出会であ)” の例文
旧字:出會
またいお医者いしや出会であふことも有らうから、夫婦で茅場町かやばちやう薬師やくしさまへ信心しん/″\をして、三七、二十一にち断食だんじきをして、夜中参よなかまゐりをしたらからう。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
こまっていると、ふいにくつおとがしたので、まさしく、てき出会であったと、がまえすると、おもいがけない、親友しんゆうだったので、二びっくりした。
たましいは生きている (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちょうど田植たうやすみの時分じぶんで、むらでは方々ほうぼうで、にぎやかなもちつきのおとがしていました。山のおさると川のかにが、途中とちゅう出会であって相談そうだんをしました。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そうしてお前が、第八回目の手紙を書くようになったときには、お前は否応いやおうなしに、ピポスコラ族に出会であった話を書かなければならないだろう。
とうとう二、三ばんつことにした。人間も糟谷かすやのような境遇きょうぐうつるとどっちへむいても苦痛くつうにばかり出会であうのである。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
岩屋いわや修行中しゅぎょうちゅうだれかの臨終りんじゅう出会であったことがあるか、とのおたずねでございますか。——それは何度なんど何度なんどもあります。
「それをね、お松さんと船頭さんがね、大船へ帰って来て一つ話にしているのですよ、舟で河童かっぱ出会であったって」
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この級からは、みなさんに男子の代表だいひょうをえらびだしてもらわなければなりません。これはみなさんが在学中ざいがくちゅうただいちどしか出会であうことのできない重いやくめです。
美しき元旦 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
涼風すずかぜならぬ一陣の凄風せいふう、三人のひっさげがたなにメラメラと赤暗い灯影ほかげゆるがした出会であがしら——とんとんとんとやわらかい女の足音、部屋の前にとまって両手をついた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれども、半日まるっきり人にも出会であわないそんなたびでしたから、私は食事がすんでも、すぐに泉とその年老としとった巡礼とから、わかれてしまいたくはありませんでした。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
わたし勿論もちろんどつちが危険きけんだかといふ明白めいはく意識いしきなくして、たゞ漠然ばくぜんなかば謙遜けんそん気持きもちつたのであつたが、S、Hがまたさうふう謙遜けんそん意味いみこたへたのに出会であつて
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
そして、なによりも残念ざんねんに思われるのは、ケブネカイセのアッカになんか出会であったことでした。
くまは、ひくく長くうなりだした。それは、さっきまでほえたような声とちがって、大敵たいてき出会であった場合ばあいに、たがいにすきをねらってにらみ合っているような、不気味ぶきみなものだった。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
そんな散歩中、ときおり、一月ひとつき前までは私と一しょに遊びたわむれたりしたことさえある村の子供たちと出会であうようなこともあったが、彼等は私たちの傍を素知らぬ顔をして通りけていった。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
たとえば昔なら物を造る者とこれを用うる者が直接に出会であって、相談のうえに物々交換ぶつぶつこうかんを行った。こういう場合には値段ねだんを定むるに両者間の承諾しょうだくの上に成るから、互いの満足のもとに終わる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
一度ぐらいは出会であってしかるべきはずだという考えが自然と起ってきた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と、そこでもまたかれは、おそろしいことに出会であってしまった。
度目どめ出会であつたのが、いやきふにはうごかず、しか胴体どうたいふと
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やっとむらかえると、いつか、たびかせぎにゆけばこまるようなことはないとおしえてくれたひと出会であいました。
おかしいまちがい (新字新仮名) / 小川未明(著)
この百姓ひゃくしょうたにあいだに田をつくっていました。ある日そこではたらいている男たちのものうし背負せおわせてはこんで行きますと、ふと王子おうじ天日矛あまのひぼこ途中とちゅう出会であいました。
赤い玉 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
出会であったり! 火独楽ひごま水独楽みずごま双方そうほうぬし、上にひそんでいたものこそ、どうして、いつどこからこの躑躅つつじさきくるわへしのびこんでいたのか、まぎれもあらぬ鞍馬くらま竹童ちくどう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勢い、バッタリと出会であわないわけにはゆきません。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
といって、いまがた出会であったふしぎな出来できごとをのこらずはなしました。すると女はたいそうどくがって
人馬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おとこは、またとぼとぼと、のめりそうにあるいてくると、となりのおばあさんに出会であいました。
おかしいまちがい (新字新仮名) / 小川未明(著)
もとより、ここで呂宋兵衛と出会であおうとは、ゆめにも予感よかんをもたないのだった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そういう変事へんじがあったのは知らないが、小文治はふしんにおもった。あとから登ってくるみちみちにも、くだってくる燕作に出会であうだろうと思っていたのに、ここへきても、その姿すがたが見えない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)