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楊
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やなぎ
ふりがな文庫
“
楊
(
やなぎ
)” の例文
門は幸いに低いので、堀部君は半分夢中でそれを乗り越えて、表の往来まで追って出ると、娘の影は大きい
楊
(
やなぎ
)
の下にまた浮き出した。
雪女
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
至るところの緑野にポプラや
楊
(
やなぎ
)
の並み木がある。日が暮れかかって、平野の果てに入りかかった夕陽は遠い村の寺塔を空に浮き出させた。
旅日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「エレキの
楊
(
やなぎ
)
の木?」と私が
尋
(
たず
)
ね返そうとしましたとき、慶次郎はあんまり短くて書けなくなった
鉛筆
(
えんぴつ
)
を、一番前の源吉に投げつけました。
鳥をとるやなぎ
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
左は
楊
(
やなぎ
)
と
稚松
(
わかまつ
)
と雑木の緑と
鬱
(
うつ
)
した青とで
野趣
(
やしゅ
)
そのままであるが、遊園地側の白い道路は直立した細い赤松の並木が続いて、一
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
秋山氏は日露戦役当時馬に乗りくたびれると、よく
楊
(
やなぎ
)
の木の下に、粗末な
卓子
(
テーブル
)
をおいて、
麦酒
(
ビール
)
の
盃
(
はい
)
をふくんだものだ。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
つい今しがた
楊
(
やなぎ
)
の谷を下りて行くシェーンのたましいに行きあいました。愉快そうな歌をうたって、若々しい眼つきをしていました。そして男の人が手を
漁師
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
左様
(
さう
)
かと思ふと、ゆるい流れのところへ出て、岸から垂下る
楊
(
やなぎ
)
の枯枝がバラ/\船の屋根へ触つたり、船頭が
漕
(
こ
)
いで行く
艫
(
ろ
)
の音が水に響いて聞えたりした。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
岸には
楊
(
やなぎ
)
がその葉を水面にひたして
漣
(
さざなみ
)
をつくっている。細い板橋が川の
折
(
お
)
れ
曲
(
ま
)
がったところにかかっている。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
楊
(
やなぎ
)
の枝のようなよく
撓
(
しな
)
うあの小さな手。……あの娘にもう逢うことが出来ないのかと考えると、そう思っただけでも、頭の中のどこかが狂い出しそうな気がする。
墓地展望亭
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
または田の神さまの腰掛ともとまり木ともいう
楊
(
やなぎ
)
の木は、もう苗代の
代掻
(
しろか
)
きの日から立ててあって、固い家では三把の苗を、その
田神棒
(
たのかみぼう
)
の根もとから採ることにしている。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
白檜
(
しらべ
)
、
唐櫓
(
とうひ
)
、
黒檜
(
くろべ
)
、
落葉松
(
からまつ
)
などで、稀に
椹
(
さわら
)
や
米栂
(
こめつが
)
を交え、白樺や、
山榛
(
やまはん
)
の木や、わけては
楊
(
やなぎ
)
の淡々しく柔らかい、緑の葉が、裏を銀地に白く、ひらひらと谷風にそよがして
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
楊
(
やなぎ
)
の茂みを潜りぬけ、ケロデンの
渓流
(
ながれ
)
を
徒歩
(
かち
)
渡りし、やがてゲッセマネの廃園へ来た。
銀三十枚
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
説を
為
(
な
)
すものあり、曰く、桐楊の
桐
(
きり
)
は男児に較べ、
楊
(
やなぎ
)
は
令嬢
(
むすめ
)
たちに
擬
(
なぞら
)
えたのであろう。漢皇
重色思傾国
(
いろをおもんじてけいこくをおもう
)
……
楊家女有
(
ようかにじょあり
)
、と
同一
(
おんなじ
)
字だ。道理こそ皆美人であると、それあるいは
然
(
しか
)
らむ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
草の上に腰から上が出て、その立てた
膝
(
ひざ
)
に画板が
寄掛
(
よせか
)
けてある、そして川柳の影が
後
(
うしろ
)
から彼の全身を被い、ただその白い顔の
辺
(
あたり
)
から肩先へかけて
楊
(
やなぎ
)
を
洩
(
も
)
れた薄い光が穏かに落ちている。
画の悲み
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
八月二十二日 山中湖畔
下
(
さが
)
り
山
(
やま
)
、
楊
(
やなぎ
)
の家にて俳句会。吉田、山中の俳人来る。
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
楊
(
やなぎ
)
の一つ
樹枝
(
こえだ
)
の影
映
(
うつ
)
れる。
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
河原の
楊
(
やなぎ
)
の
青い眼の人形
(新字新仮名)
/
野口雨情
(著)
村落には石の
井
(
いど
)
があって、その辺は殊に
楊
(
やなぎ
)
が多い。楊の下には
清
(
しん
)
国人が
籃
(
かご
)
をひらいて
蟹
(
かに
)
を売っている。蟹の大なるは尺を越えたのもある。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
樺
(
かば
)
の木の生えた小山を二つ
越
(
こ
)
えてもまだそれほどに近くもならず、
楊
(
やなぎ
)
の生えた小流れを三つ越えてもなかなかそんなに近くはならなかった。
黄いろのトマト
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
牧場のような所にはただ一面の緑草の中にところどころ群がって黄色い草花が咲いている。小川の岸には
楊
(
やなぎ
)
やポプラーが並んで続いていた。
旅日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
低く、また、ひろびろと相隔たつた両岸の松と
楊
(
やなぎ
)
と竹藪と、さうして走る自転車の輪の光。
白帝城
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
あの水を合せてから、千曲川は一層大河の趣を加えるが、その日は犀川附近の広い稲田も、岸にある低い
楊
(
やなぎ
)
も、白い土質の
崖
(
がけ
)
も、柿の樹の多い村落も、すべて雪に掩われて見えた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
豪農の家の
樫
(
かし
)
の垣の向こうに
楊
(
やなぎ
)
の生えた小川があって、そこに高等二年生で一番できる女生徒の家があることをも知った。その家には草の茂った井戸があって
桔橰
(
はねつるべ
)
がかかっていた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
たゞ
其
(
その
)
白
(
しろ
)
い
顏
(
かほ
)
の
邊
(
あたり
)
から
肩先
(
かたさき
)
へかけて
楊
(
やなぎ
)
を
洩
(
も
)
れた
薄
(
うす
)
い
光
(
ひかり
)
が
穩
(
おだや
)
かに
落
(
お
)
ちて
居
(
ゐ
)
る。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
そうすると先刻の牝鹿がまだそこにいて、すっかり怪我が癒って、鳴きながら仔鹿をよんでいた、仔鹿は軽い足つきで岩の上に立って、あの漁師がいた
楊
(
やなぎ
)
の谷の方を見おろしているところだった。
漁師
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
楊
(
やなぎ
)
や
白膠木
(
ぬるで
)
の木を削っていろいろの飾りをつけた祝い棒がこのために
銘々
(
めいめい
)
に与えられる。それでたんたんと横木をたたいて、心まかせに鳥を追う
詞
(
ことば
)
を
唱
(
とな
)
えるのが、いわゆる鳥小屋の生活であった。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
楊
(
やなぎ
)
の木に体をもたせかけ、暁近い空を見た。
銀三十枚
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
楊
(
やなぎ
)
の木4・26(夕)
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
灰ばめる
楊
(
やなぎ
)
の落葉。
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
ねこねこ
楊
(
やなぎ
)
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
川の向う岸が
俄
(
にわ
)
かに赤くなりました。
楊
(
やなぎ
)
の木や何かもまっ黒にすかし出され見えない天の川の波もときどきちらちら針のように赤く光りました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
二人はだんだんに烈しくなって来る粉雪のなかを衝いて、
俯向
(
うつむ
)
きがちにあえぎながら歩いて行くと、葉のない
楊
(
やなぎ
)
に囲まれた小さい村の入口にたどり着いた。
雪女
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
鬱蒼
(
こんもり
)
とした
楊
(
やなぎ
)
の緑がかれの上に
靡
(
なび
)
いた。
楊樹
(
やなぎ
)
にさし入った夕日の光が細かな葉を一葉一葉明らかに見せている。
不恰好
(
ぶかっこう
)
な低い屋根が地震でもあるかのように動揺しながら過ぎていく。
一兵卒
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
午後の一時過に、私は
田圃脇
(
たんぼわき
)
の道を通って、千曲川の岸へ出た。
蘆
(
あし
)
、
蓬
(
よもぎ
)
、それから短い
楊
(
やなぎ
)
などの多い石の間で、長野から来ている師範校の学生と一緒に
成
(
なっ
)
た。A、A、Wなどいう連中だ。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ひろびろと
相隔
(
あいへだ
)
たった両岸の松と
楊
(
やなぎ
)
と
竹藪
(
たけやぶ
)
と、そうして走る自転車の輪の光。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
大きな悲しそうな眼つきをして、わたしは亡くなったメジイの眼を思い出したよ、あの子が産をしてなくなる時の眼つきを。わたしは羊歯のなかを通りぬけて河に添って『
楊
(
やなぎ
)
の谷』に下りて行った。
漁師
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
河原の
楊
(
やなぎ
)
の
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
いいことはもっと
沢山
(
たくさん
)
するんだよ、そら数えてごらん、僕は松の花でも
楊
(
やなぎ
)
の花でも
草棉
(
くさわた
)
の毛でも運んで行くだろう。
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
そう、そう、私はあの時、この岸の下の方に低い
楊
(
やなぎ
)
の沢山
蹲踞
(
うずくま
)
っているのを
瞰下
(
みおろ
)
して、秋の日にチラチラする雑木の霜葉のかげからそれを眺めた時は、丁度羊の群でも見るような気がした。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一羽とまりまた一羽とまる
頬紅
(
ほあか
)
つばめ
楊
(
やなぎ
)
はいよよ揺れにけるかな
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
するとちょうど、
小流
(
こなが
)
れの
曲
(
ま
)
がりかどに、一本の小さな
楊
(
やなぎ
)
の
枝
(
えだ
)
が出て、水をピチャピチャたたいておりました。
貝の火
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
対岸の蘆、河の真中にある洲、水に近い
楊
(
やなぎ
)
などは白い雪に
埋
(
うづも
)
れて、何となく深い物の奥の知れない方から
水勢
(
みづせ
)
が押し寄せて来て居るやうに見える。高い岸の上の休茶屋には川船を待つ人達が居る。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
寂びつくし
楊
(
やなぎ
)
も
土囲
(
どゐ
)
もあらはなりこの冬の日の道をひろふに
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
楊
(
やなぎ
)
の木や何かもまっ黒にすかし出され、見えない天の川の
波
(
なみ
)
も、ときどきちらちら
針
(
はり
)
のように赤く光りました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
楊
(
やなぎ
)
、
楓
(
かえで
)
、
漆
(
うるし
)
、
樺
(
かば
)
、
楢
(
なら
)
、
蘆
(
あし
)
などの生い茂る
千曲川
(
ちくまがわ
)
一帯の沿岸の風俗、人情、そこで呼吸する山気、眼に映る日光の色まで——すべて、そういうものの記憶を私は自分と一緒に山から運んで行こうとした。
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ただに見る影と日向の
曠
(
ひろ
)
き野につづく
楊
(
やなぎ
)
のすがれ木にして
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「そんならぼくはこの馬でもいいや。」みんなは
楊
(
やなぎ
)
の枝や
萱
(
かや
)
の穂でしゅうと言いながら馬を軽く打ちました。
風の又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
春と言へどいまだ
篠
(
すす
)
吹く風さきに
楊
(
やなぎ
)
は枯れて影あらはなり
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
楊
(
やなぎ
)
に似た木で白金のやうな小さな実になってゐるのもありました。みんなその葉がチラチラ光ってゆすれ互いにぶっつかり合って微妙な音をたてるのでした。
ひかりの素足
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
春と言へどいまだ
篠
(
すす
)
吹く風さきに
楊
(
やなぎ
)
は枯れて影あらはなり
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
楊
漢検準1級
部首:⽊
13画
“楊”を含む語句
白楊
白楊樹
楊柳
水楊
楊桃
楊子
楊弓
川楊
楊梅
楊樹
啣楊枝
楊枝
黄楊
小楊枝
楊貴妃
爪楊枝
房楊枝
妻楊枝
赤楊
楊弓場
...