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鮎
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あゆ
ふりがな文庫
“
鮎
(
あゆ
)” の例文
「いや、帰って来たところです」と帯刀が答えて云った、「
鮎
(
あゆ
)
がくだりはじめたというので、ゆうべ夜半すぎてからでかけたのです」
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
死んだ
鮎
(
あゆ
)
を焼くとピンとそりかえったり動いたりする……、
鰻
(
うなぎ
)
を焼くとぎくぎく動く、
蚯蚓
(
みみず
)
を寸断すると、部分部分になって動く……。
首を失った蜻蛉
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
八月の半ばも過ぎてから、爺さんは自分の甥とかのいる
田舎
(
いなか
)
へ
鮎
(
あゆ
)
を食べに行こうと、奥さんとお嬢さんをしきりに誘っていました。
朴の咲く頃
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
とある陳列箱の中の小さな水族館では、茎のような細い
鮎
(
あゆ
)
が、何尾も泳いでいた。銀座の
鋪道
(
ほどう
)
が河になったら面白いだろうと思う。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「今日の容態はどうかしら」道太は座敷へ帰ってから、大きな
鮎
(
あゆ
)
の塩焼などに
箸
(
はし
)
をつけながら、兄が今ごろどうしているかを気づかった。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
男だって、
鮎
(
あゆ
)
は照り焼きにかぎるとか、にしんや棒だらなんて人間の食うもんでない肥料だ、なんていう向きもなきにしもあらずだから。
鮪を食う話
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
... それに鰻は何といっても日本風の蒲焼が一番
美味
(
おいしゅ
)
うございますね」玉江嬢「西洋料理に
鮎
(
あゆ
)
の
酢煮
(
すに
)
という事があるそうですがどう致します」
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
三百年の鎖国の事情も顧みないで進み来るような侮りがたい力でもって、今は早瀬を上る
鮎
(
あゆ
)
のようにこんな深い山間までも入り込んで来た。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
三四郎は
鮎
(
あゆ
)
の煮びたしの頭をくわえたまま女の後姿を見送っていた。便所に行ったんだなと思いながらしきりに食っている。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夕餉
(
ゆうげ
)
の時老女あり菊の葉、茄子など油にてあげたるをもてきぬ。鯉、いわなと共にそえものとす。いわなは
香味
(
こうみ
)
鮎
(
あゆ
)
に似たり。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
F町へついて当ズッポウに歩いていたら、ヤナがあって、
鮎
(
あゆ
)
を食わせるところが見つかったから、鮎を食って、ヒルネをして、帰ってきましたよ
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
桂
(
かつら
)
川の
鮎
(
あゆ
)
、
加茂
(
かも
)
川の
石臥
(
いしぶし
)
などというような魚を見る前で調理させて賞味するのであったが、例のようにまた内大臣の子息たちが中将を
訪
(
たず
)
ねて来た。
源氏物語:26 常夏
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
それから起きて行ってみるというと自分の知っている
某
(
なにがし
)
がいて、今日釣に行って
鮎
(
あゆ
)
がとれたからして、少しわけてやろうといってその鮎をくれた。
俳句の作りよう
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
それは
鮎
(
あゆ
)
を釣るにカガシラ鉤(蚊頭)を用ゐ、鮠を釣るにハイガシラ(蠅頭)を用ゐ、ウルメを釣るにシラベ(白き木綿糸を合せたるもの)を用ゐ
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
……ウム、
椀
(
わん
)
のものか、鳥? よかろう、竹の子の木の
芽
(
め
)
あえ、それもいい、それから、
網源
(
あみげん
)
へ聞き合せて、まだ
鮎
(
あゆ
)
は育っていまいが、何か
相模川
(
さがみがわ
)
の
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
若い青年男女は、
鮎
(
あゆ
)
のとも釣のようなわけで、深い意味もわからず、その団体に暴力を以て加盟させられた。一味幹事の統制ぶりは、実に美事であった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いささか、あやかしがついていて、一層寂れた。
鵜
(
う
)
の
啣
(
くわ
)
えた
鮎
(
あゆ
)
は、殺生ながら
賞翫
(
しょうがん
)
しても、獺の抱えた岩魚は、色恋といえども気味が悪かったものらしい。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
佐助は鯛のあら
煮
(
に
)
の身をむしること
蟹蝦
(
かにえび
)
等の
殻
(
から
)
を
剥
(
は
)
ぐことが
上手
(
じょうず
)
になり
鮎
(
あゆ
)
などは姿を
崩
(
くず
)
さずに尾の所から骨を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ことしの六月、
鮎
(
あゆ
)
の解禁の日にも、佐野君は原稿用紙やらペンやら、戦争と平和やらを鞄にいれ、財布には、数種の蚊針を秘めて伊豆の或る温泉場へ出かけた。
令嬢アユ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ここらは
鮎
(
あゆ
)
が名物で、外山から西根尾まで三里のあいだに七ヵ所の
簗
(
やな
)
をかけて、大きい鮎を捕るのである。
くろん坊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
竿が動き、糸が動き、糸のさきにつながれて居る
囮
(
おとり
)
の
鮎
(
あゆ
)
まで銀色の水の中から影を表すことがある。いま彼のあはれな全生命は懸つてその竿の一端にあるのだ。
古い村
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
そうして、その附近をのぞいて見ると、
鮎
(
あゆ
)
がかなりにいることを発見しました。ははあ、鮎がいるな——今の飯屋で食わせたのも、焼いて乾かした鮎であった。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
伊勢へななたび熊野へさんど、と言ふ文句があるが、私は今年の夏六月と八月の二度、南紀新宮の奥、
瀞
(
とろ
)
八丁の下手を流れる熊野川へ、
鮎
(
あゆ
)
を訪ねて旅して行つた。
たぬき汁
(新字旧仮名)
/
佐藤垢石
(著)
「さあ、飯だ、飯だ、
今日
(
きょう
)
は握り飯二つで
終日
(
いちんち
)
歩きずめだったから、腹が減ったこったらおびただしい。……ははは。こらあ何ちゅう
魚
(
さかな
)
だな、
鮎
(
あゆ
)
でもなしと……」
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
魚によって占ったので、魚へんに占と書いて
鮎
(
あゆ
)
と読ませると妙な理くつをつけたが、唐では鮎という字を「ナマズ」と読ませる。これは土師先生に教えていただいた。
江戸前の釣り
(新字新仮名)
/
三遊亭金馬
(著)
明治も改元して
左程
(
さほど
)
しばらく経たぬ頃、
魚河岸
(
うおがし
)
に白魚と
鮎
(
あゆ
)
を専門に商う小笹屋という店があった。
とと屋禅譚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
第三に——最も意外だったのはこの事件である。第三に下宿は晩飯の
膳
(
ぜん
)
に塩焼の
鮎
(
あゆ
)
を
一尾
(
いっぴき
)
つけた!
十円札
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その時『みんな知つてんべ、最上川は日本三急流の一だぞ』と先生がいつた。その日の夕食には
鮎
(
あゆ
)
の焼いたのが三つもついたし、翌朝はまた
鮠
(
はや
)
の焼いたのが五つもついた。
最上川
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
多摩川
(
たまがわ
)
べりの寺内で
鮎
(
あゆ
)
を賞したときのことなど、私には忘れられない記憶となって残っている。
左千夫先生への追憶
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
福岡県
筑後
(
ちくご
)
にて聞いた狐話があるが、夏の夜、一人の漁夫が筑後川の岸にて
鮎
(
あゆ
)
の釣りをしていた。その背面に
蘆
(
あし
)
が茂っており、その薦を隔てて小道が川に並んでついている。
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
夜食に
鮎
(
あゆ
)
のフライが出た。日本の様な風味だ。
鶏
(
にはとり
)
にあしらつた米も日本
米
(
まい
)
の様に
美味
(
うま
)
かつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
透きとおらんばかりの淡い色をした・
鮎
(
あゆ
)
に似た細長い魚や、濃緑色のリーフ魚や、ひらめの如き
巾
(
はば
)
の広い黒いやつや、淡水産のエンジェル・フィッシュそっくりの派手な小魚や
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
秋には近いがまだ
却々
(
なかなか
)
に暑かった。奥二階で駒越左内奥野俊良の二人と、朝日川の
鮎
(
あゆ
)
を
肴
(
さかな
)
に散々酒を過した金三郎。独り離れの隠居所にと戻った。蚊いぶしの煙が早や衰えていた。
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
其れに
喚
(
よ
)
び出される様に、
麦
(
むぎ
)
がつい/\と伸びて
穂
(
ほ
)
に出る。子供がぴいーッと吹く
麦笛
(
むぎぶえ
)
に、武蔵野の日は永くなる。三寸になった玉川の
鮎
(
あゆ
)
が、密漁者の手から
窃
(
そっ
)
と旦那の勝手に運ばれる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
この面倒な法は
加州
(
かしゅう
)
やなんぞのような国に行くと、
鮎
(
あゆ
)
を釣るのに
蚊鉤
(
かばり
)
など使って釣る、その時蚊鉤がうまく水の上に落ちなければまずいんで、糸が先に落ちて
後
(
あと
)
から蚊鉤が落ちてはいけない
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そういいながら、なみ子は村川のお膳についていた
鮎
(
あゆ
)
の塩焼を取り上げた。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
籐
(
とう
)
の卓と
籠
(
かご
)
の椅子と、
冷
(
ひや
)
した麦茶のコップと鉢の緑の
羊羹
(
ようかん
)
と
鮎
(
あゆ
)
の餅菓子。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
桂
(
かつら
)
をとめは
河
(
かは
)
しもに
梁誇
(
やなぼこ
)
りする
鮎
(
あゆ
)
汲
(
く
)
みて
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
「
鮎
(
あゆ
)
を
獲
(
と
)
りたいものじゃが」
赤い土の壺
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
秋風や
鮎
(
あゆ
)
焼く塩のこげ
加減
(
かげん
)
自選 荷風百句
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
鮎
(
あゆ
)
ア瀬に
おさんだいしよさま
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
水底の岩の間に、
鰭
(
ひれ
)
を休めている魚たち、うぐいや
鮎
(
あゆ
)
や、
山女魚
(
やまめ
)
など、六七寸もあるのを、びっくりするほど巧みに掴んで来る。
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
梅干を使わない時は
酢
(
す
)
の
物
(
もの
)
を
拵
(
こしら
)
えるとか百合のない時には
款冬
(
ふき
)
の
薹
(
とう
)
とか
鮎
(
あゆ
)
のウルカとか必ず苦味と酸味を膳の上に欠かないのが五味の調和だ。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
庸三は
鮎
(
あゆ
)
の
魚田
(
ぎょでん
)
に、お
椀
(
わん
)
や
胡麻酢
(
ごます
)
のようなものを三四品取って、食事をしてから、間もなくタキシイを
傭
(
やと
)
ってもらった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
鮎
(
あゆ
)
とか、ごりとか、いわなとか、そういった深い
幽谷
(
ゆうこく
)
に産する魚類が常に生かしてあって、しかも、それが安かった。
鮎の食い方
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
三輪田
(
みわた
)
のお
光
(
みつ
)
さんが
鮎
(
あゆ
)
をくれたけれども、東京へ送ると途中で腐ってしまうから、
家内
(
うち
)
で食べてしまった、等である。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
御覧なさい、御城の
周囲
(
まわり
)
にはいよいよ滅亡の時期がやって来ましたよ……これで二三年前までは、川へ行って見ても
鮎
(
あゆ
)
やハヤ(鮠)が捕れたものでサ。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
鮎
(
あゆ
)
には早し、涼みの人は元よりなし、ほかに客らしい声もせず、至って閑散なところが殊に三人にはくつろげる。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また「梅咲きぬ
鮎
(
あゆ
)
ものぼりぬ」の「も」は梅と鮎とを相並べていふ者なればこれも理窟には相成不申候。
あきまろに答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
七兵衛が、多摩川の岸の岩の上に立って、水の中を見ながら、それそこには
鮎
(
あゆ
)
がいる、
山魚
(
やまめ
)
がいる、かじかがいる、はやがいる、おこぜがいる、ぎんぎょがいる。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“鮎”の意味
《名詞》
サケ目・アユ科に分類される回遊魚の一種。
(出典:Wiktionary)
“鮎(アユ)”の解説
アユ(鮎、香魚、年魚、銀口魚、Plecoglossus altivelis)は、キュウリウオ目に分類される、川や海などを回遊する魚である。「清流の女王」とも呼ばれている。なお、漢字の「鮎」は、中国ではナマズを指し、アユという意味は日本での国訓である。
(出典:Wikipedia)
鮎
漢検準1級
部首:⿂
16画
“鮎”を含む語句
鮎釣
若鮎
鮎子
鮎漁
鮎川
干鮎
鮎舟
鮎並
落鮎
渋鮎
小鮎
虯髯鮎子
種鮎
焼鮎
鮎川紅子
鮎川義介翁
鮎差
鮎沢
鮎沢賢一郎
木下鮎子
...