姉妹きやうだい)” の例文
其れでこそ始めで姉妹きやうだいの契約のじつがあると言ふんですわねエ——梅子さん後生ごしやうですから貴嬢あなた現時いまの心中を語つて下ださいませんか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
と、丘の上で、大勢の子供がうたふ唄が聞えました。二人の姉妹きやうだいは、急に悲しくなつて、わツと地べたへ泣き伏してしまひました。
仲のわるい姉妹 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
お祓の帯、お祓の着物と云ふことは、呉服屋が来て一家の人々の前に着物をひろげます度に、私等姉妹きやうだいつてさゝやかれました。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
姉妹きやうだいの娘は早く子供等の寝静まるのを待つた。その晩は叔父さんもめづらしく長く下の部屋に坐つて、翌日あすの仕度の話をした。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
姉妹きやうだいのやうにいたしてをりました、近所の、おはつさんといふが、わたくしに相談もせず、何処かの男と駈落をしてしまつたんでございます。
(新字旧仮名) / 岸田国士(著)
うさ、一つくらゐ!』と福鼠ふくねずみ焦心ぢれッたさうにつて、またはなつゞけました、『其故それゆゑ此等これらにん姉妹きやうだいは——みんなでえがくことをまなんでました——』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
女の姉妹きやうだいはあるが男は一人きりだといふ彼は、父母の懷に甘つたれて育つたに違ひない。さう思つた時、自分は我儘らしい少年の態度を是認した。
姉妹きやうだい三人の星の女が、毎晩、美しい下界を見るたびに、あすこへ下りて見たいと言ひ/\してゐました。
星の女 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
アロナ附近でベツクリンの絵の「死の島」はこれつたのだらうと想はれる湖上の島を眺めなが昼食ちうじきを取つて居ると、同じ卓へむかひ合せに着いた姉妹きやうだいの英国婦人の
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
たゞ南谿なんけいしるしたる姉妹きやうだい木像もくざうのみ、そとはま砂漠さばくなかにも緑水オアシスのあたり花菖蒲はなあやめいろのしたゝるをおぼゆることともえ山吹やまぶきそれにもまされり。おさなころよりいま亦然またしかり。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ゴーゴンは姉妹きやうだい三人から成り、世界のある一端に住んで居たのであるが、そのうち二人は不仁身ふじみで、つても打つても死なないが、末の一人なるメヂユーサのみは
毒と迷信 (新字旧仮名) / 小酒井不木(著)
季子は三人姉妹きやうだいの中での季娘で、二人の姉がそれ/″\結婚してしまつた後、母と二人埼玉縣の或町に疎開してゐたが、この春母が病死して、差當り行く處がないので
或夜 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
曾て姉妹きやうだいとも同時に流行の麻疹はしかに罹つたことがある。最初は非常の熱で、食事も何も進まなかつた。その當時の或る夜自分は十時頃でもあつたか外出先から歸つて來た。
一家 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
園が三十にならぬうちにFが歿くなると女同志でいつしよになつたが姉妹きやうだいも及ばぬ仲だつた。
淡雪 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「一つのことの爲めなの。私には父も母も姉妹きやうだいもないんですもの。」
すき一つ入れたことのない荒蕪地あれちの中に建てられた、小さい三等駅だから、乗降のりおりの客と言つても日に二十人が関の山、それも大抵は近村の百姓や小商人こあきんどばかりなのだが、今日は姉妹きやうだいの姿が人の目を牽いて
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ある村に、お杉とお紺と云ふ仲の悪い二人の姉妹きやうだいがありました。お母さんは、二人の仲がよくなるやうにと、いつも、心配をしてをりました。
仲のわるい姉妹 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
姉妹きやうだい流許ながしもと手洗てうづをつかひながら話した。お栄の方は水道の前に蹲踞しやがんで冷たい柔かな水でもつて寝起の顔を洗つて居た。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
一寿 さう云ふが、お前たちはそれほど仲の悪い姉妹きやうだいでもないぢやないか。それに較べると、あれなんかひどかつた。
沢氏の二人娘 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
私たちは三人の姉妹きやうだいだけれど、三人ともみんなお母さまがちがつてゐて、一ばんのお姉さまを生んだのは、大空の雲だし、中のお姉さまは地にく泉のおなかに生れ
湖水の鐘 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
昔々むかし/\ところに三にんちひさな姉妹きやうだいがありました』と福鼠ふくねずみ大急おほいそぎではじめて、『其名そのなを、えいちやん、りんちやん、ていちやんとつて、三にんともみん井戸ゐどそこんでゐました——』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
私はう云ふお転婆、米ちやんはの通りの温柔おとなしやでせう、ですけども、うしたわけかく気が合ひましてネ、始終しじゆう往来ゆききして姉妹きやうだいの様にして居たんですよ、あゝ云ふことになる晩まで
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「アラ、みつちやん」とびかけられ、おどろいて振返ふりかへつてると、小岩こいは私娼窟ししやうくつにゐたころ姉妹きやうだいのやうに心安こゝろやすくしてゐた蝶子てふこといふをんな、もとは浅草あさくさ街娼がいしやうをしてゐたこともあるといふをんななので、わけはなして
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
ちゝところ巡廻じゆんくわいしたせつ何処どこ山蔭やまかげちひさなだうに、うつくし二十はたちばかりのをんなの、めづらしい彫像てうざうつたのを、わたくし玩弄おもちやにさせうと、堂守だうもり金子かねつて、とものものにたせてかへつたのを、ほか姉妹きやうだいもなし
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
が、智恵子の親切は肉身しんみ姉妹きやうだいも及ばぬとお利代は思つてゐる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
姉妹きやうだいが世話する叔父をぢさんの子供は二人とも男の児で、年少したの方はふみちやんと言つて、六歳の悪戯盛いたづらざかりであつた。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
仲の悪い二人の姉妹きやうだいは、ひとりぼつちになつて、ぽかんとして見てをりますと、向ふの丘の上に、大勢の子供達が手をとり合つて楽しさうに遊んでをりました。
仲のわるい姉妹 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
「むづかしいとこですね。どうです、僕が姉さんに会つて来ませうか? あなたも行くなら行つてもいいですよ。しかし、姉妹きやうだいでとことんまでそんな談判ができますか」
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
王さまのそばについてゐた姉妹きやうだい二人の妖女は、若ものゝまへゝ来てひざをついて
湖水の鐘 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
『……私ね……真箇ほんと姉妹きやうだいになりたかつたの。貴女と。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
斯の官吏の娘の家は私達が住むと同じ町の並びにありました。姉妹きやうだいで學校へ通つて居ました。
二人は、姉妹きやうだいのやうに、いえいえ姉妹よりも、もつともつと仲よしでした。それに顔や姿までが、どことなく似てゐたものですから、村の人達は双児のやうだとよく云ひました。
虹の橋 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
同じ姉妹きやうだいでも斯うも違ふものかと娘時代には言はれたものだつた。
灯火 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
これがお志保の異母はらちがひ姉妹きやうだいとは、奈何しても受取れない。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)