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気焔
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きえん
ふりがな文庫
“
気焔
(
きえん
)” の例文
旧字:
氣焔
そこでいよいよ現代文芸の理想に移って、少々
気焔
(
きえん
)
を述べたいと思います。現代文芸の理想は何でありましょう。美? 美ではない。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
其
(
それ
)
が
少
(
すこ
)
し
過
(
す
)
ぎて、ポカ/\する
風
(
かぜ
)
が、
髯面
(
ひげつら
)
を
吹
(
ふ
)
く
頃
(
ころ
)
となると、もう
気
(
き
)
が
重
(
おも
)
く、
頭
(
あたま
)
がボーツとして、
直
(
ひた
)
と
気焔
(
きえん
)
が
挙
(
あが
)
らなくなつて
了
(
しま
)
ふ。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
修造にしろ、「頭の中の兵士」という茂緒にとってわけの分らぬ詩があった。若い詩人たちは、よるとさわると
気焔
(
きえん
)
をあげていた。
風
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
何らの
気焔
(
きえん
)
ぞ。彼はこの歌に題して「戯れに」といいしといえども「戯れ」の戯れに
非
(
あらざ
)
るはこれを読む者誰かこれを知らざらん。
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
それから、
籐椅子
(
とういす
)
に尻を据えて、勝手な
気焔
(
きえん
)
をあげていると、奥さんが
三
(
み
)
つ
指
(
ゆび
)
で挨拶に出て来られたのには、少からず恐縮した。
田端日記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
先日、私が久しぶりで阿佐ヶ谷の黄村先生のお宅へお伺いしたら、先生は四人の文科大学生を相手に、
気焔
(
きえん
)
を
揚
(
あ
)
げておられた。
花吹雪
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
へんな
気焔
(
きえん
)
を上げるようだが、この俺も、お前のためには、どんな時、どんな場合でも、命をかけて、
後見
(
うしろみ
)
をするつもりだよ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
おもて
華
(
はな
)
やかに、うらの貧しいこんな文明人はついそこいらの牛店にもすわり込んで、肉鍋と
冷酒
(
ひやざけ
)
とを前に、
気焔
(
きえん
)
をあげているという時だ。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
変ったところで
気焔
(
きえん
)
をあげる。庄吉もまだ限度のわかる酔態で、都落ちの悲惨まだ胸につかえて残っているから、案外おとなしく立ちあがる。
オモチャ箱
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
ゴルフ場や飛行機の着陸場はすぐここに出来るようになろうという熊八氏の
気焔
(
きえん
)
を聞いた。ここには熊八氏の五万坪ほどの別荘の敷地がある。
別府温泉
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
上方へゆく目的は、熊沢
蕃山
(
ばんざん
)
の門を
敲
(
たた
)
くためだという。蕃山といっても経学をきくためではない、笛をまなびたいのだ、などと
気焔
(
きえん
)
をあげた。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
社長は、「ある——大いにある」と怒鳴ったが、誰も酔いの上の
気焔
(
きえん
)
と思って相手にしない。社長は口を
噤
(
つぐ
)
んで仕舞った。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それにしても、来朝早々こんな会のメムバーになって、夜おそくまで皆が勝手な
気焔
(
きえん
)
をあげる仲間になっていたのであるから、かなり変っている。
日本のこころ
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
ひとつには当時の上流と目される大名の奥方や、姫君などは、
籠
(
かご
)
の
鳥
(
とり
)
同様に
檻禁
(
かんきん
)
してしまったので、勢い
下々
(
しもじも
)
の女の
気焔
(
きえん
)
が高くなったわけである。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
何か別な極めて
呑気
(
のんき
)
な私の性格位にしか映っていないし、時々ビーヤホールなどで大
気焔
(
きえん
)
を挙げられる彼には、私の気持に立ち入り得る筈がなく
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
と朱唇
大
(
おおい
)
に
気焔
(
きえん
)
を吐けば、秘密のすでに
露
(
あらわ
)
れたるに心着きて、一身の信用地に委せむことを恐るれども、守銭
奴
(
ど
)
は意を決するあたわず。辞窮して
金時計
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
至極結構なれども、実はその
気焔
(
きえん
)
の一半は、昨夜
宅
(
うち
)
にてさんざんに
高利貸
(
アイスクリーム
)
を
喫
(
く
)
いたまいし
鬱憤
(
うっぷん
)
と聞いて知れば、ありがた味も半ば減ずるわけなり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
佐分利
(
さぶり
)
と甘糟は
夙
(
かね
)
て横浜を主張してゐるのだ。何でもこの間
遊仙窟
(
ゆうせんくつ
)
を見出して来たのだ。それで我々を引張つて行つて、大いに
気焔
(
きえん
)
を吐く
意
(
つもり
)
なのさ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「その時が日本の
驥足
(
きそく
)
を伸ぶべき時、自分が一世一代の飛躍を試むべき時だ」と
畑水練
(
はたけすいれん
)
の
気焔
(
きえん
)
を良く挙げたもんだ。
二葉亭追録
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
悲憤
慷慨
(
こうがい
)
の
気焔
(
きえん
)
を吐く者が多いから、
云
(
い
)
わずと知れた加藤等もその
連中
(
れんじゅう
)
で、慶喜さんにお逢いを願う者に違いない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そして、そういう酒もりが開かれるたびに、若者たちが聞かされるのは、老人たちの酒の機嫌での
気焔
(
きえん
)
であった。
霧の蕃社
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
かれはもう五十をすぎたが
女房
(
にょうぼう
)
も子もない、ほんのひとりぽっちで毎日生徒を相手に
気焔
(
きえん
)
をはいてくらしている
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
タヌの
気焔
(
きえん
)
に頓着なく、七八人の手で二人の自動車を、ぬかるみの細い田舎道へ、「
一昨日
(
おととい
)
来い」とばかりに押し出した。タヌは烈火のごとく猛り立って
ノンシャラン道中記:02 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
赤瀬の家で相当飲んで居ったので、二人とも、赤い顔をして、声も大きく、大いにやろう、はあ、大いに、大いに、と盛んにとりとめもない
気焔
(
きえん
)
をあげた。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
それが
忽
(
たちま
)
ち茶袋にとっつかまったのはあたりまえです。取捉まって引き出されるまで道庵は
気焔
(
きえん
)
を揚げていましたけれど、茶袋は取り上げる限りではない。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
気焔
(
きえん
)
を挙げていたものであるが、期熟して、その秋、第一回展を京橋角にあった読売新聞の楼上に開催した。
ヒウザン会とパンの会
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
日本兵のなすに足らざるを言って、
虹
(
にじ
)
のごとき
気焔
(
きえん
)
を吐いた。その室に、今、垂死の兵士の
叫喚
(
うめき
)
が響き渡る。
一兵卒
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
とにかく自分の現在の生活が都合よくはこびうるならば、ブルジョアのために、
気焔
(
きえん
)
も吐こうし、プロレタリアのために、
提灯
(
ちょうちん
)
も持とうという種類の人である。
広津氏に答う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「門外漢には分らないけれど、吉川君は
気焔
(
きえん
)
当り難いものがある。もう間違ないようなことを言っている」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
諾威
(
ノウルエー
)
船の機関長として横町の闇黒で売春婦と交歩してるのや、なかには
波蘭土
(
ポーランド
)
の共産党員を気取って聖ミシェルのLA・TOT0で「赤い
気焔
(
きえん
)
」を上げてみたり
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
ふと一軒の茶店からしきりに江戸江戸と江戸を売りに来ているような声がするので、泰軒、何ごころなくみやると、見たことのある町人がさかんに
気焔
(
きえん
)
をあげている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
たいへんな
気焔
(
きえん
)
である。
費褘
(
ひい
)
は少しも逆らわなかった。で、彼はいよいよ調子に乗って大言した。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
談話
(
はなし
)
をすると言うよりか
寧
(
むし
)
ろその愚痴やら
悪口
(
あっこう
)
やら
気焔
(
きえん
)
やら
自慢噺
(
じまんばなし
)
やらの的になっている。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
気焔
(
きえん
)
を吐いたり、英語交りにまくし立てたり、ハイカラな衣裳や持ち物などを見せびらかしたり、まるで貴族のお嬢様が
貧民窟
(
ひんみんくつ
)
を訪れたように、威張り散らしていやしないか。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私は、次第にそんな大チャンにいらいらとしてきて、だが一方、自分の
気焔
(
きえん
)
に逆にあおりあげられるみたいになり、しまいに収拾がつかなくなり、酔っぱらってそこにノビてしまう。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
そして私が着物を着換えたりするのを待ち合せながら『
昨夜
(
ゆうべ
)
は大変な
気焔
(
きえん
)
だったね』
二癈人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「君、前山が来て近い中にきっと志野を焼いて持って来るって大
気焔
(
きえん
)
だったよ……」
素人製陶本窯を築くべからず:――製陶上についてかつて前山久吉さんを激怒せしめた私のあやまち――
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
彼女はまたノートを開いて、私のその身の程知らずの
気焔
(
きえん
)
を一々書き留めている。
メフィスト
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
独身の将校のためのその寄宿舎は、営門をはいって左手へ降りた
窪地
(
くぼち
)
にあった。ひら家の陰気な建物だが、錦旗革命を夢みている青年将校たちがそこで
虹
(
にじ
)
のような
気焔
(
きえん
)
をあげていたものだ。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
総
(
すべ
)
て革命的の
気焔
(
きえん
)
を
煽
(
あお
)
ぎたる『
柳子新論
(
りゅうししんろん
)
』の著者山県大弐が大
不敬
(
ふけい
)
罪の名義によりて、死罪申附けられ、その徒藤井右門は
獄門
(
ごくもん
)
に
懸
(
か
)
けられ、竹内正庵(式部)が
遠島
(
えんとう
)
申し附けられたるが如き
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
僕はこれを見て、ハハア、この人が今までの
大言壮語
(
たいげんそうご
)
も、その
磊落
(
らいらく
)
の行儀も、思いつかずになした
業
(
わざ
)
でなく、一
時
(
じ
)
の
拵
(
こしら
)
え
気焔
(
きえん
)
で人を
脅
(
おど
)
かすつもりか、あるいは豪傑を
衒
(
てら
)
っての
業
(
わざ
)
であったのだな。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
盛岡
(
もりをか
)
の電燈は
微
(
かす
)
かにゆらいでねむさうにならび
只
(
ただ
)
公園のアーク燈だけ高い
処
(
ところ
)
でそらぞらしい
気焔
(
きえん
)
の波を上げてゐる。どうせ
今頃
(
いまごろ
)
は無鉄砲な羽虫が沢山集ってぶっつかったりよろけたりしてゐるのだ。
秋田街道
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
どこまで
阿呆
(
あほう
)
になっていても辛抱できるだけ辛抱する気で、婆さんが、どんなに偉そうなことをいったり、凄まじい
気焔
(
きえん
)
を吐いても、ただ「へいへい」して、じっと小さくなってそこに坐っていた。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
それが、ぐいぐい
呷
(
あお
)
りながら、虹のような
気焔
(
きえん
)
をあげはじめる。
人外魔境:05 水棲人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
教員は信心ぶかい父のまへにかう云つて
気焔
(
きえん
)
を吐いた。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
管
(
くだ
)
を巻いたり、
気焔
(
きえん
)
を
吐
(
は
)
いたりして居ることがある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
平次も、お舟の
気焔
(
きえん
)
には少したじたじと来ました。
銭形平次捕物控:097 許嫁の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
フーラー博士は、いよいよすごい
気焔
(
きえん
)
を吐く。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
「僕、もう貴女は結婚してしまわれたのではないかと思った。軽井沢で、この一筋と思うような人でなければならんというような
気焔
(
きえん
)
だったが、まだ見つからないんですか。この一筋が見つからんので、ちょっと道草ですか。」
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
と辻永は
虹
(
にじ
)
のような
気焔
(
きえん
)
を
吐
(
は
)
いた。
地獄街道
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“気焔”の意味
《名詞》
気焔(きえん)
意気が盛んなこと。気勢。
(出典:Wiktionary)
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
焔
漢検準1級
部首:⽕
11画
“気焔”で始まる語句
気焔万丈