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遁出
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にげだ
ふりがな文庫
“
遁出
(
にげだ
)” の例文
汝
(
うぬ
)
野狐
奴
(
め
)
、また
来
(
う
)
せた。と得三室外へ躍出づれば、ぱっと
遁出
(
にげだ
)
す人影あり。廊下の
暗闇
(
やみ
)
に姿を隠してまた——得三をぞ呼んだりける。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
折々
(
をり/\
)
庭
(
には
)
で
遇
(
あ
)
ふ
會計係
(
くわいけいがゝり
)
の
小娘
(
こむすめ
)
の、
彼
(
かれ
)
が
愛
(
あい
)
してゐた
所
(
ところ
)
のマアシヤは、
此
(
こ
)
の
節
(
せつ
)
は
彼
(
かれ
)
が
微笑
(
びせう
)
して
頭
(
あたま
)
でも
撫
(
な
)
でやうとすると、
急
(
いそ
)
いで
遁出
(
にげだ
)
す。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
私
(
わたくし
)
はハツト
思
(
おも
)
つて
一時
(
いちじ
)
は
遁出
(
にげだ
)
さうとしたが、
今更
(
いまさら
)
遁
(
に
)
げたとて
何
(
なん
)
の
甲斐
(
かひ
)
があらう、もう
絶體絶命
(
ぜつたいぜつめい
)
と
覺悟
(
かくご
)
した
時
(
とき
)
、
猛狒
(
ゴリラ
)
はすでに
目前
(
もくぜん
)
に
切迫
(
せつぱく
)
した。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
相助
打
(
ぶ
)
たれて気が
逆上
(
のぼ
)
せ
上
(
あが
)
るほど痛く、眼も
眩
(
くら
)
み足もすわらず、ヒョロ/\と
遁出
(
にげだ
)
し
溝
(
どぶ
)
へ駆け込む。時藏も
打
(
ぶ
)
たれて同じく溝へ落ちたのを見て
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「今夜
遁出
(
にげだ
)
すようじゃ、お島さんも一生まごつきだぞ。何でも
可
(
い
)
いから、
己
(
おれ
)
に委して我慢をして……いいかえ」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
一目散に
遁出
(
にげだ
)
してしまっていた方が、寺田にとって、どんなに幸福だったかしれないのだが……。
魔像
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
それにその時分は
襖
(
ふすま
)
だの
障子
(
しやうじ
)
だのがたて切つてあるものだから、自分の思想や情緒とかいふものが、部屋の中から
遁出
(
にげだ
)
してゆかないやうな安心した処があつてよく書ける。
一番気乗のする時
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
此
(
この
)
話
(
はなし
)
は一
同
(
どう
)
に
著
(
いちじる
)
しき
感動
(
かんどう
)
を
與
(
あた
)
へました。
中
(
なか
)
には
遁出
(
にげだ
)
した
鳥
(
とり
)
さへあり、
年老
(
としと
)
つた一
羽
(
わ
)
の
鵲
(
かさゝぎ
)
は
用心深
(
ようじんぶか
)
くも
身仕舞
(
みじまひ
)
して、『
家
(
うち
)
へ
歸
(
かへ
)
らう、
夜露
(
よつゆ
)
は
咽喉
(
のど
)
に
毒
(
どく
)
だ!』と
云
(
い
)
ひ
出
(
だ
)
しました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
折々
(
おりおり
)
庭
(
にわ
)
で
遇
(
あ
)
う
会計係
(
かいけいがかり
)
の
小娘
(
こむすめ
)
の、
彼
(
かれ
)
が
愛
(
あい
)
していた
所
(
ところ
)
のマアシャは、この
節
(
せつ
)
は
彼
(
かれ
)
が
微笑
(
びしょう
)
して
頭
(
あたま
)
でも
撫
(
な
)
でようとすると、
急
(
いそ
)
いで
遁出
(
にげだ
)
す。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ええ、と
吃驚
(
びっくり
)
身を
飜
(
ひる
)
がえして、
外
(
おもて
)
へ
遁出
(
にげだ
)
し雲を霞、遁がすものかと銀平は門口まで追懸け出で、
前途
(
ゆくて
)
を見渡し
独言
(
ひとりごと
)
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
遁出
(
にげだ
)
すのを、もう是までと覚悟を決めて引戻す長二の手元へ、お柳は
咬付
(
かみつ
)
き、刄物を
奪
(
と
)
ろうと
揉合
(
もみあ
)
う中へ、
踉
(
よろめ
)
きながら幸兵衞が割って入るを、お柳が気遣い
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
懼
(
おそ
)
る
可
(
べ
)
き
野蠻人
(
やばんじん
)
の
巣窟
(
さうくつ
)
でゞもあればそれこそ
一大事
(
いちだいじ
)
、
早速
(
さつそく
)
遁出
(
にげだ
)
す
工夫
(
くふう
)
を
廻
(
めぐ
)
らさねばならぬ、それを
知
(
し
)
るには
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
此
(
この
)
島
(
しま
)
を
一周
(
いつしう
)
して
見
(
み
)
なければならぬと
考
(
かんが
)
へたので
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「今度と云う今度は島ちゃんも
遁出
(
にげだ
)
す
気遣
(
きづかい
)
はあるまい。
己
(
おれ
)
の弟は男が好いからね」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
これは、寺男の爺やまじりに、三人の
日傭取
(
ひようとり
)
が、ものに驚き、泡を食って、
遁出
(
にげだ
)
すのに、投出したものであった。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
という内に富五郎は
遁出
(
にげだ
)
しましたが、悪運の強い奴で、表へ遁げれば
弟子
(
でし
)
が頑張っているから
直
(
すぐ
)
に取って押えられるのでございますが、裏口の方から駈出し、畑を踏んで逃げたの逃げないの
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そうか、と云って、
夜
(
よる
)
夜中
(
よなか
)
、外へ
遁出
(
にげだ
)
すことは思いも寄らず、で、がたがた震える、
突伏
(
つッぷ
)
す、一人で寝てしまったのがあります、これが一番可いのです。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「だって、姉さんが
威
(
おどか
)
すんですもの。私吃驚して
遁出
(
にげだ
)
しましたけれど、(お竹蔵。)の前でしょう、一人じゃ露地へ入れませんもの、
可恐
(
こわ
)
くって、私……」
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今更
遁出
(
にげだ
)
そうッたって
隙
(
すき
)
があるんじゃなし、また遁げようと思ったのでもないが、さあ、
静
(
じっ
)
としていられないから、手近の障子をがたりと
勢
(
いきおい
)
よく開けました。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それじゃ退学にならずにいません。佐原の出で、なまじ故郷が近いだけに、外聞かたがた東京へ
遁出
(
にげだ
)
した。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
先年
(
せんねん
)
、
麹町
(
かうぢまち
)
の
土手三番町
(
どてさんばんちやう
)
の
堀端寄
(
ほりばたより
)
に
住
(
す
)
んだ
借家
(
しやくや
)
は、
太
(
ひど
)
い
濕氣
(
しけ
)
で、
遁出
(
にげだ
)
すやうに
引越
(
ひつこ
)
した
事
(
こと
)
がある。
くさびら
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
風説
(
うわさ
)
の通り、あの峠茶屋の買主の、どこのか
好事
(
ものずき
)
な御令嬢が
住居
(
すまい
)
いたさるるでも理は聞える。よしや事あるにもせい、いざと云う時に
遁出
(
にげだ
)
しましても
可
(
よ
)
さそうなものじゃったに……
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
遁出
(
にげだ
)
すような。後へするする
衣
(
きぬ
)
の音。
階子段
(
はしごだん
)
の下あたりで、主税が思出したように
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(わっ。)と云ってな、三反ばかり
山路
(
やまみち
)
の方へ宙を飛んで
遁出
(
にげだ
)
したと思え。
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかしそれにしてもあんまりな
怯
(
おび
)
え方だ。夢を見て
遁出
(
にげだ
)
すなんざ、いやしくも男子たるべきものが……と云って
罵倒
(
ばとう
)
するわけじゃないが、ちとしっかりしないかい。
串戯
(
じょうだん
)
じゃない、病気になる。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
国民皆
堕落
(
だらく
)
、優柔
淫奔
(
いんぽん
)
になっとるから、夜分なあ、暗い中へ足を
突込
(
つッこ
)
んで見い。あっちからも、こっちからも、ばさばさと
遁出
(
にげだ
)
すわ、二疋ずつの、まるでもって
螇蚸
(
ばった
)
蟷螂
(
かまきり
)
が草の中から飛ぶようじゃ。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「何、抱ッこで寝るッ、若い奴等、気の
悪
(
わり
)
い
談話
(
はなし
)
をしてるな。」と表の戸がらりと開け、乱髪の間より鬼の面をぬっと出すは、これ鉄蔵という人間の顔なり。これに
怖
(
おび
)
えてかの女の児は
遁出
(
にげだ
)
したり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
興を覚まして客は
遁出
(
にげだ
)
し、貴婦人方は持余して、皆休息所に
一縮
(
ひとちぢみ
)
。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は門まで
遁出
(
にげだ
)
したよ。あとをカタカタと追って返して
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
我知らず声を立てて、わッと泣きながら
遁出
(
にげだ
)
したんです。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「成程、そこで
魘
(
うな
)
されたんだ。その令夫人に魘されたのは、かえって望む処かも知れんが、あとの泥水は
厭
(
いや
)
だったろう、全く気の精だな。
遁出
(
にげだ
)
したも
道理
(
もっとも
)
だ。よく、あの板廊下が鉄道の線路に化けなかった。」
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私
(
わし
)
はそうそうに
遁出
(
にげだ
)
した。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私
(
わし
)
は
匆々
(
さう/\
)
に
遁出
(
にげだ
)
した。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
遁
漢検準1級
部首:⾡
13画
出
常用漢字
小1
部首:⼐
5画
“遁”で始まる語句
遁
遁世
遁走
遁辞
遁込
遁路
遁甲
遁逃
遁走曲
遁帰