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ゑ
ふりがな文庫
“
酔
(
ゑ
)” の例文
旧字:
醉
若
(
もし
)
やと聞着けし車の音は
漸
(
やうや
)
く
近
(
ちかづ
)
きて、
益
(
ますます
)
轟
(
とどろ
)
きて、
竟
(
つひ
)
に
我門
(
わがかど
)
に
停
(
とどま
)
りぬ。宮は
疑無
(
うたがひな
)
しと思ひて起たんとする時、客はいと
酔
(
ゑ
)
ひたる声して物言へり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
月
(
つき
)
雪
(
ゆき
)
花
(
はな
)
は
魯
(
おろ
)
か
犬
(
いぬ
)
が
子
(
こ
)
を
産
(
う
)
んだとては
一句
(
いつく
)
を
作
(
つく
)
り
猫
(
ねこ
)
が
肴
(
さかな
)
を
窃
(
ぬす
)
んだとては
一杯
(
いつぱい
)
を
飲
(
の
)
み
何
(
なに
)
かにつけて
途方
(
とはう
)
もなく
嬉
(
うれ
)
しがる事おかめが
甘酒
(
あまざけ
)
に
酔
(
ゑ
)
ふと
仝
(
おな
)
じ。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
信一郎は、美しい蜘蛛の精の繰り出す糸にでも、懸つたやうに、話手の美しさに
酔
(
ゑ
)
ひながら、暫らくは茫然としてゐた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
午時
(
ひる
)
もややかたぶきぬれど、待ちつる人は来らず。西に沈む日に、宿り急ぐ足のせはしげなるを見るにも、
外
(
と
)
の
方
(
かた
)
七九
のみまもられて心
酔
(
ゑ
)
へるが如し。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
其れ故、毒婦が遺憾なく其の本領を発揮する場合には観客は道義的批判を離れて、全く芸術的快感に
酔
(
ゑ
)
ひ、毒婦の迫害に遭遇する良民の暗愚遅鈍を嘲笑する。
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
召使ひ居候下女は何か可笑しさに
耐
(
た
)
へぬ如く殆ど酒に
酔
(
ゑ
)
ひたる人かと見ゆる様子を致居候。
アンドレアス・タアマイエルが遺書
(新字旧仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
城中必死の覚悟を極め候ことゝて、皆々よろこぶこと限りなく、此処彼処の
櫓
(
やぐら
)
にて俄かに酒宴の
莚
(
むしろ
)
を開き祝ひ酒に
酔
(
ゑ
)
ひ候。かの人質の女どもは、その折いづこへ参り候やらん。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一 大酒のむべからず、たとへ
酔
(
ゑ
)
はずとも傍目より見て危ふし。且つは五臓の患ひとなる。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お村も
少
(
すこ
)
しくなる口なるに、
其夜
(
そのよ
)
は心
爽
(
さわや
)
ぎ、
興
(
きよう
)
も
亦
(
また
)
深かりければ、
飲過
(
のみすご
)
して
太
(
いた
)
く
酔
(
ゑ
)
ひぬ。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
これだけは
聊
(
いささ
)
か快とするに足る。なほ又
次手
(
ついで
)
につけ加へれば、北原君は底抜けの
酒客
(
しゆかく
)
なれども、座さへ
酔
(
ゑ
)
うて
崩
(
くづ
)
したるを見ず。
纔
(
わづか
)
に平生の北原君よりも手軽に正体を
露
(
あらは
)
すだけなり。
田端人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
自然の
和
(
なご
)
みのなかに溶け入る黄金の針のやうに微動し戦慄する感受性を開花させないならば、人工香料の平面的な、固定的な、直線的な表情でも、十分に
酔
(
ゑ
)
ふことが出来るかもしれない。
「香水の表情」に就いて:――漫談的無駄話――
(新字旧仮名)
/
大手拓次
(著)
くさぐさの事を思ひて尽きざるにこよひ吾等は
互
(
かたみ
)
に
酔
(
ゑ
)
ひつ
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
絶叫の声は
拍手
(
はくしゆ
)
の間に響けり、満場既に
酔
(
ゑ
)
ひぬ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
酔
(
ゑ
)
ひ
痴
(
し
)
れし
遊蕩児
(
たはれを
)
の
縦覧
(
みまはり
)
のとりとめもなく。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
楊貴妃
(
やうきひ
)
の
酔
(
ゑ
)
つた
目附
(
めつき
)
に変つて
行
(
ゆ
)
く。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
目をうちつぶり、
酔
(
ゑ
)
ひを
味
(
あじは
)
ふ。
悲しき玩具
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
酔
(
ゑ
)
ふて
羽袖
(
はそで
)
もひら/\と
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
貫一は
生下戸
(
きげこ
)
なれば
嘗
(
かつ
)
て
酔
(
ゑ
)
ひて帰りし事あらざれば、宮は力無く又坐りつ。時計を見れば早や十一時に
垂
(
なんな
)
んとす。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
翌日
(
あくるひ
)
の
午後
(
ひるすぎ
)
に
又
(
また
)
もや
宮戸座
(
みやとざ
)
の
立見
(
たちみ
)
に
出掛
(
でか
)
けた。
長吉
(
ちやうきち
)
は恋の二人が手を取つて
嘆
(
なげ
)
く美しい舞台から、
昨日
(
きのふ
)
始めて経験した
云
(
い
)
ふべからざる
悲哀
(
ひあい
)
の美感に
酔
(
ゑ
)
ひたいと思つたのである。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
稼
(
かせ
)
ぐものあれば
遊
(
あそ
)
ぶ者あり
覚
(
さ
)
める者あれば
酔
(
ゑ
)
ふ者あるが即ち
世
(
よ
)
の
実相
(
じつさう
)
なれば
己
(
おの
)
れ
一人
(
ひとり
)
が
勝手
(
かつて
)
な
出放題
(
ではうだい
)
をこねつけて
好
(
い
)
い
子
(
こ
)
の
顔
(
かほ
)
をするは云はふ
様
(
やう
)
なき
歿分暁漢
(
わからずや
)
言語同断
(
ごんごどうだん
)
といふべし。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
われは
唯
(
た
)
だ幸ひの中に
酔
(
ゑ
)
ひしかば。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
子なきがごとく
酔
(
ゑ
)
へばうたひき
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
その膝に覚ゆる一団の微温の為に
溶
(
とろか
)
されて、彼は
唯妙
(
ただたへ
)
に
香
(
かうばし
)
き
甘露
(
かんろ
)
の夢に
酔
(
ゑ
)
ひて前後をも知らざるなりけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
金色
(
こんじき
)
に
彩
(
いろど
)
りたる高き
円天井
(
まるてんじやう
)
、広き舞台、四方の
桟敷
(
さじき
)
に輝き渡る燈火の光に
酔
(
ゑ
)
はんが為めなれば、余は舞姫多く出でゝ
喧
(
かしま
)
しく
流行歌
(
はやりうた
)
など歌ふ趣味低きミユーヂカル、コメデーを選び申候。
夜あるき
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
額
(
ぬか
)
寄せて心
酔
(
ゑ
)
ひつつ読みし
書
(
ふみ
)
なれ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
酔
(
ゑ
)
ひのあひだにはっきりと浮く
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「あの………。」お
糸
(
いと
)
は急に
思出
(
おもひだ
)
して、「
小梅
(
こうめ
)
の
伯父
(
をぢ
)
さん、どうなすつて、お酒に
酔
(
ゑ
)
つて
羽子板屋
(
はごいたや
)
のお
爺
(
ぢい
)
さんと
喧嘩
(
けんくわ
)
したわね。
何時
(
いつ
)
だつたか。
私
(
わたし
)
怖
(
こは
)
くなツちまツたわ。
今夜
(
こんや
)
いらツしやればいゝのに。 ...
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
悪酒
(
あくしゆ
)
の
酔
(
ゑ
)
ひにたふるるまでも
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
酔
常用漢字
中学
部首:⾣
11画
“酔”を含む語句
酔漢
酔醒
宿酔
微酔
生酔
酔臥
泥酔漢
馬酔木
麻酔
麻酔薬
酔客
酔倒
酔狂
酔興
泥酔
酔払
爛酔
酔心地
悪酔
酣酔
...