仕込しこ)” の例文
「からすに、これほどげい仕込しこむのは容易よういなことじゃない。もっとにぎやかなみやこっていったら、どんなにかねもうけができるかしれない。」
からすの唄うたい (新字新仮名) / 小川未明(著)
母親ははたいへん縹緻きりょうよしなので、むすめもそれにひなまれなる美人びじんまた才気さいきもはじけてり、婦女おんなみち一ととおりは申分もうしぶんなく仕込しこまれてりました。
温かい春の日のぺんぺん草の上に桶匠おけなわは長閑に槌を鳴らし、赤裸々あかはだか酒屋男さかやをとこは雪のふる臘月にも酒の仕込しこみに走り囘り
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
今日こんにちでは人はそう毎日たのめないから、一日で片づけようとするのだと解する者も多かろうが、屋根も一日でき、味噌みそも一日で仕込しこむのみならず
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
この子が十三になったとき、お百姓ひゃくしょう学問がくもん仕込しこんでもらおうとおもって、元興寺がんこうじ和尚おしょうさんのお弟子でしにしました。
雷のさずけもの (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
わし野郎やらうそのうちはあえかつてつから學校がくかうもあとちつとにして百姓ひやくしやうみつしら仕込しこむべとおもつてんでがすがね
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
テン太郎は夢で、だいぶ火星のうそを頭に仕込しこんだから わしの研究室けんきうしつへおいで ほんとうを見せてあげやう
其時そのときはじめてたとかつて人橋ひとばしかけてやい/\ともらひたがる、御身分おみぶんがらにも釣合つりあひませぬし、此方こちらはまだつからの子供こどもなに稽古事けいこごと仕込しこんではおきませず
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それを目の前で見せつけられた犀水氏は、宿に帰つて、一部始終を相宿あひやどの黒田清輝氏と岩村透氏とに話した。二人は仏蘭西仕込しこみの、悪戯いたづらにかけては誰にひけを取らない人達である。
バオレルはカラビン銃を持っていた。クールフェーラックは仕込しこづえを抜いて振り回していた。フイイーはサーベルを抜いて、先頭に立ちながら叫んでいた、「ポーランド万歳!」
歩兵ほへい二人共ふたりともそのちゞれたかみのこらず火藥くわやく仕込しこんでるやうにあいちやんはおもひました。あいちやんはなに不思議ふしぎたまらず、もりそとして、きこゆることもやとみゝそばだてました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
以前いぜん持主もちぬし二度目にどめのはお取次とりつぎ一人ひとり仕込しこんだおぼえはないから、ひとたちは無論むろんことみなと出入ではひる、國々くに/″\島々しま/″\のものにたづねても、まるつきしつうじない、希有けう文句もんくうたふんですがね
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……だが、思えば私という女も、すごい腕になりました。これもみんな、お前や、啓之助が私に度胸どきょうをつけてくれたお仕込しこみだよ。阿波へ帰ったら、あの男に、くれぐれよろしくいっておくれネ
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武芸ぶげいおも薙刀なぎなた稽古けいこははがよく薙刀なぎなた使つかいましたので、わたくし小供こども時分じぶんからそれを仕込しこまれました。そのころおんなでも武芸ぶげいとおりは稽古けいこしたものでございます。
たん地主ぢぬしかへしてしまつたらふたゝ自分じぶんしくなつても容易よういれることが出來できないのをおそれたからである。いまにおつぎを一人前にんまへ仕込しこんでると勘次かんじこゝろおもつてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「それはありがとうございます。わたしは、いままで、どれほど、このうまなやまされたかしれません。まことにいうことをかないうまです。あなたはよく仕込しこんでください。」と、おつの百しょうはいって
駄馬と百姓 (新字新仮名) / 小川未明(著)
子供こども時分じぶんにやきびしく仕込しこ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
まえにも申上もうしあげたとおりわたくしのようなものがドーやら一にんまえのものになることができましたのは、ひとえにおじいさまのお仕込しこみのたまものでございます。まったなか神様かみさまほど難有ありがたいものはございませぬ。