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腑甲斐
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ふがひ
ふりがな文庫
“
腑甲斐
(
ふがひ
)” の例文
「兄さん、後生だから、そんな事は止して下さい。捨てられたのは私の
腑甲斐
(
ふがひ
)
なさで、お駒に少しも惡いことはありません」
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
(
寂
(
さび
)
しき
微笑
(
びせう
)
)わたしのやうに
腑甲斐
(
ふがひ
)
ないものは、
大慈大悲
(
だいじだいひ
)
の
觀世音菩薩
(
くわんぜおんぼさつ
)
も、お
見放
(
みはな
)
しなすつたものかも
知
(
し
)
れません。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あはれなるは
繼子
(
まゝこ
)
の
身分
(
みぶん
)
にして、
腑甲斐
(
ふがひ
)
ないものは
養子
(
やうし
)
の
我
(
わ
)
れと、
今更
(
いまさら
)
のやうに
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
のあぢきなきを
思
(
おも
)
ひぬ。
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
然
(
しか
)
し
宗助
(
そうすけ
)
には
丸
(
まる
)
で
時間
(
じかん
)
を
潰
(
つぶ
)
しに
來
(
き
)
た
樣
(
やう
)
な
自覺
(
じかく
)
が
明
(
あき
)
らかにあつた。それを
斯
(
か
)
う
取
(
と
)
り
繕
(
つく
)
ろつて
云
(
い
)
つて
貰
(
もら
)
ふのも、
自分
(
じぶん
)
の
腑甲斐
(
ふがひ
)
なさからであると、
獨
(
ひと
)
り
耻
(
は
)
ぢ
入
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
妻に
媚
(
こ
)
びる愚かなる父の為めに遂には旅の空にやつて来て下等な労働者をしなければならぬ
腑甲斐
(
ふがひ
)
ない自分を思ふと歯ぎしりして故郷の空を
睨
(
にら
)
みたい気もしたが
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
▼ もっと見る
が、馬越は友達は
扨置
(
さてお
)
き、母にさへ妻にさへ、
謙
(
へりくだ
)
つてゐなければならぬ
腑甲斐
(
ふがひ
)
なさを悲んでゐた。——この二人も知らず識らず自分を内海に比べてゐるらしかつた。
仮面
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
取分
(
とりわ
)
けて
申候迄
(
まうしさふらうまで
)
もなし実際に
於
(
おい
)
てかゝる
腑甲斐
(
ふがひ
)
なき生活状態の
到底
(
たうてい
)
有得
(
ありう
)
べからざる
儀
(
ぎ
)
となり
申候
(
まうしそろ
)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
人間
(
にんげん
)
恁
(
か
)
うまでに
成
(
な
)
りませずば、
表向
(
おもてむ
)
き
貴下
(
あなた
)
のお
供
(
とも
)
をいたしまして、
今夜
(
こんや
)
なんぞ、たとひ
對手
(
あひて
)
は
藝者
(
げいしや
)
でも、
御新姐樣
(
ごしんぞさま
)
には
齋檀那
(
ときだんな
)
、
施主方
(
せしゆがた
)
の
下足番
(
げそくばん
)
でもしませうものを、
早
(
は
)
や
全
(
まつた
)
く
腑甲斐
(
ふがひ
)
ない
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
妻の此の生活に疲れた
状
(
さま
)
が保雄の心には気の毒で成らぬけれども、此の境遇から救ひ出す方法も附か無いので
腑甲斐
(
ふがひ
)
ない
良人
(
をつと
)
だと心の内で
泣乍
(
なきなが
)
ら
已
(
や
)
むを得ず
其日其日
(
そのひ/\
)
を無駄に送るより外は無かつた。
執達吏
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
幸ひに
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
御預
(
おんあづか
)
り申さんなどと云て受取たるに相違
有
(
ある
)
まじエヽ
汝
(
おの
)
れは
腑甲斐
(
ふがひ
)
なき女かな武士の女房には
似合
(
にあは
)
ぬ
心底
(
しんてい
)
斯
(
かく
)
零落
(
れいらく
)
しても大橋文右衞門なるぞ心まで
困窮
(
こんきう
)
はせぬ
汝
(
おのれ
)
は
然
(
さ
)
までさもしき
根生
(
こんじやう
)
になりたるやと女房お政を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
斯
(
か
)
う語り終つたお嘉代は、亡夫の望を果し得なかつた
腑甲斐
(
ふがひ
)
なさと、十五年間の爪に
灯
(
とも
)
すやうな苦心を思ひ起して、たゞさめ/″\と泣くのです。
銭形平次捕物控:147 縞の財布
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
やがて
伍長
(
ごちやう
)
の肩書も持たば、
鍛工場
(
たんこうじやう
)
の取締りとも言はれなば、家は今少し広く、
小女
(
こおんな
)
の走り使ひを置きて、そのかよわき身に水は
汲
(
く
)
まさじ。我れを
腑甲斐
(
ふがひ
)
なしと思ふな。
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「あれは極楽も地獄も知らぬ、
腑甲斐
(
ふがひ
)
ない女の魂でござる。御仏を念じておやりなされ。」
六の宮の姫君
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
否
(
いや
)
さ決して卑下致す
譯
(
わけ
)
に之なく實に長兵衞樣其方はとても及ばぬ事故
何
(
どう
)
か
寧
(
いつそ
)
の事町人に
成度
(
なりたし
)
と申ければ長兵衞は
腑甲斐
(
ふがひ
)
なき事に思へども夫なら先私しが申通りに
成
(
なさ
)
れて御覽じませ夫には
資本金
(
もとできん
)
の入ぬやうに
紙屑買
(
かみくづかひ
)
が
宜
(
よろ
)
しからんと
云
(
いへ
)
ば
何
(
いづ
)
れにも
好
(
よき
)
に頼むとの事に付終に
紙屑買
(
かみくづかひ
)
と相談を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
何んといふ
腑甲斐
(
ふがひ
)
ない人間かと、胸をかきむしつて口惜しがつたが、主人始め多勢の人、わけても多與里殿に、心から禮を言はれると、自分のした事も忘れてしまつて
銭形平次捕物控:261 弱い浪人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
我
(
わ
)
れを
腑甲斐
(
ふがひ
)
なしと
思
(
おも
)
ふな、
腕
(
うで
)
には
職
(
しよく
)
あり
身
(
み
)
の
健
(
すこや
)
かなるに、いつまで
斯
(
か
)
くてはあらぬものをと
口癖
(
くちぐせ
)
に
仰
(
あふ
)
せらるゝは、
何處
(
どこ
)
やら
我
(
わ
)
が
心
(
こゝろ
)
の
顏
(
かほ
)
に
出
(
い
)
でゝ
卑
(
いや
)
しむ
色
(
いろ
)
の
見
(
み
)
えけるにや
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
燒場
(
やきば
)
へ送りし時金子は何程取しぞ
隱
(
かく
)
さず申せと云はるゝに願山は大いに驚き
扨々
(
さて/\
)
兄は
腑甲斐
(
ふがひ
)
なき
奴
(
やつ
)
とは思へども
今更
(
いまさら
)
陳
(
ちん
)
ずる事も出來ざれば其儀は嘉川樣に
頼
(
たの
)
まれし
節
(
せつ
)
金二兩
貰
(
もら
)
ひしと申ければ大岡殿笑はせられ
汝
(
おのれ
)
も安い人間ぢや
併
(
しか
)
し兄より
利發
(
りはつ
)
者兄の多兵衞は主税之助に
頼
(
たの
)
まれて島の
施主
(
せしゆ
)
に立ながらたツた一兩
貰
(
もら
)
つたと申其方は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
一人並
(
いちにんなみ
)
の
男
(
をとこ
)
になりながら
何
(
なん
)
の
腑甲斐
(
ふがひ
)
ない
車夫
(
しやふ
)
風情
(
ふぜい
)
にまで
落魄
(
おちぶれ
)
ずともの
事
(
こと
)
外
(
ほか
)
に
仕樣
(
しやう
)
のあらうものを
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
私の
腑甲斐
(
ふがひ
)
ないのに腹を立てゝ、新吉がやつたのかしらと、一應は思ひましたが、この男は生れ付きの善人で、氣の弱い事この上なしですから、人を殺せる筈はありません。
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一日
(
いちにち
)
床
(
とこ
)
を
敷
(
し
)
いて
臥
(
ふせ
)
つて
居
(
ゐ
)
た
事
(
こと
)
も
一度
(
いちど
)
や
二度
(
にど
)
では
御座
(
ござ
)
りませぬ、
私
(
わたし
)
は
泣虫
(
なきむし
)
で
御座
(
ござ
)
いますから、その
強情
(
がうじやう
)
の
割合
(
わりあひ
)
に
腑甲斐
(
ふがひ
)
ないほど
掻卷
(
かいまき
)
の
襟
(
えり
)
に
喰
(
くひ
)
ついて
泣
(
な
)
きました、
唯々
(
たゞ/\
)
口惜
(
くや
)
し
涙
(
なみだ
)
なので
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
駒吉はいろ/\と立ち働くお秀の後ろ姿を眼で追ひ乍ら
腑甲斐
(
ふがひ
)
なくも涙組むのです。
銭形平次捕物控:157 娘の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
千本金之丞あわてたやうに
合槌
(
あひづち
)
を打つのでした。役高を
併
(
あは
)
せて百五十石取の武家にしては、影が薄くて、卑屈で、島家の用人風情に引廻されて居る
腑甲斐
(
ふがひ
)
なさを、事毎に平次は見せつけられます。
銭形平次捕物控:204 美女罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
喜八郎は
腑甲斐
(
ふがひ
)
なくもさう言ふのでした。
銭形平次捕物控:229 蔵の中の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
腑
漢検1級
部首:⾁
12画
甲
常用漢字
中学
部首:⽥
5画
斐
漢検準1級
部首:⽂
12画
“腑”で始まる語句
腑
腑抜
腑分
腑効
腑伏
腑分図
腑脱
腑抜声
腑分指示書