忍耐にんたい)” の例文
しかし、忍耐にんたいをしなければなりません。わたしは、また、きっと、もう一ここへやってきますよ。それまでは、達者たっしゃでいてください。
山の上の木と雲の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
僕は、忍耐にんたいと我慢と勤勉と才能を尊重します、何故と云つて、これによつて、人間は、大きな目的を遂げ、高い位置に登り得るのです。
もう忍耐にんたい出來できない、萬年まんねんペンをとつてりあげた、そのおそろしいしもとしたあわれみをふかのようにいてゐる、それがたゝけるか。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
月人を恐怖する博士も、これまでに月人がたどった運命と、忍耐にんたいづよい努力とには、同情し、敬意をもっているのだった。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
其時そのときかれひとことかんがへる餘裕よゆううしなつて、こと/″\自己じこ本位ほんゐになつてゐた。今迄いままで忍耐にんたいわたつてた。これからは積極的せききよくてき人世觀じんせいくわんつくへなければならなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それから春になってルミ、またいっしょに出かけようよ。まあ当分は勇気ゆうき忍耐にんたい必要ひつようだ。わたしたちはこれまでちょうどつごうの悪い、あい時節じせつばかり通って来た。
成経 (涙ぐむ)わしはあまりの侮辱ぶじょくにはえられない。わしはいつも忍耐にんたいを用意しているにはあまりに余裕のない心でくらしている。わしはそれどころではないのだ。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
假令たとひ監視かんしからのがれてをんな接近せつきんしたとしても、んだをんなじやうこはければ蛸壺たこつぼたこだまされるやうにころりとおと工夫くふうのつくまではをとこ忍耐にんたいむし危險きけんとをあわせてしのがねばらぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
と婦人は自分の遭難そうなんはわすれて、一同の忍耐にんたいと勇気とに、涙を流して感嘆かんたんした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
こらえるのみにあらず主とも師匠とも頼む少女の激励げきれいに対する有難涙ありがたなみだこもっていたゆえにどんな痛い目にってもげはしなかった泣きながら最後まで忍耐にんたいし「よし」と云われるまで練習した。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それがある限度をこすと、ついには、愛情と忍耐にんたいとをもって、君らの良心を力づけようと努力している人の心までをきずつけ、その愛情と忍耐とを、にくしみといかりとに代えてしまうものだ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
あまりやかましいので、さすがに忍耐にんたいづようし我慢がまんがしれなくなつたと
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
進歩したる人にあらねば真の強さは忍耐にんたいにあることを会得えとくし得ぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
だがぼくは、あの、いっしょに遊戯ゆうぎをしてくれた、あねのすがたをおもすと、これからのち、どんなくるしいことにも忍耐にんたいできるがする。
だれにも話さなかったこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
あなたの熱心さに對してゞはないとしても、あなたの忍耐にんたいに對して僕は降參しますよ。絶え間のない雨滴あまだれが石に穴を開けてしまふやうにね。
だが忍耐にんたいづよい博士は、そのあいだにも、X号が何を考え、何を計画しているか、それを知ろうとして、目が見えないながらも、しょっちゅう気をくばっていた。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
二人ふたりあひだにはあきらめとか、忍耐にんたいとかふものがえずうごいてゐたが、未來みらいとか希望きばうふものゝかげほとんどさないやうえた。彼等かれらあまおほ過去くわこかたらなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わしはあなたをめる気は少しもない。あなたはあまりに痛ましい。困苦寂寥こんくせきりょう歳月さいげつがあなたの忍耐にんたい力を奪ってしまったのだ。あなたは心の平衡へいこうを支える勇気をくだかれてしまったのだ。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
このおとこは、よけいにかねつと、なんで忍耐にんたいして、居酒屋いざかやまえ素通すどおりすることができましょう。やはり我慢がまんがされずに、みせへはいって、たらふくみました。
ある男と牛の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
私はこの忍耐にんたいの教義を理解することが出來なかつた。まして彼女が自分をらしめる者に對して示した忍從には、理解することも同情することも出來なかつた。
彼女かのぢよ其時そのとき普通ふつう産婦さんぷやうに、三週間しうかんとこなからした。それは身體からだからふときはめて安靜あんせいの三週間しうかんちがひなかつた。同時どうじこゝろからふと、おそるべき忍耐にんたいの三週間しうかんであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とこなつのはなは、みつばちのさげすむようないいかたたいしてはらをたてたけれど、忍耐にんたいをして
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
きみがいってくれたら、山本やまもとくんもよろこぶだろう。ただ注意ちゅういすることは、だい一に、なにごとも忍耐にんたいだ。つぎに、男子だんしというものは、こころおもったことは、はきはきと返事へんじをすることをわすれてはならぬ。
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
どんなつらいことも忍耐にんたいをする勇気ゆうきこったのです。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)