猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
				
			
		「お品さん、心配することはないよ。俺で出来るだけのことはやってみよう。手掛りさえありゃ、手繰って手繰れないことはあるまい」
			
				
					銭形平次捕物控:089 百四十四夜 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
				
			
		釣をしている者も、網を手繰り込んでいる者もあったが、皆裸体で、黒く日に焼けた身体と黒い頭髪とからして野蛮人みたいであった。
			
				
					日本その日その日:03 日本その日その日 (新字新仮名) / エドワード・シルヴェスター・モース(著)
				
			
		すぐ、スルスルと長くつないだ帯の影が牢の中へ手繰りもどされて、その端も見えなくなった。だがまだ彼は仰向いたままでいた。
			
				
					私本太平記:09 建武らくがき帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
				
			
		ですから、内部の円筒が気流によって廻転を始めるにつれ、やがて紐は手繰られてピインと張り、片方の端にある短剣を吊り上げたのです。
			
				
					聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
				
			
		
				
					丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
				
			
		夜具を掻きのけたかと思われる様子で、やがてキューキューと帯を手繰るような音。竜之助の頭は氷のように透きとおる。
			
				
					大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
				
			
		
				
					平賀源内捕物帳:山王祭の大像 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
				
			
		
				
					田園の憂欝:或は病める薔薇 (新字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
				
			
		私はその索を手繰って引き寄せ、もう十分近づいたと思った頃に、非常な危険を冒して自分の半身ほど立ち上り、そうして船室の天井と室内の一部とを見渡した。
			
				
					宝島:02 宝島 (新字新仮名) / ロバート・ルイス・スティーブンソン(著)
				
			
		
				
					即興詩人 (旧字旧仮名) / ハンス・クリスチャン・アンデルセン(著)
				
			
		しかし学者は人生または自然の一方を常に凝視して未知の新事業を発見することに努力し、永遠の時を少しでも早く手繰り寄せて現代の生活に貢献しようとしているものである。
			
		これを見たら、いきなり水中へ飛び込んで、竿を引き抜き、そのまま河原へ駆け上がってから、道糸を手繰り寄せ、手網は使わないで、遮二無二河原へ鱸を引っ張り上げるのである。
			
		どこから出したか、細い鐵の鎖をざら/\と手繰りながら、殆ど飛びつくやうな勢ひで、弟子の背中へ乘りかかりますと、否應なしにその儘兩腕を捻ぢあげて、ぐる/\卷きに致してしまひました。