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忝
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かたじ
ふりがな文庫
“
忝
(
かたじ
)” の例文
「
忝
(
かたじ
)
けのうござる、それでこそ本望……つきましてはもう一つ、お願いいたしたきは拙者に代わり、不運の百姓の一揆の指揮を……」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ああ、
忝
(
かたじ
)
けのうございます。匿まって下さるのだったら、なんで庵主さまのおいいつけに背きましょうか、どうも有難うございます」
鍵から抜け出した女
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
懸
(
かく
)
れば重四郎はイヤ來たなとは思へども
何喰
(
なにくは
)
ぬ顏にて是は/\
珍
(
めづ
)
らしく御揃ひで
能
(
よく
)
こそ御入來
忝
(
かたじ
)
けなしと
挨拶
(
あいさつ
)
なすに
頓
(
やが
)
て掃部は聲を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
驚きながらもさてはまた投身の者と間違えられしならんと思えば「御深切
忝
(
かたじ
)
けなし。されど我輩は自死など企つる者にあらず、放したまえ」
良夜
(新字新仮名)
/
饗庭篁村
(著)
この新穀の香は忘れ難いというのは、すなわち辛苦がようやく実を結んだ、うれしさ
忝
(
かたじ
)
けなさを語るものだったらしい。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
「……そこまで案じて頂いたことは
忝
(
かたじ
)
けないと思います然し、あなたが老職の御息女とわかった以上は、このまま
此処
(
ここ
)
にいて頂くわけにはまいらない」
山だち問答
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
わたくしは
忝
(
かたじ
)
けなさと心づよさに、お手をじっと握りしめた
儘
(
まま
)
、しばしは物も申せなかったことでございました。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
心のうちでは有難いとも、
忝
(
かたじ
)
けない可愛いとも思ったが、一旦「勘当した」と明言したことに対して、彼は自分の方から一本の手紙も出すことは出来ない。
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
修「
然
(
そ
)
うか……おゝ能く出て来たなア、堅いから時々訪ずれてくれて誠に
忝
(
かたじ
)
けない……さア
此方
(
こっち
)
へお出で」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
『心にかけて
忝
(
かたじ
)
けない。だが、軍費は当方において都合ができた。本日のところは、持ち帰って貰おう』
増上寺物語
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
さりながら
徃日
(
いつぞや
)
の
御詞
(
おんことば
)
は
僞
(
いつは
)
りなりしか、
汝
(
そち
)
さへに
見捨
(
みすて
)
ずば
我
(
わ
)
が
生涯
(
しやうがい
)
の
幸福
(
かうふく
)
ぞと、
忝
(
かたじ
)
けなき
仰
(
おほ
)
せ
承
(
うけたま
)
はりてよりいとゞ
狂
(
くる
)
ふ
心
(
こゝろ
)
止
(
とめ
)
がたく、
口
(
くち
)
にするは
今日
(
けふ
)
始
(
はじ
)
めてなれど
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「ようございます、そういうことになりゃア、骨が
舎利
(
しゃり
)
になってもやっつけます。いっそ、
忝
(
かたじ
)
けねえ」
顎十郎捕物帳:05 ねずみ
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
やれ有難や
忝
(
かたじ
)
けなや。此の上はどんな
辛
(
つら
)
い奉公も、苦しい勤めも辛抱いたします。〽忘れまいぞやあのことを。〽忘れまいぞやあのことを。〽忘れまいぞやあのことを
取返し物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「わははは、人足を狩り出して御見送り下さるとは
忝
(
かたじ
)
けない。それもまた近頃ずんと面白かろうぞ」
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
忝
(
かたじ
)
けない、もったいないという心持のあるものは、物を扱うても粗末にせず、人に対しては丁寧であり、自分自身も満足であるゆえ、神にも人にも愛されることとなる。
私の小売商道
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
(著)
「ほ。……いや
忝
(
かたじ
)
けない。早速の快諾に、申しては失礼だが、利に
敏
(
さと
)
い商人たるお身らが、どうしてそう一言のもとに、多くの
馬匹
(
ばひつ
)
を無料でそれがしへ引渡すといわれたか」
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あながちに
己
(
おの
)
が見証を
将
(
もつ
)
て世に
吹聴
(
ふいちやう
)
せんとにはあらず、唯だ吾が鈍根劣機を以てして、
尚
(
な
)
ほ且つこの
稀有
(
けう
)
の心証に
与
(
あづか
)
ることを得たる
嬉
(
うれ
)
しさ、
忝
(
かたじ
)
けなさの
抑
(
おさ
)
へあへざると、且つは世の
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
これはこれはようこそ、まことにはや、御親切さまの至りでございやすで、はあ、未熟なわしらが芸事を、それほどに聴いておくんなさる御親切、何ともはや、
忝
(
かたじ
)
けねえでございます。
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
面白うもない
歌留多
(
かるた
)
をうつてゐて
夜
(
よ
)
を
更
(
ふ
)
かし、今からは
往
(
い
)
なれまい、
旦那殿
(
だんなどの
)
も
大津祭
(
おほつまつり
)
に
行
(
ゆ
)
かれて
留守
(
るす
)
ぢやほどに、泊つてなりと行きやと、兄弟の
忝
(
かたじ
)
けなさは
何
(
なん
)
の遠慮もなく一所に寝るを
案頭の書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これほど労力を節減できる時代に生れてもその
忝
(
かたじ
)
けなさが頭に
応
(
こた
)
えなかったり
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ご好意は
忝
(
かたじ
)
けない、ありがたくお受け致す、さりながら——」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「身に沁みてのお言葉、
忝
(
かたじ
)
けのうござる」
轆轤首
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「
忝
(
かたじ
)
けない、
飛
(
と
)
んだ御造作にあずかる」
奇談クラブ〔戦後版〕:09 大名の倅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
忝
(
かたじ
)
けのう御座りまする」
名君忠之
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「先生、
忝
(
かたじ
)
けのう存じます。先生のお出でがございませんでしたなら、私は危くこの場において
生命
(
いのち
)
を落とすところでございました」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
致す事なかれ
無禮
(
ぶれい
)
は許す
傍
(
そば
)
近
(
ちか
)
く參るべし我は
忝
(
かたじ
)
けなくも當將軍家
吉宗公
(
よしむねこう
)
の
御落胤
(
ごらくいん
)
なり當山中に赤川大膳といふ
器量
(
きりやう
)
勝
(
すぐ
)
れの浪人の有るよしを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
わたくしは
忝
(
かたじ
)
けなさと心づよさに、お手をじつと握りしめた
儘
(
まま
)
、しばしは物も申せなかつたことでございました。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
あな
尊
(
とう
)
とや観世音
菩薩
(
ぼさつ
)
、
忝
(
かたじ
)
けなや勢至菩薩。筏の
舳
(
へさき
)
に立って、早や招いていらるるぞ。やっしっし、やっしっし、それ筏は着くぞ。あの
妙
(
たえ
)
なる響は極楽鳥の鳴き声じゃな。
或る秋の紫式部
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「ほほう、おいでじゃな。何かは知らぬが退屈払いして下さるとは
忝
(
かたじ
)
けない。しかしじゃ。
十箭
(
とうや
)
のうち五本も射はずすナマリ武士が、人がましゅう鯉口切るとは片腹痛かろうぞ」
旗本退屈男:07 第七話 仙台に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
……御令息より拙者むすめ御所望のお話し
忝
(
かたじ
)
けなく面目至極には御座候え共、むすめ儀はかねて御家中村松銀之丞殿と縁組み仕るべき約束にて、にわかに御意には添い兼ね申し候。
恋の伝七郎
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
私
(
わし
)
は心配して居ったが、まさか手前に、はアッはア………斯様な荒々しい事をなさろうとは思わなかった………
併
(
しか
)
しそれ程までに妹を
思召
(
おぼしめ
)
して下さる
御心底
(
ごしんてい
)
はアッはア……誠に
忝
(
かたじ
)
けない
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
歳
(
とし
)
両番
(
りょうばん
)
を経て
相謁
(
あいえっ
)
して
遇
(
あ
)
わず、空しく
回
(
かえ
)
っては
惆悵
(
ちゅうちょう
)
怏々
(
おうおう
)
として云うべからざるものあり。切に
念
(
おも
)
う、備や漢室の
苗裔
(
びょうえい
)
に生れ
忝
(
かたじ
)
けなくも皇叔に居、みだりに典郡の階に当り、職将軍の列に
係
(
かかわ
)
る。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「これは、
忝
(
かたじ
)
けのう存ずるにて候」
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
忝
(
かたじ
)
けない」
大江戸黄金狂
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「司馬氏、千万
忝
(
かたじ
)
けのうござる! そこまでお運びくだされたか、まことにご任侠、幾重にもお礼! ……妹よいざ! さあ行こうぞ!」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
其時
(
そのとき
)
越前守は平石次右衞門吉田三五郎池田大助の三人を
膝元
(
ひざもと
)
へ進ませ申されけるは
其方共
(
そのはうども
)
家の爲め思ひ
呉
(
くれ
)
る
段
(
だん
)
忝
(
かたじ
)
けなく存るなり
依
(
よつ
)
て越前が
心底
(
しんてい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
枝を縫って学園の庭を蝶や鳥のように遊び
呆
(
ほう
)
けられたものだと、先ずそのことが先に胸を突き、有難く
忝
(
かたじ
)
けなく、しかし、この
睦
(
むつ
)
びももうこの先そう永いこともあるまい。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
貴方は
何
(
なん
)
たるお方かなア、大金を人に恵むに板の間へ手を突いて、失礼の段は詫ると云う、誠に千万
忝
(
かたじ
)
けのうござる、只今の身の上では一両の金でも
貸人
(
かして
)
のない
尾羽
(
おは
)
打枯
(
うちから
)
した庄左衞門に
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「身に余るお言葉、
忝
(
かたじ
)
けのう存じまする」老人は平伏しながら泣いた。「お
健
(
すこ
)
やかに御成人あそばされめでたく——御世継ぎとして御帰館あらせられ、わたくしども一同、祝着に存じ奉りまする」
若殿女難記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
歩く浪人
輩
(
やから
)
にろくな腕の者はござりませぬ。殊に
多寡
(
たか
)
が小藩の家中を怖れたかにもなって出石藩の聞こえも如何と存じますゆえ、まず今日の試合は拙者めに万事お任せ下されば
忝
(
かたじ
)
けのう存じまする
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「左様か、
忝
(
かたじ
)
けない」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ご芳志
忝
(
かたじ
)
けのう存じます。ではお言葉に従いまして、立ち返ることにいたしましょう。つきましてはきっとお紅殿を……」
血ぬられた懐刀
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ほほう、そりゃ
忝
(
かたじ
)
けない。しばらく酒も飲まんな。折角の酒を何も
肴
(
さかな
)
がのうては。
狐
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
私
(
わたくし
)
は貴方を斬る役でもなければ縛って連れて
行
(
ゆ
)
く役でも無い、唯山三郎の云う事を聞いて改心して下されば
私
(
わたくし
)
に於ても此の上なく
忝
(
かたじ
)
けないことで、
倶
(
とも
)
に喜ばしい訳で、何うか改心して下さい
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いや、格太郎のことならば、御同情は
忝
(
かたじ
)
けないが、もう何事も、仰言ゃってくださるな。むしろ、草雲は欣んでおる。——これで一人の朝敵が減った! この絵を描き上げたら、一杯飲みましょう。
田崎草雲とその子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「何んとお礼を申してよいやら、まこと今回は伊豆守殿には、分外のご厚情にあずかりまして、
忝
(
かたじ
)
けない儀にござります」
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
小「はい新年で誠に目出度い、
旧臘
(
きゅうろう
)
はまた相変らず歳暮を
自宅
(
やど
)
の
下
(
しも
)
の者までへ心附けくれられて、誠に有難い、また相かわらず重三郎を其の方の代としての年頭で、
年玉
(
ねんぎょく
)
の品々を
忝
(
かたじ
)
けのうござる」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「これは思いがけないご助勢下され、
忝
(
かたじ
)
けのう存じまする」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……それにこのようにご親切に、お屋敷へさえお連れ下され、手厚い介抱を受けまして、いよいよ
忝
(
かたじ
)
けなく存じます
血ぬられた懐刀
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
丈助誠に
忝
(
かたじ
)
けない、旧来居った家来共も皆
暇
(
いとま
)
を取って別れ/\になれば、
私
(
わし
)
が此処に
居
(
お
)
ることを知って居るものも有ろうけれども、一人も訪ねてくれる者も無いに引替え、手前は新参でありながら
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
忝
漢検1級
部首:⼼
8画
“忝”を含む語句
可忝
忝奉存候
忝次第
是又忝