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ふりがな文庫
“
河童
(
かっぱ
)” の例文
それは可愛らしい、お
河童
(
かっぱ
)
さんの人形であった。
丸裸体
(
まるはだか
)
のまま……どこをみつめているかわからないまま……ニッコリと笑っていた。
微笑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
おおかた、
河童
(
かっぱ
)
の野郎か雷さまの落とし子でもが、そんないたずらするにちげえねえんだ。さあ来い。野郎ッ。どうするか覚えてろッ
右門捕物帖:23 幽霊水
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
支那でも
河童
(
かっぱ
)
というものを全然否認してはいないで、水虎などという名称を与えているのであるが、河童の怪談などは殆ど聞えない。
妖怪漫談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と、きちんと両手をついたかと思えば、すぐに
引毮
(
ひきむし
)
りそうな手を、そのまま宙に振って、また飛上って、
河童
(
かっぱ
)
に
被
(
かぶ
)
った杯をたたいた。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼が
怒
(
いか
)
る時は
鰐
(
わに
)
のごとく、
酔
(
よ
)
った時は
河童
(
かっぱ
)
のごとく、しかして
睡
(
ねむ
)
った時は
仏顔
(
ほとけがお
)
であったかも知れぬ。また
半耳君
(
はんじくん
)
にしても然りである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
▼ もっと見る
おおかた上のプールでは、水泳選手の
河童
(
かっぱ
)
連が、
水沫
(
みずしぶき
)
をたてて、浮いたり
沈
(
しず
)
んだり、ウォタアポロの、球を
奪
(
うば
)
いあっているのでしょう。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
僕はいまだに泣き声を絶たない
雌
(
めす
)
の
河童
(
かっぱ
)
に同情しましたから、そっと肩を
抱
(
かか
)
えるようにし、
部屋
(
へや
)
の
隅
(
すみ
)
の
長椅子
(
ながいす
)
へつれていきました。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
即ち
河童
(
かっぱ
)
の害を防ぐまじないに、ひとりで実を飛ばすような有力な花を利用したらしいのである。この方言は不思議に分布が弘い。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
揚子江
(
ようすこう
)
の水で
産
(
う
)
ぶ
湯
(
ゆ
)
をつかい、
大江
(
たいこう
)
の
河童
(
かっぱ
)
といわれたくらいな者で、水の中に
浸
(
つか
)
ったままでも二タ晩や三晩は平気な男なのである。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの松の下を通ると何となく、死にたくなる、といって人々は恐れていた。紀の国坂下の濠には
河童
(
かっぱ
)
がいるというのであった。
四谷、赤坂
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
対壱
(
たいいつ
)
両州および五島の迷信を述べたる以上は、九州内地の迷信を説かなければならぬ。まず、九州特殊の迷信としては
河童
(
かっぱ
)
であろうと思う。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
同じ派の今朝が「
河童
(
かっぱ
)
」、これまた陸へ上ったカッパに瓜二つ、少々凄いのが三遊亭遊輔の「強盗」、物騒きわまる綽名には本人も苦笑い。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
玩具屋の
側
(
かわ
)
を次第に下って行くと坂の下には絵双紙屋があった。この店には千代紙を買いに行く、私の姉のお
河童
(
かっぱ
)
さんの姿もしばしば見えた。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
たえず小声で唄っている歌詞の無い歌は——ドビュッシーの
小夜曲
(
セレナーデ
)
のシレーヌの歌のように——どんなに若い
河童
(
かっぱ
)
達を悩殺したことでしょう。
奇談クラブ〔戦後版〕:11 運命の釦
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
なあに、今までだってこれが嫌いというわけじゃなかったんですが、
河童
(
かっぱ
)
のお角さんてのがあったでしょう、同じ名前ですから、気がさしてね。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
幼い日の夢は
奔放
(
ほんぽう
)
であり荒唐でもあるが、そういう夢も余り早く消し止めることは考えものである。海坊主も
河童
(
かっぱ
)
も知らない子供は可哀想である。
簪を挿した蛇
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
髪をお
河童
(
かっぱ
)
に、赤い
直帯
(
ひたたれ
)
を着た禿童と呼ばれる面々は、街々の角々で、
一寸
(
ちょっと
)
した
噂
(
うわさ
)
ばなしにさえ、聞耳をたてていた。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
「こりゃ怪物、そこうごくな。そちに、あいたずねるが、貴公は人間の
性
(
しょう
)
をもったる者か、それとも、
河童
(
かっぱ
)
のたぐいであるか。正直に、返答をせよ」
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
頭の
真中
(
まんなか
)
が
河童
(
かっぱ
)
の
臀
(
しり
)
のように
禿
(
は
)
げて居ります、若い
中
(
うち
)
ちと泥水を飲んだと見えて、大伴蟠龍軒の
襟
(
えり
)
に附きまして友之助の前へ憎々しく出て来まして
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
真黒
(
まっくろ
)
く
日
(
ひ
)
に
焦
(
や
)
けた
躯
(
からだ
)
を
躍
(
おど
)
り
狂
(
くる
)
わせて
水
(
みず
)
くぐりをしているところはまるで
河童
(
かっぱ
)
のよう、よくあんなにもふざけられたものだと
感心
(
かんしん
)
される
位
(
くらい
)
でございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
サタンと天使が同族であるというような事は、危険思想である。私には、サタンがそんな可愛らしい
河童
(
かっぱ
)
みたいなものだとは、どうしても考えられない。
誰
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
河童
(
かっぱ
)
、天狗等のポピュラーなものから、前述、あかなめ、こだま、かあにょろ、
朱
(
しゅ
)
の盤、等の特殊な妖怪に至るまで皆、五体をそなえた現実的な姿をしている。
ばけものばなし
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
河童
(
かっぱ
)
頭にじんじんはしょり、五つ六つの男の子が、てんてこてん、てんてこてん座敷の縁ではねている。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
繁三は
河童
(
かっぱ
)
のような目をぎろぎろさせながら、戸棚へ
掻
(
か
)
い上って、砂糖壺のなかへ手を突っ込んでいた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
もっとも「
河童
(
かっぱ
)
」と称するものは、その実いろいろ雑多な現象の総合とされたものであるらしいから
化け物の進化
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
今
一向
(
いっこう
)
見かけない珍らしいのでは
河童
(
かっぱ
)
、
蝙蝠
(
こうもり
)
などの面があったが、近頃は面の趣味は
廃
(
すた
)
ったようだ。
諸国の玩具:――浅草奥山の草分――
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
その自動車は
何
(
いず
)
れも理不尽に駆ける。路行く人を
屁
(
へ
)
の
河童
(
かっぱ
)
と駆ける。だから丸ビルをそこに見ておって、その門口に突進するまでが大変である。命から/″\である。
丸の内
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
急に、まるで
河童
(
かっぱ
)
の子のように眼のところまで両手を上げて、しくしく声をたてて泣き始めたのだ。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
また柳田君の『山島民譚集』に
蒐
(
あつ
)
めた、
河童
(
かっぱ
)
が接骨方を伝えた諸説の原話らしい、『幽明録』の
河伯女
(
かはくのむすめ
)
が夫とせし人に薬方三巻を授けた話などを取り
雑
(
ま
)
ぜた作と見ゆ。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
私は大喜びで、お
河童
(
かっぱ
)
の頭を振り振り附いて行きます。
賄
(
まかない
)
の菜の外に、何か兄の口に合う物をというのですが、つい
海苔
(
のり
)
、
佃煮
(
つくだに
)
、玉子などということになるのでした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
河童
(
がたろ
)
横町は
昔
(
むかし
)
河童
(
かっぱ
)
が
棲
(
す
)
んでいたといわれ、
忌
(
きら
)
われて
二束三文
(
にそくさんもん
)
だったそこの土地を材木屋の先代が買い取って、借家を建て、今はきびしく高い家賃も取るから金が出来て
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
船中の人々は今を興
闌
(
たけなわ
)
の時なりければ、
河童
(
かっぱ
)
を殺せ、なぐり殺せと
犇
(
ひし
)
めき合い、荒立ちしが、
長者
(
ちょうじゃ
)
の
言
(
げん
)
に従いて、皆々
穏
(
おだ
)
やかに解散し、
大事
(
だいじ
)
に至らざりしこそ幸いなれ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
進められるままに私は隆太郎と
階下
(
した
)
の白い浴室にはいる。何かの
蔓
(
つる
)
が
葡
(
は
)
った窓から、覗くと
蘆荻
(
ろてき
)
が見え、
河面
(
かめん
)
が見える。白い浴槽の内では、そこで私が
河童
(
かっぱ
)
の真似をする。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
……室の隅の方で、小さなお
河童
(
かっぱ
)
さんの子が遊んでいました。眼の大きな可愛いい子でした。
子を奪う
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「窪田君のような隅田川の
河童
(
かっぱ
)
がいるんですから、万事この人に任かせておくといいです」
競漕
(新字新仮名)
/
久米正雄
(著)
こう列記してくると、かの三輪式口碑その他の蛇族や
河童
(
かっぱ
)
やサル、オオカミに見こまれてさらわれてゆきまたは嫁いでゆく態の事がらとは自然とその根本において異なっている。
東奥異聞
(新字新仮名)
/
佐々木喜善
(著)
遺念
(
かたみ
)
になった、昨年は
河童
(
かっぱ
)
橋から徳本峠まで、
落葉松
(
からまつ
)
の密林が伐り靡けられた、本年は何でも、田代池の
栂
(
つが
)
を
掃
(
はら
)
ってしまうのだそうであるが、あるいはもう影も形もなくなって
上高地風景保護論
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
髪の毛は
河童
(
かっぱ
)
のように垂れさがり、傲慢に腕を組み、からかうような笑いを浮べて、すまして顔をのぞいている。視線が合ったが、平然として、ただ、しげしげと顔をみている。
紫大納言
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「先生。おら
河童
(
かっぱ
)
捕りしたもや。河童捕り。」藤原健太郎だ。黒の制服を着て
雑嚢
(
ざつなう
)
をさげ、ひどくはしゃいで笑ってゐる。どうしていまごろあんな崖の上などに顔を出したのだ。
台川
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
油絵師などなかなか結構な名称ではあるが近代のお
河童
(
かっぱ
)
連には少し似合わない気がする。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
黒眼鏡をかけた毛だらけの
裸男
(
はだかおとこ
)
が、
硝子鉢
(
がらすばち
)
を冠って、直立不動の姿勢をとったところは、新式の
河童
(
かっぱ
)
だ。不図思いついて、彼は頭上の硝子盂を上向けにし、両手で
支
(
ささ
)
えて立った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
五、
河童
(
かっぱ
)
の川知らず、
山案内
(
ギイド
)
の身知らず。ブルタアニュの漁師の着る
寛衣
(
ブルウジ
)
にゴム靴という、はなはだ簡便な
装
(
いでたち
)
をした
吃
(
どもり
)
のガイヤアルの
角灯
(
ランテルヌ
)
を先登にして「
尖り石
(
ピエール・ポアンチユ
)
」のホテルを出発。
ノンシャラン道中記:07 アルプスの潜水夫 ――モンブラン登山の巻
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その
愛嬌
(
あいきょう
)
やくだらないお座敷道具——お
河童
(
かっぱ
)
さん、ちっちゃなパパ、
鳩
(
はと
)
ぽっぽ——や、社交界の婦人らがよくやる思わせぶりなどをもってしても、前者ほどの価値はもたなかった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
だが、土地の子供は
河童
(
かっぱ
)
だ、危険な箇所を心得ていて、恐れもしないで、泳ぎをやる。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
われわれ
河童
(
かっぱ
)
にたいして、あなたほど深い愛情と理解とを示してくれるひとはほかにありませんし、わたしのいまの奇妙ななやみも、あなたなら解決してくださるように思うのです。
人魚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「ところが今は冬ではない」「ううん、それじゃ夏女か」「そんな化物聞いたこともない」「
河童
(
かっぱ
)
の化けたんじゃあるまいかな」「
永明寺山
(
えいめいじやま
)
の狸かも知れぬ」「
唐沢山
(
からさわやま
)
の狐であろう」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼にとっていっさいが
屁
(
へ
)
の
河童
(
かっぱ
)
だということを示すために、にんじんは、
外
(
そと
)
へ出ると口笛を吹く。が、
後
(
あと
)
をつけて来たルピック夫人の姿が、ちらりと見える。口笛は、ぱったり
止
(
と
)
まる。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
自分だけのことを云えば、その時の私には落第などは
屁
(
へ
)
の
河童
(
かっぱ
)
だった。ただ母のことが省みられた。そのことから受ける母の打撃を思うと流石に私も臆さないわけにはいかなかったのだ。
前途なお
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
いまどき
河童
(
かっぱ
)
がいるなどと
云
(
い
)
っても、おそらく本当と思う者はないだろう。
水中の怪人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
芥川龍之介は人間が
河童
(
かっぱ
)
の世界へ行く小説を書いたが、河鹿の世界というものは案外手近にあるものだ。私は一度私の眼の下にいた一匹の河鹿から
忽然
(
こつぜん
)
としてそんな世界へはいってしまった。
交尾
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
“河童”の解説
河童、猳𤡓(かっぱ)は、日本の水の妖怪。水神、またはその依り代、またはその仮の姿ともいう。鬼、天狗と並んで日本の妖怪の中で最も有名なものの一つとされる。関連する有形の遺物としては、各地に河童神社、河童塚(鯨塚、道具塚と同じ)がある。
類縁にセコなどがいる。
(出典:Wikipedia)
河
常用漢字
小5
部首:⽔
8画
童
常用漢字
小3
部首:⽴
12画
“河童”で始まる語句
河童頭
河童橋
河童坂
河童路地
河童党
河童共
河童捕
河童権
河童連
河童髪