丈夫じょうぶ)” の例文
こういいのこしたおに言葉ことばつなわすれずにいました。それで万一まんいちかえされない用心ようじんに、つなうで丈夫じょうぶはこの中にれて、もんそと
羅生門 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
背の高い、ひょろひょろしているところが、弱そうに見えたけれど、しん丈夫じょうぶで、歩兵にはもって来いだと云う人もあった。
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
分かっていることは、犯人が大力だいりきであることだ。そうでなくては、あの丈夫じょうぶな鉄格子のはいった窓をやぶることはできない。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
厚く丈夫じょうぶに葺いた萱屋根は、三十年以上はもち、たくみに插萱さしがやをすれば、五十年は葺きかえをせずともよいと言われている。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
いや、まだそれだけでは安らかにはならない。わたしはからだ丈夫じょうぶだったし、一生食うに困らぬくらいの財産を
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
人生という丈夫じょうぶそうな命の根が、知らぬまに、ゆるんで、いつでも暗闇くらやみへ浮き出してゆきそうに思われる。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そうして、またおげんきに、お丈夫じょうぶにおなりなさいまし。なにかひとつ、うたってさしあげましょう。
家を倒すなんてそんなことはほんの少しだからね、木を倒すことだよ、これだって悪戯いたずらじゃないんだよ。倒れないようにして置けぁいいんだ。葉のひろい樹なら丈夫じょうぶだよ。
風野又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
決してまくり上げたりなんぞしない。それで、泥の中や、耕した土の上やを歩く。すると、長靴がひとりでに出来て、ひざのところまでくる。この長靴は丈夫じょうぶで、いや味がない。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
あれは独逸ドイツほうから新荷しんにいたばかりだという種々いろいろ玩具おもちゃ一緒いっしょに、あの丸善まるぜんの二かいならべてあったもので、異国いこく子供こども風俗なりながらにあいらしく、格安かくやすで、しかも丈夫じょうぶ出来できていた。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
丈夫じょうぶづくりの薄禿うすっぱげの男ではあるが、その余念よねんのない顔付はおだやかな波をひたいたたえて、今は充分じゅうぶん世故せこけた身のもはや何事にも軽々かろがろしくは動かされぬというようなありさまを見せている。
太郎坊 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
きるように、楽しく生きるように頑固がんこに出来上ってる、丈夫じょうぶ騒々そうぞうしいあらっぽいクラフトの人たちの間にあって、いわば人生の外側そとがわはしっこにうち捨てられてるこの弱い善良ぜんりょう二人ふたり
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
ぷーんと新しい木のかおりがする丸や四角の材木を、丈夫じょうぶ荷馬車にばしゃに積み上げ、首のまわりに鈴をつけた黒馬にひかして、しゃんしゃんぱっかぱっか……と、朝早くから五里の街道かいどうを出かけて
天下一の馬 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
変なかっこうのランプが、丈夫じょうぶそうな綱で天井からぶらさげられてあった。
おじいさんのランプ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
わたしの馬は、むく毛の若い黒馬で、脚も丈夫じょうぶだし、かんも相当つよかった。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
その後桂はついに西国立志編を一冊買い求めたが、その本というは粗末至極な洋綴で、一度読みおわらないうちにすでにバラバラになりそうな代物しろものゆえ、彼はこれを丈夫じょうぶな麻糸で綴じなおした。
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
津村はその中に通っている細かい丈夫じょうぶ繊維せんいの筋を日にかして見て
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「ふうむ、それはかったね。彼方あっちでもみんな丈夫じょうぶだろうね?」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「こうしていればかたわも重宝ちょうほうなものだ。世の中のやつらは知恵ちえがないからかたわになるとしょげこんでしまって、丈夫じょうぶな人間、あたりまえな人間になりたがっているが、おれたちはそんなばかはできないなあ」
かたわ者 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
一里や二里が平気な程丈夫じょうぶ相にも見えぬ。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
むらの人たちもこまりきって、みやこだかい大工だいく名人めいじんんでて、こんどこそけっしてながれない、丈夫じょうぶはしをかけてもらうことにしました。
鬼六 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
もとは板屋いたやの上に土をうんとのせて、それを瓦で覆うようにしていたので、その重みがかかり、よっぽど丈夫じょうぶな柱やつかをもって支えなければならず
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
彼は、アンの腰に、丈夫じょうぶロープがふた巻もしてあるのを発見した。しかもその綱の先は、防空壕のろく材の一本に、堅く結んであった。まるで囚人しゅうじんをつないであるような有様であった。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
名は日本橋だけれどもその実は純然たる洋式で、しかも欧洲の中心でなければ見られそうもないほどに、にも丈夫じょうぶにもできている。三人は橋の手前にある一棟ひとむね煉瓦造れんがづくりに這入はいった。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大勢おおぜい家来けらい達に言いつけて、丈夫じょうぶなわの大きな網をこしらえさせ、これを庭の大木のまわりに張らせ、網につけた綱を一本引けば、網が大木の根下にすっかりかぶさってしまうようにしました。
雷神の珠 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
第一みかけがまっ白で、きばはぜんたいきれいな象牙ぞうげでできている。皮も全体、立派で丈夫じょうぶな象皮なのだ。そしてずいぶんはたらくもんだ。けれどもそんなにかせぐのも、やっぱり主人がえらいのだ。
オツベルと象 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「足も丈夫じょうぶ、腕も丈夫じょうぶの人がなぜ頭だけわるいんですか?」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
もっとも念入りに丈夫じょうぶに、かつ遠くから見た目も好ましいように、作りあげようとした努力がよく現われている。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そこでやっと女神めがみがのろいをといておやりになりますと、兄神あにがみはまたもとのとおりの丈夫じょうぶからだにかえりました。
春山秋山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「あなたは大分ご丈夫じょうぶのようですな」
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あるとき清原武則きよはらたけのりというこれもゆみ名人めいじん名高なだかかった人が、義家よしいえのほんとうの弓勢ゆんぜいりたがって、丈夫じょうぶよろい三重みかさねまで木の上にかけて、義家よしいえさせました。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
これに天然に備わった物を用いようとすれば木の枝より以上に丈夫じょうぶなものはなかった。すなわち昔の人たちは自分の体験によって、つとに木の枝の強い力を認めていたのである。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
さあ、なにかほしいものといったところで、このとおりからだ丈夫じょうぶで、毎日まいにちのごぜんをべて、はたらいていれば、なに不足ふそくなことはないが、ただ一つ六十になって、いまだに子供こども一人ひとりもない。
雷のさずけもの (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「なあに、つちふねおもくって丈夫じょうぶだ。」
かちかち山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)