トップ
>
謎
>
なぞ
ふりがな文庫
“
謎
(
なぞ
)” の例文
阿波は由来
謎
(
なぞ
)
の国だ。金があって武力が精鋭、そして、秘密を包むに都合のいい国、一朝
淡路
(
あわじ
)
を足がかりとして大阪を
図
(
はか
)
り、京へ根を
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
漠然とした恐怖感、
謎
(
なぞ
)
めいた危険の暗示、しかも断ちがたい異様な執着。そういったものが、脈絡もなく繰り返してあるだけだった。
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そして彼はその
謎
(
なぞ
)
を解かんとせず、
瘡痍
(
そうい
)
を
繃帯
(
ほうたい
)
せんとした。万物の恐るべき光景は、彼のうちにやさしき情をますます深からしめた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
それを見ると、彼女の心に深い処から
謎
(
なぞ
)
のような不安が上って来た。でふと立ち上って、火鉢の火を何気なく囲炉裡の中に移した。
湖水と彼等
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
わがはじめて入る独逸貴族の城のさまいかならむ。さきに遠く望みし馬上の美人はいかなる人にか。これらも皆解きあへぬ
謎
(
なぞ
)
なるべし。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
その八五郎が、美しい下女のお菊の動靜を見張つてゐるうち、淺草の日參と、お
神籤
(
みくじ
)
と、
粂
(
くめ
)
の
平内
(
へいない
)
樣の格子の
謎
(
なぞ
)
を見付けたのです。
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
謎
(
なぞ
)
めいた、甘いような苦いような口元や、その夢の重みを持っている
瞼
(
まぶた
)
の
飾
(
かざり
)
やが、己に人生というものをどれだけ教えてくれたか。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
ヘッケルの『宇宙の
謎
(
なぞ
)
』の翻訳が出て、その一元論が我が国の読書界に紹介されたのが、丁度私たちが高等学校へ入学した頃であった。
簪を挿した蛇
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
もししからば画の簡単なる割合に趣向は非常に複雑せり。俳句的といはんか、
謎
(
なぞ
)
的といはんか、しかもかくの如き画は
稀
(
まれ
)
に見るところ。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
それが分からない以上、なぜ山形警部のたましいが、あの少女にのりうつったのか、それは解けない
謎
(
なぞ
)
だった。そして決行の夜が来た。
超人間X号
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一つの不可知な魂から形づけられてるその肉体の
謎
(
なぞ
)
は、クリストフにとっては、彼女が演じてる脚本以上に人の心を動かすものだった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
絵といい、文字といい、これはお松にとっては容易ならぬ
謎
(
なぞ
)
となりました。これを納めた人の心こそ、測りがたいものだと思いました。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「どうしたつけ、
昨日
(
きのふ
)
の
豆
(
まめ
)
はそんでもたんと
收穫
(
と
)
れた
割合
(
わりえゝ
)
だつけが」おつたが
謎
(
なぞ
)
のやうにいつても
勘次
(
かんじ
)
は
更
(
さら
)
にはき/\といはなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
趣
(
おもむ
)
きを
如何
(
どう
)
いふ
風
(
ふう
)
に
畫
(
か
)
いたら、
自分
(
じぶん
)
の
心
(
こゝろ
)
を
夢
(
ゆめ
)
のやうに
鎖
(
と
)
ざして
居
(
ゐ
)
る
謎
(
なぞ
)
を
解
(
と
)
くことが
出來
(
でき
)
るかと、それのみに
心
(
こゝろ
)
を
奪
(
と
)
られて
歩
(
ある
)
いた。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
頭髪
(
かみ
)
の結び方と顔の化粧振りとに対して、余りに
扮装
(
なり
)
が粗末なので、全く調和が取れなかった。これでは誰の眼にも
謎
(
なぞ
)
で有ろう。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
救世観音の私に与えた
謎
(
なぞ
)
は、
畢竟
(
ひっきょう
)
その背後に遠く深く漂う歴史の
深淵
(
しんえん
)
にひそむのではなかろうか。私には歴史への信仰が欠けていたのだ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
誤ち易きは、人のみち、
算盤
(
そろばん
)
の珠。迷ひ易きは、
女衒
(
ぜげん
)
の口、恋のみち、
謎
(
なぞ
)
、手品、本郷の西片町、ほれぼれと惚れてだまされたるかなし。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「モナリサの唇には
女性
(
にょしょう
)
の
謎
(
なぞ
)
がある。原始以降この謎を描き得たものはダ ヴィンチだけである。この謎を解き得たものは一人もない。」
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「空を飛ぶ必要はないが、」とまた繰返して言い、「眠りながら歩く、という事は出来ないものかね。」と
遠廻
(
とおまわ
)
しに
謎
(
なぞ
)
をかけた。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
尤もフロイド風に分析すれば持って廻った底の方に
謎
(
なぞ
)
を解く
鍵
(
かぎ
)
もあろうけれども、ポーズの方が重要なのさ、と思いこんでいたかも知れぬ。
青い絨毯
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
画
(
え
)
に
描
(
か
)
いた
太陽
(
おひさま
)
の夢を見たんだらう。何だか
謎
(
なぞ
)
のやうな事を言つてるわね。——さあ/\、お
寝室
(
ねま
)
こしらへをして置きませう。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
……遠回しにそっと
謎
(
なぞ
)
をかけてみるのよ。(間)ほんとに、いつまでそう、どっちつかずじゃあねえ。……ね、いいでしょう。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
何故
(
なぜ
)
、襖ぎはに立つてゐたかが
謎
(
なぞ
)
でもあつた。亭主はもういい気持ちになり、鼻水をすゝりながら、東京へ出て一旗あげたい話をしてゐる。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
彼はおりを見てこの少年を捜し出し、不思議な
謎
(
なぞ
)
を解かなければならないという気になった。それにしても、今はそんな暇はないのである。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
二人はちゃんと坐って向い合いそんな押し問答をしばらく繰り返していたが、彼女は黙って考えていたあげく、
謎
(
なぞ
)
のように
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
と
云
(
い
)
つて、
若
(
も
)
し
私
(
わたし
)
が
同
(
おな
)
じやうでなかつたら
何
(
ど
)
うなるんでせう、
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
で
誰
(
だ
)
れが
私
(
わたし
)
なんでせう!まァ、それは
大
(
おほ
)
きな
謎
(
なぞ
)
だわ!
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
しかめてみせたり
謎
(
なぞ
)
をかけるようにひとりごとを
洩
(
も
)
らしたりしてどうせよこうせよとはっきり意志を云い現わすことはなく
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「はて、
謎
(
なぞ
)
なぞのようなことは言わぬものじゃ。いかようにすれば頼長は世に頼もしい男とならるるのじゃ。打ち付けに言え、あらわに申せ」
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
宮家経費は、王室費予算中に潤沢な計上を見ているにもかかわらず、何が故に極端な倹約を図っていられるのか、一般に深い
謎
(
なぞ
)
とされている。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「ふゝゝゝ。」とおふくろは、
擽
(
くすぐ
)
ツたいやうに笑出して、「何だか、
謎
(
なぞ
)
をかけられてゐるやうですね。」と事もなげにいふ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
絶えず何かに気を配っているところと、底抜けの夢みがちなところがあって、それが彼にとっては一つの
謎
(
なぞ
)
のようだった。
火の唇
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
過ぐる年の九月五日の夜、馬籠本陣の土蔵二階であの娘の自害を企てたことは、いまだに村のものの
謎
(
なぞ
)
として残っている。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お庄を傍につけておいて、時々
謎
(
なぞ
)
のようなことを言い合っている二人の素振りには、ずうずうしいようなところがあった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「
吉
(
きち
)
ちゃんが、
去年
(
きょねん
)
の
芝居
(
しばい
)
が
済
(
す
)
んだ
時
(
とき
)
、
黙
(
だま
)
って
届
(
とど
)
けておくんなすったお七の
衣装
(
いしょう
)
、あたしに
着
(
き
)
ろとの
謎
(
なぞ
)
でござんしょう」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
彼は、
謎
(
なぞ
)
や、難問や、象形文字が好きで、凡人の理解力では超自然とも見えるほどの明敏さで、それらを解き明かす。
モルグ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
ぞべらも、その撞木娘もともに多く美装した娘であるが、これがまたへんに凄い不思議な
謎
(
なぞ
)
の味を持っていると思う。
ばけものばなし
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
だがその言葉の意味の中に、何か常識の理解し得ない、或る幽幻な哲理の
謎
(
なぞ
)
が、神秘に隠されてゐるやうに思はれた。
田舎の時計他十二篇
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
が、時計の
謎
(
なぞ
)
を知るためには、——それと同時に瑠璃子夫人の態度の謎を解くためには、ノートを見ることより外に、何の手段も思い浮ばなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「へえ、君がねえ。驚いたもんだな……ハハア、これだね、明智君、さいぜん君が
謎
(
なぞ
)
みたいなことを言っていたのは」
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
僕は、
可笑
(
おか
)
しくなってひとりで笑った。が、考えてみると、鯨がお腹を上に向けて泳いでいるわけはない。僕は、やっと怪物の
謎
(
なぞ
)
を解くことが出来た。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
あの聖堂のなかに何か容易ならぬ
謎
(
なぞ
)
がひそんでゐるやうな気がしきりにしだして、矢も
楯
(
たて
)
もたまらなくなりました。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
印度洋の
彼
(
かの
)
不可思議
(
ふかしぎ
)
な色をして
千劫
(
せんごう
)
万劫
(
まんごう
)
已
(
や
)
む時もなくゆらめく
謎
(
なぞ
)
の様な
水面
(
すいめん
)
を
熟々
(
つくづく
)
と見て居れば、引き入れられる様で、吾れ知らず飛び込みたくなる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
いままでは、
謎
(
なぞ
)
のようなことばかりで、すっかり
戸迷
(
とまど
)
ったが、そうとわかると、すこし楽な気持になってきた。
キャラコさん:06 ぬすびと
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
のみならずその
面
(
おも
)
ざしは、
円頂僧衣
(
えんちょうそうい
)
の姿に変ってこそおれ、
初
(
う
)
い初いしさ、美しさ、朝程霧の道ではっきり記憶に刻んでおいたあの
謎
(
なぞ
)
の娘そっくりでした。
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
この、不思議な会話を、後日思出したときに、幼いころの、この
謎
(
なぞ
)
のようなことばが、やっと解けたのだった。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
大杉が果してスパイであった
乎
(
か
)
否乎の
謎
(
なぞ
)
は大杉自身が
鍵
(
かぎ
)
を握ってるので、余人の推測は余りアテにならないが
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
謎
(
なぞ
)
の老士得印兼光は、夜泣きの刀の作者関孫六の子孫だったことがわかり、部下の、同じ火事装束の四人はその弟子、六尺ぢかい大男ぞろいの駕籠かきも
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「説明しなくてはならないらしい。あなたがどんな
謎
(
なぞ
)
のやうな表情をするか私は知らない。私の獨り居にはあなたも這入つてもらふのですよ。わかつた?」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
それを聞いて房内にある二、三の、ぼろぼろになった書物の裏表紙などに折れ
釘
(
くぎ
)
の先か何かで革命歌の一とくさりなどが書きつけてある
謎
(
なぞ
)
が解けたのである。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
此哀れむべき婦人を最後の一滴まで搾取した、三人のごろつき共は、女と共にすっかり
謎
(
なぞ
)
になってしまった。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
“謎”の意味
《名詞》
(なぞ)物事の真相やある事象の原因が不明であること。
(出典:Wiktionary)
謎
常用漢字
中学
部首:⾔
17画
“謎”を含む語句
謎語
謎々
伊香色謎
伊香色謎命
昔模様謎染
謎理的
謎芝居
謎語像
謎道
鬱色謎命