トップ
>
怨霊
>
おんりょう
ふりがな文庫
“
怨霊
(
おんりょう
)” の例文
旧字:
怨靈
この大地震も、入水なさった幼い主上始め平家一門の
怨霊
(
おんりょう
)
のたたりではあるまいかと、人々は
噂
(
うわさ
)
をして一層恐れおののくのであった。
現代語訳 平家物語:12 第十二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
怨霊
(
おんりょう
)
のやつめ、
三途
(
さんず
)
の川で見当まちげえやがって、お門違いのおひざもとへ迷ってきやがったかもしれませんぜ。ええ、そうですよ。
右門捕物帖:23 幽霊水
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
その後、どうもこの雪隠に
怨霊
(
おんりょう
)
が残ってならぬ。何かと
祟
(
たた
)
りがあって不祥のあまり、錠を卸して人の出入りを禁ずること数百年。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あすこには昔仕置き場があって、殺された人の
怨霊
(
おんりょう
)
が迷ってるから、幽霊が出るんだよ、と何度やかましく注意されたかわからないのです。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
とても宥めたくらいでは累の
怨霊
(
おんりょう
)
は
退
(
の
)
かないと云うので、
祈祷者
(
きとうしゃ
)
を呼んで来て
仁王法華心経
(
におうほっけしんきょう
)
を読ました。お菊はそれを
遮
(
さえぎ
)
った。
累物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
……ねえ、仁科さん……たとえ、どう理が合わなくとも、これが
獺
(
かわうそ
)
や、
怨霊
(
おんりょう
)
のしわざだなぞと、そんな馬鹿気たことはわたしらは考えない。
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
だが、恨みに燃えた
怨霊
(
おんりょう
)
は、あいつらをみなごろしにしてしまうまでは生きているのだ。あいつらの側を一
寸
(
すん
)
と離れず、つき
纒
(
まと
)
っているのだ
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
通りかかりの旅僧がそれを気の毒に思うて犬の
屍
(
しかばね
)
を埋めてやった、それを見て地蔵様がいわれるには、八十八羽の鴉は八十八人の姨の
怨霊
(
おんりょう
)
である
犬
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
これと、同じ様に、私が見ました自分の姿も、
怨霊
(
おんりょう
)
ではありはすまいか——私は、かようなことをも考えながら、おののいていたのでございます。
両面競牡丹
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
夜叉王 いや、いや、どう見直しても
生
(
しょう
)
ある人ではござりませぬ。しかも
眼
(
まなこ
)
に恨みを宿し、何者をか
呪
(
のろ
)
うがごとき、
怨霊
(
おんりょう
)
怪異
(
あやかし
)
なんどのたぐい……。
修禅寺物語
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ところが
所天
(
つれあい
)
が
死
(
な
)
くなってからというものは、
其
(
その
)
男の
怨霊
(
おんりょう
)
が
如何
(
どう
)
かすると現われて、
可怖
(
こわ
)
い顔をして私を
睨
(
にら
)
み、今にも私を
取殺
(
とりころ
)
そうとするのです。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
吉備津の釜——道楽者の夫正太郎に裏切られた貞淑な妻の磯良が、
怨霊
(
おんりょう
)
となって、夫の情婦を殺し、さらに夫までもとり殺すという凄惨な怪異小説。
雨月物語:04 解説
(新字新仮名)
/
鵜月洋
(著)
「あのクレーンには、何か
怨霊
(
おんりょう
)
が
憑
(
つ
)
いていて、そいつがクレーンの上で、泣いたり、クレーンを動かしたりするんだ」
夜泣き鉄骨
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
吉備津の釜——道楽者の夫正太郎に裏切られた貞淑な妻の磯良が、
怨霊
(
おんりょう
)
となって、夫の情婦を殺し、さらに夫までもとり殺すという凄惨な怪異小説。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
農民が土の
怨霊
(
おんりょう
)
から脱けだす時がきても、人間という奴が、死んだあとでは土の中へうめられて土に還ってしまうので、どうも、これは、困った因縁だ。
土の中からの話
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
護摩の煙は御廂を
捲
(
ま
)
き、どんな悪魔
怨霊
(
おんりょう
)
も、世の
障碍
(
しょうげ
)
も除かれるかのような思いを人に抱かしめずにはおかない。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あの人はさんざんあくどいことをしましたからね」と菊弥が云った、「もしかするとその娘というのは人間じゃあなく、
怨霊
(
おんりょう
)
のようなものかもしれないわ」
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
この話が
荒唐無稽
(
こうとうむけい
)
の作り話であることは勿論であるが、これが我国古代の作り話であったならば、必ず祈祷「まじない」などで
怨霊
(
おんりょう
)
退散という結末であろうのに
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
若僧 (妙信に向い)ほんとに
悪蛇
(
あくじゃ
)
の
怨霊
(
おんりょう
)
というのは、今夜の内に上って来るのでございましょうか。
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
わしたちがもしことを起こさなかったらだれかがきっと起こしたろう。われわれはただ選ばれたのにすぎない。
三界
(
さんがい
)
をさまようている
怨霊
(
おんりょう
)
につかれたのにすぎない。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
その牛の
怨霊
(
おんりょう
)
がたたって、その後この土地には、牛は育たないことになったのであろう。これでわけがわかったので、村人もなっとくして、酪農はあきらめてしまった。
犬がなくとガラスがこわれるか
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
小夜衣の
怨霊
(
おんりょう
)
とも心附かず、背中をなでると、次郎庵さん、と顔を上げて、冷たい手でじっと握った、持たれたその手が上と下に、ふわりふわり——幇間に尾花も変だ
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その声は、もはや、
怨霊
(
おんりょう
)
じみたものではなかった。美しい、女のような、
韻
(
ひび
)
きの深い声であった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
狐の所為とか
天狗
(
てんぐ
)
の作用とか、あるいは亡者の霊魂であると思い、海上にあれば
海亡魂
(
うみぼうこん
)
といい、陸上にあれば幽霊火、
怨霊
(
おんりょう
)
火等の名をつけ、種々の妄説を付会するようになる。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
それでは何にもならない。……元来、この葵と云う花は、必ず太陽の方に向って咲く、云わば陽の花だ。それだからこそして、悪いやまいや
怨霊
(
おんりょう
)
を払う不思議な力があるのだ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
『
現世
(
げんせ
)
で
怨
(
うら
)
みが
晴
(
は
)
らせなかったから、
良人
(
おっと
)
と
二人
(
ふたり
)
力
(
ちから
)
を
合
(
あ
)
わせて
怨霊
(
おんりょう
)
となり、せめて
仇敵
(
かたき
)
を
取
(
と
)
り
殺
(
ころ
)
してやりたい……。』——これが
神
(
かみ
)
さまに
向
(
むか
)
ってのお
願
(
ねが
)
いなのでございますから
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
それを見ると暑い画家の
怨霊
(
おんりょう
)
がすすきの中から立ち
昇
(
のぼ
)
ってくる気がしていけない。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
僕は小学校へはいっていたころ、どこの
長唄
(
ながうた
)
の女師匠は亭主の
怨霊
(
おんりょう
)
にとりつかれているとか、ここの仕事師のお
婆
(
ばあ
)
さんは嫁の幽霊に責められているとか、いろいろの怪談を聞かせられた。
追憶
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
源氏は其
怨霊
(
おんりょう
)
を慰めるために、其娘を養い娘として、中宮にまでするのである。
反省の文学源氏物語
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
此の左大臣が
有為
(
ゆうい
)
の材を抱いて
早死
(
はやじに
)
をしたのは、積る悪業の報いであるように当時の人々は見たのであるが、
就中
(
なかんずく
)
その報いの最たるものは、
菅公
(
かんこう
)
の
怨霊
(
おんりょう
)
の
祟
(
たた
)
りであるとされたのであった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そういう青年らがクリストフを取り巻いていた。あたかも、生命にすがりつくために一つの魂へ取りつこうとうかがってる「待ち伏せの
怨霊
(
おんりょう
)
」、ゲーテのいわゆる
尨犬
(
むくいぬ
)
、のようであった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
怨霊
(
おんりょう
)
を宿した
金子
(
きんす
)
に手をふれておさよの皮膚は焼けただれたか……というに、べつにそうしたこともなく、丸にワの字の出羽様の極印も両人とも知らぬが仏で、世のつねの小判のように
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
弘経寺という寺は結城と飯沼との両処にあって
倶
(
とも
)
に浄土宗関東十八
檀林
(
だんりん
)
に列せられている。飯沼の弘経寺は
元禄
(
げんろく
)
十三年
祐天上人
(
ゆうてんしょうにん
)
が住職の時
累
(
かさね
)
の
怨霊
(
おんりょう
)
を化脱させたというので世に知られている。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかしすべてを超えて、その口辺に浮んだ微笑は太子の御霊の天寿国に安らい給うしるしなのであろうか。永遠の慈心のごとく、同時に無念の情を告ぐる
怨霊
(
おんりょう
)
のごとく、いずれとも分明し難い。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
ほかには母屋を離れて立腐れになりたる破れ
厩
(
まや
)
、屋根の端の斜に地に着きて倒れ
潰
(
つぶ
)
れたる細長き穀倉などの見ゆるのみの荒廃さ加減は、恐らくは
怨霊
(
おんりょう
)
屋敷なんど呼ばれて人住まずなった月日が
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「こいつは天狗でなきゃ
怨霊
(
おんりょう
)
ですぜ、親分」
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
青年と駈け落ちした彼女は、夜になると住職の
怨霊
(
おんりょう
)
に悩まされた。それと見た画家は女の金を奪って姿を
晦
(
くら
)
ましてしまった。
法華僧の怪異
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
手討ちにした用人の
怨霊
(
おんりょう
)
とおじけあがって、いまに小胆な久之進が狂い死にするだろうと考えついたわけで、まことに小心な久之進にしてみれば
右門捕物帖:02 生首の進物
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
怨霊
(
おんりょう
)
というようなものを感じるのですよ。この船には
死霊
(
しりょう
)
がたたっているんだなんていわれると、僕にしたってなんだかいやあな気持になりますぜ
黒蜥蜴
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
『お前
怨霊
(
おんりょう
)
が見たいの、怨霊が見たいの。
真実
(
ほんと
)
に生意気なこというよ
此
(
この
)
人
(
ひと
)
は!』と言い放ち、つッと
起
(
たっ
)
て自分の部屋に
引込
(
ひっこ
)
んで
了
(
しま
)
った。僕は思わず
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
怨霊
(
おんりょう
)
というものがあるかないかそんな机上の空論などを、いまさら筆者は諸君と論判したいとは少しも思わない。
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
これなん、ひとつには
怨霊
(
おんりょう
)
の報い、ふたつには人道のゆるさざるところ、三つには、いうまでもない武松の神力。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
生
(
い
)
き
霊
(
りょう
)
のたたりであろうか、もしかしたら故郷に捨ててきた妻が
怨霊
(
おんりょう
)
となってたたりをしているのであろうかと、正太郎は、ひとり胸をいためるのだった。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
「それだけでは、まだわかりますまいね。なにしろ、それぐらいの執念ですから、この日高川の上、日高郡一帯には、まだ清姫様の
怨霊
(
おんりょう
)
が残っているのですね」
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
このように、
怨霊
(
おんりょう
)
というやつは昔からたちの悪いもので、今度の門院の御産に大赦が行われたけれども、俊寛一人が残されたことは何としても後味が悪い気もする。
現代語訳 平家物語:03 第三巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
殺生谷と呼ばれるのはそのためで、それ以来
其処
(
そこ
)
には殺された土人たちの
怨霊
(
おんりょう
)
が
籠
(
こも
)
って、青い鬼火が燃えたり、幽霊の叫びが聞えたり、色々と
奇怪
(
きっかい
)
な事が起るのであった。
殺生谷の鬼火
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
……あの老尼は、お米さんの
守護神
(
まもりがみ
)
——はてな、老人は、——知事の
怨霊
(
おんりょう
)
ではなかったか。
雪霊記事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その夜より
怨霊
(
おんりょう
)
来たりて助八を悩ましければ、恐ろしさやるかたなく、身の毛よだちて覚えけるゆえ、妻子をすて、かみをそり、湯殿山行人にさまをかえ、諸国修行せしより後
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
そのようなことが世間に洩れきこえると、口さがない京わらんべは、やれ楠の祟りじゃの、新田の
怨霊
(
おんりょう
)
じゃのと、あらぬ事どもを言い触らして、父上の武名を傷つきょうも知れぬ。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
命
(
みこと
)
の
手
(
て
)
にかかって
滅
(
ほろ
)
ぼされた
賊徒
(
ぞくと
)
の
数
(
かず
)
は
何万
(
なんまん
)
とも
知
(
し
)
れぬ。で、それ
等
(
ら
)
が一
団
(
だん
)
の
怨霊
(
おんりょう
)
となって
隙
(
すき
)
を
窺
(
うかが
)
い、たまたま
心
(
こころ
)
よからぬ
海神
(
かいじん
)
の
援
(
たすけ
)
けを
獲
(
え
)
て、あんな
稀有
(
けう
)
の
暴風雨
(
あらし
)
をまき
起
(
おこ
)
したのじゃ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
“怨霊”の意味
《名詞》
怨霊 (おんりょう)
受けた仕打ちに恨みを抱いてたたりをする死霊または生き霊。
(出典:Wiktionary)
“怨霊”の解説
怨霊(おんりょう)とは、自分が受けた仕打ちに恨みを持ち、たたりなどをする、死霊または生霊のことである。
悪霊に分類される。
(出典:Wikipedia)
怨
常用漢字
中学
部首:⼼
9画
霊
常用漢字
中学
部首:⾬
15画
“怨霊”で始まる語句
怨霊火
怨霊比羅