トップ
>
指図
>
さしず
ふりがな文庫
“
指図
(
さしず
)” の例文
旧字:
指圖
そら綿貫のいうたことかて一から十まで信用
出来
(
でけ
)
しませんし、あの着物取られた晩でもたしかに綿貫が
指図
(
さしず
)
したのんと違うかしらん。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「なんでも、あのあたりだよ。」と、
兄
(
あに
)
の
政二
(
まさじ
)
くんは
指図
(
さしず
)
をしておいて、
自分
(
じぶん
)
は、またお
友
(
とも
)
だちとほかの
球
(
たま
)
で
野球
(
やきゅう
)
をつづけていました。
草を分けて
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「まいりましょう——あなたのお
指図
(
さしず
)
なら、どこへでも」どこ、
華厳
(
けごん
)
の滝までもという歌を——思わず——口もとまで思い浮べた。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
夫人の法事についても順序立てて人へお命じになることは悲しみに疲れておできにならない院に代わって大将がすべて
指図
(
さしず
)
をしていた。
源氏物語:41 御法
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「ところが昌仙さま、あまり思うつぼでもありませんぜ。というなあ、
秀吉
(
ひでよし
)
の
指図
(
さしず
)
で、
瀬田
(
せた
)
まで迎えにでやがった軍勢があるんで」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
私の衣類の
柄
(
がら
)
の見立てなども父がしたようであったし、
肩揚
(
かたあ
)
げや
腰揚
(
こしあ
)
げのことまでも父が自分で
指図
(
さしず
)
して母に
針
(
はり
)
を採らせたようであった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「それでもやはり、あなたのような老練兵が、初めて戦いに臨んだばかりの新兵どもに
指図
(
さしず
)
されるのは、
嫌
(
いや
)
なことだとは思いませんか。」
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
あとのことは、泰軒先生のお
指図
(
さしず
)
を受けて、よしなにするがよい。コレ、チョビ安よ。お美夜坊の母親は、この人でなしだったのじゃよ。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
何ひとつ
指図
(
さしず
)
をせず、また、塾生たちから何かたずねられても、「ご
随意
(
ずいい
)
に」とか、「適当に考えてやってくれたまえ」とか
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
答『
人間界
(
にんげんかい
)
の
儀式
(
ぎしき
)
とは
異
(
ちが
)
うが、
矢張
(
やは
)
り
夫婦
(
めおと
)
になる
時
(
とき
)
には
定
(
き
)
まった
礼儀
(
れいぎ
)
があり、そして
上
(
うえ
)
の
竜神様
(
りゅうじんさま
)
からのお
指図
(
さしず
)
を
受
(
う
)
ける……。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
けれども、ひとの好ききらいは格別のものであるから、私は、はっきり具体的には
指図
(
さしず
)
できなかった。私は予言者ではない。
律子と貞子
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
人夫の監督が何か
指図
(
さしず
)
するとすぐ二人の男が駆けてくれた、そして私は助けられて、宿である処の江戸三の座敷へ運ばれた
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
消防隊員は
総出
(
そうで
)
でもって、穴の中にしきりにセメントの溶かしたものを
注
(
つ
)
ぎいれている。もちろんそれは蟹寺博士の
指図
(
さしず
)
によるものであった。
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
孝「へい手前は谷中新幡随院の良石和尚よりのお
指図
(
さしず
)
で参りましたものでございますが、先生に身の上の判断をしていたゞきとうございます」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この男が、いろいろ
指図
(
さしず
)
をしているが、他はまるで従者のように、素直に云うことをきいている。分配が終ると、
皆
(
みな
)
それぞれの方角に歩き出した。
女強盗
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そのうち爺やが二三人の見なれない男たちに
指図
(
さしず
)
しながら、そこらの植木を引っこ抜かせているのが見えて来ました。
朴の咲く頃
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
持ち返って手入れせよと、素人の豊後守から
指図
(
さしず
)
をされ融川は
颯
(
さっ
)
と顔色を変えた。
急
(
せ
)
き立つ心を抑えようともせず
北斎と幽霊
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
また手伝ったり
指図
(
さしず
)
をしたりして、どこの家でも正月がくるまでに、二つか三つかの新らしい手毬ができていた。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「それは
俺
(
おれ
)
に任せて置けばいいのだ。君達は、黙って俺の
指図
(
さしず
)
に従っていればいいのだ。二三日の内に、俺のすばらしい
目論見
(
もくろみ
)
が、君達にも分るだろう」
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
お
社
(
やしろ
)
をお作りになって、今度のご
征伐
(
せいばつ
)
についていちいちお
指図
(
さしず
)
をしてくださった、
底筒男命
(
そこつつおのみこと
)
以下三人の神さまを、この国の
氏神
(
うじがみ
)
さまにお
祀
(
まつ
)
りになった後
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
私は一個の手間取りでありますから、高村家の
後事
(
こうじ
)
について一家の内事にまで
指図
(
さしず
)
をするというわけには参らず、甚だ工合の悪い立場に立ったのであった。
幕末維新懐古談:30 身を引いた時のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
老人が
腮
(
あご
)
で
指図
(
さしず
)
をすると、女は黙って
頷
(
うなず
)
きながら丹治の前へその茶碗を持って来た。丹治はちょと
俯向
(
うつむ
)
いてから急いでその茶碗を
執
(
と
)
りあげて一息に飲んだ。
怪人の眼
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
忙
(
せわ
)
しく
指図
(
さしず
)
をしている母堂の声や、それに答える女中たちの声、あわただしく走り廻る足音や、何か重いものをドスンと落す音、
賑
(
にぎ
)
やかな笑い声やシュウ
キャラコさん:06 ぬすびと
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
中庭の
隅
(
すみ
)
では、二つの窓のあいだに一本の綱が張られ、洗濯物がもう干してあった。一人の男がその下に立ち、一言二言声をかけては仕事を
指図
(
さしず
)
していた。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
今まで
茫然
(
ぼうぜん
)
と自失していた私に、ここに立って、この道からこう行かなければならないと
指図
(
さしず
)
をしてくれたものは実にこの自我本位の四字なのであります。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
庸三はドクトルの
指図
(
さしず
)
で、葉子の
脇腹
(
わきばら
)
を
膝
(
ひざ
)
でしかと押えつける一方、両手に力をこめて、
腿
(
もも
)
を締めつけるようにしていたが、メスが腫物を
刳
(
えぐ
)
りはじめると
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
もしや本当に富田氏の
指図
(
さしず
)
で来たかもしれぬと思って、一応富田氏へ電話をかけて訪ねることに致しました。
塵埃は語る
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
ソレカラ又家に客を招く時に、大根や
牛蒡
(
ごぼう
)
を煮て
喫
(
くわ
)
せると云うことに
就
(
つい
)
て、必要があるから母の
指図
(
さしず
)
に従て働て居た。所で私は客などがウヂャ/\酒を
呑
(
の
)
むのは大嫌い。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
主人が
指図
(
さしず
)
して雇人が抱き起して見ると凄い、
咽喉笛
(
のどぶえ
)
を掻き切ったのは
堺出来
(
さかいでき
)
のよく切れる
剃刀
(
かみそり
)
で、それを
痩
(
や
)
せこけた右の手先でしっかり握って、左の手を持ち添えて
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
紅
(
あか
)
く充血した眼で客の方を見て、「娘の親というものが気に入りません……これは、まあ、私の邪推かも
知
(
しれ
)
ませんが、どうも親が
背後
(
うしろ
)
に居て、娘の
指図
(
さしず
)
をするらしい……」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
もう家康は
駿府
(
すんぷ
)
に
隠居
(
いんきょ
)
していたので、
京都
(
きょうと
)
に着いた使は、最初に
江戸
(
えど
)
へ往けという
指図
(
さしず
)
を受けた。使は
閏
(
うるう
)
四月二十四日に江戸の
本誓寺
(
ほんせいじ
)
に着いた。五月六日に将軍に
謁見
(
えっけん
)
した。
佐橋甚五郎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
なぜというて、おまえは、臨終の長老のお
指図
(
さしず
)
で、世間へ乗り出して行かねばならんからだ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
そして摂津には構わず、与力の席や白洲の人配りなど、こまかいことに詳しい
指図
(
さしず
)
をした。
改訂御定法
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
かれは小女に
指図
(
さしず
)
して、煙草盆と茶とを運ばせると、半七は表を見かえって声をかけた。
半七捕物帳:15 鷹のゆくえ
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
大勢がどやどや駈寄って、口々に荒い言葉で
指図
(
さしず
)
し合って、燃えついている障子を屋根から外へ
抛
(
ほう
)
りだしたり、バケツや
手桶
(
ておけ
)
で
水甕
(
みずがめ
)
の水を
掬
(
すく
)
ってきたりした。父の目も血走った。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
ひとつ、ぼくが
指図
(
さしず
)
をすることにします。そうすれば、すこしはよくなるでしょう
空とぶトランク
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
潜水夫
(
もぐり
)
は私達の立っている近くの岸壁まで来て、暫く何か喬介から
指図
(
さしず
)
を受けていたが、
軈
(
やが
)
て二人の職工を呼び寄せると、
気管
(
ホース
)
やポンプの
仕度
(
したく
)
を手伝わせ、間もなく岸壁に梯子を下げて
カンカン虫殺人事件
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
さうしては貴様の体に一生の
疵
(
きず
)
が附く事だから、
思反
(
おもひかへ
)
して主人の
指図
(
さしず
)
に従へと、中に人まで入れて、
未
(
ま
)
だ未だ申してくれましたのを、
何処
(
どこ
)
までも私は剛情を張通して了つたので御座います
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
坑内に知らせに行くもの、
指図
(
さしず
)
するもの、衛兵も、もう手がつけられなかった。孫軍曹の噂を知っている坑夫達は、彼の保護に安心して、続々坑内から出て来ると、新しい工事に加わった。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
世の中に神秘の力があるものならその前にひれ伏そう。もし偶然であるとしても、自分はその偶然を信頼しよう。どうか、これらの書物のなかで、自分の師とするに足りる書物を
指図
(
さしず
)
して欲しい。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
求むべきを求めて
後
(
のち
)
の処刑ならば、よし、後日あの菅笠が、信祝殿の御
指図
(
さしず
)
によって、造られたものと判りましたにせよ、越前が、うまく一杯かかっただけにて、その不明な点に責任はあろうとも
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「伯母さんはなにもしなくてもいいからただ
指図
(
さしず
)
だけしてください」
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
誰かが下から
指図
(
さしず
)
しようとした時、岸本監督は低い声で押さえた。
秋空晴れて
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
籌子夫人は幾度か上京し、仕度万端、みな籌子夫人の
指図
(
さしず
)
だった。
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
もともと、友田からの話で、
指図
(
さしず
)
どおりにしたんじゃけ、友田がすっかり勘定してくれるもんと思うとったら——仲裁をしてやっただけでも、ありがとう思え。飲み食いの跡始末まで、知ったことか。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
三人の
助手
(
じょしゅ
)
らしい人たちに
夢中
(
むちゅう
)
でいろいろ
指図
(
さしず
)
をしていました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「お前から、
指図
(
さしず
)
なんかされなくったっていいよ」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
大声で
指図
(
さしず
)
をして、私の屍体をみんな細かに刻み
アイヌ神謡集
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
無常の人生が悲しまれて、心細くなった源氏は参内もせずに引きこもっていて、御息所の葬儀についての
指図
(
さしず
)
を下しなどしていた。
源氏物語:14 澪標
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ふん、そらそうに違いないねけど、昨日の電話も男の声やったし、きっとあの綿貫いう人なあ、あの人が蔭で
指図
(
さしず
)
したのんにきまってるわ。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
“指図”の意味
《名詞》
指 図(さしず)
言いつけてさせること。
(古)絵図、地図。
(法律)指名すること。
(出典:Wiktionary)
指
常用漢字
小3
部首:⼿
9画
図
常用漢字
小2
部首:⼞
7画
“指図”で始まる語句
指図役
指図通
指図書