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くまの
ふりがな文庫
“
熊野
(
くまの
)” の例文
いったい吉野の山奥から
熊野
(
くまの
)
へかけた地方には、交通の不便なために古い伝説や
由緒
(
ゆいしょ
)
ある家筋の長く存続しているものが
珍
(
めずら
)
しくない。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
かれ神倭伊波禮毘古の命、
其地
(
そこ
)
より𢌞り幸でまして、
熊野
(
くまの
)
の村
一
に到りましし時に、大きなる熊
二
、
髣髴
(
ほのか
)
に出で入りてすなはち失せぬ。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
「それでも
莫迦
(
ばか
)
にはなりません。都の噂ではその卒塔婆が、
熊野
(
くまの
)
にも一本、
厳島
(
いつくしま
)
にも一本、流れ寄ったとか申していました。」
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
オケヂャもしくはウケヂャという食物は、日本海側では
越後
(
えちご
)
や
出雲
(
いずも
)
、太平洋側では紀州の
熊野
(
くまの
)
、
備中
(
びっちゅう
)
あたりにも分布している。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
峠のものは
熊野
(
くまの
)
大権現
(
だいごんげん
)
に、荒町のものは
愛宕山
(
あたごやま
)
に、いずれも百八の
松明
(
たいまつ
)
をとぼして、思い思いの祈願をこめる。宿内では二組に分かれてのお
日待
(
ひまち
)
も始まる。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
そうすると、そこへ
熊野
(
くまの
)
の
高倉下
(
たかくらじ
)
という者が、一ふりの
太刀
(
たち
)
を持って出て来まして、
伏
(
ふ
)
し
倒
(
たお
)
れておいでになる
伊波礼毘古命
(
いわれひこのみこと
)
に、その太刀をさしだしました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
庄司も妻も
面
(
おもて
)
を青くして嘆きまどひ、こはいかにすべき。ここに都の
三二八
鞍馬寺
(
くらまでら
)
の僧の、年々
熊野
(
くまの
)
に詣づるが、きのふより此の
三二九
向岳
(
むかつを
)
の
三三〇
蘭若
(
てら
)
に宿りたり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
紀州灘
(
きしゅうなだ
)
の
荒濤
(
あらなみ
)
が
鬼
(
おに
)
が
城
(
じょう
)
の
巉巌
(
ざんがん
)
にぶつかって
微塵
(
みじん
)
に砕けて散る処、
欝々
(
うつうつ
)
とした
熊野
(
くまの
)
の山が胸に
一物
(
いちもつ
)
を
蔵
(
かく
)
して
黙
(
もく
)
して居る処、
秦始皇
(
しんのしこう
)
に
体
(
てい
)
のよい謀叛した
徐福
(
じょふく
)
が
移住
(
いじゅう
)
して来た処
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
みんなはあの三
人
(
にん
)
のおじいさんは、
住吉
(
すみよし
)
の
明神
(
みょうじん
)
さまと、
熊野
(
くまの
)
の
権現
(
ごんげん
)
さまと、
男山
(
おとこやま
)
の
八幡
(
はちまん
)
さまが
仮
(
かり
)
に
姿
(
すがた
)
をお
現
(
あらわ
)
しになったものであることをはじめて
知
(
し
)
って、
不思議
(
ふしぎ
)
に
思
(
おも
)
いながら
大江山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
鹿は
春日
(
かすが
)
の第一殿
鹿島
(
かしま
)
の神の
神幸
(
みゆき
)
の時乗り
玉
(
たま
)
いし「鹿」から、
烏
(
からす
)
は
熊野
(
くまの
)
に
八咫烏
(
やたがらす
)
の縁で、猿は
日吉山王
(
ひよしさんのう
)
の月行事の
社
(
やしろ
)
猿田彦大神
(
さるだひこおおかみ
)
の「猿」の縁であるが如しと前人も説いているが
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
熊野
(
くまの
)
の
山
(
やま
)
めぐりをした
時
(
とき
)
の
歌
(
うた
)
ですが、
沖
(
おき
)
遠
(
とほ
)
く
離
(
はな
)
れて
浮
(
うか
)
んでゐる
鳥
(
とり
)
のような
船
(
ふね
)
、それが
今
(
いま
)
、そこにをつたかと
思
(
おも
)
ふと、
瞬間
(
しゆんかん
)
の
目
(
め
)
も
及
(
およ
)
ばない
遠
(
とほ
)
いところにかけつて
行
(
い
)
つてゐることよ。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
坂下もまた絵双紙屋の側の
熊野
(
くまの
)
神社、それと向い合った柳の木に軒燈の隠れた小さな
煙草
(
たばこ
)
屋のほかはやはり記憶から消えてしまったけれどもその小さな煙草屋の玻璃棚が並べられて
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
紀州
熊野
(
くまの
)
の住人
日下
(
くさか
)
六郎次郎が、いにしえ
元亀
(
げんき
)
天正のみぎり、唐に流れついて学び帰った
拳法
(
けんぽう
)
に、
大和
(
やまと
)
島根の
柔術
(
やわら
)
を加味くふうして案出せると伝えられる、護身よりも攻撃の秘術なのでした。
右門捕物帖:04 青眉の女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「
熊野
(
くまの
)
の神様に死を
祈
(
いの
)
ったじゃないか」
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
熊野
(
くまの
)
に行くのが宿願じゃ
現代語訳 平家物語:10 第十巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
熊野
(
くまの
)
道者か
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
秦
(
しん
)
の
徐福
(
じょふく
)
が童男女三百人をつれて、仙薬を求めて東方の島に渡ったということは世に知られ、
我邦
(
わがくに
)
でも
熊野
(
くまの
)
の
新宮
(
しんぐう
)
がその居住地であったとか
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
昔は
金峯山
(
きんぷせん
)
の
蔵王
(
ざおう
)
をはじめ、
熊野
(
くまの
)
の
権現
(
ごんげん
)
、
住吉
(
すみよし
)
の
明神
(
みょうじん
)
なども
道明阿闍梨
(
どうみょうあざり
)
の読経を聴きに
法輪寺
(
ほうりんじ
)
の庭へ集まったそうである。
文章
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
如意
(
にょい
)
、香爐、
孔雀
(
くじゃく
)
などという名高い遊女のいたことが記してあり、そのほかにも小観音、薬師、
熊野
(
くまの
)
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
夫
(
それ
)
も
牛王
(
ごおう
)
を血に
汚
(
けが
)
し神を証人とせしはまだゆかしき所ありしに、近来は
熊野
(
くまの
)
を茶にして
罰
(
ばち
)
を恐れず、金銀を命と
大切
(
だいじ
)
にして、
一
(
ひとつ
)
金
(
きん
)
千両
也
(
なり
)
右借用仕候段実正
(
みぎしゃくようつかまつりそうろうだんじっしょう
)
なりと本式の証文
遣
(
や
)
り置き
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
貞光
(
さだみつ
)
と
季武
(
すえたけ
)
は
熊野
(
くまの
)
の
権現
(
ごんげん
)
におまいりをして、めでたい
武運
(
ぶうん
)
を
祈
(
いの
)
りました。
大江山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
神倭伊波礼毘古命
(
かんやまといわれひこのみこと
)
は、そこからぐるりとおまわりになり、同じ
紀伊
(
きい
)
の
熊野
(
くまの
)
という村にお着きになりました。するとふいに大きな大ぐまが現われて、あっというまにまたすぐ消えさってしまいました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
熊野
(
くまの
)
の
鯨
(
くぢら
)
つきの
歌
(
うた
)
です。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
遣
(
つか
)
はすとの御意にて
暇
(
いとま
)
になり又た
作
(
さく
)
の方も
直
(
すぐ
)
に
永
(
なが
)
の暇となり意伯と夫婦に成べしとの御意にて是も五人扶持
下
(
くだ
)
し置れしかば
意伯
(
いはく
)
はお作の方と
熊野
(
くまの
)
の
山奧
(
やまおく
)
に
蟄居
(
ちつきよ
)
し十七年目にて御目通りなし又増扶持として五人扶持下し置れ
都合
(
つがふ
)
十五人扶持にて
平野村
(
ひらのむら
)
に住居し名を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
が、その内に困まった事には、少将もいつか康頼と一しょに、神信心を始めたではないか? それも
熊野
(
くまの
)
とか
王子
(
おうじ
)
とか、
由緒
(
ゆいしょ
)
のある神を拝むのではない。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
佐渡
(
さど
)
と
熊野
(
くまの
)
と
淡路
(
あわじ
)
などに、ホドと最も近いヒドコという語があって、すべて今風の塗りベッツヒを意味している。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それから太平記の
大塔宮
(
だいとうのみや
)
熊野
(
くまの
)
落ちの条下に出て来る竹原八郎の一族、———宮はこの家にしばらくご滞在になり、同家の娘との間に
王子
(
みこ
)
をさえ
儲
(
もう
)
けていらっしゃるのだが
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
まちがいをなくしようと思えば、このほうをサスオコ、ほかの昔からあった尖らない朸のほうを、
熊野
(
くまの
)
地方のようにマルオコと呼ぶのがよいかも知れない。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それも岩殿を
熊野
(
くまの
)
になぞらえ、あの浦は
和歌浦
(
わかのうら
)
、この坂は
蕪坂
(
かぶらざか
)
なぞと、一々名をつけてやるのじゃから、まず
童
(
わらべ
)
たちが
鹿狩
(
ししがり
)
と云っては、小犬を追いまわすのも同じ事じゃ。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
少彦名命
(
すくなひこなのみこと
)
が
熊野
(
くまの
)
の
御碕
(
みさき
)
から、
彼方
(
かなた
)
へ御渡りなされたというのもなつかしいが、伊勢を
常世
(
とこよ
)
の
浪
(
なみ
)
の
敷浪
(
しきなみ
)
寄
(
よ
)
する国として、御選びになったという古伝などはとくに
殊勝
(
しゅしょう
)
だと思う。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
越後
(
えちご
)
の
高田辺
(
たかだあたり
)
でも、米と
大豆
(
だいず
)
をざっと
炒
(
い
)
って飯に炊いたものがオケジャ、
駿河
(
するが
)
の
志太
(
しだ
)
郡では飯を炒って味をつけたのをウケジャまたは
茶菓子
(
ちゃがし
)
ともいっており、
紀州
(
きしゅう
)
の
熊野
(
くまの
)
などでは
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
いつの
間
(
ま
)
にかそれもまた変って、他の地方ではサスといい、またはトギリ
朸
(
おこ
)
とも(岡山)トガラシ
朸
(
おこ
)
とも(
大和
(
やまと
)
)チョガシ
朸
(
おこ
)
とも(
熊野
(
くまの
)
)いう棒を、山朸とよぶ村々もできてきたようである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
熊野
(
くまの
)
を振り出しに伊勢や
熱田
(
あつた
)
のあたりへ移って来て、やがて第二の勢力にその地位を譲って、消えてなくなってしまった
比丘尼衆
(
びくにしゅう
)
を始めとし、かつてこの国土に
弥蔓
(
びまん
)
した
遊行女婦
(
ゆうこうじょふ
)
の名は数多い。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
熊野
(
くまの
)
などではこれを
釣瓶
(
つるべ
)
さしと呼んでいた。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
“熊野”の解説
熊野(くまの)は、紀伊半島南端部の和歌山県南部と三重県南部からなる地域。
旧国では紀伊国南部にあたり、上古の熊野国と大概一致する。熊野三山(田辺市の熊野本宮大社・新宮市の熊野速玉大社・那智勝浦町の熊野那智大社)を中心とする熊野信仰の中心地として知られる。
(出典:Wikipedia)
熊
常用漢字
小4
部首:⽕
14画
野
常用漢字
小2
部首:⾥
11画
“熊野”で始まる語句
熊野権現
熊野牛王
熊野詣
熊野田
熊野道
熊野灘
熊野神社
熊野衆
熊野参
熊野鯖