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有
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あら
ふりがな文庫
“
有
(
あら
)” の例文
アントニウスの眼の前には毎夜のやうに裸の美人が映つて、聖者を誘惑しようとして
有
(
あら
)
ゆる
戯
(
ふざ
)
けた姿をして踊り狂つてゐたといふ事だ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「この店さえ出来あがれば、少し資本を
拵
(
こしら
)
えて、夏の末には己が新趣向の広告をまいて、
有
(
あら
)
ゆる中学の制服を取ろうと思っている」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それから
有
(
あら
)
ゆる苦しみをしてとうとうそれ以上の学校へは入ることが出来なかったが、そのうち独力で或る一つの発明をして
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
奧
(
おく
)
へ通じたれば天忠聞て大膳と
有
(
あら
)
ば
我甥
(
わがをひ
)
なり遠慮に及ばず直に
居間
(
ゐま
)
へ通すべしとの事なれば取次の侍案内に及べば大膳は
吉兵衞
(
きちべゑ
)
左京
(
さきやう
)
の兩人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
吾々の此の日常生活というものに対して
些
(
さ
)
の
疑
(
うたがい
)
をも
挾
(
さしはさ
)
まず、
有
(
あら
)
ゆる感覚、有ゆる思想を働かして自我の充実を求めて行く生活、そして何を見
絶望より生ずる文芸
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
独り立山連峰のみは日本アルプスに於ける万年雪の一大宝庫たる名を
擅
(
ほしいまま
)
にす可き
有
(
あら
)
ゆる条件を
具
(
そな
)
えて、
崢嶸
(
そうこう
)
たる峰巒を飾るに、白雪燦然たる四個の大カールと
黒部峡谷
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
私は
掏賊
(
すり
)
だ、はじめから敵に対しては、機謀権略、反間苦肉、
有
(
あら
)
ゆる
辣手段
(
らつしゅだん
)
を弄して差支えないと信じた。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
町奉行所へ
訴
(
うっ
)
たえ出たる事ありと、或る老人の話しなるが、それか
有
(
あら
)
ぬか
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
、食物を与えざるも
泣
(
なく
)
こと無く、
加之
(
しかのみならず
)
子供が
肥太
(
こえふと
)
りて、無事に成長せしは、珍と云うべし。
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
「
有
(
あら
)
ゆる日本人はなにもかも捨てて、この新しい潮の方向を不動にするための、努力と責任を負わなければならない、為すべき事はその一つだ、そこから凡てが
創
(
はじ
)
まるんだ」
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それでも
喬木
(
けうぼく
)
の
梢
(
こずゑ
)
の
上
(
うへ
)
に
火
(
ひ
)
は
壓迫
(
あつぱく
)
に
苦
(
くるし
)
んで
居
(
ゐ
)
るやうに
稀
(
まれ
)
に
立
(
た
)
ち
騰
(
のぼ
)
つては
又
(
また
)
壓
(
おし
)
つけられた。
徒勞
(
むだ
)
である
喞筒
(
ポンプ
)
へ
群集
(
ぐんしふ
)
は
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
むのに
近所
(
きんじよ
)
の
有
(
あら
)
ゆる
井戸
(
ゐど
)
は
皆
(
みな
)
釣瓶
(
つるべ
)
が
屆
(
とゞ
)
かなくなつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
悲鳴、
叱呼
(
しっこ
)
、絶叫、怒罵と、衝突、
破砕
(
はさい
)
、弾ける響、災の
吼
(
うな
)
る音。
有
(
あら
)
ゆる騒音の
佃煮
(
つくだに
)
。
越後獅子
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
馬爪
(
ばづ
)
のさし
櫛
(
ぐし
)
も
世
(
よ
)
にある
人
(
ひと
)
の
本甲
(
ほんかう
)
ほどには
嬉
(
うれ
)
しがりし
物
(
もの
)
なれども、
見
(
み
)
る
人毎
(
ひとごと
)
に
賞
(
ほ
)
めそやして、これほどの
容貌
(
きりよう
)
を
埋
(
うも
)
れ
木
(
ぎ
)
とは
可
(
あたら
)
惜しいもの、
出
(
で
)
て
居
(
い
)
る
人
(
ひと
)
で
有
(
あら
)
うなら
恐
(
おそ
)
らく
島原
(
しまばら
)
切
(
き
)
つての
美人
(
びじん
)
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『だつて君。』と信吾は委細呑込んだと言つた様な顔をして、『その人にだつて
家庭
(
うち
)
の事情てな事が
有
(
あら
)
アな。一年や二年中学の教師をした所で、画才が
全然
(
すつかり
)
滅びるツて事も無からうさ。』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
四辺
(
あたり
)
にはただ涼気が占めてゐるばかりである。さう思へばあの蜩、今頃は必ず鳴くものにして居た蜩も、今日は鳴いては居ない。蝉の声が絶えると共に、
有
(
あら
)
ゆる声が此所を去つてしまつた。
秋の第一日
(新字旧仮名)
/
窪田空穂
(著)
そして彼等の、存在として孕んでいる、凡そ
有
(
あら
)
ゆるどうにもならない矛盾の全てを、爆発的な乱痴気騒ぎ、爆発的な大立廻りに由って、ソックリそのまま昇天させてしまおうと企らむのだ。
FARCE に就て
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
彼(イエス)はヤコブの家を
窮
(
かぎり
)
なく支配すべく又その国終ること
有
(
あら
)
ざるべし
聖書の読方:来世を背景として読むべし
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
一
匹
(
ぴき
)
の
犬
(
いぬ
)
は
吠
(
ほ
)
えながら
彼
(
かれ
)
を
追
(
お
)
ふ。
後
(
うしろ
)
の
方
(
はう
)
では
農夫
(
のうふ
)
が
叫
(
さけ
)
ぶ。イワン、デミトリチは
兩耳
(
りやうみゝ
)
がガンとして、
世界中
(
せかいぢゆう
)
の
有
(
あら
)
ゆる
壓制
(
あつせい
)
が、
今
(
いま
)
彼
(
かれ
)
の
直
(
す
)
ぐ
背後
(
うしろ
)
に
迫
(
せま
)
つて、
自分
(
じぶん
)
を
追駈
(
おひか
)
けて
來
(
き
)
たかのやうに
思
(
おも
)
はれた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
寔
(
まこと
)
に愛の
潔
(
いさぎよ
)
き
哉
(
かな
)
、この時は宮が胸の中にも例の汚れたる
希望
(
のぞみ
)
は跡を絶ちて彼の美き目は他に見るべきもののあらざらんやうに、その力を貫一の寐顔に
鍾
(
あつ
)
めて、富も貴きも、
乃至
(
ないし
)
有
(
あら
)
ゆる利慾の念は
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
能
(
よく
)
も女の手一ツにて
斯樣
(
かやう
)
に御
育養
(
そだて
)
有れしぞ
併
(
しか
)
し其後は御
亭主
(
ていしゆ
)
も定めてお出來
成
(
なさ
)
れたで
有
(
あら
)
うに今日は
何
(
いづ
)
れへかお出かけにやと言へばお光は
形
(
かたち
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ノーノー、今に科学者がすべてを征服するの時が来ります、宗教の時代は過ぎました、
有
(
あら
)
ゆる宗教は皆迷信を要素とするのに科学の勝利のみが着々と現実の文明を
形成
(
かたちづく
)
る。
山道
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
氏は須磨子を愛し、須磨子を自分の芸術として仕上げ、完成させるためには、
有
(
あら
)
ゆる努力をした。聰明な氏は自分の天分が学者であり、批評家であるに適してゐた事を知らない筈はなかつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
有
(
あら
)
ゆる荷物が生き物のように赤い舌を吐いていた。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
見る事ぞ病氣でさへなき物ならば此邊迄も
見送
(
みおく
)
り
遣
(
やら
)
んに
無念
(
むねん
)
の事を仕てけりと
前後不覺
(
ぜんごふかく
)
に泣沈み
正體
(
しやうたい
)
更
(
さら
)
に
有
(
あら
)
ざれば其有樣を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
“有”の意味
《名詞》
(あり)存在すること。主に表やリストの中で 無 と対比して用いる。
《動詞》
(あ-り)ある。もつ。
(出典:Wiktionary)
“有”の解説
有(う、sa: bhava)とは、仏教用語で衆生としての生存、存在状態を表すことばである。
(出典:Wikipedia)
有
常用漢字
小3
部首:⽉
6画
“有”を含む語句
所有
難有
有合
有難
有無
有名
有之候
仰有
有様
有之
中有
有情
有所
未曾有
有明
希有
有為
有仰
有司
有平糖
...