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猛然
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まうぜん
古木の
樣な
醜き
腕を
延して、
鐵車の
檻を
引握み、
力任せに
車を
引倒さんとするのである。
猛犬稻妻は
猛然として
其手に
噛み
付いた。
忽ち
私の
傍を
近々と
横ぎつて、
左右に
雪の
白泡を、ざつと
蹴立てて、
恰も
水雷艇の
荒浪を
切るが
如く
猛然として
進みます。
いや、その
内どちらにしろ、
生き
殘つた
男につれ
添ひたい、——さうも
喘ぎ
喘ぎ
云ふのです。わたしはその
時猛然と、
男を
殺したい
氣になりました。(
陰鬱なる
興奮)
女中も
一荷背負つてくれようとする
處を、
其處が
急所だと
消口を
取つた
處から、
再び
猛然として
煤のやうな
煙が
黒焦げに
舞上つた。
渦も
大い。
幅も
廣い。
車外の
猛獸は、
見る/\
内に
氣色が
變つて
來た。
隙を
覗つたる
水兵は、サツと
出口の
扉を
排くと、
途端、
稻妻は、
猛然身を
跳らして、
彼方の
岸へ
跳上る。
お
秋が
納戸に
居た
姿を、
猛然と
思出すと、
矢張り
鳴留まぬ
猫の
其の
聲が、
豫ての
馴染でよく
知つた。お
秋が
撫擦つて、
可愛がつた、
黒、と
云ふ
猫の
聲に
寸分違はぬ。
此大騷動の
後は、
猛獸も
我等の
手並を
恐れてか、
容易に
近づかない、それでも
此處を
立去るではなく、
四五間を
距てゝ
遠卷に
鐵檻の
車を
取圍きつゝ、
猛然と
吼えて
居る。
晝間あのお
春が
納戸に
絲を
繰つて
居る
姿を
猛然と
思出すと、
矢張り
啼留まぬ
猫の
其の
聲が、
豫ての
馴染でよく
知つた、お
春が
撫擦つて
可愛がつた
黒と
云ふ
猫の
聲に
寸分違はぬ。
後生樂な。
嫁御もあらば
喜ばう……
近所も
可し、と
雪にも
月にも
姿らしい
其の
門の
橋を
渡懸けたが、
忽ち
猛然として
思へらく、
敷金の
用意もなく、
大晦日近くだし、がつたり
三兩と、
乃ち
去る。
山の
手の
局閑にして、
赤城の
下で
鷄が
鳴くのをぽかんと
聞いて、うつとりとしてゐると、なゝめ
下りの
坂の
下、あまざけやの
町の
角へ、
何と、
先生の
姿が
猛然としてあらはれたらうではないか。