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ふりがな文庫
“
愚弄
(
ぐろう
)” の例文
彼女ハ今夜モ同ジ夢、同ジ幻覚ヲ、同ジ状況ノ下ニオイテ見タ?………僕ハ彼女ニ
愚弄
(
ぐろう
)
サレテイルト解スベキナノデアロウカ。………
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ことに、山城守は、おのが部下の
随
(
ずい
)
一を斬って逃げて、その後も、自分を
愚弄
(
ぐろう
)
するがごとき神尾喬之助の態度に、
躍起
(
やっき
)
となっている。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それのみならず、
愚弄
(
ぐろう
)
したようなやり方で、太閤秀吉の木像首をそのあとへおっぽり出して行ってしまった。それには我慢なり難い。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
買い物という行為を単に物質的にのみ解釈して、こういう人を一概に
愚弄
(
ぐろう
)
する人があるが、自分はそれは少し無理だと思っている。
丸善と三越
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
彼らは強いて
自
(
みずか
)
らを
愚弄
(
ぐろう
)
するにあらずやと怪しまれる。世に
反語
(
はんご
)
というがある。白というて黒を意味し、
小
(
しょう
)
と
唱
(
とな
)
えて大を思わしむ。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
椿岳の生活の理想は俗世間に
凱歌
(
がいか
)
を挙げて
豪奢
(
ごうしゃ
)
に
傲
(
おご
)
る
乎
(
か
)
、でなければ俗世間に
拗
(
す
)
ねて
愚弄
(
ぐろう
)
する乎、二つの路のドッチかより外なかった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
あまり長すぎると思われた
交響曲
(
シンフォニー
)
のあとに、ピアノでなお数曲演奏するためにふたたび出て来たとき、彼は
愚弄
(
ぐろう
)
的な
喝采
(
かっさい
)
で迎えられた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
捨
(
す
)
てた
燐寸
(
マツチ
)
の
燃
(
も
)
えさしが
道端
(
みちばた
)
の
枯草
(
かれくさ
)
に
火
(
ひ
)
を
點
(
つ
)
けて
愚弄
(
ぐろう
)
するやうな
火
(
ひ
)
がべろ/\と
擴
(
ひろ
)
がつても、
見向
(
みむ
)
かうともせぬ
程
(
ほど
)
彼
(
かれ
)
は
懶
(
ものう
)
げである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
日ごろの行状、許すべからざるものあるその上に、主たるわが輩を
愚弄
(
ぐろう
)
して、かかる汚物を抱かせるとは、憎っくき下郎。直ちに、成敗。
純情狸
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
人を
愚弄
(
ぐろう
)
しているかの如く見えましたので、
流石
(
さすが
)
に当時の新知識を網羅した新大学の諸教授も、ことごとく面喰らわされてしまいました。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
人間をこんなに
愚弄
(
ぐろう
)
しているのだ? イワン! もう一ぺん、最後にきっぱり言ってくれ、神は有るものか無いものか? これが最後だ!
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
愚弄
(
ぐろう
)
するやりかたに眼をつむってはいない、人間を愚弄し軽侮するような政治に、黙って頭をさげるほど老いぼれでもお人好しでもないんだ
赤ひげ診療譚:03 むじな長屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
三人に酒を出し、御馳走を供し、その上三人から
愚弄
(
ぐろう
)
されているのではないかと疑えば、このまま何も言わないで立ち帰ろうかとも思われた。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
「そうだろう。——袁紹の無礼には、積年、予は忍んできたつもりだが、かくまで
愚弄
(
ぐろう
)
されては、もはや堪忍もいつ破れるか知れぬ気がする」
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分の特権を
蹂躙
(
じゅうりん
)
され、ことに彼さえもまだ遠慮していたのに、「女郎買い」に行ったことは、彼を「
愚弄
(
ぐろう
)
」することはなはだしいものであった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
渠は
愚弄
(
ぐろう
)
の態度を示して、
両箇
(
ふたり
)
のかたわらに立ち
住
(
ど
)
まりぬ。白糸はわずかに
顧眄
(
みかえ
)
りて、
棄
(
す
)
つるがごとく言い放てり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
外交の事漸く
緒
(
しよ
)
に就くに至れり、各国の
商賈
(
しやうこ
)
は各開港塲に来りて珍奇実用の器物をひさげり、チヨンマゲは頑固といふ新熟語の
愚弄
(
ぐろう
)
するところとなれり
明治文学管見:(日本文学史骨)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
たとひそれは
譃
(
うそ
)
としても、
今日
(
こんにち
)
のやうに出たらめでは、五十版百版と云ふ広告を
目安
(
めやす
)
に本を買つてゐる天下の読者は
愚弄
(
ぐろう
)
されてゐるのも同じことである。
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
京子はお民に
愚弄
(
ぐろう
)
されたような不服な気持で其処へべたりと坐ってしまった。が、暫く膝に落して居た顔を上げた時、京子の瞳は活き活きと輝やき出した。
春:――二つの連作――
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
われわれの存在を無視し
愚弄
(
ぐろう
)
する、これよりはなはだしきものはない。われわれの眼の
碧
(
あお
)
いうちは断じて——。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
「何を言わっしゃるだ、わしら貧乏人はな、人手を借りねえで死にますだ。」ところでもし田舎者の消極的な
愚弄
(
ぐろう
)
が右の言葉のうちにこもってるとするならば
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
しかし、もっと困ったことは、ブロムがあらゆる機会を利用して彼を恋人の面前で
愚弄
(
ぐろう
)
したことだった。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
今日のりきみは身を
損
(
そん
)
じ
愚弄
(
ぐろう
)
を
招
(
まね
)
くの
媒
(
なかだち
)
たるを知り、早々にその座を切上げて
不体裁
(
ぶていさい
)
の跡を収め、下士もまた上士に対して
旧怨
(
きゅうえん
)
を思わず、
執念
(
しゅうねん
)
深きは婦人の心なり
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
二十日に要るのですけれど(日数に於いて
掛値
(
かけね
)
あるが如し、注意を要す)おそくだと、私のほうでも都合つくのですが(虚飾のみ。人を
愚弄
(
ぐろう
)
すること甚しきものあり)
誰
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
今回
省線
(
しょうせん
)
電車内に起りたる殺人事件は、本職を始め警視庁を
愚弄
(
ぐろう
)
することの
甚
(
はなは
)
だしきものにして、
爾来
(
じらい
)
極力
(
きょくりょく
)
探索
(
たんさく
)
の結果、
此程
(
このほど
)
漸
(
ようや
)
く犯人の
目星
(
めぼし
)
を
掴
(
つか
)
むことを得たるを以て
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
反対にまた、この苦悩の
償
(
つぐな
)
ひとして払はれるには、安すぎるとの腹立しさもないでもない。いづれにしても、人間の精神が
愚弄
(
ぐろう
)
されてゐるやうな憂欝が頭をもたげて来る。
大凶の籤
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
功徳
(
くどく
)
を施したることもなくして、不幸、災難、病気等に際会するときに限り、にわかに思い立って神仏に祈願をかくるがごときは、神仏を
愚弄
(
ぐろう
)
するものといわねばならぬ。
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
(そんな無意義なパラドックスで僕を
愚弄
(
ぐろう
)
しないでください。僕は奮慨しているんですよ。)
橋
(新字新仮名)
/
池谷信三郎
(著)
市井
(
しせい
)
の間の小人の争いて販売する者の
所為
(
しょい
)
と何を以てか異ならんや、と云い、先賢大儒、世の尊信崇敬するところの者を、
愚弄
(
ぐろう
)
嘲笑
(
ちょうしょう
)
すること
太
(
はなは
)
だ過ぎ、其の口気甚だ憎む可し。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
いかに行く先々で
愚弄
(
ぐろう
)
され
哂
(
わら
)
われようと、とにかく一応、この河の底に
栖
(
す
)
むあらゆる
賢人
(
けんじん
)
、あらゆる医者、あらゆる
占星師
(
せんせいし
)
に親しく会って、自分に
納得
(
なっとく
)
のいくまで、教えを
乞
(
こ
)
おう
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
その主を
愚弄
(
ぐろう
)
し、故なきに
夷舶
(
いはく
)
を砲撃し、幕使を暗殺し、私に実美等を本国に誘引す云々
尊攘戦略史
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
なにしろ、ルパンの化けた刑事部長の下で、散々こき使われ、
愚弄
(
ぐろう
)
された男ですからね
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「一体あんな事を遣ると、なんにも分からない、
音
(
おん
)
の清濁も知らず、詞の意味も知らないで読んだり取ったりしている、本当の
routiniers
(
ルチニエエ
)
に
愚弄
(
ぐろう
)
せられるのが
厭
(
いや
)
です」
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
親方があまりはげしくおこらないとき、または他人をすこし
愚弄
(
ぐろう
)
(ばかにする)しかけるときするくせで、まったくかれはそのイタリア風の
慇懃
(
いんぎん
)
(ばかていねい)を
極端
(
きょくたん
)
に
用
(
もち
)
いていた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
私は、自分がすっかり、雪子のために
愚弄
(
ぐろう
)
されているらしいことを知って、もう何もかも告白して、この苦しい立場から逃れようと決心した。そしてそのことを言い出そうとしたのであった。
秘密
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
十二小隊から成る八百八十六人の同勢である。それがまたまるで見かけ倒しだなぞと、
上州縮
(
じょうしゅうちぢみ
)
の
唄
(
うた
)
にまでなぞらえて
愚弄
(
ぐろう
)
するものがあるかと思えば、一方ではそれでも友軍の態度かとやりかえす。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
安「なに、これ喧嘩する
端
(
はな
)
に一服やるなどと、
何
(
なん
)
だ
愚弄
(
ぐろう
)
するな」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ふうむ」ダネックは
愚弄
(
ぐろう
)
されたように
唸
(
うな
)
った。
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
自己自らを
愚弄
(
ぐろう
)
することにほかならない。
特攻隊に捧ぐ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「
悉皆
(
すっかり
)
愚弄
(
ぐろう
)
されてしまいました」
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「僕ハ彼女ニ
愚弄
(
ぐろう
)
サレテイルト解スベキナノデアロウカ」と夫は云っているが、あるいはそう解するのが当っているかも知れない。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と答えたら、赤んべんが、肉のない頬を
凹
(
へこ
)
まして、
愚弄
(
ぐろう
)
の笑いを
洩
(
も
)
らしながら、三軒置いて隣りの坑夫をちょいと
顎
(
あご
)
でしゃくった。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「貴様にとっちゃ旦那かお大尽か知らないが、その歌のザマは何だ、そんなものが、人に見せられるか、人を
愚弄
(
ぐろう
)
するにも程のあったもんだ」
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「いやいや、僕にはわからないよ。」と彼は
愚弄
(
ぐろう
)
的な多少侮辱的な皮肉の調子で言った。「それにまた、暇がないからね。」
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
この圧迫された誇りにみちた興奮というやつは、若い人にとって危険なものですて! わたしはあの時
愚弄
(
ぐろう
)
しましたが、今はあえて言います。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「梅田駅」より「お玉拝」「福岡警察署御中」と
認
(
したた
)
めたる当局を
愚弄
(
ぐろう
)
せる手紙を所持しおりたる模様にて、その大胆不敵さには福岡署員も呆れおりたり。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「人を
愚弄
(
ぐろう
)
した今の一言、いつか、千鳥ヶ浜で会った時は、むなしく汝を見のがしたが、今日こそ、よい所で会ったというもの、うぬ、そこを去るなよ」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どッ! と、浪のような笑声が、諸士の口から一つに沸いて、
初春
(
はる
)
らしく、豊かな
波紋
(
はもん
)
を描いた。が、笑い声は
長閑
(
のどか
)
でも、どうせ
嘲笑
(
ちょうしょう
)
である。
愚弄
(
ぐろう
)
である。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そして彼がその憤激に破裂する時、人々は彼に
愚弄
(
ぐろう
)
を与える、生命を! いかにして激怒せざるを得るか?
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
古来多くの科学者がこのために迫害や
愚弄
(
ぐろう
)
の焦点となったと同様に、芸術家がそのために悲惨な境界に
沈淪
(
ちんりん
)
せぬまでも、世間の反感を買うた例は少なくあるまい。
科学者と芸術家
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
“愚弄”の意味
《名詞》
愚 弄(ぐろう)
ばかにすること。相手を軽んじる言動を発すること。
(出典:Wiktionary)
“愚弄”の解説
愚弄
(出典:Wikipedia)
愚
常用漢字
中学
部首:⼼
13画
弄
常用漢字
中学
部首:⼶
7画
“愚”で始まる語句
愚
愚痴
愚昧
愚鈍
愚図愚図
愚図
愚物
愚図々々
愚者
愚僧