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御嶽
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おんたけ
ふりがな文庫
“
御嶽
(
おんたけ
)” の例文
新字:
御岳
さればわが
昨日
(
きのふ
)
遙かに
御嶽
(
おんたけ
)
の秀絶なる姿を群山
挺立
(
ていりつ
)
の
中
(
うち
)
に認めて、雀躍して
路人
(
ろじん
)
にあやしまるゝの狂態を演じたるもまた
宜
(
むべ
)
ならずや。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
ふりかえるごとに、山々が数をます。並んでいるのが穂高の三峰、かなたが
御嶽
(
おんたけ
)
。雪は次第次第に深くなった。もう人の足跡はない。
雪の武石峠
(新字新仮名)
/
別所梅之助
(著)
これから
大久手
(
おおくて
)
細久手
(
ほそくて
)
へ掛り、
御嶽
(
おんたけ
)
伏水
(
ふしみ
)
といふ処を通りまして、
太田
(
おおた
)
の渡しを渡って、太田の宿の
加納屋
(
かのうや
)
という木賃宿に泊ります。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
夜中頃
(
よなかごろ
)
には
武生
(
たけふ
)
の
町
(
まち
)
を
笠
(
かさ
)
のやうに
押被
(
おつかぶ
)
せた、
御嶽
(
おんたけ
)
といふ
一座
(
いちざ
)
の
峰
(
みね
)
、
根
(
ね
)
こそぎ
一搖
(
ひとゆ
)
れ、
搖
(
ゆ
)
れたかと
思
(
おも
)
ふ
氣勢
(
けはひ
)
がして、
風
(
かぜ
)
さへ
颯
(
さつ
)
と
吹
(
ふ
)
き
添
(
そ
)
つた。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
またその
殃禍篇
(
おうかへん
)
に、美濃の
御嶽
(
おんたけ
)
村の土屋某、
日来
(
ひごろ
)
好んで鶏卵を食いしが、いつしか頭ことごとく
禿
(
は
)
げて、
後
(
のち
)
鶏の
産毛
(
うぶげ
)
一面に生じたと載す。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
「えッ。不意に
御嶽
(
おんたけ
)
さまでも乗りうつったようなことをいいますが、支倉屋で売る絵図面の中には、そんなことまでが書いてあるんですかい」
右門捕物帖:13 足のある幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
上州
(
じやうしう
)
の三山、
浅間山
(
あさまやま
)
、
木曾
(
きそ
)
の
御嶽
(
おんたけ
)
、それから
駒
(
こま
)
ヶ嶽
(
たけ
)
——その
外
(
ほか
)
山と名づくべき山には、一度も登つた事のない私であつた。
槍ヶ岳紀行
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と半蔵は妻に言って、父の病を
祷
(
いの
)
るために
御嶽
(
おんたけ
)
神社への
参籠
(
さんろう
)
を思い立った。王滝村とは御嶽山のすそにあたるところだ。木曾の総社の所在地だ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
十二月に
御嶽
(
おんたけ
)
の雪は消ゆる事もあれ
此念
(
このおもい
)
は
消
(
きえ
)
じ、アヽ
否
(
いや
)
なのは岩沼令嬢、恋しいは花漬売と
果
(
はて
)
は
取乱
(
とりみだ
)
して男の
述懐
(
じゅっかい
)
。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そこは
木曾
(
きそ
)
の
御嶽
(
おんたけ
)
つづきの山の間で、小さな谷川の流れを中にして両方から迫って来た
山塊
(
さんかい
)
は、こっちの方は幾らか
緩
(
ゆる
)
い傾斜をして
山路
(
やまみち
)
なども通じているが
岩魚の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それと同時にまた一方——
御嶽
(
おんたけ
)
方面の郡代からは、御嶽山上に籠っているマドリド司僧の
遺児
(
わすれがたみ
)
の御嶽冠者が一味を率い、降り積もる雪を踏み分けて押し寄せて来るとの風聞を
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
富士山や木曽の
御嶽
(
おんたけ
)
の、頂上の小舎に寝泊まりしたし、
或
(
あるい
)
は谷間に近く石の枕で野宿をしたことは幾度もあったが、実は今夜ほど、気味の
好
(
よ
)
く無かったことはない、自分は一人である
奥常念岳の絶巓に立つ記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
あの富士山や
御嶽
(
おんたけ
)
山などへ登る行者たちが、「
懺悔
(
さんげ
)
懺悔、六
根
(
こん
)
清浄
(
しょうじょう
)
」と唱える、あの六根で、それは眼、耳、鼻、舌、身の五官、すなわち五根に、「意根」を加えて六根といったので
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
御嶽
(
おんたけ
)
の裾野を行く途中草刈りの小供に道を教えられ迷うところを無事通過、前は御嶽の雄姿、後に乗鞍の雄峰を眺めながら行く、実に景色よく心躍るものあり、途中木に御嶽道と記せり
単独行
(新字新仮名)
/
加藤文太郎
(著)
三味線につれて新
工風
(
くふう
)
の
國風
(
くにぶり
)
舞踏の一なる、「木曾の
御嶽
(
おんたけ
)
さん」を稽古し、トコセ、キナヨ、ドン/\と云ふかけ聲などを擧げたりした連中は、すべてあちらこちらの椅子に陣取つてゐる。
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
この
地衣
(
こけ
)
のために、
岩
(
いは
)
はいろ/\
美
(
うつく
)
しい
模樣
(
もよう
)
や
紋
(
もん
)
を
現
(
あらは
)
してゐます。
日本
(
につぽん
)
では
木曾
(
きそ
)
の
御嶽
(
おんたけ
)
や
駒
(
こま
)
が
嶽
(
たけ
)
はこの
帶
(
たい
)
の
位置
(
いち
)
がよくわかります。この
帶
(
たい
)
の
上部
(
じようぶ
)
はそれこそ
地衣
(
こけ
)
もない
裸
(
はだか
)
のまゝの
岩石
(
がんせき
)
です。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
信飛の国界に
方
(
あた
)
りて、
御嶽
(
おんたけ
)
・乗鞍・穂高・槍の四喬岳のある事は、
何人
(
なんぴと
)
も
首肯
(
しゅこう
)
する
処
(
ところ
)
、だが槍・穂高間には、なお一万尺以上の高峰が沢山群立している、という事を知っている者は
稀
(
まれ
)
である。
穂高岳槍ヶ岳縦走記
(新字新仮名)
/
鵜殿正雄
(著)
それを、旅から旅へ、
垢
(
あか
)
の落ちねえ浪人ごろ、好きな笛を
糧
(
かて
)
にして、きょうは
秩父
(
ちちぶ
)
、あすは
御嶽
(
おんたけ
)
と、宮祭の笛吹きにまで身を落してこう妙に
拗
(
すね
)
てしまったのも、持って生れた根性ばかりではない。
野槌の百
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
木曾
(
きそ
)
の
御嶽
(
おんたけ
)
駒
(
こま
)
ヶ
嶽
(
たけ
)
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
御嶽
(
おんたけ
)
乗鞍
(
のりくら
)
駒
(
こま
)
ヶ
岳
(
たけ
)
県歌 信濃の国
(新字新仮名)
/
浅井洌
(著)
木曾の
御嶽
(
おんたけ
)
から
おさんだいしよさま
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
「いや、半蔵には
御嶽
(
おんたけ
)
の
参籠
(
さんろう
)
までしてもらったがね、おれの寿命が
今年
(
ことし
)
の七十歳で尽きるということは、ある人相見から言われたことがあるよ。」
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
立山
(
たてやま
)
、
御嶽
(
おんたけ
)
、修行にならば
這摺
(
はいず
)
っても登りますが、秘密の山を人助けに開こうなどとはもっての外の事でござる。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
御嶽
(
おんたけ
)
教、
扶桑
(
ふそう
)
教といろいろ聞いちゃおるが、お富士教ってえのはあっしも初耳なんで、今に忘れず覚えていたんですよ。本所のお蔵前といや、ここよりほかにねえんだ。
右門捕物帖:34 首つり五人男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
これに附和するもの漸く多きを致す傾向あるは
頗
(
すこぶ
)
る吾人の意を
獲
(
え
)
たり、しかも邦人のやや山岳を識るといふ人も、富士、
立山
(
たてやま
)
、
白山
(
はくさん
)
、
御嶽
(
おんたけ
)
など、三、四登りやすきを上下したるに過ぎず
山を讃する文
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
越路
(
こしじ
)
の方の峰には、雲が迷っていたけれど、
有明
(
ありあけ
)
山、
燕
(
つばくろ
)
岳、
大天井
(
おてんしょう
)
、花崗石の
常念坊
(
じょうねんぼう
)
、そのそばから抜き出た槍、なだらかな南岳、低くなった蝶ヶ岳、高い穂高、乗鞍、
御嶽
(
おんたけ
)
、木曾駒と
雪の武石峠
(新字新仮名)
/
別所梅之助
(著)
御嶽
(
おんたけ
)
の雪の
肌
(
はだ
)
清らかに、
石楠
(
しゃくなげ
)
の花の顔
気高
(
けだか
)
く生れ
付
(
つい
)
てもお辰を嫁にせんという者、七蔵と云う名を
聞
(
きい
)
ては山抜け
雪流
(
なだれ
)
より恐ろしくおぞ毛ふるって思い
止
(
とま
)
れば、
二十
(
はたち
)
を
越
(
こ
)
して痛ましや
生娘
(
きむすめ
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
一時間の
後
(
のち
)
、われは鳥居峠の絶巓、
御嶽
(
おんたけ
)
神社遙拜所の
華表
(
とりゐ
)
の前なる、一帶の草地に
藺席
(
ござ
)
を敷きて、峠を登り來りし勞を醫しながら、じつと眼下に展げられたる木曾の
深谷
(
しんこく
)
の景を見やりぬ。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
慇懃
(
いんぎん
)
に吾を導くにまかせ、次第に峰に上るうち、
御嶽
(
おんたけ
)
山頂の砦に着き、御嶽冠者に逢って見れば、噂に
優
(
まさ
)
る人品
骨柄
(
こつがら
)
、智徳兼備の大将振りに、吾ことごとく感に入り、その一党の仲間となり
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
木曾
(
きそ
)
の
御嶽
(
おんたけ
)
や
日光
(
につこう
)
にもゐます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
伊勢
(
いせ
)
へ、津島へ、
金毘羅
(
こんぴら
)
へ、
御嶽
(
おんたけ
)
へ、あるいは善光寺への
参詣者
(
さんけいしゃ
)
の群れは一新講とか真誠講とかの講中を組んで相変わらずこの街道にやって来る。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ただし途中で、
桟道
(
さんばし
)
を
踏辷
(
ふみすべ
)
るやら、
御嶽
(
おんたけ
)
おろしに
吹飛
(
ふきとば
)
されるやら、それは分らなかったのです。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
此處
(
こゝ
)
はわが姉の
嫁
(
とつ
)
げる家にて、さらに心置くべきもの一人もあらねば、長くとゞまりて、
御嶽
(
おんたけ
)
にも登り給へ、
王瀧
(
わうたき
)
にも遊び給へ、殊に、
橋戸
(
はしど
)
村は木曾山中屈指の勝と稱せらるゝところなれば
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
伏見屋もどうしたろう、そう言って吉左衛門などがうわさをしているところへ、
豊川
(
とよかわ
)
、名古屋、
小牧
(
こまき
)
、
御嶽
(
おんたけ
)
、
大井
(
おおい
)
を経て金兵衛親子が無事に帰って来た。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
東京理科大学の標本室には、加賀の
白山
(
はくさん
)
で取ったのと、信州の
駒
(
こま
)
ヶ嶽
(
たけ
)
と
御嶽
(
おんたけ
)
と、もう
一色
(
ひといろ
)
、北海道の札幌で
見出
(
みだ
)
したのと、四通り黒百合があるそうだが、私はまだ見たことはなかった。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
街道に添うて旅人に道を教える
御嶽
(
おんたけ
)
登山口、路傍に建てられてある高札場なぞを右に見て、福島の西の町はずれにあたる八沢というところまで歩いて行った時だ。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
桟
(
かけはし
)
、
合渡
(
ごうど
)
から先は木曾川も上流の勢いに変わって、山坂の多い道はだんだん谷底へと
降
(
くだ
)
って行くばかりだ。半蔵らはある橋を渡って、
御嶽
(
おんたけ
)
の方へ通う山道の分かれるところへ出た。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼が父の病を
祷
(
いの
)
るための
御嶽
(
おんたけ
)
参籠
(
さんろう
)
を思い立ち、
弟子
(
でし
)
の
勝重
(
かつしげ
)
をも伴い、あの山里の中の山里ともいうべきところに身を置いて、さびしくきこえて来る王滝川の夜の
河音
(
かわおと
)
を耳にした時だった。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
御
常用漢字
中学
部首:⼻
12画
嶽
部首:⼭
17画
“御嶽”で始まる語句
御嶽山
御嶽冠者
御嶽精進
御嶽山麓
御嶽拝所
御嶽講
御嶽參
御嶽道
御嶽参籠
御嶽遙拝所