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闕
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か
ふりがな文庫
“
闕
(
か
)” の例文
木村と往来しているある青年文士は、「どうも先生には現代人の大事な性質が
闕
(
か
)
けています、それは
nervosité
(
ネルウォジテエ
)
です」
あそび
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「侍たる者を裸にして、庭上を引きずり廻ることは、更に行儀にあらず、作法が
闕
(
か
)
ける。水あびせの事重ねて申し出てはならぬ」
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
緊
(
しま
)
りのない肉づきのいい体、
輪廓
(
りんかく
)
の素直さと品位とを
闕
(
か
)
いている、どこか崩れたような顔にも、心を
惹
(
ひ
)
きつけられるようなところがあった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
この議論中に天下の正論大いに起るべし。また水戸『日本史』の後もこれ無く、天朝『六国史』の後も
闕
(
か
)
く。 天皇の御
諡号
(
しごう
)
も光孝天皇までなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
そこで医者の許しを得て、少しばかりのいちごを食う事を許されて、毎朝こればかりは
闕
(
か
)
かした事がなかった。
くだもの
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
しんは武州南葛飾郡新宿の農家に生れ
固
(
もと
)
より文字を知るものにもあらざりしかど、女の身の守るべき道と為すべき事には一として
闕
(
か
)
くところはあらざりき。
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
舞踏を善くする
某
(
なにがし
)
の如く、わが舞場に出でゝ姿勢の美を
闕
(
か
)
くを
憾
(
うら
)
むものあり、文法に精しき某の如く、わが往々
讀
(
とう
)
に代ふるに句を以てするを難ずるものあり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
ここに
捜
(
さぐ
)
りここに
購
(
あがな
)
ひ、
之
(
これ
)
を求めて之を得たり、
微
(
すこ
)
しく
選
(
えら
)
むに
稗官小説
(
はいくわんせうせつ
)
を以てし、実を
摭
(
ひろ
)
ひ、疑ひ
闕
(
か
)
き、皇統を
正閏
(
せいじゆん
)
し、人臣を是非し、
輯
(
あつ
)
めて一家の
言
(
げん
)
を成せり。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また「いかにかねぎつる
二
」と詔りたまひしかば、答へて白さく、「
朝署
(
あさけ
)
三
に厠に入りし時、待ち捕へ
搤
(
つか
)
み
批
(
ひし
)
ぎて、その枝
四
を引き
闕
(
か
)
きて、
薦
(
こも
)
につつみて投げ
棄
(
う
)
てつ」
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
正しく認識する道は、「多く聞きて疑わしきを
闕
(
か
)
き……多く見て
殆
(
うたが
)
わしきを闕く」ことである。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
「世の中は
空
(
むな
)
しきものとあらむとぞこの照る月は満ち
闕
(
か
)
けしける」(四四二)がある。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
元来尊敬は外にして親愛は内なり。内に親愛の至情なきも外面に尊敬の礼を表することは
易
(
やす
)
きが故に、舅姑に対して朝夕の見舞を
闕
(
か
)
く可らずと教うれば、教の如く見舞うことも易し。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
これは適当な人物がなければ、
闕
(
か
)
いたまゝであつた。老中は年寄とも云ひ、譜代の五、六万石から十万石の大名を任じ、一切の政務を執り、大名の取締を
掌
(
つかさど
)
つた。定員は五人である。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
君の
闕
(
か
)
けて女君ばかり位にある時を、なかつすめらみことと言ふのではなかつた。
万葉集研究
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
船王は
閨房
(
けいぼう
)
修まらず、池田王は孝養に
闕
(
か
)
けるところがあり、塩飽王は上皇がその無礼を憎まれており、ただ、大炊王だけは
若年
(
じゃくねん
)
ながら過失をきいたことがないから、と、押勝の筋書通り
道鏡
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
恐らく深夜の静寂と薄明りのなかでは外界の印象が
闕
(
か
)
けていること、また恐らくは眼をさましたばかりの人間の脳髄の働きの鈍さが、そうした瞬間彼に自分の状態をはっきりと認めさせ
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
かく白して其
殿
(
あみおか
)
の内に還り入りますの間、いと久しうして待ちかねたまひつ、故れ左のみゝつらに刺させる
湯津々間櫛
(
ゆづつまぐし
)
の
男柱
(
おばしら
)
一箇
(
ひとつ
)
を取り
闕
(
か
)
きて
一火
(
ひとつひ
)
を燭し入りますの時、
蛆
(
うじ
)
たかれとゝろぎて
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
更に
遡
(
さかのぼ
)
った嘉靖十三年(天文三年)即一五三四年の使節
(5)
陳侃の記には巻末に夷語夷字を附録したとあるからは、琉球語彙が集められたに違いないが徐氏の時代所伝の鈔本には
闕
(
か
)
けてしまい
南嶋を思いて:――伊波文学士の『古琉球』に及ぶ――
(新字新仮名)
/
新村出
(著)
近ごろその
草藁
(
そうこう
)
を持し来つて余に示す。余巻を開き、細玩するに、複する者は
之
(
これ
)
を
芟
(
か
)
り、
闕
(
か
)
く者は
之
(
これ
)
を補ひ、
譌
(
なま
)
る者は
之
(
これ
)
を正し、綜核究窮、直ちに原書の
蘊奥
(
うんおう
)
を
尽
(
つく
)
す。
其
(
その
)
紹述の功勤めたりと
謂
(
い
)
ふ可し。
杉田玄白
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
去年米貴闕軍食 去年米
貴
(
たか
)
くして軍食を
闕
(
か
)
き
詩人への註文
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
闕
(
か
)
かしはなさいませんね。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
放焉
(
はうえん
)
として
闕
(
か
)
けたり。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
眞志屋文書に文化以後の書留と覺しき一册子があるが、惜むらくはその載する所の
沙汰書
(
さたしよ
)
、
伺書
(
うかがひしよ
)
、
願書
(
ねがひしよ
)
等には多く年月日が
闕
(
か
)
けてゐる。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
少女は又
俯
(
うつむ
)
きて坐せり。
前
(
さき
)
にアヌンチヤタの我に語りし希臘の神女も、石彫の像なれば
瞻視
(
せんし
)
をば
闕
(
か
)
きたるべし。今我が見るところは殆ど全くこれに
契
(
あ
)
へりとやいふべき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
これは碧梧桐の碧梧桐たる
所以
(
ゆえん
)
で感心する外はないが、しかしその変化が善い事も悪い事もあるのはいうまでもない。ただその弊はいつも常理に
闕
(
か
)
げる事が多い処にあるように見える。
病牀苦語
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
学者にして
斯
(
か
)
くの如き性行を有するものは往々誤って
辺幅
(
へんぷく
)
を
修
(
おさむ
)
るものと見なされやすい。毅堂はまた甚しく
癇癖
(
かんぺき
)
の強い人であったので、
動
(
やや
)
もすると家人に対しても温辞を
闕
(
か
)
くことがあった。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あまり待ち遠だつたので左の耳のあたりにつかねた髮に
插
(
さ
)
していた清らかな櫛の太い齒を一本
闕
(
か
)
いて一
本
(
ぽん
)
火
(
び
)
を
燭
(
とぼ
)
して入つて御覽になると
蛆
(
うじ
)
が
湧
(
わ
)
いてごろごろと鳴つており、頭には大きな雷が居
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
池田王は孝養に
闕
(
か
)
けるところがあり、塩飽王は上皇がその無礼を憎まれてをり、たゞ、大炊王だけは若年ながら過失をきいたことがないから、と、押勝の筋書通り、すでに押勝の意志するところが
道鏡
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
西尾は、その首を取ったが、誰とも知らずに居たが、後にその胄が、
嘗
(
かつ
)
て原隼人に話したところのものであり、口を開いてみると、前歯が二本
闕
(
か
)
けていたので、正しく幸村が首級と分ったわけである。
真田幸村
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それは憎むことの出来ないのは男らしくないのだと解釈せられるからである。それとも博士には矢張男らしい性が
闕
(
か
)
けてゐるのかも知れない。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
疆
(
さかひ
)
守
(
も
)
る
兵
(
つはもの
)
も汝が翼を遮ることあるまじきぞ。その一裹は尊き神符にて、また打出の小槌なり。おのが寶を掘り出さんまで、事
闕
(
か
)
くことはあらじ。黄金も出づべし、
白銀
(
しろかね
)
も出づべしといふ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
それを取つてたべている間に逃げておいでになるのをまた追いかけましたから、今度は右の耳の邊につかねた髮に插しておいでになつた清らかな櫛の
齒
(
は
)
を
闕
(
か
)
いてお投げになると
筍
(
たけのこ
)
が
生
(
は
)
えました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
此
(
ここ
)
ニオイテカ彼ニナキ所ノモノ往々我ニアリテ我ニ
闕
(
か
)
キシ所ノモノ彼
悉
(
ことごと
)
クコレヲ補ヘリ。有隣舎ノ沿革ヲ知ラント欲スルモノ拙著ト
併
(
あわ
)
セテ石黒氏ノ近業ヲ読ミ
玉
(
たま
)
ハヾ始メテ遺憾ナキニ
庶幾
(
ちか
)
カラン
歟
(
か
)
。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そして弘化二年に至るまでは此職にゐた。弘化三年の武鑑が
偶
(
たま/\
)
手元に
闕
(
か
)
けてゐるが、四年より嘉永五年に至るまで、政義は寄合の中に入つてゐる。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
かれ左の
御髻
(
みみづら
)
に刺させる
湯津爪櫛
(
ゆつつまぐし
)
一二
の男柱
一箇
(
ひとつ
)
取り
闕
(
か
)
きて、
一
(
ひと
)
つ
火
(
び
)
燭
(
とも
)
して入り見たまふ時に、
蛆
(
うじ
)
たかれころろぎて
一三
、頭には
大雷
(
おほいかづち
)
居り、胸には
火
(
ほ
)
の雷居り、腹には黒雷居り、
陰
(
ほと
)
には
拆
(
さく
)
雷居り
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
宜シク賜餼ノ額ヲ
闕
(
か
)
イテ以テ破程ノ費ヲ補フベシト。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
後年武鑑に
用達
(
ようたし
)
商人の名を載せはじめてより以来、山形の徽章の下に大久保主水の名は
曾
(
かつ
)
て
闕
(
か
)
けてゐたことが無い。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
お前さんは
下戸
(
げこ
)
で、
戒行
(
かいぎょう
)
が堅固で、気が強い、それでこれほどの怪我をしたのに、目を
廻
(
まわ
)
さずに済んだ。この三つが一つ
闕
(
か
)
けていたら、目を廻しただろう。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
日本に長くゐて日本を底から知り抜いたと云はれてゐる
独逸
(
ドイツ
)
人某は、此要約は今
闕
(
か
)
けてゐるばかりでなくて、永遠に東洋の天地には生じて来ないと宜告した。
妄想
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
国の土蔵の一つに、がらくた道具ばかり
這入
(
はい
)
っているのがある。何に使ったものか、見慣れない器、
闕
(
か
)
け損じて何の片割れとも知れない
金屑
(
かなくず
)
や木の切れがある。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
然るに保さんは
穉
(
おさな
)
い時からこれを
看
(
み
)
ることを喜んで、この年の春場所をも、初日から五日目まで一日も
闕
(
か
)
かさずに見舞った。さてその六日目が伊沢の祝宴であった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
朝といえども省かない。
殽
(
さかな
)
には
選嫌
(
えりぎらい
)
をしなかったが、のだ
平
(
へい
)
の
蒲鉾
(
かまぼこ
)
を
嗜
(
たし
)
んで、
闕
(
か
)
かさずに出させた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
壽阿彌は刀自の
穉
(
をさな
)
かつた時、伊澤の家へ度々來た。僧侶としては毎月十七日に
闕
(
か
)
かさずに來た。これは此手紙の書かれた翌年、文政十二年三月十七日に歿した蘭軒の
忌日
(
きにち
)
である。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
中風になつた五郎兵衞が二十歳で歿した清常でないことは疑を
容
(
い
)
れない。
已
(
や
)
むことなくば一説がある。同じ册子の定五郎相續願の直前に、同じく年月日を
闕
(
か
)
いた沙汰書が載せてある。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
それには衣食に事を
闕
(
か
)
いても書物を買うと云う君の学問好を認めた為めもあるが、決してそればかりではない。ドイツ語に於ける君の
造詣
(
ぞうけい
)
の深いことは、初対面の日にもう知れていた。
二人の友
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
この文壇の人々と予とは、あるいは全く接触点を
闕
(
か
)
いでいる、あるいは
些
(
いささか
)
の触接点があるとしても、ただ行路の人が彼往き我来る間に、
忽
(
たちま
)
ち相顧みてまた忽ち相忘るるが如きに過ぎない。
鴎外漁史とは誰ぞ
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
むしって芽の所を出して見て、芽の
闕
(
か
)
けた奴は食う方へ入れる。芽の満足でいる奴は植える方へ入れるのだ。己が立って見ていると、江戸の坊様も手伝ってお
遣
(
やり
)
なさいと抜かしやぁがる。
里芋の芽と不動の目
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
一体己には
esprit
(
エスプリイ
)
non
(
ノン
)
préocupé
(
プレオキュペエ
)
が
闕
(
か
)
けている。安という女が瀬戸の
frivole
(
フリヴオル
)
な目で発見せられるまで、己の目には唯家主の
娵
(
よめ
)
というものが写っていた。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
端
(
はし
)
たのないようにする物、
纏
(
まと
)
めて置く物に事を
闕
(
か
)
いて、借金を纏めて置かないでも好さそうなものである。己はそういう経験を繰り返したくなかった。そこで断然初めからことわることにした。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それが僕には
闕
(
か
)
けているので、好いとは思っても貰いたくならないのではないかと思った。僕が何か案じているのを安中は見て取って、「いずれ改めて伺います」と云って、九段の上で別れた。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
闕
漢検1級
部首:⾨
18画
“闕”を含む語句
闕腋
闕所
闕下
宮闕
闕乏
算法闕疑抄
禁闕
鳳闕
闕員
闕所屋敷
闕文
闕漏
闕所取払
闕門
闕陥
闕乱
闕如
闕失
闕国
闕候
...