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田甫
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たんぼ
ふりがな文庫
“
田甫
(
たんぼ
)” の例文
お宅は
下根岸
(
しもねぎし
)
もズッと末の方で
極
(
ご
)
く閑静な処、屋敷の
周囲
(
まわり
)
は
矮
(
ひく
)
い生垣になって居まして、其の外は
田甫
(
たんぼ
)
、其の
向
(
むこう
)
に
道灌山
(
どうかんやま
)
が見える。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
鋸
(
のこぎり
)
で
挽
(
ひ
)
いて、
女
(
をんな
)
の
立像
(
りつざう
)
だけ
抜
(
ぬ
)
いて
取
(
と
)
る、と
鳥居
(
とりゐ
)
は、
片仮名
(
かたかな
)
のヰの
字
(
じ
)
に
成
(
な
)
つて、
祠
(
ほこら
)
の
前
(
まへ
)
に、
森
(
もり
)
の
出口
(
でぐち
)
から、
田甫
(
たんぼ
)
、
畷
(
なはて
)
、
山
(
やま
)
を
覗
(
のぞ
)
いて
立
(
た
)
つであらう。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そのころ浅草の奥山付近は変り者の粒揃い、いろいろ奇行を残したものだが、中にも後れ馳せながら振るった看板、
田甫
(
たんぼ
)
の狸汁と公園の珍物茶屋。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
忍
(
しのぶ
)
が
岡
(
おか
)
と太郎
稲荷
(
いなり
)
の森の梢には
朝陽
(
あさひ
)
が際立ッて
映
(
あた
)
ッている。
入谷
(
いりや
)
はなお半分
靄
(
もや
)
に包まれ、吉原
田甫
(
たんぼ
)
は一面の霜である。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
三吉は橋の
袂
(
たもと
)
までいって、すぐあと戻りした。流れのはやさと一緒になって坂をのぼり、熊本城の石垣をめぐって、
田甫
(
たんぼ
)
に沿うた
土堤
(
どて
)
うえの道路にでる。
白い道
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
▼ もっと見る
かつて神田伯龍は「吉原百人斬」の吉原
田甫
(
たんぼ
)
、宝生栄之丞住居において栄之丞をして、盛夏、訪れてきた幇間阿波太夫に青桃と冷やし焼酎を与えしめた。
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
田邊から一休寺に近づくほど家並が古く、白壁のある築地が見え、
田甫
(
たんぼ
)
が見え、古い田舍の感が深かつた。
京洛日記
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
それ、ここから見えるあの
田甫
(
たんぼ
)
ぢや、あれが、この村の開けないずつと
往昔
(
むかし
)
は一面の沼だつたのぢや、
蘆
(
あし
)
や
蒲
(
かば
)
が生え茂つてゐて、
鳰
(
にほ
)
だの鴨だのが沢山ゐたもんぢや。
黄金の甕
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
余は大方の意味を了解していたのでやはり黙りこくってあとについて行った。稲は刈り取られた寒い
田甫
(
たんぼ
)
を見遥るかす道灌山の婆の茶店に腰を下ろした時、居士は
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
三
人
(
にん
)
が
田甫
(
たんぼ
)
を
往復
(
わうふく
)
してから
暫
(
しばら
)
く
經
(
た
)
つて
村落
(
むら
)
の
内
(
うち
)
からは
何處
(
どこ
)
の
家
(
いへ
)
からも
提灯
(
ちやうちん
)
持
(
もつ
)
て
田甫
(
たんぼ
)
の
道
(
みち
)
を
老人
(
としより
)
と
子供
(
こども
)
とがぞろ/″\
通
(
とほ
)
つた。
勘次
(
かんじ
)
は
提灯
(
ちやうちん
)
の
火
(
ひ
)
を
佛壇
(
ぶつだん
)
の
燈明皿
(
とうみやうざら
)
へ
移
(
うつ
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
御行
(
おぎやう
)
の松に
吹
(
ふく
)
かぜ音さびて、根岸
田甫
(
たんぼ
)
に
晩稲
(
おくて
)
かりほす頃、あのあたりに森江しづと呼ぶ女あるじの家を、うさんらしき乞食小僧の目にかけつゝ、怪しげなる
素振
(
そぶり
)
あるよし
琴の音
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そして
家
(
うち
)
には帰らず、直ぐ
田甫
(
たんぼ
)
へ出た。止めようと思うても涙が止まらない。
口惜
(
くやし
)
いやら情けないやら、前後夢中で川の岸まで走って、
川原
(
かわら
)
の草の中に
打倒
(
ぶったお
)
れてしまった。
画の悲み
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
此年は又丁度古河合名会社で、餓鬼の
田甫
(
たんぼ
)
から棒小屋沢までの路を作る最中であった。この一行には黒部の紹介に力を入れていた『高岡新報』の記者が同伴して居たらしい。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
自分の部屋の近所ではヒッソリと静かで、時々下の方で重い
草履
(
ぞうり
)
の音が、パタリパタリと
寝
(
ね
)
むそうに
聞
(
きこ
)
え、
窓越
(
まどごし
)
の裏の
田甫
(
たんぼ
)
からは
蛙
(
かわず
)
の鳴く声が聞えてくるばかりなので、つい、うとうととすると
一つ枕
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
衣川といふ昔は一萬石の城下で、北國街道の宿であつた村を越して村はづれを流れてゐる衣川といふ小川の土手を上つて橋を向ふに渡ると、堅田の人家は右手の湖の方に突出でた
田甫
(
たんぼ
)
の彼方に見えた。
湖光島影:琵琶湖めぐり
(旧字旧仮名)
/
近松秋江
(著)
田甫
(
たんぼ
)
がなくて
無念女工
(新字新仮名)
/
榎南謙一
(著)
皺
(
しか
)
めて歩く此時の
体相
(
ていさう
)
諸君
(
みなさん
)
にお目にかけずに仕合せサ惡い時にはいけない事が續くもので福嶋から二里ばかりの道は木曾とは思はれぬ只の
田甫
(
たんぼ
)
の
泥濘
(
ぬかるみ
)
にて下駄の齒は泥に吸ひつかれて運ぶに重く傘の先は深くはまりて拔くに力が
入
(
い
)
る程ゆゑ痛みはいよ/\強く人々に
後
(
おく
)
れて泣たい苦しみ梅花道人さすがに見捨がたくや立戻りて勢ひを
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
山「まア思い掛けない事で、お前さんは三年
前
(
あと
)
に池上の
田甫
(
たんぼ
)
へ出口の石橋の処の茶見世に出ておいでのお蘭さんとか云う娘さんだねえ」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
田甫
(
たんぼ
)
に向いている吉里の室の窓の下に、
鉄漿溝
(
おはぐろどぶ
)
を隔てて善吉が立ッているのを見かけた者もあッた。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
こんな騒ぎを景物にして浅草の酉の町は年々歳々たいした人出、公園裏から
田甫
(
たんぼ
)
を越して吉原の灯りが見えた時代で、今日とは人種が違うようなのん気さがしのばれる。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
昔わたしの生まれた村の
田甫
(
たんぼ
)
に古狐がゐました。若い女に化けて旅人をだました話があります。
青い眼の人形
(新字新仮名)
/
野口雨情
(著)
町はずれから
田甫
(
たんぼ
)
へでて、例の
土堤
(
どて
)
の上の道へでたところで、母親は足をとめた。
白い道
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「何だかこの頃は始終
鬱屈
(
ふさい
)
でばかり御座るが、見ていても可哀そうでなんねえ、ほんとに嬢さんは可哀そうだ……」と涙にもろい倉蔵は
傍
(
わき
)
を向いて
田甫
(
たんぼ
)
の方を
眺
(
なが
)
め
最早
(
もう
)
眼をしばだたいている。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
と勧められるから新吉は、幸い名主に逢おうと
行
(
ゆ
)
きましたが、少し
田甫
(
たんぼ
)
を離れて庭があって、
囲
(
かこい
)
は生垣になって、
一寸
(
ちょいと
)
した門の形が有る中に花壇などがある。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あるとし、わたしの生れた村の
田甫
(
たんぼ
)
の狐が隣村の青野の森へお嫁にいつた話があります。
青い眼の人形
(新字新仮名)
/
野口雨情
(著)
頃は夏の
最中
(
もなか
)
、月影
鮮
(
さ
)
やかなる夜であつた。僕は徳二郎の
後
(
あと
)
について
田甫
(
たんぼ
)
に出で、稻の香高き
畔路
(
あぜみち
)
を走つて川の
堤
(
つゝみ
)
に出た。堤は一段高く、此處に上れば廣々とした
野面
(
のづら
)
一面を見渡されるのである。
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「ええ、でも
田甫
(
たんぼ
)
道あるいていると、作歌ができまして——」
白い道
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
昔、或所の
田甫
(
たんぼ
)
に古狐がゐました。若い女に化けて旅人をだまさうとした
噺
(
はなし
)
があります。
十五夜お月さん
(旧字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
じゃア
先生
(
しぇんしぇい
)
こうしましょう、
此処
(
こゝ
)
の
家
(
うち
)
でごたすたいった処が此の家へ迷惑かけて、
外
(
ほか
)
に客があるから怪我でもさしてはなりません、
戸外
(
おもて
)
に出て広々とした天神前の
田甫
(
たんぼ
)
中でやりましょう
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
自分
(
じぶん
)
は
學校
(
がくかう
)
の
門
(
もん
)
を
走
(
はし
)
り
出
(
で
)
た。そして
家
(
うち
)
には
歸
(
かへ
)
らず、
直
(
す
)
ぐ
田甫
(
たんぼ
)
へ
出
(
で
)
た。
止
(
と
)
めやうと
思
(
おも
)
ふても
涙
(
なみだ
)
が
止
(
と
)
まらない。
口惜
(
くやし
)
いやら
情
(
なさ
)
けないやら、
前後夢中
(
ぜんごむちゆう
)
で
川
(
かは
)
の
岸
(
きし
)
まで
走
(
はし
)
つて、
川原
(
かはら
)
の
草
(
くさ
)
の
中
(
うち
)
に
打倒
(
ぶつたふ
)
れてしまつた。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
それからだんだん歳がたつて、沼は
田甫
(
たんぼ
)
になるし、家の数は増えて来るし、まるつ切りこの村が変つて了つた、今からおよそ百年も前ぢやが、あの川縁へ、
跛
(
びつこ
)
の一ツ目小僧が出たのぢや。
黄金の甕
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
武「さア
何
(
ど
)
うだ、拙者を賊に落して申訳があるか、もう許さんぞ、
併
(
しか
)
し
此所
(
こゝ
)
は
旅人宿
(
はたごや
)
で、当家には相客もあって迷惑になろうから、此の近辺の
田甫
(
たんぼ
)
に参って成敗致そう、淋しい処まで
行
(
ゆ
)
け」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と
貸提灯
(
かしぢょうちん
)
を提げて雪駄穿きで、チャラリ/\と
又兵衛橋
(
またべえばし
)
を渡って
押上橋
(
おしあげばし
)
の処へ来ると、
入樋
(
いりひ
)
の処へ一杯水が這入って居ります。向うの所は
請地
(
うけじ
)
の
田甫
(
たんぼ
)
でチラリ/\と農家の
燈火
(
あかり
)
が見えます、真の
闇夜
(
やみ
)
。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
雁
(
がん
)
が来た、雁が来た、
田甫
(
たんぼ
)
の上に雁が来た
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
田甫
(
たんぼ
)
の処
畦道
(
あぜみち
)
に立って伸上って見ている。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
田甫
(
たんぼ
)
で田螺は たんころりん
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
田甫
(
たんぼ
)
畦道
(
あぜみち
)
の嫌いなく逃延びる。
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
田甫
(
たんぼ
)
で提灯 とぼしてる
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
裏の
田甫
(
たんぼ
)
の中に立つて
都会と田園
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
田甫
(
たんぼ
)
そこらここら
沙上の夢
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
田甫
(
たんぼ
)
見てたりや
野口雨情民謡叢書 第一篇
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
田甫
(
たんぼ
)
の 田の中
朝おき雀
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
田甫
(
たんぼ
)
は 泥田で
朝おき雀
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
田甫
(
たんぼ
)
の 小鳥は
朝おき雀
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
田甫
(
たんぼ
)
の 田甫の
十五夜お月さん
(旧字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
田甫
(
たんぼ
)
の鳥追ひ
蛍の灯台
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
今朝
(
けさ
)
も
田甫
(
たんぼ
)
の
野口雨情民謡叢書 第一篇
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
田甫
(
たんぼ
)
で田螺は
蛍の灯台
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
田甫
(
たんぼ
)
の中の
十五夜お月さん
(旧字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
裏の
田甫
(
たんぼ
)
で
別後
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
田
常用漢字
小1
部首:⽥
5画
甫
漢検準1級
部首:⽤
7画
“田甫”で始まる語句
田甫道
田甫路
田甫烏