トップ
>
健
>
すこ
ふりがな文庫
“
健
(
すこ
)” の例文
「御母堂にも、
寧子
(
ねね
)
どのにも、宵よりいたくお待ちかねでおられます。ともあれ奥へ渡らせられ、殿のお
健
(
すこ
)
やかぶりもお見せ申しては」
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
追々
薄紙
(
はくし
)
を
剥
(
は
)
ぐが如くに
癒
(
い
)
え行きて、はては、
床
(
とこ
)
の上に起き上られ、妾の
月琴
(
げっきん
)
と兄上の
八雲琴
(
やくもごと
)
に和して、
健
(
すこ
)
やかに
今様
(
いまよう
)
を歌い出で給う。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
これを
健
(
すこ
)
やかな、豊かな、調和そのものであるようなギリシア女の画に比べて見ると両者の相違はきわめて明瞭にわかると思う。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
兎に角己はいつに無い上機嫌になつて来た。己は酒に
逆
(
のぼ
)
せて、顔が
健
(
すこ
)
やかな濃い
紅
(
くれなゐ
)
に染まつた。それを主人は妬ましげに見てゐるらしい。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
寄宿舎を出てしまうと同時に、彼には幻視も幻聴も現われなくなり、間もなく
健
(
すこ
)
やかな青春を取り戻すことが出来たのだからね。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
▼ もっと見る
たとえば「大きく
空洞
(
うつろ
)
になっている
臍
(
へそ
)
は美しいものとされているばかりでなく、幼児にあっては
健
(
すこ
)
やかに生い立つ
兆
(
しるし
)
であると思われている」
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
宮詣を終えて彼らはナザレの家に帰り、幼児は次第に成長して
健
(
すこ
)
やかになり、知恵みち、かつ神の恵みがその上にあった。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
いま私は私自身の内面を検査してそれらの外道を発見し、わが道を直くし、わが歩を
健
(
すこ
)
やかにすることを企てたいと思う。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
そして、みんなの
健
(
すこ
)
やかな
顔
(
かお
)
を
見
(
み
)
て、
心
(
こころ
)
から、
喜
(
よろこ
)
んでくれるのでした。
姉弟
(
きょうだい
)
の
中
(
うち
)
でも、二
番
(
ばん
)
めの
女
(
おんな
)
の
子
(
こ
)
は、もっともこの
小父
(
おじ
)
さんを
慕
(
した
)
ったのでした。
二番めの娘
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
水清く魚
健
(
すこ
)
やかに、日光樹梢を漏りてかすかに金を
篩
(
ふる
)
ふところ、
梭影
(
さえい
)
縱横して魚
疾
(
と
)
く
駛
(
はし
)
るさま、之を視て樂んで時の經つのを忘れしむるものがある。
華厳滝
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
庭へおりて見ると、
小篠
(
こざさ
)
の芽が、芝にまじって、
健
(
すこ
)
やかな青さで出ていた。そのかげを赤い
小蟹
(
こがに
)
が、横走りに
駈
(
か
)
けたり、
鋏
(
はさみ
)
で草を摘んで食べている。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
頸
(
くび
)
から彼女の小さな手をゆるめて接吻をし、不思議な感動で彼女に向つて泣き、私の
啜泣
(
すゝりなき
)
が靜かな
健
(
すこ
)
やかな休息を破ることを恐れて彼女の許を去つたのを。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
髪は
二七三
績麻
(
うみそ
)
を
二七四
わがねたる如くなれど、手足いと
健
(
すこ
)
やかなる翁なり。此の滝の
下
(
もと
)
にあゆみ来る。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
彼らはいつも
健
(
すこ
)
やかに朝な夕なを迎えるではないか。顧みられない個所で、無造作に扱われながら、なおも無心に素朴に暮している。動じない美があるではないか。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
刀
(
とう
)
を執る者は、虎松という九十に近い小吏だった。刑死人の死体の脂肪がにじみ出ているのではあるまいかと思われるような、赤黒い皮膚をした
健
(
すこ
)
やかな老人であった。
蘭学事始
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
緩端
(
えんばた
)
に
平伏
(
へいふく
)
したる齋藤茂頼、齡七十に近けれども、猶ほ
矍鑠
(
くわくしやく
)
として
健
(
すこ
)
やかなる
老武者
(
おいむしや
)
、右の鬢先より頬を
掠
(
かす
)
めたる
向疵
(
むかふきず
)
に、
栗毛
(
くりげ
)
の
琵琶
(
びは
)
股
(
もゝ
)
叩いて物語りし昔の武功忍ばれ
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
お前は、おれが病気になるたびに、自分も加減が
悪
(
わる
)
いと称して寝てしまふ。これで幾度だ。平生は至つて
健
(
すこ
)
やかなお前が、一日や二日の看護に、疲れるといふわけがない。
医術の進歩
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
また兩者の衝突もなくて美くしく
健
(
すこ
)
やかにして協立することが出來たであらうと想はれます。
姑と嫁に就て(再び)
(旧字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
お島は長いあいだ養父母の体を揉んでから、
漸
(
やっ
)
と寝床につくことが出来たが、お茶屋の奥の間での、
刺戟
(
しげき
)
の強い今日の
男女
(
ふたり
)
の光景を思浮べつつ、
直
(
じき
)
に
健
(
すこ
)
やかな眠に陥ちて了った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
平次の手が動くと、錦太郎の後ろの
金屏風
(
きんびやうぶ
)
が取拂はれました。その奧に置かれたやうに坐つて居るのは、何と、錦太郎が殺したと思ひ込んでゐる、お福の
健
(
すこ
)
やかな姿ではありませんか。
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「身に余るお言葉、
忝
(
かたじ
)
けのう存じまする」老人は平伏しながら泣いた。「お
健
(
すこ
)
やかに御成人あそばされめでたく——御世継ぎとして御帰館あらせられ、わたくしども一同、祝着に存じ奉りまする」
若殿女難記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「しかし出水もなく近い火の
過
(
あやま
)
ちもなかったかわりに、もう、お姿を拝むことがなくなりました。あのように
健
(
すこ
)
やかに
亘
(
わた
)
らせていながら、あえなくなるとは、人のいのちの
脆
(
もろ
)
さがはかられませぬ。」
玉章
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
老
(
おい
)
らくの
齡
(
とし
)
にもめげず、
健
(
すこ
)
やかに、
忠
(
まめ
)
なる聲の
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
安土
(
あづち
)
にある
三法師君
(
さんぼうしぎみ
)
も、明けて五歳になった。この正月を迎え、その
健
(
すこ
)
やかな成長を拝すべく、年賀に
伺候
(
しこう
)
する大名も多かった。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私はただ、一つの部屋におりましたというのみのこと、
伝染
(
うつ
)
るのを恐れて、投げ入れられましたなれど、実はこのとおり
健
(
すこ
)
やかなのでございますから
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
あなたは
健
(
すこ
)
やかで仕事に励んでいられるそうで喜びます。私は一時はずいぶん苦しみましたが、この頃は熱もなく、気分もよくなりましたから喜んで下さい。
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
其処
(
そこ
)
にはなつかしき母上の飛び出で給いて、やれ無事に帰りしか、大病を
悩
(
わず
)
らいしというに、かく
健
(
すこ
)
やかなる顔を見ることの嬉しさよと涙片手に取り
縋
(
すが
)
られ
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
イエスの目はたちまち愛に和らいで、「娘よ、汝の信仰汝を救えり、安らかに往け、病癒えて
健
(
すこ
)
やかになれ」と祝福し給うたのであります(五の二九—三四)。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
ここにもまた我々は肥満せる大人のそれに全然見られない、そうしてただ
健
(
すこ
)
やかに太れる嬰児の肉体においてのみ見られるあの清浄な豊満さを認め得るのである。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
材料に無理がある時、器は自然の
咎
(
とが
)
めを受ける。また手近くその地から材料を得ることなくば、どうして多くを産み、
廉
(
やす
)
きを得、
健
(
すこ
)
やかなものを作ることが出来よう。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
しかし、みんな
健
(
すこ
)
やかに
育
(
そだ
)
ったので、
家
(
いえ
)
の
内
(
うち
)
は、
貧
(
まず
)
しいながら、つねににぎやかでありました。
二番めの娘
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
健
(
すこ
)
やかなること六月の若木の樹體のなめらかさと強靱さが充ちきつてゐる。
裸女の画
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
老
(
おい
)
らくの
齢
(
とし
)
にもめげず、
健
(
すこ
)
やかに、
忠
(
まめ
)
なる声の
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
人を清く
健
(
すこ
)
やかにする
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「いえ皆んな本当です、この環玉枝が生きてこの壇に起って居ると同じように、志津子は北海道の果てに、
健
(
すこ
)
やかに暮して居るのです。もう絵も描きません。歌も歌いません。四季とりどりの大観は、大自然のキャンバスに、神様が御自分の手で描いてくれます」
奇談クラブ〔戦後版〕:01 第四の場合
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
かく
健
(
すこ
)
やかに大きく成られた姿を、父なる官兵衛にも見せたや、ご主君のお目にもかけたやと存じ、昨夜、南禅寺において
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どの
人
(
ひと
)
が
生
(
う
)
まれてくるときも、
健
(
すこ
)
やかに、
平和
(
へいわ
)
に
育
(
そだ
)
つようにと
思
(
おも
)
って、
心配
(
しんぱい
)
するかしれません。
いいおじいさんの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この堂は
光明皇后
(
こうみょうこうごう
)
の
建立
(
こんりゅう
)
にかかるもので、幾度かの補修を受けたではあろうが、今なお朗らかな優美な調和を保っている。天平建築の根強い
健
(
すこ
)
やかさも持っていないわけではない。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
パリサイ人の抗議に対して「
健
(
すこ
)
やかなる者は医者を要せず、ただ病ある者これを要す。我は正しき者を招かんとにあらで、罪人を招かんとて来たれり」(二の一七)と答え給うた。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
「されば、配所のお住居も、いつか十七年とおなり遊ばし、至ってお
健
(
すこ
)
やかに、
為人
(
ひととなり
)
もまた尋常でいらっしゃいます」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「では、母上にも、どうぞ毎日を、今朝のごとく、お
健
(
すこ
)
やかにお暮しくださいますように。……
寧子
(
ねね
)
も、またしばらくの留守を、たのむぞ、たのむぞ」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中間者
(
ちゅうげんもの
)
の着る
腰切
(
こしきり
)
の上着に三尺帯をしめ、木刀をさしている。柔軟で
健
(
すこ
)
やかな体つきから見ても若さが知れる。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
生きてゆく国土のさきに、いよいよ多事多端を感じるほど、身を、命を
健
(
すこ
)
やかに備えておこうという気もちは、たれよりも老公自身が強かったにちがいない。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや、
健
(
すこ
)
やかだよ。何よりは、いやな思いもなく、戦陣の過労も
癒
(
い
)
え、すっかり心がらくになったからの」
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
田舎
(
いなか
)
へ避難あそばして、お
健
(
すこ
)
やかに、お産をお果しになるのも、御主人への貞節ではございませんか」
日本名婦伝:谷干城夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや、たった今、
下総領
(
しもうさりょう
)
から来たばかりです。大和の大先生にも、その後、お
健
(
すこ
)
やかでおられますか」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうじゃろう、
凡
(
なみ
)
の
子
(
こ
)
よりは、ずんと
健
(
すこ
)
やかじゃ」と、自慢気である。するとまた、吉光の前は
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや正季の一勢は、まだいささか
健
(
すこ
)
やかです。多くは失っておりません」
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「このとおり、
健
(
すこ
)
やかじゃ。——して、お
養父
(
ちち
)
君も、その後は、お達者か」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『
忝
(
かたじけ
)
のうござる。主人は、至って
健
(
すこ
)
やかな
質
(
たち
)
でござる故、その辺はわれ等も心づよく、働けますし、式事は、吉良殿が御親切におさしず下さります故、お蔭をもって、万端、整いましてござりまする』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
健
常用漢字
小4
部首:⼈
11画
“健”を含む語句
健康
壮健
健全
強健
壯健
健在
健児
御壮健
健啖
頑健
健脚
御健勝
榊原健吉
健足
健男
勇健
健者
健気
健氣
勁健
...