トップ
>
小賢
>
こざか
ふりがな文庫
“
小賢
(
こざか
)” の例文
焼け尽したと見せた
蓆
(
むしろ
)
を、また直ちに裏返して青々としき直す、人間の
小賢
(
こざか
)
しい働き。自然はまたいい気になって、材料を供している。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いくら今の鍛冶が、
小賢
(
こざか
)
しく、真似てみても、もう二度と、この日本でもできない名刀を——実に、
可惜
(
あたら
)
くやしいことじゃございませんか
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御者台
(
ぎょしゃだい
)
を背中に
背負
(
しょ
)
ってる手代は、
位地
(
いち
)
の関係から少しも風を受けないので、この
云
(
い
)
い
草
(
ぐさ
)
は何となく
小賢
(
こざか
)
しく津田の耳に響いた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「こいつは
綺麗
(
きれい
)
だ、この
秣槽
(
かいおけ
)
は……」と、にんじんは、
小賢
(
こざか
)
しい調子でいった——「なるほど。金物を入れて、血を
殖
(
ふ
)
やそうってわけだね」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
一向
埒
(
らち
)
明かずとあってカリブ人、また鼠を遣わすとこやつ
小賢
(
こざか
)
しく立ち廻ってたちまち獏の居所を見付けたが、獏もさる者
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
小賢
(
こざか
)
しい
鴉
(
からす
)
はそれをよく
知
(
し
)
つてゐました。それだから、その
頭
(
あたま
)
や
肩
(
かた
)
の
上
(
うへ
)
で、ちよつと
翼
(
はね
)
を
休
(
やす
)
めたり。
或
(
あるひ
)
は一
夜
(
よ
)
の
宿
(
やど
)
をたのまうとでもすると、まづ
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
「金沢市のもんや。」と、
小賢
(
こざか
)
しくも都会人であるぞと深く印象させる為に特に「市」といふ所に力を入れて言つた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
雀はしきりに鳴き、枝から枝へと、気ぜわしくとび移り、鮮やかに赤い翼を
揃
(
そろ
)
えたり、
小賢
(
こざか
)
しく首を
傾
(
かし
)
げたりした。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
或いは多くの
小賢
(
こざか
)
しい人が踏み迷うたように、何でもかでも文字の排列してある紙さえ見ておれば、それで学問になると安心してしまわぬとも限らぬ。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
自己の罪悪を
小賢
(
こざか
)
しい智恵と言葉とを弄して弁解するよりも、人生の悪を身に徹して体験したトルストイが
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
母親がそっと小原に様子を訊いてみると、
小賢
(
こざか
)
しい小原はえへら笑いばかりしていて容易に話さなかった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
其時
(
そのとき
)
車
(
くるま
)
を
真中
(
まんなか
)
に、
案山子
(
かゝし
)
の
列
(
れつ
)
は
橋
(
はし
)
にかゝつた。……
瀬
(
せ
)
の
音
(
おと
)
を
横切
(
よこぎ
)
つて、
竹
(
たけ
)
の
脚
(
あし
)
を、
蹌踉
(
よろ
)
めく
癖
(
くせ
)
に、
小賢
(
こざか
)
しくも
案山子
(
かゝし
)
の
同勢
(
どうぜい
)
橋板
(
はしいた
)
を、どゞろ/\とゞろと
鳴
(
な
)
らす。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼女の
小賢
(
こざか
)
しいアラビヤ馬は飛鳥のごとくに駈け出したので、わたしの騎兵用軍馬もすぐに後からつづいた。そうして、この順序で私たちは馬を崖の上に駈け登らせた。
世界怪談名作集:12 幻の人力車
(新字新仮名)
/
ラデャード・キプリング
(著)
駈け出して
小賢
(
こざか
)
しげに
納所坊主
(
なっしょぼうず
)
両三名が
遮
(
さえぎ
)
ったのを、
黙々自若
(
もくもくじじゃく
)
として、ずいとさしつけたのは夜鳴きして参ったと言った眉間三寸、三日月形のあの冴えやかな向う傷です。
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
僕は一か月も大沢の
家
(
うち
)
へ通ううち、今までの生意気な
小賢
(
こざか
)
しいふうが次第に失せてしまった。
初恋
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それにくらべると、あの女房め、眼付きばかりは
小賢
(
こざか
)
しげでも、年甲斐もない愚か者じゃ。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
揶揄するような眼が
小賢
(
こざか
)
しく閃いた。かと思うと、彼女は急に真面目な調子に変った。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
なぜって、私たちが笑ったりふざけたり
小賢
(
こざか
)
しいことをやったりしてるのを見て、あなたは私たちの頭にはそれ以外に何にもないと考えて、私たちを
軽蔑
(
けいべつ
)
なすってるじゃありませんか。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
されば
是等
(
これら
)
の
餽物
(
おくりもの
)
親御からなさるゝは至当の事、受取らぬと
仰
(
おっしゃ
)
ったとて
此儘
(
このまま
)
にはならず、どうか条理の
立様
(
たつよう
)
御分別なされて、
枉
(
まげ
)
ても
枉
(
まげ
)
ても、御受納と
舌
(
した
)
小賢
(
こざか
)
しく
云迯
(
いいにげ
)
に東京へ帰ったやら
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
小賢
(
こざか
)
しい老女がこちらへ歩いて来るふうである。小君は憎らしく思って
源氏物語:03 空蝉
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
小賢
(
こざか
)
しき口返答する下郎かな。腹の足しにもならぬ花の種子を蒔きて無用の骨を折らむより
此
(
この
)
間、申し付けし
庫裡
(
くり
)
の流し先を掃除せずや。飯粒、茶粕の
類
(
たぐ
)
ひ淀み
滞
(
とゞこほ
)
りて日盛りの臭き事
一方
(
ひとかた
)
ならず。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
掻潜
(
かひくゞ
)
り死もの狂ひに
突廻
(
つきまは
)
れば惡者どもは是を見てヤア
小賢
(
こざか
)
しき女の働き
叩
(
たゝ
)
き
倒
(
たふ
)
せと
犇
(
ひし
)
めくを
頭立
(
かしらだち
)
たる大男は
慌
(
あわ
)
たゞし
氣
(
げ
)
に
押止
(
おしとゞ
)
めコレ/\其女を叩き倒して
成者
(
なるもの
)
か大事の玉に
疵
(
きず
)
がつくとそツと
生捕
(
いけどれ
)
と氣を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
さて
汝
(
なんぢ
)
女人
(
によにん
)
よ、
小賢
(
こざか
)
しき末の世に生れあひて
エロディヤッド
(旧字旧仮名)
/
ステファヌ・マラルメ
(著)
小賢
(
こざか
)
しい商量や、虚偽や
南洋館
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
用うるなどという容態振りからして
嘔吐
(
へど
)
が出る。赤壁で曹操を破ったものは、呉の
周瑜
(
しゅうゆ
)
の智とその兵力だ。
小賢
(
こざか
)
しいわれこそ顔、片腹いたい
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こんな
小賢
(
こざか
)
しい言い方をされると、自分の腹の中まで探られるような気がして、
小癪
(
こしゃく
)
にさわらないでもない。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
此の場合逃るのは悪いといふ
小賢
(
こざか
)
しい智慧が働いて居た。私は尚頭を抱へたまゝ其処に立ちすくんで居た。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
引込思案な臆病、
小賢
(
こざか
)
しくて功利的な知恵、それよりも根本的には私を善良な青年とみていた世間の評判が、ただ私を不道徳の実行者にならしめないのみであった。
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
お久はお菊よりも
七歳
(
ななつ
)
の年上で、この店に十年も
長年
(
ちょうねん
)
している
小賢
(
こざか
)
しげな女であった。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
……その
小賢
(
こざか
)
しい口を閉めろ、そして飲みたまえ、ぼくはぼくの野心のいかなるものかを知っている、計画もみとおしもついている、きみはきみを信じなければいかん、飲みたまえ
陽気な客
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
この
茫々
(
ぼうぼう
)
たる大地を、
小賢
(
こざか
)
しくも垣を
囲
(
めぐ
)
らし
棒杭
(
ぼうぐい
)
を立てて某々所有地などと
劃
(
かく
)
し限るのはあたかもかの
蒼天
(
そうてん
)
に
縄張
(
なわばり
)
して、この部分は
我
(
われ
)
の天、あの部分は
彼
(
かれ
)
の天と届け出るような者だ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
揶揄するような
小賢
(
こざか
)
しい光があった。嫉妬してはいけない、と彼は心の中で彼女に云った。そして、自分の子でないという焦燥を彼女の心に起させるのは、最もいけないことだと思った。
子を奪う
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
導く人のやはり
我
(
わが
)
仲間であったことは、或いは時代に相応せぬ
鄙
(
ひな
)
ぶりを
匡
(
ただ
)
しえない結果になったか知らぬが、そのかわりにはなつかしい我々の大昔が、たいして
小賢
(
こざか
)
しい者の干渉を受けずに
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
素朴
(
そぼく
)
な、
小賢
(
こざか
)
しい、ずるい男で、打たれ、奪われ、勝手なことをされ——妻を愛され、畑を荒らされ、人からされるままになり——それでいて飽かずに、自分の土地を耕し——戦争にやらされ
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「おのれッ……
小賢
(
こざか
)
しい文句……誰が教えたッ……」
名君忠之
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
先生もこれには少し行き詰まったので僕は
畳
(
たた
)
みかけて『つまり孟子の言った事はみな悪いというのではないでしょう、読んで益になることが沢山あるでしょう、僕はその益になるところだけが好きというのです、先生だって同じことでしょう、』と
小賢
(
こざか
)
しくも弁じつけた。
初恋
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
風においては
廃
(
すた
)
れ、ただ売名に
長
(
た
)
けた、
小賢
(
こざか
)
しき者のみが、横行する時代であることを、証拠だてておるのではなかろうかな。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼はまだ子供の折のことを根に持つて居るといふ訳ではないけれど、何となくお桐を好かなかつた、平三にはお桐は
小賢
(
こざか
)
しいおせつかいな負惜みの強い女に見えた。
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
がんりきは
力
(
りき
)
み返る。竜之助は
苦笑
(
にがわら
)
い。この
小賢
(
こざか
)
しい小泥棒め、おれに張り合ってみようというのでさえ片腹痛いのに、死んだ肉は食わないというような一ぱしの
口吻
(
くちぶり
)
。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いかにも
小賢
(
こざか
)
しげな人物であって、自分の供をして出た主人を見失って、それで平気で済ましていられるような
鈍
(
にぶ
)
い人間でないことは、多年の経験上、半七には一と目で判っていた。
半七捕物帳:11 朝顔屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
かかる罪悪を
小賢
(
こざか
)
しい智恵を弄して弁護し弁解しようという傲慢な心である。
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
左榎と書くような
小賢
(
こざか
)
しい誤りも多いのである。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「へっ」と彼は
小賢
(
こざか
)
しく肩をしゃくった
しじみ河岸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
笑ってもよいわ。わしは、侍の子だ。いちどいったことは、後へ
退
(
ひ
)
くのはきらいだ。わしが行って、
小賢
(
こざか
)
しの
童
(
わっぱ
)
めの
土偶仏
(
でくぼとけ
)
を
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何という
小賢
(
こざか
)
しい言いぶりだろう。二個の簑笠は顔を見合わせてしまいました。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
小賢
(
こざか
)
しい江戸の女を見馴れた澹山の眼には、何だかぼんやりしたような
薄鈍
(
うすのろ
)
い女にみえながら、邪宗門の血を引いているだけに、強情らしい執念深そうな、この田舎娘に飽くまでも
魅
(
み
)
こまれたら
半七捕物帳:33 旅絵師
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この頃のように、こう小生意気な兵法青年がうようよ歩いて、すぐ印可の目録のといって誇っていることが、彼には、
小賢
(
こざか
)
しく聞えてならない。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小賢
(
こざか
)
しい人間の復興ぶりの存外に有力なるに業を煮やし、同時に以前の焼野原に、慢心和尚という山師坊主の手によって立てられた木柱に向って、十二分の憎悪と嘲笑を浴びせたところ。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そして、人々が
見聞
(
みきき
)
したうわさを持って町の方へながれて行くと、その間を、例の六波羅
童
(
わっぱ
)
が、しきりと、
小賢
(
こざか
)
しい眼をして、罪を
嗅
(
か
)
いであるく。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
きわどいところで
壊
(
こわ
)
れそうじゃわい、ほかでもない、それは駒井能登めが為す
業
(
わざ
)
じゃ、あの
小賢
(
こざか
)
しい駒井能登が邪魔をして、惜しい縁談が壊れかかったわい、残念じゃ、腹が立ってたまらぬわい
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
賢
常用漢字
中学
部首:⾙
16画
“小”で始まる語句
小
小児
小径
小鳥
小僧
小言
小路
小遣
小刀
小父