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葭簀張
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よしずばり
ふりがな文庫
“
葭簀張
(
よしずばり
)” の例文
その
辺
(
へん
)
に同じように
葭簀張
(
よしずばり
)
の小屋を仕つらえた
乞食芝居
(
こじきしばい
)
や
桶抜
(
おけぬ
)
け
籠抜
(
かごぬけ
)
などの
軽業師
(
かるわざし
)
も追々に見物を呼び集めている処であった。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
葭簀張
(
よしずばり
)
の茶店が一軒、色の黒い
皺
(
しな
)
びた婆さんが一人、真黒な犬を一匹、膝に
引
(
ひき
)
つけていて、じろりと、犬と
一所
(
いっしょ
)
に私たちを
視
(
なが
)
めましたっけ。……
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
葭簀張
(
よしずばり
)
の葭も同字なり。しかるに近頃葮の字を用ゐる人あり。後者は字引に「むくげ」とあるはたしかならねど「よし」にあらざるは勿論なり。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
一方は銭形平次と八五郎、赤羽橋有馬屋敷の角、お
濠端
(
ほりばた
)
の
葭簀張
(
よしずばり
)
の中に、
辰刻
(
いつつ
)
(午前八時)過ぎから眼を光らせました。
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
テラスの
葭簀張
(
よしずばり
)
の下へ出て見たが、雨のあとでひとしお青々としている庭の芝生の上に、白い
蝶
(
ちょう
)
が二匹舞っており、ライラックと
栴檀
(
せんだん
)
の樹の間の
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
折之助は
葭簀張
(
よしずばり
)
の小屋の中にいた。そこは日本堤の東南の端で、うしろ(
土堤
(
どて
)
の下)に山谷堀の舟着きがある。
雪と泥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
いちめん茫々とひろい草地の上のところどころに
葭簀張
(
よしずばり
)
のかこい場がある。はるかむこうの川入りの池のそばで、十二三羽の鶴が長い首をふって歩きまわっている。
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
急ぎ足ですた/\/\/\と馬籠の宿を
出外
(
ではず
)
れにかゝりますると、
其処
(
そこ
)
には
八重
(
やえ
)
に道が付いて居て、
此方
(
こっち
)
へ
往
(
ゆ
)
けば
十曲峠
(
じっきょくとうげ
)
……と見ると其処に
葭簀張
(
よしずばり
)
の
掛茶屋
(
かけぢゃや
)
が有るから
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
米友は
且
(
か
)
つ憤慨し、且つ悲観してしまって、柳原の昨晩騒ぎのあったところまで来て見たけれども、
河岸
(
かし
)
に材木が転がっていたり
葭簀張
(
よしずばり
)
がしてあったりするくらいのもので
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
所
(
ところ
)
がチャント門限があって出ることが出来ぬから、当直の門番を脅迫して無理に
開
(
あ
)
けさして、
鍋島
(
なべしま
)
の浜と云う
納涼
(
すずみ
)
の
葭簀張
(
よしずばり
)
で、
不味
(
まず
)
いけれども
芋蛸汁
(
いもだこじる
)
か何かで安い酒を
飲
(
のん
)
で
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
二人は砂山の下の、昼間は海に入る人の着物を預かる
葭簀張
(
よしずばり
)
の茶店の中にかけ込んだ。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
夏は紅白の蓮の花が咲いた。土手には草が
蓬々
(
ほうほう
)
と茂っていた。が、濠端を通る人影はまばらだった。日影の
尠
(
すくな
)
い、白ちゃけた道が、
森閑
(
しんかん
)
として寂しく光った。
葭簀張
(
よしずばり
)
の店もなかった。
四谷、赤坂
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
正面はたかき石段にて、上には左右に石の
駒寄
(
こまよ
)
せ、石灯籠などあり。桜の立木の奥に社殿遠くみゆ。石段の下には桜の大樹、これに沿うて上のかたに
葭簀張
(
よしずばり
)
の茶店あり。店さきに
床几
(
しやうぎ
)
二脚をおく。
番町皿屋敷
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
安政元年に竜池父子の贔屓にした八代目団十郎が自刃した。二年は地震の年である。江戸遊所の不景気は未曾有で、幇間は
露肆
(
ろし
)
に
天麩羅
(
てんぷら
)
を売り、町芸妓は
葭簀張
(
よしずばり
)
におでん
燗酒
(
かんざけ
)
を
鬻
(
ひさ
)
いだそうである。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
土手の上には枝を張つた大きな
栃
(
とち
)
の樹があつて、其傍の
葭簀張
(
よしずばり
)
には、午後四時過ぎの日影が照つて居た。兄の少年は其の隣の老人がとぼ/\と土手に登つて行くのを見えなくなるまで見送つて居た。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
その頃、
両国
(
りょうごく
)
の
川下
(
かわしも
)
には
葭簀張
(
よしずばり
)
の
水練場
(
すいれんば
)
が四、五軒も並んでいて、夕方近くには
柳橋
(
やなぎばし
)
あたりの芸者が泳ぎに来たくらいで、かなり
賑
(
にぎや
)
かなものであった。
向島
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ちょっとした
葭簀張
(
よしずばり
)
の茶店に休むと、
媼
(
うば
)
が口の長い
鉄葉
(
ブリキ
)
の
湯沸
(
ゆわかし
)
から、渋茶を
注
(
つ
)
いで、
人皇
(
にんのう
)
何代の
御時
(
おんとき
)
かの箱根細工の木地盆に、
装溢
(
もりこぼ
)
れるばかりなのを差出した。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ついシュトルツ家の裏庭の方で、子供たちの声がしているのでお春が呼びに行こうとするのを、雪子は止めて、ひとりテラスの
葭簀張
(
よしずばり
)
の下へ出て、
白樺
(
しらかば
)
の椅子に掛けた。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
御新造が
此方
(
こちら
)
へ
縁付
(
かたづ
)
いてから二日目のこと、丁度三年以前の五月三十日の晩ですが、水道町の仕事の帰りに勘定を取って、相変らず一口やった
揚句
(
あげく
)
の
果
(
はて
)
、桜の馬場の
葭簀張
(
よしずばり
)
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
葭簀張
(
よしずばり
)
の水茶屋で、喧嘩にも夕立にも、閉める戸がありません。三千兩の
吊臺
(
つりだい
)
はその儘土間を通つて磨き拔いた茶釜の後ろ、——ほんの三疊ばかりの
茣蓙
(
ござ
)
の上に持込まれました。
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その頃、小田原の城跡には石垣や堀がそのまま残っていて、天主台のあった処には神社が建てられ、その傍に
葭簀張
(
よしずばり
)
の
休茶屋
(
やすみぢゃや
)
があって、
遠眼鏡
(
とおめがね
)
を貸した。
十六、七のころ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
葭簀張
(
よしずばり
)
の水茶屋で、喧嘩にも夕立にも、閉める戸がありません。三千両の釣台はそのまま土間を通って磨き抜いた茶釜の後ろ、——ほんの三畳ばかりの
茣蓙
(
ござ
)
の上に持込まれました。
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
柳
(
やなぎ
)
の
奧
(
おく
)
に、
葉
(
は
)
を
掛
(
か
)
けて、
小
(
ちひ
)
さな
葭簀張
(
よしずばり
)
の
茶店
(
ちやみせ
)
が
見
(
み
)
えて、
横
(
よこ
)
が
街道
(
かいだう
)
、すぐに
水田
(
みづた
)
で、
水田
(
みづた
)
のへりの
流
(
ながれ
)
にも、はら/\
燕子花
(
かきつばた
)
が
咲
(
さ
)
いて
居
(
ゐ
)
ます。
此
(
こ
)
の
方
(
はう
)
は、
薄碧
(
うすあを
)
い、
眉毛
(
まゆげ
)
のやうな
遠山
(
とほやま
)
でした。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
もうこのテラスに渡してある
日覆
(
ひおお
)
いの
葭簀張
(
よしずばり
)
も、近日取り
除
(
の
)
けなければならない。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と
是
(
これ
)
から
案内
(
あんない
)
に
連
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
き、
橋
(
はし
)
を
渡
(
わた
)
ると
葭簀張
(
よしずばり
)
の
腰掛
(
こしか
)
け
茶屋
(
ぢやゝ
)
で、
奥
(
おく
)
が
住居
(
すまゐ
)
になつて
居
(
を
)
り、
戸棚
(
とだな
)
が
三
(
みつ
)
つばかり
有
(
あ
)
り、
棚
(
たな
)
が
幾
(
いく
)
つも
有
(
あ
)
りまして、
葡萄酒
(
ぶだうしゆ
)
、ラムネ、
麦酒
(
ビール
)
などの
壜
(
びん
)
が
幾本
(
いくほん
)
も並んで
居
(
ゐ
)
て
明治の地獄
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
両側とも
菜飯田楽
(
なめしでんがく
)
の
行燈
(
あんどう
)
を出した二階
立
(
だて
)
の料理屋と、
往来
(
おうらい
)
を
狭
(
せば
)
むるほどに
立連
(
たちつらな
)
った
葭簀張
(
よしずばり
)
の
掛茶屋
(
かけぢゃや
)
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
花「お
父様
(
とっさま
)
、あの毎日あすこの
葭簀張
(
よしずばり
)
に炭屋さんが休んで居りますねえ」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そこを——三光坂上の
葭簀張
(
よしずばり
)
を出た——この老人はうら
枯
(
がれ
)
を摘んだ
籠
(
かご
)
をただ一人で手に提げつつ、
曠野
(
あらの
)
の路を
辿
(
たど
)
るがごとく、烏瓜のぽっちりと赤いのを、
蝙蝠傘
(
こうもりがさ
)
に
搦
(
から
)
めて
支
(
つ
)
いて、青い鳶を
目的
(
めあて
)
に
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
テラスの上には、もう例年のように
葭簀張
(
よしずばり
)
の日覆いが出来ていた。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その女学校の門を通過ぎた処に、以前は
草鞋
(
わらじ
)
でも
振
(
ぶ
)
ら下げて売ったろう。
葭簀張
(
よしずばり
)
ながら二坪ばかり
囲
(
かこい
)
を取った茶店が
一張
(
ひとはり
)
。片側に立樹の茂った空地の森を風情にして、
如法
(
にょほう
)
の婆さんが煮ばなを商う。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
葭
漢検1級
部首:⾋
12画
簀
漢検1級
部首:⽵
17画
張
常用漢字
小5
部首:⼸
11画
“葭簀”で始まる語句
葭簀
葭簀掛
葭簀垣
葭簀越
葭簀茶屋
葭簀棚
葭簀屏風