氣樂きらく)” の例文
新字:気楽
けられぬなれば恩愛おんあいおもきにかれて、くるまにはりけれど、かゝるとき氣樂きらく良人おつと心根こゝろねにくゝ、今日けふあたり沖釣おきづりでもものをと
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
氣樂きらくかんがへで、參禪さんぜんしてゐるひともあるとおもふと、宗助そうすけ多少たせうくつろいだ。けれども三にんわかれ/\に自分じぶんへやはひとき宜道ぎだう
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
彼は女性が、男性にむかつてかうした調子で話をしようとは思つてもゐなかつたのである。私にとつては、この種の話は氣樂きらくだつた。
有仰おつしやれば、女だツて仍且やつぱりうでございませうよ。出來る事ならひとりでゐた方が幾ら氣樂きらくだか知れやしません。」とひやゝかにいふ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
成程なるほどさうへば何處どこ固拗かたくなのところもあるが、ぼくおもふには最初さいしよ頑固ぐわんこつたのながらのちにはかへつて孤獨こどくのわびずまひが氣樂きらくになつてたのではあるまいか。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
さらまた時間じかんゆうし、浪人生活ろうにんせいくわつ氣樂きらくさは、何時いつでもかまはず發掘はつくつ從事じうじするとが出來できるのである。
もよほまことに驚き入たる御志操おこゝろざしなれども夫よりは貴孃あなた御縹緻ごきりやうなれば御縁の口は何程も有るべし我等かねたのみおきたればまづまち給へと云ふにいな縁付も氣兼きがねが否なれば氣樂きらくに遊女奉公を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おきみと周三はいくらか氣樂きらくな氣持ちになつた。
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
「だけど、あなたは、ほんとにお氣樂きらくね」
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
氣樂きらくでは不可いけません。道樂だうらく出來できるものなら、二十ねんも三十ねん雲水うんすゐをしてくるしむものはありません」と宜道ぎだうつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それだから幾度いくど幾度いくどかんがへてはれはもう一生いつしやうれにもこと出來できないくらゐならいまのうちんで仕舞しまつたはう氣樂きらくだとかんがへるがね、それでもよくがあるから可笑をかしい
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なし妻お八重とのなかに二人の子をまうけ長男を松吉とび既に嫁をも娶り妹をお粂と名付なづけ是も淺草田原町なる花房屋彌吉方へ縁付えんづけ樣子やうすも好とて夫婦倶々とも/″\安心なし最早悴松吉に世を讓り氣樂きらく隱居いんきよ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此間このあひだはら御母おつかさんがて、まあ貴方あなたほど氣樂きらくかたはない、何時いつても萬年青おもとばかり丹念たんねんあらつてゐるつてね。眞逆まさかうでもいんですけれども
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
古風こふうるがそでふりふもさ、こんな商賣しやうばいいやだとおもふなら遠慮ゑんりよなく打明うちあけばなしをるがい、ぼくまたまへのやうなではいつそ氣樂きらくだとかいふかんがへでいてわたことかとおもつたに
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ろうしよくのぞむは人情にんじやうつねなるかも、ひやくいたればせんをとねがせんにいたればまたまんをと諸願しよぐわんやすときなければこゝろつねやすからず、つら/\おもへば無一物むいちぶつほど氣樂きらくなるはあらざるべし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)