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寄越
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よこ
ふりがな文庫
“
寄越
(
よこ
)” の例文
「おやおや、おかしいねえ、あてッこすりに
寄越
(
よこ
)
したのかしら、
私
(
わたい
)
をこんなにしておいて、まだそんなことをする方じゃあない、」
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
別
(
わか
)
れ
際
(
ぎは
)
に父は、舎費を三ヶ月分納めたので、
先刻
(
さつき
)
渡した
小遣銭
(
こづかひせん
)
を半分ほどこつちに
寄越
(
よこ
)
せ、宿屋の払ひが不足するからと言つた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
何しろMさんの坊々は光子さんの器量にあこがれてラブレター
寄越
(
よこ
)
したくらいやのんですから、それは大敵に違いあれしません。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
先方には年老いた母親があり、私の方には老人夫婦がいるために、昔
気質
(
かたぎ
)
の義理深く、時々はこういう知らせも
寄越
(
よこ
)
していたのでしょう。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「退院したらすぐ手紙
寄越
(
よこ
)
さうぞ、待つとるぞ、
阿母
(
おふくろ
)
にも上手に言うてな。忘れるな。」と注意を与へてから、残り惜しさうに
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
▼ もっと見る
元旦にそこから
寄越
(
よこ
)
した葉書に、「私は割合に元気にしております。元日と二日とは休養、三日頃から見物、携帯食糧のなくなる頃帰京」
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
わたしの処へ
寄越
(
よこ
)
す手紙にはその用件の次第によって時々異った雅号が書かれてあるがそれを見てもヨウさんの趣味と学識の博い事が分る。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
或日家主から植木屋を
寄越
(
よこ
)
して庭の植木の手入をすると言って、その柳を何の容赦もなく
滅茶苦茶
(
めちゃくちゃ
)
に
枝下
(
えだおろ
)
しをしてしまったというのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
その郷里の家からは、烟草屋の二階に室借をしていた独身時代にも、時々
林檎
(
りんご
)
や柿を
寄越
(
よこ
)
してくれたが、今年は
初茸
(
はつたけ
)
と
湿地茸
(
しめじだけ
)
を送って来た。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
『あゝ、あの子を晩餐の後、客間に
寄越
(
よこ
)
して下さい。それからエアさんに、あの子と一緒に來るやうに云つて下さい。』つて。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
何處
(
どこ
)
で聞いたか私の大阪に來てゐるといふことを知つて「
直太郎
(
なほたらう
)
(私)も當地ださうだ。遊んでゐるなら私の
家
(
うち
)
の書生に
寄越
(
よこ
)
したら
何
(
ど
)
うだ。」
兵馬倥偬の人
(旧字旧仮名)
/
塚原渋柿園
、
塚原蓼洲
(著)
入れて見ようかと本社へ云ってやりましたら社長や何かみな大へん
面白
(
おもしろ
)
がって賛成して運動費などもよこし
慰労旁々
(
いろうかたがた
)
技師も五人
寄越
(
よこ
)
しました。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
とにかく南条文雄博士が大変に心配して、私の方へ手紙を
寄越
(
よこ
)
すたびに、あなたの事について何か聞いた事がないかというて尋ねて来られた。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
自分
(
じぶん
)
について
来
(
く
)
れば
判
(
わか
)
る。
汝
(
そなた
)
は
折角
(
せっかく
)
修行
(
しゅぎょう
)
の
為
(
た
)
めにここへ
寄越
(
よこ
)
されているのであるから、この
際
(
さい
)
できる
丈
(
だけ
)
何彼
(
なにか
)
を
見聞
(
けんぶん
)
して
置
(
お
)
くがよいであろう……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
言葉の意味は、
寧
(
むし
)
ろ青年の
寄越
(
よこ
)
した手紙の束を内容づける将来の決心に対する漠然とした質問には
異
(
ちが
)
ひなかつた。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
それにしたところで、台湾や朝鮮から見りゃ、何でもないさ、遊ぶつもりで一年ばかり
往
(
い
)
ってみちゃどうかね。いやならいつでもそう言って
寄越
(
よこ
)
しなさい。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかしそんなに
心配
(
しんぱい
)
なさいますな。
私
(
わたし
)
が、
雷
(
かみなり
)
を、こちらへ
寄越
(
よこ
)
さずに、ほかへいくようにいってあげます。
ぴかぴかする夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「ぢや、僕の方へ少し
寄越
(
よこ
)
しとけ、僕はここ三週間ほど仕事の合間だから、相手になつてゐてやれる。」
夏の夜の夢
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
折り返して、外套全く使用に堪えず、新調の上は御参考の為め洋服屋の受取証御覧に入れ可申候間何卒お願い申上候と認めてやったら、今度は直ぐに送って
寄越
(
よこ
)
した。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
この間、旅先から手紙を
寄越
(
よこ
)
しなすったそうだが、なぜもっと早く来ないのかって、お家様も
噂
(
うわさ
)
をしていたのさ。船が出るのは
五
(
い
)
ツ
刻
(
つ
)
だから、まだちょっと間がある。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遅くなりそうだったら、途中から電話か使いかを
寄越
(
よこ
)
す
筈
(
はず
)
だった。それが何も云って寄越さないのだから不審だった。といって須永を探しにゆくにも
手懸
(
てがか
)
りがなかった。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
夏目先生
(
なつめせんせい
)
が
手紙
(
てがみ
)
で「
毎木曜日
(
まいもくようび
)
にワルモノグイが
来
(
き
)
て、
何
(
な
)
んでも
字
(
じ
)
を
書
(
か
)
かせて
取
(
と
)
って
行
(
ゆ
)
く」という
意味
(
いみ
)
のことを
云
(
い
)
って
寄越
(
よこ
)
されたので、その
手紙
(
てがみ
)
を
後
(
のち
)
に
滝田
(
たきた
)
さんに
見
(
み
)
せると
夏目先生と滝田さん
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
其代りに明日から義弟の
七五三太
(
しめた
)
といふのを
寄越
(
よこ
)
しますと云つて、暇乞ひをして先きへ出た。
硯友社と文士劇
(新字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
さうは容易に退散してやらんぞ、一度は養子であつた自分に、遺産の分前を
寄越
(
よこ
)
せ、それが当然だぞと云ひたげな表情もして見せた。しかし、本心の底はまた別だつたのだ。
現代詩
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
他の場合、
殊
(
こと
)
に通信の後期五年間に
於
(
おい
)
ては、一団の霊達が各自自分の書体で通信を
寄越
(
よこ
)
した。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
すると孫はにやりと笑ってポケットから賃貸借通帳を取出し、それにぽんと印を
捺
(
お
)
してこちらに
寄越
(
よこ
)
した。それを見ると家の借り手は、僕と野呂の二人の連名になっています。
ボロ家の春秋
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
羅馬
(
ロオマ
)
法王から
此
(
この
)
大会に
寄越
(
よこ
)
した使節僧の一行を皇帝自身に迎へられる儀式があると云ふので、
其
(
その
)
日の見物の桟敷が王宮の前にも
内庭
(
うちには
)
にも黄いろい布を張つて設けられてあつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
もうまる一年も何もいって
寄越
(
よこ
)
さないのには、深い原因があるに違いない、その原因とは一体何であろう、筒井はその一つは死というものに
捉
(
とら
)
えられた彼ではなかろうかと思い
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
一本の手紙を
寄越
(
よこ
)
さなくともよい。無事で戦っていてくれればよい、と思いながら……
指導物語:或る国鉄機関士の述懐
(新字新仮名)
/
上田広
(著)
伯母がお時を私の内へ
寄越
(
よこ
)
したのも、實はその邊があつたからだらうと思ふのです。
反古
(旧字旧仮名)
/
小山内薫
(著)
これは私ばかりではない誰でも
然
(
さ
)
うなので、現に此間も去る友人から「世界語」を一部送つて
呉
(
くれ
)
ろと言つて来たから送つてやると、直ぐエスペラントで小版三頁程の手紙を
寄越
(
よこ
)
した
エスペラントの話
(新字旧仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
然るにこの位な
揶揄
(
やゆ
)
弄言
(
ろうげん
)
は平生面と向って談笑の間に
言合
(
いいあ
)
うにかかわらず、この手紙がイライラした神経によっぽど
触
(
さわ
)
ったものと見えて
平時
(
いつ
)
にない怒気紛々たる返事を直ぐ
寄越
(
よこ
)
した。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
こんなものを
寄越
(
よこ
)
しておいて、いまさら卑怯な真似はよした方がよいでしょう。
探偵戯曲 仮面の男
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
“あの副官の野郎、おやじをどえらい所へ
寄越
(
よこ
)
しやがった。なにが吉報なのだ”
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
家内は今、
郷里
(
くに
)
に居ます。時々家のことを書いた長い手紙を
寄越
(
よこ
)
します。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「そんなわけには行かないんだよ、ふみや。あの子がいるとわしもお前も年中苦労しなきゃならないんだよ。それにちょうどお前のお父さんからあの子を
寄越
(
よこ
)
せって言って来ているんだから……」
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
六年の間何でも三百何十通と云う手紙を書きましたが、私が手紙を
書放
(
かきはなし
)
にして家内が
校合方
(
きょうごうかた
)
になって封じて遣るから、両親の親筆に相違ない。
彼方
(
あちら
)
の小供両人も飛脚船の来る度に必ず手紙を
寄越
(
よこ
)
す。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
彼女は明日にでも上京して来るようなことを書いて
寄越
(
よこ
)
した。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
弥八
寄越
(
よこ
)
さねえと蹴殺すぞ。
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
目ぼしい地所や
家蔵
(
いへくら
)
を
寄越
(
よこ
)
せ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
見事
(
みごと
)
な
手紙
(
てがみ
)
を
寄越
(
よこ
)
したが
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
(
闥
(
ドア
)
の外に向って呼ぶ)おいおい、居間の鏡を
寄越
(
よこ
)
せ。(闥開く。侍女六、七、二人、赤地の錦の
蔽
(
おおい
)
を掛けたる大なる姿見を捧げ出づ。)
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こんなひどい夜でなければ、ハナァをお相手に
寄越
(
よこ
)
して上げるのですが。あなたを一人つきりで置いて行くのはあんまり可哀相な氣がしますよ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
ところがその後その室を整理することになって、全部の品を持出した中に、こんな物があった、そちらのらしい、と
寄越
(
よこ
)
されたのがそれなのでした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
母親が今津の福子の家から迎いを
寄越
(
よこ
)
して、庄造に呼び出しをかけたりすると、品子より先にリリーが彼の裾へ
縋
(
すが
)
って、あの悲しい眼で引き止めたりした。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
隣の座敷では二人の小娘が声を
揃
(
そろ
)
えて、
嵯峨
(
さが
)
やお
室
(
むろ
)
の花ざかり。長吉は首ばかり
頷付
(
うなずか
)
せてもじもじしている。お糸が手紙を
寄越
(
よこ
)
したのは
一
(
いち
)
の
酉
(
とり
)
の
前
(
まえ
)
時分
(
じぶん
)
であった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
直助は地味な
美貌
(
びぼう
)
の若者だ。
紺絣
(
こんがすり
)
の書生風でない、
縞
(
しま
)
の着物とも砕けて居ない。直助はいつも丹念な山里の実家の母から届けて
寄越
(
よこ
)
す純無地木綿の
筒袖
(
つつそで
)
を着て居た。
川
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
「お二人さん。お気の毒ながら、その室で少し
休憩
(
きゅうけい
)
していて下さい。いずれのち程、お迎えに誰かを
寄越
(
よこ
)
します。一秒を争うので、少し荒っぽい方法で失礼ですが……」
空中墳墓
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今秋本が彼女の動静を探らせに、わざわざ番頭を
寄越
(
よこ
)
したとなると、場合は葉子に不運であった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私は震えながら、ビルの事務所に電話を掛けて、医者を一人大急ぎで
寄越
(
よこ
)
してもらうことにしたが、その間も必死になって濡れタオルを額に載せたり胸に載っけたりして
葛根湯
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
寄
常用漢字
小5
部首:⼧
11画
越
常用漢字
中学
部首:⾛
12画
“寄”で始まる語句
寄
寄席
寄合
寄手
寄寓
寄生木
寄付
寄来
寄人
寄進