがらが一つあるだけなのです。
花樹
(
はなき
)
があの欠けた
珈琲
(
こうひー
)
道具も、壊れかかつた物干の
玩具
(
おもちや
)
も持つて行つたのかなどと私は思ふと云ふのです。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
すると、ヂョウジアァナが自分は
玩具
(
おもちや
)
はそのまゝにしておくようにと突然命令して、私の仕事を中止させた(その小さな
椅子
(
いす
)
や、鏡や、美しい皿や茶碗は彼女のものだつたから)
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
どうせ、そんな
真面目
(
まじめ
)
な気持ぢやないにきまつてるわ。殊に、はじめは、向うも気紛れ、こつちも気紛れだわ。たゞ、あたしを、
玩具
(
おもちや
)
にしたつていふのと、少し違ふところがある。
モノロオグ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
玩具
(
おもちや
)
にしててその位の事が何だつて云ふのよ。欲しかつたら持つて行くといゝンだわ
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
又或日貞白は柏軒の子鉄三郎を抱いて市に往き、
玩具
(
おもちや
)
を買つて遣らうと云つた。貞白は五十文から百文まで位の物を買ふ積でゐた。すると鉄三郎が鍾馗の
仮面
(
めん
)
を望んだ。其価は三両であつた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
馬車は、螺線の針金道を転げて行く
玩具
(
おもちや
)
の玉転がしの玉に等しかつた。
山を越えて
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
“玩具”の解説
玩具
玩具(がんぐ、おもちゃ、en: toy)は、遊びのための道具。翫具とも表記される。遊び道具とも。
(出典:Wikipedia)
玩
常用漢字
中学
部首:⽟
8画
具
常用漢字
小3
部首:⼋
8画
“玩具”で始まる語句
玩具屋
玩具箱
玩具店
玩具問屋
玩具交響曲
玩具品
玩具売
玩具染
玩具棚
玩具人形